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■△・武者修行(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2017-10-21
 
2017年5月2日(火).
 
この日、千里2は明日の和彦の一周忌のため、高知に移動することになっていた。朋子と青葉が朝から新幹線で東京に出てきたので、千里2はアテンザでふたりを東京駅まで迎えに行った。
 
あきる野市の桃香が入院している病院まで連れて行き、1時間ほど話す。その後、羽田に移動して、千葉から出てきた洋彦夫妻と合流した。今回は彪志は仕事の当番がぶつかっており行けないので、この5人で高知に飛ぶことになる。
 
羽田14:00-15:20高知の便に乗り、高知空港のトヨレンでプリウスを借りる。それで前半の高速道路部分は青葉、その先の一般道路部分を千里が運転して18時前に土佐清水市に入った。
 
まずは和彦の家に行って遺影に手を合わせる。その後、確保してもらっている旅館に入った。夕食に行くと、他の親族たちと一緒になる。しかしみんな疲れているので20時すぎには部屋に引き上げた。
 
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洋彦夫妻も朋子も
「疲れたから寝る」
と言って、お風呂にも入らずに寝てしまう。
 
千里も
「私も寝るね〜」
と言って寝てしまったので、結局青葉も寝たようである。
 

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21:50.
 
千里2は音も立てずに起き上がると、そっと部屋から出る。青葉が千里の動きに気付いたのは認識したものの、まさか付いてはくるまいと踏んで、そのまま外に出る。そして《きーちゃん》に頼んで、フィラデルバーグに転送してもらった。
 
千里はそれから3時間、スワローズ(PSF Philadelburgh Swallows (Feminine))の練習に参加した。このチームの名前にFeminineが付いているのは、元々は男子チームと女子チームがあったからであるが、男子チームは数年前に廃部になっている。
 
「男子選手は、他のチームに移動するか性転換して女子選手としてプレイするかして下さいと言ったら全員他チームへの移籍を選択した」
とその頃から居たらしいキアラが言っていたが、どこまで冗談なのかよく分からない気もする。
 
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「ひとり悩んでた子もいたけど」
 
悩むのか!?
 
残っている女子選手は千里も含めて8人である。その他に入院中のジュディという選手がいる。外国人は千里ともうひとりブラジル人のニコリという子。残りの6人の内、白人が3人(民族までは千里には分からない)、黒人が2人、アジア系アメリカ人(尋ねたら中国系だが中国語は話せないらしい)が1人であった。リーダーは最年長のリンダという白人の子で31歳らしい。
 
黒人のキアラという子とティファニーという子、白人のエマという子の3人が割と強い感じであった。特にティファニーは1on1で千里に3割くらい勝った。彼女は今年WNBAを目指したもののロースターに残れなかったらしい。
 
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「ヴィクトリア、なぜ君はWNBAに行かなかった?君なら取ってくれるチームあると思う」
と千里に全く勝てないエマが言ったが
 
「それは無理無理。あそこはレベルが違うよ」
と言って笑っておいた。
 
「まあベンチウォーマーにはなれるかも知れないけどね」
と千里が付け加えると
「WNBAってそんなに凄いのか」
とエマは絶句していた。
 

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11:40 EDT(=0:40 JST)で練習は終わり、整理運動・床掃除などをして11:59までに全員体育館から退去した。エンドの時刻をきっちり守るのが、やはりアメリカ流だよなあ、と千里2は思った。PSFの練習が終わった後は、普段は深川の体育館に転送してもらって自主練習をしている(日本時間では深夜の2:00-5:00に相当する)のだが、今日はハードスケジュールなので、《きーちゃん》のアメリカでのお友達に確保してもらっている市内のアパートに戻ってシャワーを浴びた上で睡眠を取る。今日は京平とのデートもお休みである。
 
《きーちゃん》は過去にアメリカに長期間出張していた富士通の社員の眷属として、アメリカでかなり長く暮らしていた時期があり、その時に多数のお友達ができている。
 
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千里2は日本時間の6時(アメリカEDT 17時)頃、土佐清水の旅館に転送してもらい、温泉に入った。
 
この温泉で舞耶と遭遇し、しばし義肢のことなどで会話をした。ジャネに貸与している義足はこの1年間に2度も改良を加えたらしい。ジャネがかなり酷使してくれたので、色々問題点が洗い出せたと言って感謝していた。
 
部屋に戻ると、青葉がこちらをじっと見ていた。ああ、きっと私はダラスに行ってきたと思っているんだろうな、と千里2は思った。
 
現在千里1が参加している日本女子代表候補の一行は5月7日までダラスに滞在し、当地のWNBAチーム、Dallas Wings に練習相手になってもらっている。向こうの練習時間は現地時刻の9-18hくらいで、日本時間の23-8hくらいに相当する。
 
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そのスケジュールを青葉がチェックしていない訳が無い。しかしさすがの千里2でも、日本の昼間こちらで色々行事をこなしながら、日本の夜間にアメリカで1日みっちりと代表合宿をやれるほどタフではない。
 
千里2がWBCBLに参加することにしたのは、練習相手としてちょうどよいレベルの選手が期待できるのと、セミプロなので練習が短時間で済むからである。千里2は他の千里との行動重複を避けるため普段使っている練習場が日中使えない。今、川崎のレッドインパルスの体育館や深川の体育館に昼間行ったら「え?代表で海外遠征中なのでは?」と言われてしまう。
 
それでアメリカでPSFのメンバーと3時間練習した後、真夜中の深川体育館で3時間ひとりで自主練習をするというパターンにしたのである。なお深川体育館の深夜使用に関しては、運営会社側の承認も取っている。ここはコンサートができるほど音の制御がされているので、深夜使っていても音は外には一切漏れず周囲に迷惑も掛けない(近くにはマンションやホテルもある)。
 
