広告:非リア充集団がクラスメイトを女装させて彼女にしてみた-ミリオンコミックス-おと★娘SERIES-OTONYAN-SERIES
[携帯Top] [文字サイズ]

■娘たちのドラゴンテイル(9)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

(C)Eriko Kawaguchi 2018-11-11
 
11月10日に、スターキッズの楽曲制作が終わったのは、もう夜11時すぎだった。
 
さすがにこの時間から富山に帰る手段は無いので、青葉は
「明日は学校休もうかな」
と言った。ところが、それを聞いたゆまは
「それはいけない。私が車で送っていくよ。君たちどこ?」
と訊く。
「富山と金沢のちょうど中間付近にある高岡という所なんですが」
と青葉が言うと
 
「だったら私のポルシェで3時間だな」
とゆまは言った。
 
ちなみに、東京から高岡までは、最短と思われる上信越道経由で走っても440kmほどあり、普通の走り方をすればノンストップでも5〜6時間掛かる。
 
冬子が指摘する。
「3時間ってのは明らかにスピード違反」
 
↓ ↑ Bottom Top

「大丈夫だよ。オービスの場所は知ってるし、こんな夜中に警察も居ないって」
「車で行くなら速度制限守って」
と冬子。
 
「うーん。まあ、守っても5時間かな」
「それに1人でそんなに長時間走るのは無茶」
「誰か交替ドライバーが居た方がいいね」
 
そんな話になった時、千里が
「良かったら私が運転しようか?MTでも運転できるよ」
と言った。
 
青葉は「あれ〜?こないだは運転の自信が無いって言ってたのに体調良いのかな?」と思ったが、千里は見た感じ、顔色なども良いし、確かに8月に見た時からすると、かなりオーラがしっかりしているので、かなり回復してきているのかも知れないと思った。
 
それで鮎川ゆまのポルシェ・パナメーラで、青葉と空帆は高岡まで送ってもらうことになったのである。
 
↓ ↑ Bottom Top


千里の方は ESP 11/9 18:00-20:00 (JPN 11/10 2:00-4:00)に試合があった後は、11月10日は日曜日でお休み。次はESP 11/11 14:00 (JPN 11/11 22:00)からの練習に出れば良い。それで10日の夜は時間が自由に使えたのである。
 
ESP : Espania UTC+1 (CET)
JPN : Japan UTC+9
 
千里・ゆま・青葉・空帆の4人でタクシーに乗り、ゆまのポルシェが駐まっている駐車場に移動する。桃香はミラを運転して千葉に帰還する(駐車場代は七星さんがくれた)。冬子と政子は桃香のミラに同乗してマンションに戻る(正確にはマンションまでは冬子が運転した!)。スターキッズの多くは近くのホテルに泊まる。なお彪志は待ちくたびれてひとりで帰っていた!
 
そしてPorsche Panameraの運転席にゆま、助手席に千里、後部座席に青葉と空帆を乗せた状態で車は出発した。千里と青葉が姉妹なのに苗字が違う件に付いて説明したら、ゆまは「大変だったね」と言って涙を流していた。時間も遅いので上里SAで小休憩した後は青葉と空帆には眠るように言った。
 
↓ ↑ Bottom Top


運転は上里SAから大積PA(北陸道・長岡市)までを千里、その後をゆまが運転したのだが、上越JCTをすぎたあたりから雪が散らつき始める。
 
「あら〜雪だ」
「ゆまちゃん、この車のタイヤは?」
「ノーマル」
「雪道運転の経験は?」
「スタッドレスでなら少し走っているけど」
「交替しよう。ノーマルタイヤで雪道を走るにはコツがいるんだよ」
「そうか。千里ちゃん、北海道だもんね。頼む」
 
それで車を非常駐車帯に停めて運転交替した。
 
「ゆっくり走るね。セカンドに落としてエンジンの動力をできるだけダイレクトに伝えて、制御しやすくするんだよ」
「なるほど」
「そしてできるだけ速度を変えずに走るし、ハンドルもできるだけ切らない」
「そしたら前の車を追い越す時は?」
「雪道の高速で追い越しなんて自殺行為」
「うーん。。。あのスリルがたまらんのに」
「ノーマルタイヤでは無理だよ」
 
