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貴司がハンバーグ2つ、千里が1つ食べ、ピザを半分くらいずつ食べた所で結構満腹してしまったのでチキンはこっそりビニール袋に入れて持ち帰ることにする。
会計してから駐車場に行き、3分くらいキスしてから千里が車を出し、マンションに行く。
貴司が入口のシャッターをマンションの電子キーでタッチして開ける。来客用の駐車場に駐める。エレベータ室へのドアをまた電子キーで開け、エレベータで33階まであがり、3331号室のドアを鍵で開けて中に入る。
部屋の中に入るとまたキスをする。
盛り上がってしまい、貴司が千里の服を脱がせようとする。
「ベッドに行こうよ」
「ここでしたら寒いよね!」
それで寝室に移動する。
お互いに服を脱ぐ。
「準備万端だね」
と言ってそこを触る。
「久しぶりに立った」
「毎日立てて出してるんでしょ?」
「それができないこと知ってるくせに」
「男の子なら毎日するもんだと聞いたよ」
「僕は千里が居ないと出ないし、そもそも大きくならない」
「じゃもやもやした時はどうするの?」
「いじるけど大きくならない」
「浮気のしすぎで機能喪失したのでは?」
「千里以外とはしてないよぉ」
「緋那さんとはしてないの?」
「あの日以降会ってない」
「これ私のものだから自由にしていいよね?噛みきってあげようか?」
「自由にはしていいけど、無くなるのは困る。まだ男をやめたくない」
「ほんとに?実は女の子になりたいってことないの?」
「女の子になるのは嫌だ」
「女の子になるのも快適なのに。取り敢えずおっぱいだけでも大きくする?」
「え!?」
何だか貴司が一瞬悩んだような気がした。
「別に大きくしたくない」
「怪しいなあ。まあいいや。じゃ普通に」
それでふたりで愛の確認をした。
「気持ちよかったぁ」
と貴司が何だかものすごく感動したように言う。
「良かったね」
「1ヶ月ちょっとぶりだから」
「でも男の子って、逝けないのは辛くないの?」
「最初の頃は辛かったけど、もう諦めた」
「ちんちんで逝けないなら、入れられて気持ち良くなったりして。道具買ってきてあげようか?」
「それは危ない道にハマりそうで怖いから手を出さない」
「ああ。貴司って結構ホモの素質あるよね」
「それは無いつもりだけどなあ」
「まあいいや。男の愛人作られて、僕は男の人と結婚すると言われたら嫌だし」
「うーん・・・・」
「とりあえずこれ覚えなよ」
と言って千里は貴司のそれを指3本で押さえると、女の子がするような感じでしてあげた。
「あ・・・・」
「気持ちいいでしょ?」
「ちょっと・・・・これ・・・・ハマったらどうしよう?」
「後ろの快感を覚えられるよりは私も安心だなあ」
普通にやった直後だったからであろうが、貴司は10分ほどでドライで逝った。
「これはこれで気持ちいい気がする」
「男の子はふつうおちんちん刺激すると大きくなっちゃうからこの快感を得られないんだけど、貴司は大きくならないならこれで気持ち良くなれると思うよ」
「単純にいじっているより気持ちいいと思った」
「貴司も性転換して女の子になったら、こんな感じでひとり遊びすることになるから、今のうちから練習しておくといいよ」
「僕は性転換しないよ!」
「ほんとかなぁ」
「でも今千里かなり長時間これやってくれたね。腕が疲れない?」
「バスケのための鍛錬だよ」
「うっ。これで腕を鍛えるのか? 千里もそれで鍛錬したの?」
「内緒」
「千里のちんちんも大きくならなかったの?」
「私にちんちんがあるわけない。私は小学5年生頃から栗ちゃんでこれしてたよ」