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翌5月3日は午前中に和彦の偲ぶ会(無宗教)、そして午後からは咲子の誕生祝いが行われた。
 
青葉と朋子はこの日も泊まって明日帰るということだったが、千里は仕事があるのでということでこの日帰らせてもらうことにした。
 
仕事の都合で明日の朝までに帰らなければいけないという、満彦・紗希のカップルの車に同乗させてもらい、岡山に出ることにした。
 
「紗希ちゃん、私と交代で運転しません?私が運転している間はふたりで寝ていていいし」
と千里が提案すると、紗希は
「OKOK。じゃ先に千里ちゃん寝てて」
と言うので、遠慮無く寝せてもらった。
 

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土佐清水を18時に出て、千里が寝ている内に南国SAまで来ていた。ここで運転交代して、千里が運転して満彦と紗希は後部座席に行き、こちらのことは全く気にせずセックスを始める。
 
むろん紗希が男役で満彦が女役である。
 
「こら。もっと鳴け。鳴かないと“また”女性ホルモン打つぞ」
「勘弁して〜。まだ男は辞めたくない」
 
なんて声が聞こえてくる。
 
女性ホルモンなんて用意しているのか!?打つぞというのは注射液??などと思っていたら、更にヤバい言葉が聞こえてきた。
 
「おっぱいだいぶ大きくなってきたね」
「ブラジャーが要るんじゃない?」
「ブラジャー着けてるとカッターシャツ姿にはなれないよ。この夏どうする?」
「いっそ会社にスカート穿いて行こうか」
 
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それって・・・既にもう男辞めてないか?
 
これまで既にかなり、罰として?(むしろご褒美だったりして)女性ホルモンを打たれているのでは??2人はこの6月に結婚式を挙げる予定らしいが、ウェディングドレス同士の結婚式になっちゃったり!?
 
満彦は紗希に言葉責めされて興奮し、かなり女声に近い声で返事をしている。そういう声の出し方もたぶん随分練習させているのだろう。
 
なお、南国SAから高瀬PAまでの80kmほどを千里2自身が運転し、その後は千里に擬態した《つーちゃん》が運転している。それで岡山駅で運転交代して“千里”は降りて新幹線に乗り継いだものの、車を降りた時に満彦が完全女装してお化粧もしており、胸の開きの大きな服なので乳房が実際確認できるような状態であった(つまりほぼ女性化している)のを、千里2に報告しておくべきかどうか、《つーちゃん》は少し悩んだ。
 
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《つーちゃん》はこの後、最終新幹線で大阪まで移動して村山千里名義でホテルに泊まる。
 
千里2自身は高瀬PAからフィラデルバーグに転送してもらい、この日もスワローズの練習(日本時間で22:00-25:00)に参加。終わった後は市内のアパートで寝た後、日本時間の朝に大阪の貴司のマンションに転送してもらい、京平と戯れる。その後、タクシーに乗り、《つーちゃん》が泊まっているホテルに移動し、彼女を吸収してから新幹線で東京に帰った。
 
(つまり貴司とは会っていない)
 

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5月6-7日、WBCBLのレギュラーシーズンが始まり、スワローズ(PSF)はヴィクトリア(千里)の活躍で2連勝と、快調な滑り出しを見せた。
 
この2日間の試合は現地時刻16:00からであった。日本時刻では朝5-7時に相当し、この日は京平とのデートはお休みさせてもらった。なお桃香の病院を訪れるのはだいたい日本時間13-15時なので、これはアメリカ時間では夜中0-2時にあたり、全然問題がない。
 
※京平が3人の千里とデートする時間
千里1 AM2時頃 CDTでは昼の12時だが、アメリカ遠征中はデートお休み。
千里2 AM5時頃 EDTでは16時。千里2は平日はその時間帯、日本に居る。
千里3 PM2時頃 CESTでは朝の7時。千里3は朝食時でまだ練習開始前。
 
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京平も全く重労働である。
 
※阿倍子の睡眠時間
 AM1:00-10:00 PM 2:00-4:00 つまり起きているのは10:00-14:00と16:00-1:00  彼女は体力が無いので1日の約半分は寝ている。京平はそれをいいことに 千里を引き込んでいる!
 
※4/30-5/13の3人の千里の生活時間帯
 

※上記はテキサス。シアトルでは2時間ずれる。
 

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一方、千里1が参加している日本女子代表候補の一行は5月7日にダラスから同じテキサス州内のサンアントニオに移動した(直線距離400km。飛行機で1時間、東京から大阪までくらいの距離)。ここでもまたWNBAのチーム San Antonio Stars に練習相手になってもらう。そして5月9日(火)にはサンアントニオからシアトルへと移動する。これが実は大移動である。
 
アメリカの地図を眺めただけでは感覚がつかみにくいのだが、移動距離は3000km, 日本で言うと沖縄の西端・与那国島から北海道の北端・稚内までくらいの距離がある。飛行機で4時間半である。実際には千里1たちは下記の便で移動した。
 
SAT 5/9 18:59 (AS603 737-900WL)- 21:33 SEA
 
サンアントニオの時間帯はCDT(UTC-5)で、シアトルはPDT(UTC-7)。2時間の時差があるので、到着時刻が出発時刻の2時間半後に見えるが、実際には4時間半掛かる。日本時間に直すと、5/10 8:59 - 13:33 に相当する。
 
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そして千里1が飛行機に乗っている間に、事は動いたのである。
 

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