↓ ↑ Bottom Top

結局チェーン規制が掛かってしまい、魚津ICで下道に降りるハメになるが、かえって高速より道路の状態がよい。それで残り約60kmは、とっても空いている深夜の8号線をまあまあの速度で、1時間半で走り抜けることができた。朝4時半には空帆を自宅に届け、その後、青葉の家に無事帰りついた。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里とゆまは青葉の家で少し仮眠させてもらい、10時頃に出発したが千里は
 
「ねぇ。どっちみちそろそろスタッドレス買い直そうと思っていたのなら、今日買っちゃおうよ」
と言った。
 
「それがいい気がするけど、今お金が無くて」
「私が出しておくから大丈夫だよ。おかげで高額所得者だし」
「醍醐春海の曲、無茶苦茶売れてるよね!」
 
それで高岡市内のオートバックスに寄ってブリザック4本セットを買い、タイヤ交換もしてもらった。交換したノーマルタイヤは荷室に積んだが、それで荷室にあった荷物は後部座席に移し、後部座席が満杯になってそこに座るのは不可能な状態になる(だいたいゆまの車内の荷物が異様に多い。楽譜集はいいとして少年ジャンプとか少年サンデーが大量にある!ちなみに、ゆまはnonnoとかMoreとかは読まない)。
 
↓ ↑ Bottom Top

「取り敢えずこれはクーペの状態かな」
「おっ。そう言えば格好良い気がする」
 
「でも女の子ならナプキンはせめて袋に入れておこう」
「それこないだナナ(宝珠七星)からも指摘された。散乱しているナプキンを警官とかに見られたら女装している変態男と誤解されるぞって」
「うーん。。。女装ではなく男装に見える気がする」
「うっ・・・」
 
ともかくも帰りも交替で運転したのだが、さすがに昼間は“上品に”運転したので、東京に帰り着いたのは夕方4時頃であった。
 

↓ ↑ Bottom Top

千里はいったん千葉に戻り、ゆまは冬子のマンションに寄って、お土産の「ますの寿し」を渡し、富山往復の報告をしたのだが、そこで話していたら、唐突に政子が
 
「出雲に行って神在月の行事を見て、蟹を食べたい」
と言い出す。
 
神在月の行事は旧暦で行われるので新暦では毎年日程が違うのだが、確認すると、今年の出雲大社の神在月の行事は11.13-11.19に行われ、特にエポックとなる神迎祭は11月12日、つまり明日の夕方から行われることが分かる。
 
しかし飛行機は満席である。冬子は新幹線で岡山まで行き、特急やくもで出雲に行くルートを提案したのだが、ゆまは自分のポルシェで往復しようと提案した。
 
「だって折角スタッドレス買ったから、慣らし運転」
などと言っている。
 
↓ ↑ Bottom Top

しかしゆまひとりでさすがに800km走らせる訳にはいかない。それで最初冬子が交替で運転しようと言ったが政子が反対する。
 
「冬は最近完全なオーバーワーク。長時間の運転は無理。昨夜ポルシェを運転してくれた千里を呼び出そう」
 
するとゆまも賛成する。
 
「千里さんなら心強い。あの人凄くうまい。それに普段インプレッサとか、RX-7/8とか、フェラーリとか、運転しているらしい」
 
「知らなかった!」
「A級ライセンスも見せてもらったよ」
「すごーい!」
 

↓ ↑ Bottom Top

それで千里はゆまから電話を受けたのだが、同乗する人を確認すると、ゆま・政子・冬子の3人ということである。だったら代役が利くなと思い、念のため《こうちゃん》を見るとOKサインをしているので、そちらに行くと言った。
 
そして《こうちゃん》にインプレッサを運転して冬子のマンションまで行ってもらい、自身は《すーちゃん》と交替でスペインに戻って、この日の練習(ESP 11/11(Mon)14:00-21:00 = JPN 11/11 22:00- 11/12 5:00)の用意をした。
 
それで千里に扮した《こうちゃん》が冬子たちの所に行き、4人でパナメーラに乗ってマンションから出ようとしたら、ゆまはいきなりコンクリート製の車止めにぶつけて、左のヘッドライトを破損してしまう。
 
