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■娘たちの転換準備(10)

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チョコを買ってから、近くのファミレスに入って少しおしゃべりをした。おやつを食べるという話だったはずだが、ハンバーグセットを頼んでいる子がいる。
 
「薫は結構大きいのを持っている」
「3000円のセット。生チョコ、トリュフの詰め合わせ」
「かなりの本命とみた」
 
「ううん。仲の良い友達に贈るんだよ」
「友チョコにしては豪華だ」
 
「それ男の子?女の子?」
と麻依子が尋ねる。
 
「私と同類だよ。女の子になりたい男の子。私は女の子になっちゃったけどあの子はまだ身体にメスを入れていない」
 
「ほほお」
「もしかして男の娘同士のレスビアンとか?」
「恋愛感情は無いよぉ」
「向こうがまだ手術してないのなら、もしかして現状では結合可能だとか」
「きゃー!」
「ちょっとちょっと」
「いや、女性ホルモンやってるから、立たないはず」
「ふむふむ」
 
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「千里はいくらの買ったの?」
「2500円かな。生チョコとクッキーの詰め合わせ」
 
「千里ならもっと豪華なのを贈れるだろうに」
と薫から言われる。
 
「うーん。このくらいでいいと思うけど」
 
貴司には既に渡し済みなので、これは自分で食べてもいいかなと思って買ったものである。
 
「結婚すると、テンションが落ちるとか」
と薫。
 
「千里結婚してるの!?」
と夏美。
 
「え、えっと・・・」
 
と千里は焦る。
 
「千里の携帯に付いている金のリングが結婚指輪代わり」
と麻依子がバラしてしまう。
 
「ああ、これ指輪みたいと思ってた」
「バスケット選手は結婚指輪ができないから、その代わりらしいよ」
「ほほお」
 
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「でもなんか新しくなっている気がする」
と浩子。
 
「うん。実はこないだ交換したんだよ。前のは真鍮製だったから、どうしてもくすんだり錆びたりしやすかったから。前のもシリカゲル入れて保管してあるけどね」
 
「へー。これ何の金属だろう?アルミより硬い感じ」
と言って夏美が触っている。
 
「ステンレス」
「ステンレスに金色塗装してあるの?」
 
「ううん。ステンレスそのもの。ステンレスの表面に自然にできるクロム酸化物の皮膜の厚さをセンチミクロン単位でコントロールすると、光の干渉によって色が付くんだって。赤とか青とかにもできるよ。だからこれはステンレスそのものの色。塗装じゃないから色褪せたりしないんだよ」
 
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「なんかよく分からないけど凄い」
「いっそ金(きん)のリングにすればよかったのに」
「それは結婚式を挙げる時にもらうよ。まだ3年くらい先かな」
「ふむふむ」
「いや純金のリングを携帯に付けておくのは盗難が怖い」
 
「3年先って、もしかしたら在学中に結婚して、企業就職ではなく永久就職をねらっているとか」
 
「卒業したら一緒に暮らそうよとは言われてるけどね〜」
「おぉ!」
「北海道の人?」
「今大阪に住んでいるんだ」
 
「それでよく大阪に行っているのか!」
「あははは」
 

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「でもこれ各々の左手薬指のサイズに合わせて作ってもらったんだよ」
「ほほお」
「それで時々このリングを自分の指に填めてみて、入らなかったらダイエット」
「なるほどー」
 
「こっそりサイズ直してたりして」
「ステンレスはサイズ直しができない」
「そうなんだっけ?」
「丈夫すぎて金属加工が不能。だから実はステンレスの指輪が外れなくなってしまったら、指を切断する以外、外す方法は存在しないらしい」
 
