広告:まりあ†ほりっく 第5巻 [DVD]
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■△・武者修行(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-10-22
 
千里2は日本時間で5/12の夜20時くらいでケイのマンションを出て、青葉を秋川のホテルまで車(オーリス)で送って行った。更に千里は桃香の病院まで運転して戻り、そこから自分だけ《きーちゃん》に頼んでアメリカに転送してもらう。日本の5/12 22:00は向こうの5/12 9:00 で、千里は現地時刻の9:00-12:00にチーム練習をした。
 
「明日はフィラデルバーグ空港に朝11時集合厳守だからね」
とコーチが言っていた。
「コーチお願いがあるのですが」
「何だね?」
「フロリダに行くついでに友人に会ってきたいので、帰りは別行動にしてもいいですか?」
「いいけど、その場合、帰りの飛行機代は出せないよ」
「はい。問題ありません。自費で帰って来ます」
「うん。だったらOK。行く時は一緒?」
「はい。みんなと一緒に現地入りします」
 
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千里2はPSFの練習をした後、日本の深川に転送してもらった。向こうの5/12 12:00は日本の深夜5/13 1:00である。深川体育館で3時間ほどひとりだけで練習をした。4:00で切り上げ、葛西に転送してもらって寝る。朝9:00頃桃香の病院に転送してもらい、桃香のお見舞いをする。この日13日はまたお昼過ぎに青葉と一緒に病院を出て、車(オーリス)で青葉を都心まで送った後、千里2はこの日は葛西のマンションに帰って寝た。千里2が寝たのは5/13 15:00頃である。
 

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さて、千里2がフィラデルバーグから日本に転送されたアメリカ東部夏時間の5/12 12:00は、アメリカ太平洋夏時間では5/12 9:00になる。《きーちゃん》は千里2を転送した後で、千里1に付いている《すーちゃん》に直信を掛けて頼み事をした。
 
『悪いけど、ちょっと工作ごとに使いたいんだよ。今日たぶん千里は帰りに桃香や貴司にお土産を買うよね?』
『うん。買うと思う』
『それで桃香に買ったお土産と同じものを別途1つ買っておいてくれない?』
『OKOK。貴人、こないだから色々工作事をしているみたい』
『そうなんだよ。大神様からの司令なんだ、実は』
『大変だね〜。じゃお土産は買っておいて、成田かどこかで渡せばいい?』
『うん。成田に取りに行くね』
 
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それで千里1は午前中に日本代表のチームメイトと一緒にお土産選びをして、シアトル時刻の5/12 13:20(=5/13 5:20JST)にシアトル空港を離陸する。飛行機はやや遅れて、日本時間で 5/13 16:10頃に成田空港に到着した。入国手続きをしてから、空港内でバスケット雑誌の取材を受ける。それから解団式をして解散となった。
 
「じゃ次の合宿は18日からだからよろしく」
「お疲れ様でした!」
 
(千里がこういう行事をしている間に《すーちゃん》は千里から分離して空港内で《きーちゃん》にお土産のチョコを受け渡していた)
 
その後、千里1は玲央美たちと一緒にいったん北区の合宿所に行き、そこに置いている私物を取ってから別れた。千里は合宿所に駐めっぱなしにしていたミラで玲央美を彼女のマンションまで送って行ってから、あきる野市の桃香の病院に行く。これが5/13 20:00頃であった。
 
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桃香から見ると“千里”はこの日午前中病院に出てきて、お昼過ぎに青葉と一緒に帰って行ったという認識である。しかし千里1は早月が生まれた日に新生児室で抱っこして、そのあと病室で桃香と少し話して以来である。
 
嬉しそうに早月を抱っこして撫で撫でする。その様子を見て桃香は、ここにいる千里は午前中に来ていた千里と別の千里かも。ひょっとしたら二重人格(解離性同一性障害)かも、などと考えたりした。
 
千里1はシアトルで買ってきたお土産のクッキーとフランズのチョコを桃香に渡してしばらくおしゃべりしてからミラを運転して用賀のアパートに戻った。正確には経堂のアパートに入ろうとしたら、経堂の駐車場にアテンザが駐めてあったので、用賀まで行き、そこにミラを駐めてアパートに入って寝た。これが5/13 22:30頃(日本時間)である。
 
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千里1が用賀に戻った1時間後、5/13 23:30頃に葛西のワンルームマンションで目を覚ました千里2は《きーちゃん》に頼んでフィラデルバーグ空港に転送してもらった。PSFのメンバーと合流し、一緒にフロリダ州オーランド行きの飛行機に乗った。今日はオーランドで試合である。
 
オーランド空港に現地時間で14:00(=3:00JST)に到着する。フィラデルバーグとオーランドは同じ時間帯(東部夏時間EDT)を使用している。
 
試合は16:00からなので、それまでは準備体操や柔軟体操などをして身体をほぐしておく。この時、体育館に隣接した教会で、結婚式をやっていた。
 
みんな練習を中断してそちらを見て騒いでいる。千里はこの結婚式の写真を撮っておきたいと思った。それでチームメイトのエマに、自分の携帯で写真を撮ってくれないかと頼んだ。
 
