広告:ここはグリーン・ウッド (第2巻) (白泉社文庫)
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■娘たちのドラゴンテイル(7)

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ところで11月4日は実はまた人工授精のための精液採取の日であった。本当は祝日で病院は休みなのだが、子宮投入に最適な日なので、先生は対応してくださる。全くご苦労様である。
 
それでも院長先生が出てくるのは朝9時頃なので、こちらはその前に精液を届けるのが理想的である。そこで千里は実はバンコクのスワンナプーム空港でフランクフルト行きの飛行機に乗る直前に、日本に居た《すーちゃん》と交替して市川ラボに行っている。これがタイ時間の23時、日本時間では11/4 1:00である。貴司は0時頃まで市川ドラゴンズのメンバーと練習していて、この時間は練習を終えた後、シャワーを浴びて寝ている所である。
 
なお《すーちゃん》はそのまま飛行機に乗り、フランクフルトでバルセロナ行きに乗り継ぎ、更にバルセロナからグラナダに向かう。
 
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千里は試合疲れもあったので貴司の部屋でシャワーを浴びてから下着だけ着けて貴司が寝ているベッドに潜り込んだ。
 
4時頃、キスをして起こす。
 
「千里!?」
「おはよう、マイ・ダーリン」
「もしかしてずっと一緒に寝てたの?」
「さあね。秘密」
 

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それで下着姿のまま、貴司とおしゃべりしながら朝御飯を作り、一緒に食べる。貴司は千里が緊急召集されてアジア選手権に出たことをどうも知らないようである。まあ知っていたら、今ここにいることを説明できないので、知らないなら知らないでよい。
 
5時頃、貴司のA4 Avantに乗って、大阪方面に向かう。そして前回と同様に西宮名塩SAで少しイチャイチャしてから射精させて採精容器に取った。射精した後、本当に嬉しそうな顔をしているので、千里もつい微笑む。
 
でも貴司って私といづれ結婚していつでも射精できるようになったら、かえって射精をありがたがらないのでは?という気が一瞬した。
 
貴司に貞操帯でも着けて射精管理しちゃおうかなぁ、などと妄想をしていると、こうちゃんが本当に男性用貞操帯らしきものを持っている。全く、こうちゃんって色々なものを持っているなと少し呆れた。
 
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でも貞操帯はバスケット選手は試合中に装着していたら多分違反だ!以前サーヤ(留実子)が、おちんちんを着けてたら注意されてたしね、などと昔のことを思い出した。もっとも男子選手のおちんちんは違反ではないだろう。
 
(男子のおちんちんが違反だったら試合前に切断しないといけない?などと、変なことを考えた)
 
ともかくも1時間ほど仮眠してから、千里が車を運転して豊中市まで行き、産婦人科の時間外入口から入って、当直の看護師さんに封筒を渡した。
 
これが8時少し前、ちょうど玲央美たちが新大阪駅にバイクで辿り着き、新幹線に飛び乗って広島へ向かった頃の時刻であった。
 

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「千里、今日は時間取れるの?」
「朝御飯食べてから、市川ラボに戻って手合わせしない?」
「それいいね!」
と本当に貴司は嬉しそうである。
 
ひょっとして射精より喜んでない?まあ、そういう貴司も好きだけどね。
 
それでA4 Avantは貴司のマンションに駐めて!近くのHホテルに行き、そこのモーニングを一緒に食べた。
 
その後、マンションの“駐車場”に戻って(むろん部屋には寄らない)A4 Avantを運転して、しばしドライブデートする。“遠回り”と称して、このようなルートで市川町まで行った。
 
千里IC(府道2号)吹田IC(名神)大山崎JCT(京都縦貫道)丹波IC(R9)福知山IC(舞鶴若狭道路)春日JCT(北近畿豊岡道路)和田山JCT(播但道路)市川南ランプ
 
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この時期、京都縦貫道路は南側は大山崎〜丹波、北側は京丹波わち〜宮津天橋立までしかできていない(難工事になった丹波〜京丹波わちが工事中)。大山崎は名神との接続点、宮津天橋立は山陰近畿自動車道との接続点である。
 
それで丹波ICから福知山ICまでの36kmは国道9号を走ったのである。千里〜丹波が75km, 福知山〜市川南が95kmで合計206km。カーナビは所要時間2:52と表示していた。
 
実際には市川から豊中市まで千里が運転したので、千里(せんり)から国道9号途中のローソン(福知山市内)まで1時間半ほどは貴司が運転。少し休憩した後、播但道路の朝来(あさご)SAまでを千里が運転、その後市川まで28kmほどをまた貴司が運転した。市川ラボに到着したのは12時すぎであった。
 
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「たまには泳ごうよ」
「あ、地下にプールがあるんだよね。こないだエレベータで間違って入り込んだ」
「いつでも泳いでいいらしいよ。使う時は循環濾過装置のスイッチ入れてって」
「へー」
と言ってから
「あ、でも水着持ってないかも」
と貴司が言うので、千里は
「これどちらか使って」
と言って、可愛いプリキュアの女性用ワンピース水着と、あまり色気の無いアディダスの男性用水着を見せる。
 