「やはり千里って小学4−5年生の時に女の子になったんだ?」
「まさか。小学生に性転換手術してくれる病院なんて無いよ」
「じゃ千里っていつ女の子になったんだっけ?」
「私は今でも男だけど。大学を出るまでには性転換手術して女の子になりたいとは思っているけど」
「また意味不明の嘘をつくし。だっておちんちん付いてないし、さっき結合したし」
と言って貴司は千里のあの付近を触る。ついでに栗ちゃんをいじる。
「おちんちんは隠してるんだよ。さっきのはスマタだよ」
「じゃ僕がいじってるこれは何さ?」
「そこはおへそだよ」
「おへそは別にあるじゃん!」
「私、おへそが2つあるから」
「そんな馬鹿な」
千里が貴司を言葉責めする感じで2時間くらい、いちゃいちゃしていた。その間結局3回した。最後は貴司も疲れ果てた感しで、そのまま眠ってしまった。
朝5時頃起きて、お米を研ぎ、ご飯のスイッチを入れる。シャワーを浴びて出てきたら、貴司も起きていた。
「お早う」
と言ってキスする。
「でもごめーん。さっき御飯のスイッチ入れたから、まだ30分くらい掛かる」
「じゃチョコケーキ食べようよ」
「それもいいね。じゃロイヤルミルクティー入れるよ」
まずはホーロー製のミルクパン(昨年千里が銀行から定期預金のお礼にもらってこちらに持ち込んだもの)にミネラルウォーターを3分の1程度入れてIHに掛ける。沸騰して30秒待ってから火を止め、茶葉を入れる。ふたをして3分間蒸らす(蒸らしている間キスしていた)。牛乳を加えたあと再加熱。今度は沸騰する前に火を停める(沸騰させると牛乳が変質して不味くなる)。
これにグラニュー糖を入れて混ぜ、ハチミツも加え、シナモンを振って出来上がりである。
「美味しい!売ってあるのよりずっと美味しい」
「まあ茶葉自体、割といいのを使ったし」
「でもこれ最初から牛乳入れて暖めたほうが楽じゃない?」
「それはチャイの入れ方だよね。でも牛乳と一緒に暖めると、牛乳が茶葉の表面に膜を作って、旨味成分が出てくるのを停めてしまうんだよ。だからロイヤルミルクティーの場合は面倒だけど、お湯で茶葉を開かせて旨味成分を出した後で牛乳を入れて再加熱。今度は沸騰させない」
「難しい」
「美味しいものを作るには手間が掛かる」
「だよね〜。このチョコケーキも凄く美味しい」
「まあこれは買ってきたものだけど、お菓子屋さんのスタッフが物凄い手間を掛けて作っている」
「確かに確かに」
チョコケーキを食べている間に鮭をロースターで焼く。御飯の炊きあがり時間を見ながらタマネギとワカメのお味噌汁を作る。ダシはグルタミン酸ナトリウムを使用していない天然ダシである。ちなみにこのマンションに置いてある味噌・醤油の類は千里が定期的にここに持ち込んでいるので千葉のメーカーのものである(そもそも千葉は醤油王国)。それで千里はふだん自分のアパートで作るのと同じ感覚で、ここのマンションで料理を作ることができる。
炊飯器の炊きあがりのピーピー音が鳴るが少し蒸らしたいのでそのまま放置しておく。茶碗や箸を準備している間に、ロースターで焼き上がりのピーピーという音が鳴る。それでお魚を皿に盛って出してくる。お味噌汁を盛る。お箸を並べる。それから炊飯器のふたを開けて御飯をしゃもじで切り、茶碗に御飯を盛る。
「いただきます」
と一緒に言って食べる。
「美味しい〜。千里が作ってくれた朝御飯は美味しい」
「炊飯器で炊いた御飯にロースターで焼いたお魚だけど」
「でも千里の愛情が入っているし」
「はいはい」
でも千里も褒められて悪い気はしないので、取り敢えずキスをしておいた。