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「なぜ自分で撮らない?」
「私、機械音痴で一度としてまともな写真撮れたことない」
ところが千里が持っているのが日本独自仕様のフィーチャホンなので
 
「君の携帯は使い方が分からない!」
 
と言う。それで結局、エマが自分のiPhoneで撮影して、千里に写真をメールしてくれることになった。
 
「Thank you!!」
 
それで日本時間で5/14 4:08(=5/13 15:08 EDT)のタイムスタンプでApple端末で撮影された結婚式の写真ができたのである。
 
千里はその後、16:00から17:40くらいまで試合に臨んだ。今日の相手は強敵ではあったが、試合はヴィクトリア(千里)の活躍、そしてヴィクトリアの活躍に刺激されたティファニーの活躍もあって、僅差で勝利した。
 
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その後、千里たちはオーランド空港に戻り、夕食を一緒に取ってから多くのメンバーは20:00(=5/14 9:00JST)のフィラデルバーグ行きに搭乗した。しかし千里と、もうひとりエマも友人に会いに行くということで、夕食の後、チームメイトと別れた。千里はすぐに日本の用賀のアパートに転送してもらい、シャワーを浴びて1時間ほど仮眠した。その後で、もう移動時間が無いので、《きーちゃん》に直接あきる野市の桃香の病院に転送してもらう。車は《つーちゃん》に桃香の病院に回送してもらうことにする。
 
そういう訳でこの日5/14、千里2は午前10時頃に桃香の病院に姿を見せた。
 
そして《すーちゃん》に買ってもらって《きーちゃん》が成田で受け取っていたフランズのチョコを使って昨夜桃香の所に来た千里1の言動で混乱していたのを何とか辻褄合わせをしておいた。
 
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一方、千里3は5/13の夕方、夕暮れの風景から『l'Ouverture de l'hiver』という詩を発想した(直英訳するとThe opening of the winter)。頭の中がフランス語モードになっているので詩自体をフランス語で書き上げている。そして自分のアパルトマンに帰ってからそれをいったん日本語に直しタイトルも『冬の初めに』とした。悩んでいるっぽい冬子のためこれから冬子の時代は始まるんだよというメッセージも込めている。
 
そして徹夜でその詩に合わせた楽曲を書き上げた。
 
これ多分けっこうケイっぽいよね?
 
と思う。
 
千里はこれまで多くの楽曲をメロディーとギターコード、あるいはピアノ譜程度まで書き上げた所で《たいちゃん》に頼んでCubaseに入力してスコアにしてもらっていたのだが、眷属の使い方が問題になったということだったしなあと思い、これをこのあと自分で少しずつ入力していくことにしている。
 
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一方、千里1は帰国した翌日、5月14日はさすがに昨日までのアメリカ遠征で疲れたので今日はバスケットの練習は休もうと思った。それで1日オフにすることにし、先日冬子から頼まれたという『郷愁』というアルバム用の曲を書くことにした。
 
出かけた方がいいかなと思い、矢鳴さんに電話する。
 
「醍醐です。お疲れ様です。よかったら、今日1日ドライブに付き合ってもらえませんか?」
 
「お帰りなさい。アメリカ遠征大変でしたね。どこに行けばいいですか?」
 
「それで相談なんですが、関東近辺でわりと古い町並みが残っている町って、どこら辺にありますかね」
 
「そうですね。。。熱海なんかも昭和40年代のまま時が止まっている感じだし、川越なども10年くらい前にテレビドラマで話題になりましたね。後は、青梅とか群馬まで足を伸ばせば甘楽町(かんらまち)とか桐生市とか・・・」
 
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「じゃ、青梅、川越あたりを回って、それでいいアイデアが浮かばなかったら群馬の方に足を伸ばそうかな」
 
「今どちらにおられます?」
 
「今いるのは用賀のアパートですが、車を経堂の方に置いているので今から経堂の方に移動しますね」
 
「分かりました。では1時間くらいで経堂に参ります」
 

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それで千里1は経堂に移動して矢鳴さんが来るのを待つ。そして彼女が運転するアテンザで最初青梅方面に行ったが、そこでは着想が得られず、川越に移動した。これがちょうどお昼頃だったので、矢鳴さんと一緒に町食堂に入った。
 
千里は天津丼、矢鳴さんは中華丼を頼む。
 
(御飯の上にカニ玉が載っているのが天津丼、八宝菜が載っているのが中華丼である)
 
「はい、天津丼お待ち」
と60歳くらいの店主さんに言われて、千里の前に丼が置かれたので、食べ始める。千里はアルファ状態に近いので、何も考えずに目の前にあるものを食べていた。そこに30歳くらいの女性が
 
