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■娘たちの再訓練(4)

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記念撮影の後、高居チーム代表から簡単?な説明があった。このあとの日程の話、世界選手権のシステム(言葉で説明されただけでは理解できなかった子が結構多かったようである)、予選リーグ・2次リーグの対戦相手とおおまかな実力など。また今回のU19代表の活動に関する報酬のこと、協会の支援体制のこと、ドーピング検査・セックス検査を含む健康面のこと、などこの付近の説明だけでけっこうな分量があり、王子やサクラは完璧に寝ていた。
 
「みんなセックス検査受けた?」
「私、受けたことなーい」
「ちんちんあるんだったら、見付かる前にこっそり切り落としておいた方がいいぞ」
「えー?それ痛そう」
 
また会社勤めの人にはその会社の代表宛、学生の人にはその学校の長宛てに、日本代表に招集するので、会社の業務・試験・行事などに掛かっている場合、特別な配慮のお願いをする麻生太郎(この時期は既に総理大臣にも就任している)バスケ協会長名の手紙が送られていることも説明された。
 
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ただこの時点で、協会側が所属を明確につかんでいなかった、千里・玲央美については後から個別に呼ばれて今から依頼状を送りたいのでと言われた。千里は、ではC大学理学部長宛てでお願いしますと答えたが、なるほど〜、それで私の前期の試験はレポートに代えてもらえたのかと、千里は当時のことがやっと納得できた。
 
しかし依頼の文章では「バスケットボール・アンダー19女子日本代表」と書かれていたので、私、男子学生を装っていたけど、そのあたりは良かったのかなあなどと冷や汗を掻いていた。まあ学籍簿上は女子学生になってたみたいだし、結構多くの教官が私を女子と思い込んでいたみたいだし、などというのも考えたりしていた。
 
玲央美の場合は「バイトなので仕事しない分はどうせ無給だし、そういう依頼状は無くても大丈夫です。電話入れておきます」と答えたらしいが、この時期、元の時間の流れの玲央美はバイトを休むどころか九州で特別勤務に就いていたようなので、そんな手紙を送られては困る所であった。
 
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他のメンバーで学生の場合は、けっこう試験の時期に掛かっていた子も多かったようだが、みんなレポートなどに代えてもらったようだ。早苗の場合はバスケの活動で勤務地を離れるのが日常茶飯事なので、この1ヶ月もふつうに勤務しているとみなされるということだった。
 
サクラは(この時点で千里は)今回の代表活動に参加する前に勤めていた会社を辞めたと聞いていたのだが、1ヶ月間の生活費は高田コーチが個人的に20万円出世払いで貸してくれたと聞いた。彼女は妹さんの学資も送金しているということで大変そうである。
 

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記念撮影後早速練習開始になるのだが、高梁王子が
 
「すみません。皆さんのコートネーム教えて下さい」
と言い出す。
 
「決めてたっけ?」
と彰恵。
 
「去年のU18の時はだいたい下の名前で呼んでたね」
と朋美。
 
「うん」
と言って江美子が視線を遠くにやりながら名前をあげる。
 
「トモ:入野朋美、ツル:鶴田早苗、サン:村山千里、リト:中折渚紗、アキ:前田彰恵、ダイ:橋田桂華、ステラ:竹宮星乃、コメ:大秋メイ、レオ:佐藤玲央美、キラ:鞠原江美子、リリー:大野百合絵、マチ:森下誠美、ソラ:中丸華香、クララ:熊野サクラ、ロコ:富田路子、って感じかな」
 
「待ってください」
と言って王子が必死にメモする。
 
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「必ずしも下の名前では無い気がする」
「むしろ少ない気がする」
「言われてみればそうだ」
 
「サナエでは長いから苗字から取ってツルになった」
「私、Y実業でもD銀行でもツルにされた」
 
「渚紗がリトなのは、昔チームにもうひとりなぎさちゃんが居て、大きいなぎさ、小さいなぎさで、こちらはリトになったらしい」
「リトルの略ですか」
「桂華は同様に大きいケイちゃんと小さいケイちゃんが居て、桂華は大きいケイ」
「こちらは日本語ですか」
 
「誠美はセンター仲良しグループの間でマチンコと呼ばれていて、長いから前半を取ってマチになった」
「チンコにしてもいいけどと本人は言っていたが、高田コーチからダメ出しくらった」
「どっちみち今回は来てない」
 