千里が大阪で貴司に会ってきた次の週末、玲羅が北海道から出てきた。千里が「密談したい」からと言って交通費宿泊費を出してあげて呼んだのである。玲羅は羽田で飛行機を降りると京急で品川に出た。
「姉貴どこかな?」
などとつぶやきながら千里を探していたら、長い髪の女性が向こうの方に歩いて行っているのを見る。
「お姉ちゃん!」
と大きな声で言って駆け寄る。向こうは反応しない。
「お姉ちゃん?」
と言って追いついて肩に手を掛けると、向こうは驚いたように振り向く。そして更に驚いて言った。
「玲羅ちゃん?」
「あ、愛子さん!」
「東京に出てきたの?」
「ええ。ここで千里姉と落ち合う約束してて。愛子さんも何か用事で東京に?」
「うん。就職先との打ち合わせで出てきたのよ。昨日で話は片付いたから今日は渋谷か新宿でも歩いてから夕方の便で帰ろうと思っていたんだけどね」
愛子は東京の大学に出てきたかったのだが、愛子の学力で入れそうな「あまり高くない大学」が無かったため、渋々札幌市内の大学に入った。しかし卒業後は何とか東京に出てこようと画策し、東京の出版関係の会社の内定を取ることができたのである。親は、姉の吉子が東京に出て行き、その後大阪の人と結婚したため、妹の愛子は手元に置いておきたかったようであるが、頑張って親を説得して東京に出てくることに成功した。
その愛子が玲羅と少し話していた時、千里がやってきた。
「ごめーん、玲羅。遅くなって。って、あれ?愛子さんがいる」
「やっほー。でも千里、ちゃんと女の子してるな。安心した」
すると玲羅が言った。
「ね、ね、愛子さんと姉貴と並んでよ」
「何何?」
「これ人が見たら絶対双子だと思われそう」
「ああ、それは昔から私たち言われてたね」
「背丈も同じくらいだし、今ちょうど髪の毛も同じくらい」
「千里ちゃんも年齢より下に見られがちだけど、私も童顔だって言われるんだよね〜」
それで玲羅は数枚自分の携帯でふたりが並んだ写真を撮っていた。
北海道では2月5日(金)から7日(日)に掛けて、札幌市で全道高等学校新人大会が行われた。旭川N高校は地区大会で旭川L女子校との劇戦に勝ち、優勝してこの大会に臨んだ。
この大会では1回戦の滝川の高校との試合の後半起用されて自らも12点挙げる活躍をした胡蝶が、そのまま2回戦の岩見沢の高校との試合でも、札幌D学園との準々決勝、更に釧路Z高校との準決勝でも活躍し「正ポイントガード」不在の状況であった旭川N高校のポイントガード争いの一番手に立つことになった。
決勝の札幌P高校との対戦では1,4ピリオドを胡蝶、2ピリオドを愛実、3ピリオドを紫が司令塔を務めたものの、胡蝶はうまく攻撃を組み立て、みんなに積極的に声を掛け、チーム全体をまとめて頑張った。
試合はP高校に僅差で負け、準優勝で終わったものの、胡蝶はアシスト女王を獲得。賞状をもらって笑顔いっぱいだった。旭川N高校としてはひじょうに大きな成果の得られた大会であった。
「胡蝶ちゃん、今回はホントに頑張ったね」
と南野コーチが掛け値無しで褒める。
「国松君から、男子の正ポイントガードにならない?と誘われて、男の子になるのもいいかなという気もしたんですけど、これなら性転換しなくて済むかも」
と胡蝶。
女子のPGが愛実、海音、紫、和花と(人数だけは)いるので、校内で男女の対抗戦をする時に、胡蝶はしばしば男子チームのPGを務めていたのである。今の1−2年生(4月からの2−3年生)は実は男子の方も正ポイントガードが定まらない状態である。胡蝶は男子の正PG候補全員の上を行っていた。
「うんうん。性転換とかしないでよね」
と南野コーチは笑顔で言った。