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■娘たちのドラゴンテイル(3)

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4日目10月30日(水).
 
この日の日本の対戦相手はインドである。2年前にも出ていたパルプリートは今回も代表に入っていた。向こうも日本に勝てるとは思っていないのでのびのびとプレイしていたが、千里は彼女とマッチングしていて、彼女が撃とうとしているのは停めずに全部撃たせてあげた。エレンからは「花園ちゃんみたいなことしてる」と言われたが、確かにここは亜津子でもパルプリートに撃たせていたのではという気がした。
 
今日の結果。
KAZ56×-○92KOR JPN81○-×40IND TPE63×-○85CHN
暫定順位|1.JPN(4勝) 2.KOR(3勝) 3.CHN(3勝) 4.TPE(2勝) 5.KAZ(0勝) 6.IND(0勝)
 
中国と韓国は順当に勝った。今日で韓国と中国も4位以上が確定、決勝トーナメントに進出することが決まった。一方カザフは脱落が決まった。日本は3位以上、台湾は2位以下が確定。残る順位は最終日の試合次第である。
 
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5日目10月31日(木).
 
予選リーグの最終戦である。
 
第1試合ではインドがカザフスタンに勝って5位になった。そして第2試合が日本と中国の対戦となった。この後、韓国と台湾の試合が予定されている。そこで韓国が勝つと仮定した場合、この試合で中国が勝つと、日本・中国・韓国が4勝で並んで、得失点率の勝負になる可能性があった。日本はもちろん勝てば予選リーグ1位である。
 

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中国は先の東アジア競技大会で日本に負けているだけに、最初からかなりのハイテンションだった。先日の大会で日本に負けたメンバーも入ってリベンジに燃えている感じである。
 
しかし日本はこの試合では、千里/玲央美/絵津子/純子/王子というメンツで始める。千里・絵津子・純子の3人は東アジア競技大会に出ていなかったメンツである。
 
向こうは日本チームのコアは王子と考え、王子対策と思われる体格の良い選手を入れている。また亜津子のスリーにもやられたので、その対策と思われる長身の選手を入れている。しかし王子対策の人は実際には王子のパワーに完璧に負けていたし、スリー対策の人は千里のシュートを全くブロックできない。実際問題として、千里と亜津子では同じスリーポイント・シューターでもかなり動きのタイプが違うので、亜津子のつもりで対峙しようとすると、まず千里の居る場所を“見つけられない”であろう。更に俊足の純子のスピードに付いていけるメンツが向こうには居なかった。
 
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中国はタイムを取り、王子対策にはエースのリュウ(劉)を投入、千里対策には千里と以前U20で対戦したことのあるワン(王)を入れてきた。
 
しかし王子はリュウと互角の戦いをしたし、ワンは千里に全くかなわなかった。王は3年前よりかなり強くなっていた。しかし千里のこの3年間の成長がワンの成長を大きく上回っていたのである。純子対策には控えのポイントガードを入れてきたが、スピードでは何とか追いつけても、体格の差で純子が有利である。
 
結局前半だけで12点も点差が付いている。
 

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第3ピリオドでは中国は長身の選手を並べてきたが、少なくとも、千里・玲央美・純子・王子・恵子には通用しない。それでこの戦略も空振りに終わってこのピリオドも日本のリードに終わる。
 
最後、中国は最強と思われる布陣で来て、このピリオドだけに限れば日本をリードした。しかし合計点数では及ばなかった。
 
やがて試合終了。中国の選手たちが天を仰いだ。
 
こうして日本は予選リーグを全勝で終えたのである。
 

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この日の結果。
IND65○-×62KAZ CHN55×-○72JPN KOR58×-○63TPE
最終順位 1.JPN(5勝) 2.CHN(3勝) 3.KOR(3勝) 4.TPE(3勝) 5.IND(1勝) 6.KAZ(0勝)■IND(5-5) KAZ(6-6) CHN(2-4) JPN(1-1) KOR(2-4) TPE(2-4)
 
韓国と台湾の試合は台湾が勝ってしまった。その結果、中国・韓国・台湾が同じ3勝で並び、相互得失点率の勝負となった。
 
___ W L for agn( dif)
JPN 5 0 394 282(_112)|
CHN 3 2 410 305(_105)|3i(155-135)*1.1481
KOR 3 2 402 329(__73)|3i(130-133)*0.9774
TPE 3 2 355 326(__29)|3i(126-143)*0.8811
IND 1 4 260 434(-174)|
KAZ 0 5 296 441(-145)|
 