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「クララはサクラの変形だな」
「華香は空を見上げるように背が高いからソラらしい」
「ミニバスの時に付けられた名前なんだけどね」
 
「江美子はミニバス時代からキラだったらしい」
「キラキラ輝いているからと本人は言っている」
 
「メイちゃんのコメは由来を聞いてない」
「まあどっちみち来てない」
 
「千里さんはどうしてサンなんですか?」
「チサトでは長すぎるから村山の山を音読みしてサン」
「スリーポイント女王だから数字の3という説もある」
「千里は平成3年3月3日生まれで、やたらと3という数字に縁があるんだ」
「スリーポイント女王になるべくして生まれたような子だな」
 
「王子(きみこ)ちゃんはどうしよう?」
「今所属してるチームではなんて呼ばれてるの?」
「ニモです」
「ディズニーアニメ?」
「それがワイルドだからジェロニモみたいと」
「ふむふむ」
「K学園では?」
「ラギでした」
「何だっけ?」
「桜木花道の略らしいです」
 
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彼女は高校からバスケを始めて急成長したことから「女桜木花道」の異名を取ったのだが、赤い髪を男子のように刈り上げている姿も桜木花道に似ている感じはある。
 
「どっちにしても男キャラだな」
 
そんなことを言っていたら江美子が
「プリンだな」
と言い出す。
 
「何ですか?」
「王子(きみこ)がだいたい『おうじ』と誤読されるからプリンス。長いから略してプリン」
「私、プッチンプリン好きです」
「じゃ、それで」
 

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それでやっと練習が始まったものの、千里は久しぶりの日本代表の練習に「きゃー」と悲鳴をあげたい気分であった。
 
千里はここの所(2009年12月頃)、毎日平均3時間程度しか練習していなかった。しかも練習相手は、溝口麻依子とか小杉来夢とか歌子薫とか、そこそこ強い選手ではあるものの、どうしても日本代表とはレベルの差が隔絶である。ローキューツでは森下誠美がU18日本代表だが、彼女はセンターであり、千里とはお互いにあまり練習相手にはなっていなかった。
 
それで千里は最初みんなのペースに付いていけず
「こらこらサボるな」
と高田コーチや片平コーチに叱られた。
 
サボってません。全力です、と内心は思ったもののそんなことは口が裂けても言えない。
「済みません。気合い入れ直して頑張ります」
と言って千里は身体のパーツのあちこちが悲鳴をあげているのを我慢して必死にみんなに付いて行こうと頑張った。
 
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練習はお昼休みをはさんで朝9時から夕方18時まで続き、夕食後はビデオを見て今度の世界選手権で当たる予定のチームの研究をした(例によって王子などは寝ていた)。部屋に戻ってきたのはもう21時すぎである。
 
「疲れた〜」
と千里が言うと、玲央美も
「自分が凄くなまっていたのを再認識した」
と言っている。
 
今回の合宿で、千里はいつもと同じように玲央美と同室になっている。女子の合宿は選手同士の相性を考えないといけないとので概して部屋割りが大変である。今回初めて参加した王子はサクラと同室になったようである。ふたりは
 
「男同士仲良くしよう」
などと言っていた!
 
「まさか男性同性愛?」
「男子のオナニーのおかずの話では盛り上がった」
「**セリアちゃんと**マリモちゃんでは、どちらが可愛いと思う?」
「そんなの知らん!」
 
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「でもあんたたち、おちんちんあるの?」
「誰か要らない子がいたらもらってきたいけど」
「ああ、最近要らないという子は増えてるよね」
 
「でも取り敢えず合宿中のセックスは自粛してね」
などとキャプテンの朋美が言っていた。
 

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半月ほど前の6月19-21日、高田コーチ(U19アシスタントコーチ/札幌P高校アシスタントコーチ)は最後まで見付けきれなかった熊野サクラのことを案じながら釧路でインターハイの道予選に臨んでいた。
 
もうタイムリミットなので場合によってはお願いするかも知れないと内々に打診していたH教育大旭川校の花和留実子に会っていかないといけないなあと思っていた。彼女には念のためパスポートも作ってもらっている(彼女は貧乏なこともありパスポートを作るための費用は高田が渡してあげた)。ところが20日になってから大阪にいる鞠原江美子から「熊野サクラに似た人物が居酒屋の厨房に居るのを友人が見た」という情報が入った。
 
