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■娘たちのドラゴンテイル(4)

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11月2日(土).
 
この日は14, 16時から入れ替え戦、18, 20時から準決勝2試合が予定されていた。しかし千里は午前中に日本で用事を済ませてくることにした。
 
午前7時(日本時間9時)、千里は日本国内で待機していた《すーちゃん》と交替で日本に戻った。そして西千葉駅に近い立体駐車場から、そこに駐めていたミラを出し、桃香のアパートに行った。
 
なお、インプは葛西に、それ以外の車・バイクはほとんど常総に置いている。ふだん市川に駐まっているのは貴司の A4 Avant である(A4 Avantは最近、ほとんど千里(せんり)のマンションには駐めていない)。
 
ディオチェスタは取り敢えず常総に搬送しておいたのだが、調子が悪くて《げんちゃん》か《こうちゃん》以外には起動不能な状態になっていた。
 
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それで千里に代わってファミレスに勤めてくれている《すーちゃん》のために先日千里が市川ラボから千葉まで走って来た Gladius 400 を使ってもらっている。《すーちゃん》は個人的に普通免許と自動二輪免許を持っているので、ミラも Gladius 400 も運転できる。しかし《すーちゃん》と交替でファミレスに勤めてくれている《てんちゃん》の方は250cc程度のバイクでも自信無いと言っているし、四輪は無理と言っている(彼女は自分専用の自動運転車?のようなものを持っているのだが、他の車にぶつけずに運転する自信が無いと言っている。実際、一般のドライバーに《てんちゃん》の“車”は見えないだろうから危険である)。
 
それで《てんちゃん》はバスで通勤しているものの、夜勤が終わって朝帰る時に不便だとこぼしていた。
 
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ファミレスは辞めるつもりだったのが、なかなか辞めさせてくれないのである。
 
「ミラはミラとして、やはりスクーターを1台買ってあげないといけないかなあ」
と千里はこの時期考えていた。
 

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千里はそんなことも考えながらミラを運転して、桃香のアパート傍に停め桃香を起こし、助手席に乗せて彪志のアパートに行く。彼に後部座席に乗ってもらい、下見に行く土地へ向かった。
 
目的の場所は千葉市郊外の小高い丘の上にある。ミラはそこに行く坂を低速で登っていった。
 
「なんかスピードが落ちてるね」
と桃香。
「パワー無いからね。急な上り坂では、私ひとりしか乗ってなくても時速10kmくらいまで落ちることある」
と千里。
 
「しかし10kmまで落ちても停まらない限りは自分の足で歩くよりは楽だ」
「確かにこの坂は歩いては登りたくないですね」
 

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千里はその場所の10mくらい手前の路上に駐めた。
 
千里の後ろの子たちが嬉しそうにしている。
 
『自由に処分していいよ』
『了解!』
 
それで彼らは飛んで行って“処分”を始めた。《たいちゃん》、《てんちゃん》、《びゃくちゃん》の3人が彪志・桃香・千里を守るために残った他は全員で掛かっているようである(この他《すーちゃん》がタイ、《いんちゃん》が市川に行っている)。
 
千里がゆっくりと車から降りたので先に降りていた桃香と彪志が待っていた。結果的に3人は千里の眷属たちの後に続く形になった。
 
「これはまた荒れ果ててるなあ」
と桃香が眺めて言う。
「20年くらい放置してた感じですね」
と彪志。
 
2人は眼前で千里の眷属たちが大活躍中であるのには全く気付かないようで、道路に立ったまま、ただ、崩壊しかかっている家屋を眺めていた
 
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“処分”は5分ほどで終了した。千里は桃香たちに言った。
 
「この家の裏手に回ってみない?」
「うん」
 
道路から土地に踏み込み、家と林との間の狭い通路を通り向こう側に出る。雑木林を通り抜けて崖の所に出た。
 
「見晴らしが良い」
「あそこ、私たちの大学だね」
 
「ああ、ちょうどきれいに見えますね。ロケーションとしては良いなあ。でもここ、幽霊とか出ませんかね?」
と彪志。
 
「ここ何も居ないよ。きれいにしてる(きれいにしちゃったし)」
 
「時々思いますけど、千里さんって、少し霊感ありますよね」
「そうかな?まあ、テストの山勘は当たるよ」
「そういう勘は私も欲しいな」
 
千里は笑顔で言った。
 
「ここに決めていいと思う。(後ろの子たちの餌場としても)絶好の場所だし」
 
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それでこの日の彪志たちの下見を元に、青葉が来週にも千葉に出てきて自分の目で確認することになった。
 