↓ ↑ Bottom Top

それで結局、出雲往復は千里のインプレッサ・スポーツワゴンを使うことになった。
 
冬子はこのインプレッサのことを知らなかったので
「でも千里、こないだミラ買ったとか言ってなかった?」
と訊く。
 
「このインプは借り物〜」
と千里言う。
 
「長期間借りてるんでしょ?」
とゆま。
 
「そうそう。2009年の春以来、4年半借りっぱなし」
「それはほぼ私物化しているな」
 

↓ ↑ Bottom Top

インプは千里とゆまが交替で運転して、東名・名神・中国道・米子道と走り、11月12日(火)の明け方、韮山高原SAで休憩して朝御飯を食べた。ここは既に一面の雪景色だった。
 
ちなみに韮山高原SAまで運転したのは《こうちゃん》で、休憩後その先で助手席に乗ったのは千里本人である。
 
境内の駐車場は狭いこともあり、ご縁広場(道の駅)に車を駐め、歩いて出雲大社に参拝に行く。これは大鳥居を通って参拝することになるので、お勧めルートである。拝殿でお参りをしてから、千里は他の3人を須佐之男神(すさのおのかみ)を祭る素鵞社(そがのやしろ)に連れていき、そのお社(やしろ)の裏手にある岩に、全員触れてみるよう言った。
 
「何か流れ込んでくる!」
と政子が言う。
 
↓ ↑ Bottom Top

「物凄く癒やされる感じ。私、夏に青葉のヒーリングで創作の泉を再発見したと思っていたけど、今その泉とのパイプがしっかり確立していく感じ。これ5分くらい触っていたい」
と言って、実際には15分以上触っていた。
 
そして千里は何も言わずに岩に触りながら涙を流していた。
 
昨年7月6日の婚約破棄以来の色々な思いが全て洗い流されてしまうような気持ちに、千里は、なっていた。
 
嫌なことは忘れよう。私は前を見る女だ。だから自分が今からできることだけを考えて行こう。過去のことを悔やんだって、それは変更しようが無いのだから。千里はこの岩に癒やされながら、そんなことを考えていた。
 
3人3様にこの岩に癒やされたのだが、ただひとり、ゆまだけは
 
↓ ↑ Bottom Top

「何かあるんだっけ?全然分からない」
と言っていた。
 
千里が泣き笑いの表情で言った。
「ここって女性には効くけど、男性にはあまり効かないらしいんだよね」
 
「ほほお」
「つまり、ゆまは男の子なのか」
 
「それなら納得する!」
と本人が言っていた!!
 

↓ ↑ Bottom Top

お参りした後、出雲そばと、ぜんざいを食べる。ご縁広場まで歩いて戻り、吉兆館で48mの高さがあった時代の出雲大社の復元模型を見た。その後、政子が“日本一の大しめ縄”を見てないというが、さすがに歩き疲れたので、車で出雲大社の駐車場に移動して、神楽殿のしめ縄を見た。
 
それでご縁広場に戻ろうかと思ったのだが、駐車枠の外にもたくさん車が駐まっていて出られなくなっていた。
 
「仕方ない。放置で」
「これ神迎祭が終わるまで出られないのでは?」
「まあそれも好都合だね」
 
16時半頃に大勢の人たちと一緒に歩いて稲佐浜に移動し、神迎祭を見学したが、物凄く神秘的で全員感動した。そのあと“龍蛇様”に先導されて神職たちも見学者たちも一緒に大社まで戻る。そして神楽殿で神迎祭の後半も見学させてもらったが、意識が革命を起こすほど厳粛な儀式だった。
 
↓ ↑ Bottom Top

なお、神楽殿での行事が終わったのが21時すぎくらいで、ここまで見てから千里は《こうちゃん》を分離してから《すーちゃん》と交替でスペインに戻った。日本時間で22時からの練習に参加する。
 
JPN 11/12 22:00 = ESP 11/12 14:00
 
儀式が終わった後、駐車場に駐めているインプに戻る。運転席には千里(実際は《こうちゃん》)が座る。しかし周囲の車が出るまでは身動きが取れない。寒いのでアイドリングしながら待っていたら、赤いコートの女性がトントンと窓を叩いた。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
娘たちのドラゴンテイル(9)

広告:はるな愛のラブラブソウル