この結果決勝トーナメント準決勝は日本−台湾、中国−韓国、で行われることとなった。
 
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青葉は2013年春に、彪志が進学したC大学の“七不思議”という話を聞いた。マジでやばそうな話から、都市伝説的なものまで様々だったが、青葉はその中の噴水の話にゾクゾクとする感覚があった。これはひじょうにまずい状態である。
 
彪志がその噴水のそばを通る場合もあると聞き、放置できないと判断。千葉に赴いて、壊れていた結界を正しく修復した。
 
その結果、その噴水の所に滞在していた女神様に気に入られてしまった。
 
その女神様はC大学が作られる前にそこにあった神社におられたのだが、大学建築の際に神社が正しい手順で移転されず、結果的にお社(やしろ)を失ったまま、この噴水の付近に曖昧に滞在していたらしい。青葉が確認した所、このC大学の西千葉キャンパス(弥生キャンパス)は1942年に東京帝国大学第二工学部が設置された時に校地とされたもので、1962年にC大学の文理学部と教育学部がここに移転してきて、その後、他の学部もここに集まり、C大学の中心キャンパスとなった。つまりその女神様の神社が移転されたのは恐らく1942年のことではないかと思われた。戦時中で全てがおざなりになったのかも知れないと青葉は思った。
 
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この女神様《姫様》は青葉のことがすっかり気に入ったようで、この事件以降青葉の後ろに居候していたのだが、自分が安心して過ごせる神社が欲しいと青葉に言った。青葉がとてもそんなお金が無いというと、神社を建てられるくらい稼がせてやると言った。
 

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青葉は冬子(ケイ)から創作の泉が枯渇しかかっているのが何とかならないか相談を受け、冬子の友人たちの協力も得ながら“泉の再発見”に導いた。そのことで冬子は青葉に3000万円払ってくれた。それで青葉はこのお金を活用して適当な場所に神社を作り、祠と鳥居を作ろうと考えたのである。
 
それで千葉市内に住んでいる彪志に頼んで、適当な土地を探してもらった。その結果、千葉近郊の山の上で、ちょうどC大学のキャンパスを見下ろすような位置に安く売りに出ている土地があるのを見つけたのである。
 
そこに先日は不動産屋さんに連れて行ってもらったのだが、夕方だったこともあり、よく分からなかった。それで昼間に一度自分でも行って見てみたいと思っていると青葉に言った。
 
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「ただバス路線とかから外れてる場所だし、足をどうしようかと思ってるんだよ」
 
「あ、だったら、ちー姉に頼んでみようか?こないだ車買ったんだよ」
と青葉は答える。
 
「へー、それは凄い。何買ったの?」
「ミラだって。3万円だったらしい」
「3万?30万じゃなくて?」
「ちー姉って貧乏性だもん。スクーターも2万円で買ったと言ってたし」
「2万円のスクーターも凄いけど、3万円のミラはちょっと怖い」
 

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バンコクに行っている千里たち日本女子代表の一行は、11月1日は休養日となった。それで千里は玲央美・絵津子・純子・王子と5人でバンコク市内のロビンソン・デパートに行った。王子たちがハメを外しすぎて不祥事!?を起こしたりしないよう、千里と玲央美はお目付役という感じである(王子は以前コールガールをホテルに呼ぼうとして高田コーチに叱られたことがある)。
 
むろん全員私服である。王子はアメリカ国内のトールサイズ婦人服専門店で買ったという可愛い服を着ている。おかげで高身長なのにちゃんと女性に見えるので純子が羨ましがっていた。玲央美は高身長でも女性にしか見えないのだが、純子は結構男に見える。それで男性1人(純子)が女性4人を案内しているように見られたりした。
 
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「前回バンコクに来た時は、うっかりMade in Japanのをお土産に買っちゃったなあ」
などと王子が言っている。
 
「バンコクは中東から来る人が多いからね〜。中東から見ると日本もタイも近所かも」
「それ、日本から見るとチェコもオランダも近所みたいな感覚ですよね?」
「そうそう。九州の人から見ると、神奈川も栃木も全部“東京周辺”」
 
それでお土産にするインスタントラーメン、お香、などを買ってからおやつを食べてホテルに戻った。
 
その日の午後は有志だけ練習ということになっていたのだが、実際には全員が練習に参加した。特にここまで必ずしも活躍できなかった選手は練習に熱が入り、見学(今日は公式練習ではないので指導はしない)している戸田アシスタントコーチも頷くようにしていた。
 
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この日の夕食はみんなでバンコク市内の日本料理店に行き、トンカツとか牛丼とか日本風のカレーライスに天麩羅にと、喜んで食べていた。千里もカツ丼と醤油ラーメンを食べた。
 

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