「ひゃー」
 
「指をちょっと切って指輪を外して、またくっつけるとか?」
「それは怖すぎる」
 
「まあ頑張って痩せるという方法がお勧め」
「ふむふむ」
 
「でもおちんちんの途中にできものができて、いったんおちんちん切って、できものを取ってから前後くっつけるなんて手術した人知ってるよ」
などと菜香子が言っている。
 
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「すごーい」
 
留実子の彼氏、鞠古君が受けた手術と同じだなと千里は思った。やはり時々ある治療法なのだろうか。
 
「ちんちん無くなるのは困るから、そういう方法が成り立つんだろうね」
「じゃちんちんに指輪填めてて取れなくなったら、ちんちんいったん切断して再度くっつけるというのはありかな」
と唐突に玉緒が言う。
 
「それ状況が分からん!」
 
「いや足にできた癌を根治するためにいったん足を切断してその病変部に徹底攻撃を掛けて癌細胞を死滅させた上で、また本人の身体に戻すという治療法も存在するから」
 
「なんか壮絶な治療法だね」
「それ昔は足そのものを取ってしまう以外治療法が無かった症例だろうね」
「うん。それで足を失わなくて済むようになったのは物凄く大きいと思う」
 
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「そのちんちんにできものができた人も10年か20年前ならちんちん全部取ってしまうしか無かったろうね」
 
「男の子がちんちん失うのはマジで辛いだろうな」
「男の子ってちんちんで生きてるようなものだもんね」
「言えてる言えてる」
「命よりちんちんが大事だって同級生の男子が言ってたよ」
「ああ、そういう感覚だと思う」
 

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19時くらいになってから解散して千里はアパートに帰った。
 
ドアを開けると、貴司がいるのでびっくりする。
 
「あ、ごめん。勝手に開けて入ってた」
「うん。いいよ。だから鍵渡してるんだもん」
と千里は言う。
 
「冷蔵庫に一番絞りがあったから勝手に飲んでる」
「うん。それは貴司が来た時用だから」
「助かる助かる」
 
「こちらはお仕事?」
「そうそう。なんかうちの会社は土日に仕事をすることになるケースが多い。試合がある日は他の人がやってくれるけどね。今日もフランスから別の会社との商談で来日した人を成田でキャッチして営業したんだよ」
 
「お疲れ様!」
「ホームページ見て興味持ってくれたらしくて。電話で話していたら、ちょうど向こうの社員が東京に出張できているというから、その都合に合わせてこちらから僕と部長のふたりで行って商談」
 
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「たいへんだね」
 
「さっき部長と別れて。今夜は泊めてもらおうと思って。明日朝いちばんの新幹線で帰る」
 
「明日代休にならないんだ!?」
「うーん。土日に仕事しても、それで代休というのはうちの会社には無いシステムだなあ」
 
「意外に中小企業感覚の会社だよね」
「まあ年商100億だから、大企業ではないと思うよ」
「いくら稼いだら大企業?」
「2000-3000億円だと思う」
「なんか大きすぎてよく分からない」
 

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ファミレスで結構食べてお腹は満ちていたのだが、それから貴司とおしゃべりしながら、結局肉じゃがを作り、一緒に食べる。貴司は「美味しい美味しい」と言って食べてくれた。
 
お風呂に入ってから、たっぷりと愛の確認をし、3回したところで眠ってしまった。
 
翌15日は朝4時半に貴司を起こし、車に乗せて東京駅まで送った。おにぎりのお弁当を持たせた。それから千葉に戻るのにインプを運転していて千里はふと思った。
 
「しまった!昨日買ったチョコ、貴司に渡せば良かった」
 

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その日お昼休みに学食で千里が少しボーっとしながらランチを食べていたら、朱音が
 
「千里、今日はバイトあったっけ?」
と訊く。
 
「ううん」
 
「じゃちょっと夕方付き合わない?何人かでファミレス行こうという話が出てるんだよ」
「いいよ。なんかあったっけ?」
 
本当は今日はローキューツの練習があるのだが、練習をサボるのは日常茶飯事である。特に今日は昨日の疲れから休むメンバーが多いことが予想された。
 
「バレンタインの報告会」
「あははは」
「友チョコ配ろうよと言ってたのよ。用意できる?」
「ああ、じゃ買って行くよ。何人くらい集まりそう?」
「生物科と合同になるから最大で12人かな。時刻は18時にいつものガストで」
「了解〜」
 
