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■少女たちの修復(2)

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夏休みに入る少し前、7月5-6日(木金)に千里たち5年生は“宿泊体験”に行った。昨年4年生の時は近隣のキャンプ場まで歩いて行ってキャンプ体験だったのだが、今年はバスで旭川市まで出て、旭山動物園や旭岳、北海道伝統美術工芸村などを見学する。
 
いわば“ミニ修学旅行”である。
 
5年生たちは朝7時半にほとんどの子が親の車で学校に集合し、校長先生のお話があった上で1クラス1台、2台のバスに乗って旭川に向かった。スケジュールはこのようになっている。
 
●1日目(木)
7:30 学校に集合
8:00 出発
9:30 旭川市科学館到着(-11:30)
12:00 あさひかわラーメン村で昼食
13:00-16:00 旭山動物園
17:00 ホテル泊
 
●2日目(金)
9:00 伝統美術工芸村
9:00-10:00 雪の美術館
10:00-10:30 国際染織美術館
10:30-11:00 優佳良織工芸館
12:00-13:30 旭川空港見学(空港内で食事)
14:30-16:00 旭岳
17:00頃旭川出発
18:30頃留萌帰着。
 
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その日千里は父が出港中であるのをいいことにブラウスにサマーセーター、膝丈スカートなどという格好で学校に出かけた。母は忙しそうだったので早めに出て歩いて学校に行く。
 
「おぉ、可愛い格好してきている」
と恵香などに言われる。
 
バスの座席を決めたのはクラス委員の佐奈恵と佐藤君であるが、ふたりは千里と留実子の扱いに関して話し合い、千里は女子の並び、留実子は男子の並びに入れた。それで千里は仲の良い蓮菜や恵香たちとおしゃべりしながら過ごすことができたし、留実子は男子の友人たちとスポーツ談義や女の子アイドルの論議で盛り上がっていたようである。
 
9時半少し前に旭川市科学館に到着。展示を見て回る。実体験コーナーが多いので、展示物の数の割にけっこうな時間が掛かる。しかし小学5年生には興味深く新鮮なものが多かった。錯覚の部屋とかシャボン玉のコーナーは、かなりハマっている子がいた。
 
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内臓パズルのコーナーを見ていた時、留実子と田代君が何やら話している。
 
「どうかしたの?」
と蓮菜が声を掛けると
 
「いや、あのモデルは男か女かと議論になって」
などと田代君が言う。
 
「ちんちん付いてないから女かなとも思ったけど、割れ目ちゃんも無いし、胸がそんなに膨らんでないから男かもという話にもなって」
 
「別にどちらでもいいじゃん」
「男だとしたらちんちんは切ったのかなとか」
 
「パズルの対象じゃないから作らなかっただけでは?」
と恵香。
「わざわざ割れ目ちゃんを作る意味も無い」
と玖美子。
 
「それにちんちんの取り付け場所は間違わないだろうし」
「いや無知な女の子だと間違うかも」
「間違ってどこにちんちん付ける訳?」
「うーん。おへその所とか」
「おへそからちんちん生えていたら、おしっこが不便だと思うけど」
「確かに不便そうだ」
 
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「おへそが引っ込んでいるのが女の子で、出っ張っているのが男の子で、それがおちんちんだという説」
「ああ、でべそをおちんちんと誤認していたという話は聞いたことがある」
 

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1時間ほど館内を見学してから、プラネタリウムに行き、本来は小学6年生向けの“月”に関する番組を見た。案内の人から
 
「今夜は月食がありますよ。満月が欠けていき半分くらいまで行きますからもし起きていたら見てみてね」
という案内があった。
 
その件については、科学館を出るところで教頭先生からお話があった。
 
「確かに今夜は月食があるのですが、始まるのが夜10時半、最大欠けるのが夜中の0時前、終わるのが1:15という遅い時間になります。本来は小学生のみなさんは寝ている時間なんですが、貴重な天体現象を観察できるチャンスでもあるので、もし見たい人は食事が終わったらすぐ仮眠して下さい。22:30になったら私と一緒に観察しましょう。但し最大欠けた0時で観測終了で寝るということにしましょう」
 
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「それで話し合ったのですが、月食を見たい人と、見ずに寝るという人の部屋を分けたいと思います。アンケートを回しますので、見たいか寝るかどちらか選んで下さい。それで部屋割りを再編します」
と2組の戸坂先生が言った。
 

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千里はバスの中で蓮菜と隣り合って座っており、通路を挟んだ向こう側には恵香と穂花がいた。
 
「どうする?」
と回ってきたアンケートを見て恵香が訊く。
 
「見る見る!」
と蓮菜。
 
「1月の皆既月食の時は真夜中だったから、お父ちゃんからそんな時間に子供が起きてたらダメと言われて見られなかったのよね〜」
と蓮菜は言っている。
 
「私は見るつもりだったけど眠ってしまった」
と穂花。
 
「私は早起きして見るつもりだったけど朝まで寝てた」
と恵香。
 
「千里はどうだった?」
「全然知らなかった!」
「ああ」
「割とそういう人が多い気がする」
 
そういう訳でその4人は全員見る方に丸を付けた。
 

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ラーメン村で、回収したアンケートを見て、クラス委員の佐奈恵と佐藤君は男女それぞれの人数を数えた。2組のクラス委員も人数を数えている。
 