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千里・桃香・彪志の3人はミラに乗って丘を降り(坂を降りるのはミラでも全く問題無い)、ファミレスでお昼を食べてから13時頃に解散した。これがタイでは11時頃である。
 
午前中身代わりを務めてくれていた《すーちゃん》と交替でタイに戻った千里は玲央美から
「すーちゃん、お昼に行こう」
と言われてから
「ありゃ。千里だったか」
と言われた。
 
「ごめーん。ちょっと用事を済ませてきた」
 
それで一緒にホテル内のレストランに行きお昼を食べる。さっき千葉のファミレスでハンバーグ定食を食べたばかりなのだが、またこちらでパッタイ(焼きそば)を食べる。
 
「千里はよくパッタイを食べている気がする」
とゲーン(タイカレー)を食べている玲央美が言う。
 
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「世界選手権でタイに来た時、私いきなり性別検査に連れて行かれたのよね」
「ああ、行ってたね」
「それが深夜まで掛かって御飯を食べ損なって連れて行かれたレストランで、メニューの分かるのがパッタイしか無かったからそれを食べたのよね。そしたら朝からずっと絶食していた所で食べたからか美味しくて美味しくて」
 
「それは美味しさが5割増しになるなあ」
 
「それ以来、パッタイが大好きになったんだよね」
「ああ、そういうきっかけで好きになったものは残りそう」
 
ちなみに千里と交代で日本に戻った《すーちゃん》はケンタッキーに入り、ひとりでのんびりとフライドチキンを食べた。すーちゃんはフライドチキンが大好きで、しばしば《びゃくちゃん》などから『共食いしてる』と言われる。むろん普通の猛禽は小鳥くらい食べる。
 
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淑子は3人の子供を連れてスワンナプーム空港に来ると羽田に行く便に空席があるのを確認し、フリーにしていた航空券の帰りの便を予約した。しかしパスポートを見たANAのカウンターの女性が戸惑うように言う。
 
「お客様。このパスポートと航空券は、女性のお客様と男の子3人になっておりますが、お連れになっているのは3人とも女の子ですよね?」
 
「ああ。それだけど、このいちばん上の子は戸籍上は男の子だけど医学的には女の子になったのよ。こちらが病院でもらった診断書」
と言って淑子は Ms Narumi Tanaka という名義の英文の診断書を提示した。
 
「ああ、そういうことでしたか。分かりました。下のおふたりもですか?」
「この子たちは今は中性かな。いづれ女の子になるかも知れないけど」
 
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するとカウンターの女性は笑顔を作りながら言った。
「大変失礼しました。お客様のお子様で間違い無いのでしたら問題ありません」
 
それで便名・座席の記載されたチケットを発行してくれた。
 

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飛行機に乗ってから、成美が母に言った。
 
「これで私、中学はセーラー服で通える?」
「もちろん。もっともあんたはそもそも小学校の書類が女子になっているから何も問題ないんだけどね。完全な女の子になったから、堂々とセーラー服で通えるよ。万一教育委員会から何か言われても何とかするよ。最悪理解してくれる私立に行く手もあるしね」
 
「よかった。学生服着ろとか言われたら、どうしようと思ってた。しっぽが無くなった自分の身体見て感激しちゃった」
 
「傷は痛まない?」
「思っていたほどは痛くなかったよ」
 
4年生の宏佳が言った。
 
「成美お兄ちゃんのことは、これからはお姉ちゃんって呼べばいいの?」
「そうだよ。もうお兄ちゃんじゃなくてお姉ちゃんになったからね」
 
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2年生の慶古が尋ねる。
 
「成美お兄ちゃんがお姉ちゃんになったのなら、宏佳お兄ちゃんもこれからはお姉ちゃん?」
 
「ううん。宏佳はまだお兄ちゃんでいいよ。ちんちんは付いてるから」
 
「ちんちん付いてたらお兄ちゃんで、無かったらお姉ちゃん?」
「そうそう。成美はおちんちん無くなっちゃったからね」
「私もそのうち、おちんちん無くなるのかなあ」
「もう少し大きくなったらね」
 
「宏佳も慶古も傷は痛くない?」
「もう全然痛くないよ」
 

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11月2日20:00.
 