鞠原が所属しているM体育大学の顧問にお願いして、部員を総動員して3日間目撃情報のあった近辺の居酒屋に通い詰めて22日、とうとう発見。江美子が直接会って本人であることを確認。23日は仕事を休んでもらい、北海道から駆けつけて来た高田コーチと会わせてくれた。
 
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それで彼女を説得して仕事を辞めさせ東京に連れて行く。彼女が精神的に不安定になったような場合に備えて、高校のチームメイトであった橋田桂華を呼び寄せて月末まで一緒に過ごさせた。この間、彼女を心配して、名古屋に戻っていた中丸華香と旭川の花和留実子も駆けつけて一緒に過ごしてくれた。おかげで過酷な労働で疲労困憊していたサクラは何とか精神力を回復させたのである。
 
一方高田は24日にU19日本代表の発表を終えると翌日には大阪に向かい、福岡から出てきてくれたお母さん・妹さんと一緒にサクラの会社寮の部屋を片付けて引き払った。妹さんにサクラが高校時代に使っていたバッシュを福岡から持って来てもらい、彼女にはそのまま当面の合宿などで必要になる着替えなどと一緒にバッシュも持って東京に行き姉に荷物を渡してもらった。
 
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その後高田は数人の知人にサクラがU19の活動を終えた後就職できてバスケができるような適当な会社が無いか打診してもらうようお願いした。また彼は大阪に行ったついでに札幌P高校がインターハイの間使わせてもらう予定でお願いしていた練習施設の管理者にも会って、P高校が道予選を突破したので正式にお願いしますという旨を伝えてきた。
 
彼が東京に戻ってきたのは28日である。19日から札幌→釧路→大阪→東京→大阪→東京と移動続きでくたくたになっていたのだが、NTCに顔を出して1日からのU19合宿の準備をしていたら、P高校の小平京美から電話が掛かってくる。何でも渡辺純子の部屋の掃除をしていたら、佐藤玲央美のバッグが出てきて、中にウィンターカップ優勝記念にもらったバッシュや着替えなどが詰まっているので佐藤の所に送ってあげたいのだが、住所を知りませんかというのである。
 
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渡辺純子の部屋の汚さは高田も知っているのでつい苦笑したのだが、このタイミングで唐突にそういうバッグが見付かったということは、やはり鞠原江美子が言っていた通り、ちゃんと玲央美は合宿の日までには現れるなと高田は考える。そして小平にそのバッグをNTC気付で送ってくれるよう伝えた。
 
札幌から送られた荷物は30日に到着したが、その時宅急便屋さんがもうひとつNTC気付のスポーツバッグを一緒に持って来たことに気づく。
 
「そちらは?」
「こちらは村山千里さん宛てになってます」
「なるほどね〜」
 
それで高田は村山も合宿当日までに現れることを確信したのである。
 

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29日、引き続き高田がNTCやバスケ協会などを行き来して合宿の準備をしていた時、彼に面会を求めてきた女性があった。
 
「倉敷K高校のコーチさんでしたね?」
「はい。1月に解任されましたが」
 
と言って彼女は
《バスケットボールインストラクタ・JBA公認A級コーチ・藍川真璃子》と書かれた名刺を出した。
 
「藍川真璃子って、もしかして昔の日本代表の?」
「古い話ですが。1970年から1983年まで日本代表をさせて頂きました」
「いや、全然気づかなかった。申し訳ありません」
 
「私、あまり表だった所には出てないので。倉敷K高校でも騒がれたくないので戸籍名の田中真璃子で登録していましたが、実際には旧姓で活動していることのほうが多いんですよ」
 
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「なるほどー。そうだ、高梁王子の件では随分骨を折ってくださったそうで」
 
高田は高梁がアメリカに留学する際の様々な交渉・手続きを「田中コーチ」がしてくれて、費用も全部出してくれたことを聞いていた。
 
「あの子はちょこまかした日本のバスケより、荒削りなアメリカのバスケの方が水に合うんですよ。細かいフェイント合戦に勝つことを教えるよりパワーで突破することを覚えさせた方が、実力を伸ばせると思うんですよね」
と藍川が言うと
 
「それは結構同意しますね」
と高田も答えた。
 
「あの子、不器用なんですよね。女桜木花道なんて言われてましたけど、実際、あの子は女流川楓にはなれないんです」
「言えてます、言えてます」
 
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娘たちの再訓練(4)

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