「男10女7」
と佐奈恵が言ったのに対して、佐藤君は
「男9女8」
と言った。
 
「なぜ人数が違う?」
と言って再確認したら、佐奈恵は千里を男子で数えていたのに対して佐藤君は女子で数えていたことが分かる。
 
「千里はほとんど女の子だけど、さすがに女の子と同室にする訳にはいかないのでは?」
と佐奈恵は言ったが
「いや、村山さんは去年のキャンプ体験の時は琴尾(蓮菜)さんや大沢(恵香)さんと同じ部屋だった」
と佐藤君は去年のことをしっかり覚えていたので言った。
 
「そうだったっけ!?」
 
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それで2人は「だったら(千里は女子でカウントして)男9女8でいいかな」ということにした。
 
2組の方は希望者は男7・女3ということだった。
 
「だったら、僕が2組の男子の部屋に混ぜてもらうよ」
と佐藤君が言うので
 
「じゃ、それで男16人4部屋と女11人3部屋かな」
ということにした。
 
「まあ2組の欠けを1組の僕で充填する感じかな」
 
見ないで寝る子は1組が男4女4、2組が男7女5である。
「合計すると男11女9だから、そちらはどちらも3部屋かな」
 
それで両組のクラス委員は「月食を見る児童」のリストと部屋割りを決めて先生に提出した。
 
ところが
「待って。これでは部屋が足りない」
と桜井先生が言う。
 
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今回の宿泊体験の参加者は1組が男14女11、2組が男14女8で、児童用の部屋は男子用が(14+14)=28 ÷4=7, 女子用が(11+8)=19 ÷4=5の合計12部屋用意していた。ところがクラス委員がまとめた部屋数は、月食を見る子の部屋が男4女3 見ない子の部屋が男3女3で合計13部屋必要なのである。
 
「ありゃ〜。1部屋に5人詰め込みますか?」
「それが元々2人部屋にエキストラベッド入れて4人泊めるようにしているから、部屋に余裕がないのよ。5つベッド入れるのは無理」
 

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「見ないで寝る子の誰かに見る子の部屋で寝てもらうしかないかな」
などといって検討していた時、我妻先生が気付いた。
 
「待って。この人数はおかしい。あなたたちがまとめた人数だと、男27女20になるけど、参加者は男28女19だったはず」
と我妻先生。
「だいたいそれ1組の女子が12人になっているけど、1組の女子は11人しか在籍してない」
と戸坂先生。
 
「すみません。村山はほぼ女子で、昨年のキャンプ体験でも女子部屋に泊まっていますので女子に入れました」
と佐奈恵が説明する。
 
「しまった!あの子のことが計算から漏れていた」
 
「あ、だったら、代わりに花和さんを男子部屋に入れたらどうですか?そしたら見ない子は男12女8になるから合計5部屋で済みます。花和さん、サッカー部では男子と一緒に着換えてますよ」
 
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と佐藤君が提案する。
 

「うーん・・・」
と先生たちが悩む。
 
が、やがて桜井先生が言った。
 
「じゃ花和さんは私と我妻先生の部屋に泊めよう。エキストラベッド1個入れてもらって。それでいいですよね?我妻先生」
 
「ああ、それがいいですね。あの子自身は男の子と同じ部屋でも平気かも知れないけど、同室になった男の子たちがやはり安眠できないですよ」
と我妻先生も言った。
 
「あの子のことを知らない男の子なら同室になっても、男の子と思い込んで全く問題ないけど」
「性別を知っているから面倒なことになりますね」
 
ということで部屋割り問題は解決したのである。
 
月食を見る子:1組 男9 女8 2組 男7 女3 合計男16女11で、男4部屋 女3部屋
月食を見ない子:1組 男4 女4 2組 男7 女5 合計男11女9で、男3部屋 女2部屋
 
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(千里は月食を見る1組女子に参入。留実子は月食を見ない1組女子だが、女先生の部屋に泊める)
 
それで教頭先生は部屋のアレンジの変更をホテルに連絡していた。
 

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ラーメン村でみんな好きなお店で好きなラーメンを1杯(1杯分はチケット配布。2杯以上食べたい人は自分でお金を出す)食べた後は、そこから割と近い所にある旭山動物園に行った。一応班単位の行動ということにしていたものの、実際にはかなり斑はばらけてしまったようである。
 
夕方ホテルに到着すると、まずは大ホールに並べられた夕食を取る。石狩鍋のお代わり自由だったので、みんなたくさんお代わりしていたものの「食事の後は大浴場で入浴を済ませて下さい」と桜井先生が言うと、女子たちの間で
 
「しまった!たくさん食べちゃったからお腹が膨れてる!」
と悲鳴があがっていた。
 
「でも動物園を3時間歩き回った後、何も食べずにお風呂に入ったら倒れるよ」
と冷静な子は言っていた。
 
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