アジア選手権準決勝第2試合台湾対日本が始まる。この日の入れ替え戦ではインドはマレーシアに勝ち、タイがカザフスタンに勝って、インドはレベル1残留、タイはレベル1昇格を決めた。そして準決勝第1試合では韓国が中国を破っていた。つまりこの第2試合の勝者が明日韓国と決勝戦をすることになる。
 
そういう訳でこの日の台湾は物凄く燃えていた。台湾は先日の東アジア競技大会で日本に勝っている。ここは優勝する大チャンスという所だろう。
 
しかし今回の日本は最初から台湾を圧倒した。
 
千里/玲央美/絵津子/純子/王子
 
という超攻撃的布陣で出て行き、全く台湾を寄せ付けなかった。第2ピリオド以降は交替で休みながらプレイし、明日もあるのでこのメンツは第3ピリオドまでで下げたが、大差で日本が勝利した。
 
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それで明日の決勝戦は日本と韓国でおこなわれることになった。
 

そして最終日11月3日。
 
先に行われた3位決定戦では中国が台湾に勝った。これで来年の世界選手権に進出するのは、日本・韓国・中国ということが決まった。
 
18:00.
 
日青センター体育館に日本と韓国のスターティング5が並んだ。
 
日本 千里/玲央美/絵津子/王子/恵子
韓国 チェ/パク/キム/ホン/イ
 
アジア選手権の決勝戦が始まる。
 
韓国はこれまで主としてゲームの後半に投入することが多かったキム・ヘソンを最初から使ってきた。おそらく千里対策だろうと思われたが、実際ゲームが始まると彼女はピタリと千里に付いた。
 
予選リーグの時の状況分析でも、結局千里にいちばんよく付いて行っていたのがキムだったのである。彼女はどうも前試合の千里の映像を見てかなり研究したのではと思われた。
 
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しかし・・・ここまでの試合での千里は80%くらいの力で戦っていたのである。
 
この試合では千里は最初から全力でプレイした。
 
キムが「うっそー!?」という顔をしている。
 
かくしてキムは全く千里を停めきれない。キムは全く千里を突破できない。それで恐らくそうなった場合の次の策として考えていたのだろうが、向こうは千里をキムとパクの2人でダブルチームする作戦できた。
 
しかしこれをやると結果的に絵津子をほとんどフリーにしてしまうことになる。またチェでは玲央美のスピードに付いていけない。
 
それで結局第1ピリオドは日本が大きく韓国をリードすることになった。
 

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第2ピリオド、韓国は消耗していたキムとホンを休ませ、長身の選手を並べてきたが、日本はこのピリオド絵津子に代わって出た純子が爆発。千里や王子に玲央美もどんどん得点し、ほとんどワンサイドゲームになってしまった。
 
前半終わって36-57とダブルスコアに近い。
 
第3ピリオドは千里・玲央美・王子を休ませ、その間にキムやホンが頑張って18-11と7点もリードする。韓国側応援団が物凄く盛り上がっていた。
 
しかし第4ピリオドで、この3人が戻ると韓国を寄せ付けず、14-27とこれもほぼダブルスコアで終了した。最後にボールを持っていたホンがほとんど遠投のようなシュートをするが、ボールはバックボードにも当たらなかった。
 

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整列する。
 
「95-68, Japan won」
と審判が告げる。韓国選手たちは首を振りながら、今回はちゃんと日本選手たちと握手をして引き上げた。前回は僅差だったが、今回は大差になってしまったので、かえってスッキリしてしまったのかも知れない。
 
キムが千里と握手した時、彼女が「フラウ・チョンサン(『村山』の韓国語式発音)、予選リーグの時と別人だった」とドイツ語!?で言ったので、千里もドイツ語で「ひとり隠し球ね」と答えた。すると彼女は面白がって「それ私もマスターしようかな」などと言っていた。
 

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そういう訳で今回のアジア選手権の成績は1.日本、2.韓国、3.中国、4.台湾となったのである。
 
20時から表彰式が行われた。先に個人表彰が行われた。
 
得点女王は王子、アシスト女王は玲央美、スリーポイント女王は千里と日本が3部門独占。リバウンド女王は韓国のイ・ハイランが取った。ベスト5は次のように発表された。
 
千里/玲央美/王子/イ(韓国)/リュウ(中国)
 
そしてMVPには王子が選ばれた。彼女はそんなものをもらえるとは思ってもいなかったようで「うっそー!?」と叫んでいた。
 
その後、チーム表彰となり、1〜3位のチームが表彰台に乗って、プレゼンターからメダルを掛けてもらった。
 
千里にとってはフル代表として初めての金メダルである。
 
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なお、今回の女子アジア選手権の状況は、バスケット協会のfacebookには逐次報告されていたのだが、WWWサイトでは優勝したことが報告され、主将エレンの談話が載っただけで、そもそも選手が5人も直前に交替したこと自体、優勝報告の記事を良く読まないと分からないような状況だったし、日本代表サイトには最後まで交替前のロースターの写真が掲示されたままだった。それで、この大会に千里や絵津子・純子たちが参加していたことを知る人は少なかった!?
 
 
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