「天津丼お持ちしました」
と言って持ってくる。千里は既に食べていて、矢鳴さんの前には何も無いので、そちらに置こうとして
 
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「あれ?こちらのお客様が天津丼でしたっけ?」
と言う。
 
「ん?」
 
それで初めて千里は自分が食べているのが天津丼ではなく中華丼であることに気付いた。
 
「あ、これ中華丼だ。ごめーん!」
と千里。
「いえ、いいですよ。私が天津丼を頂きます」
と矢鳴さん。
 
「でもさっき、おやじさんが天津丼って言って置いていかなかったっけ?」
と千里。
「ええ。お店の人、間違えてるとは思ったものの、思考を邪魔したくなかったので、そのままにしました」
と矢鳴さん。
「ごめーん」
と千里も言うが
 
「ごめんなさい!うちの父、よく言い間違えるんです」
とその女性は言っている。
 
すると店主さんも奥から出てきて
「ごめん!また言い間違えた」
などと言っている。
 
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「すみません。あらためて中華丼作ってお持ちしますね」
と娘さんの方は言っているが
「いえ、せっかく作って頂いたから私が天津丼食べますよ」
と矢鳴さんは言って、そちらを食べ始める。
 
「ごめんなさい!じゃサービスでコロッケでもつけますね」
と言って、娘さんはコロッケを2皿持って来てくれた。
 
「すみません。よけい申し訳無い感じだ」
と言って千里と矢鳴さんはコロッケを頂いた。
 
「俺よくAKBとSKDも言い間違える」
「それは同時期には活動していないから、何とかなりますね」
「藤竜也と藤原竜也を言い間違う」
「ああ、そういう人は多いです」
「新山千春と松山千春も言い間違える」
「それは性別が違ってくる」
 
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「ちなみにお母ちゃんは柏木由紀と柏木由紀子がごっちゃ」
「まあそのあたりは名前が紛らわしいです」
 
「さすがに囲碁と将棋は言い間違えないね」
「将棋ごときと囲碁をごっちゃにするな」
とおやじさんは怒っている。
 
「ご主人は囲碁派ですか」
「ああ。俺は囲碁六段の免状持ってるぜ」
「それは凄い!」
 
「お母ちゃんは将棋の四段なのよね〜」
「棋士夫婦ですか!」
 
女性で四段というのは相当な高段者である。
 
「その間に生まれた私はオセロでも勝ち知らず」
 
「勝ち知らず!?」
「負け知らずの逆ね」
 
「こいつ本当に才能が無い。二眼も覚えないし」
「まあこういうのは個人差がありますし」
と矢鳴さんは言った。
 
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「昔は囲碁やる奴多かったんだけどなあ。最近はみんなLPGゲームとかいうのに夢中になってて」
「お父ちゃんRPGだよ」
「どんな所で囲碁をなさってたんですか?やはり碁会所ですか?」
「うん。ある程度の腕になってからは碁会所に結構行った。最初の内は道端に縁台出して、そこで近所のガキたちと打ってたんだよな」
 
「縁台かぁ・・・」
「今はそんな風景も無くなっちゃったよね」
「昔は車なんて走ってなかったからでしょうね」
「そうそう。だから子供たちは道路でケンケンパーとか石蹴りとか陣取りとかして遊ぶことができたんだよ」
 
「道路も舗装されてないしね」
「うん。土の地面が出ている道が多かった。風が強いと砂ぼこりがして」
「それで打ち水するんだっけ?」
「そうそう。ほこり防止と、それで気温も下がるんだよ」
「下がった気がするだけじゃないの?」
 
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「いや、下がりますよ。水の気化熱で熱が奪われますから」
と千里は言う。
「へー!ほんとに下がるのか」
と娘さんは感心している。
 
その時、千里(千里1)は唐突に昭和40年代頃の日本の風景が目に浮かぶような気がした。サザエさんとかちびまる子ちゃんとかで見る風景である。
 
バッグから紙を取り出すと、千里1は、さらさらと詩を書き始めた。みんな黙ってそれを見ている。そしてそれを5分ほどで書き上げると、更に五線紙に速筆でメロディーを書き入れ始めた。これが10分ほどで完成する。その間15分ほど、3人とも静かに見守ってくれていた。
 
「作曲家さん?」
「ええ。大して売れてないですけど」
「だったら、売れるといいね」
「ありがとうございます。売れるといいですね」
と言って千里1は微笑んだ。
 
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5/14 14:00くらいであった。
 

長居してしまったので、お詫びも兼ねて、コロッケを10個買って、矢鳴さんと5個ずつシェアし、千里1はアテンザで経堂まで戻る。それで矢鳴さんはそこの駐車場に駐めていた自分のスイフトスポーツで自宅に戻る。
 
これが5/14 16:00頃である。
 
千里1はこの作品をその日いっぱい掛けて再整理し、その上で《たいちゃん》に頼んでスコア作成してもらうことにして、自分はその日は寝た。
 

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