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ちなみにまだこの時期は「女子会」という言葉は無かった。それが言われ始めるのはこの年の半ば頃からである。
 

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それで千里は3時間目の講義が終わった後、大学近くのスーパーでバレンタインコーナーの売れ残りの100円チョコを11個買っておいた。18時なら時間があるなと思い、スクーターで市の体育館まで行ってローキューツの練習に参加した。
 
「今日は5時であがるね〜」
「デート?」
「女の子同士の集まりだよ」
「ふむふむ」
 

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17:50くらいに会場のガストに行ったのだが、来ているのは朱音と香奈だけである。
 
「おお。やっと3人目」
と朱音。
「みんな遅いな」
と香奈。
「優子はバイトで来られないって。だから今の所11人」
「へー」
 
その内、友紀、亜矢、玲奈と来るが、真帆は急に休んだ人が出て、抜けられなくなったという連絡が入る。
 
「これで来たのが6人、休みが2人、不明が4人」
 
そこでお店の人から席がご用意できましたと言われ、中に入る。パーティールームに案内される。その後、すぐに美緒と由梨亜が来た。
 
「あと2人か・・・」
「始めてる?」
「あと5分待とう」
 
「桃香は結局単位全部取れたの?」
「図学もレポート受け付けてもらって合格。結局後期は1つも落とさなかったみたい」
「前期ひどかったからね」
「3つ落としたと言ってたね」
「そうそう。それで必修科目の群論1は後期に履修し直した」
「温情で群論2と並行で再履修させてもらったみたいね」
「本来は群論1が終わってないと2は取れないからね」
「そうすると卒業が1年遅れることになっていた」
 
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「でも桃香は確かに秋から遅刻欠席が減ったよ」
「バイトか何かの関係?」
「バイトは変わってないみたいよ。ずっと電話受付の仕事してるみたい」
「ほほお」
「アパートの雰囲気が前よりよくなってた。そのせいかも」
「引っ越したの?」
「引っ越してはないけど、なんか以前重苦しかったのが、最近はそうでもない」
「なんだろね」
 
5分経ったところで聡美が来る。それで桃香はたぶん寝てるのではということになり、食べ物と飲み物を持って来てもらって『アフター・バレンタイン・残念パーティー』を始める。
 
ほとんどの子がサイダー、美緒と聡美だけがビールを注いで乾杯する。それで一息ついたところで「友チョコ交換」を始める。
 
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ほとんどの子がチロルチョコで、玲奈・友紀・香奈がブラックサンダーを配る。美緒は100円ショップの個包装でたくさん入っているミルクチョコを配っている。千里だけ100円のチョコである。
 
「千里は豪華だ」
と言われる。
 
「チロルチョコで良かったのか!」
「いや、これは歓迎歓迎」
 
そんなことを言っている内に、やっと桃香が来た。
 
「桃香は幽霊に取り憑かれて死んだのかと思った」
「いや、まだあと40-50年は死にたくない」
 
「今友チョコ配ってたところ〜」
「ごめーん。買っとくの忘れた」
「いいよ、いいよ」
 
「取り敢えず桃香にあげるね」
と言ってみんなからチョコをもらい
「凄い。豊作だ」
と喜んでいた。
 
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「でもみんなバレンタインの成果は?」
 
「本命1個と滑り止め1個」
と玲奈。
「誰にも渡してない」
と朱音、香奈、桃香。
 
「桃香はひょっとしてチョコをもらう側ということは?」
「うーん。。。その件に関しては黙秘権を行使」
「ほほぉ!」
 
「私は高校時代の部活の先輩に渡した」
「ふむふむ」
「**君に渡しちゃった」
「おぉ!」
「私はネットで知り合った子に」
「バイト先の子に」
「凄い」
「5歳の男の子だけどね」
「なーんだ」
「犯罪行為はしないようにね〜」
 
ここで美緒が
「あれ?みんな少ないね。私は本命チョコ5個贈ったのに」
と言うので
「それはおかしい」
とみんなから非難される
 
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娘たちの転換準備(10)

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