「こちら使わせてもらう」
と言って、貴司はアディダスの男性用水着を取った。
 
「私の前で遠慮しなくてもいいのに。可愛い水着着てもいいんだよ」
「さすがにプリキュアは無理!」
「ふふふ」
「千里は何着るの?」
「見てのお楽しみ」
 
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それで各々更衣室で着換えるが、千里がごく普通のアディダスの競泳用水着を着ているのを見ると、貴司はガッカリしたような顔をしていた。
 
「貴司のと、お揃いだよ」
「あ、ほんとだ」
 
それで1時間ほど泳ぐが、千里は水着姿に熱い視線を感じて快感だった。
 
「千里もっと可愛い水着、着ないの?」
「私もさすがにプリキュアは無理」
「いや、ビキニとか」
 
「ビキニで泳いでいたら外れる気がする」
「そ、そうだね」
「貴司がビキニ着る?」
「僕が入るビキニなんて無いよ!」
「ふーん。入るのがあれば着たいんだ?」
「そういう趣味は無い」
「ブラジャー着けるの好きな癖に。今度用意しておこうかなぁ」
 

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泳いだ後、居室で軽食を取ってから体育館のフロアに上がり、2時間ほど手合わせをした。
 
「千里無茶苦茶強くなってる」
と貴司は言った。
 
1on1をすると、実際問題として千里が6〜7割勝つ感じであった。ランニングシュートの練習(相手がゴール前で立っているだけの状態でシュートする。但し千里は身長差分、台に乗る)ではさすがに貴司の方が圧勝である。しかしこの練習でも、以前は千里の全敗に近かったのに、この日は千里も2割くらいボールをゴールに叩き入れ、
「千里かなりうまくなっている」
と言われた。
 
「貴司はもっと頑張ろう」
「うん。頑張らなきゃダメって思った」
「今季も全勝で優勝しよう」
「頑張る」
 
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大阪実業団のリーグ戦は10月27日から始まっているが、現在MM化学は2連勝である。
 

16時前にあがって交替でシャワーを浴びた。
 
「今日のおやつはカノム・チャン」
と言って、タイで買ってきたお菓子を出す。
 
「これきれいだね!」
「タイに行ってきた友だちのお土産なんだよ」
「へー。タイのお菓子なのか」
 
それを食べながらおしゃべりしていたのだが、千里は
「眠くなっちゃった。私少し寝るね」
と言って(実際かなり眠たい)、貴司の前で服を脱ぎ下着だけになってから、ベッドに潜り込み“左側半分”に寝た。貴司がごくりと唾を飲み込むのを感じる。
 
「えっと・・・千里の隣に寝ていい?」
「裸でなくて下着までならどうぞ。10cm空けてね」
「このベッドで10cmはきついんだけど」
「じゃ1cmでもいいよ」
「そうさせてもらう」
 
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それで貴司は千里の隣にシャツとトランクスだけになって寝た。千里が寝ぼけたふりをして貴司の股間に手をやると、ドキドキしているのが震動で伝わってきて快感だった。
 
「自分でするのは・・・いいよね?」
 
などと独り言のように言い、千里の掌でそれを包むようにして刺激していた。今朝1度出したせいか少し時間が掛かっているようだったが、7-8分で逝けたようである。貴司はティッシュで拭いた後、千里にキスをすると眠ってしまった。千里も大会の後のドライブデート、そして貴司と2人での練習というので疲れて深い眠りに落ちていった。
 

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20時すぎ、貴司は目を覚ました。
 
今日は祝日でドラゴンズの公式練習は休みなのだが、何人かは来るはずである。
 
まだ寝ている千里にキスをし、ガードルとブレストフォームで女体偽装!?した上で、練習着を着ようとしていたら、テーブルの上に乗っているサンドイッチに気付く。「食べてね♥」と書かれているので、千里に「ありがとう」と言って、またキスする。
 
食べていたら、ちょうど表に誰か到着したような音がする。それで貴司は上に上がっていった。
 
その遠ざかる音を聴いてから千里も起き上がる。時計を見ると20:40で、スペインでは12:40である。レオパルダの練習用ユニフォームに着換える。グラナダのアパートで「まだかなぁ?」という顔をしていた《すーちゃん》と入れ替わる。そして自転車に乗って、レオパルダのトップチームが練習している体育館に向かい、その日の練習に参加した。
 
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この日の千里の練習は18時であがるように言われたので、買物などして19時にはアパートに戻った。これが日本時間では午前3時である。千里はまた日本にいる《すーちゃん》と入れ替わって市川に戻り、練習が終わって熟睡している貴司のそばに添い寝した。
 
11月5日(火)は朝御飯を一緒に食べて、甘地駅で
「あなた、いってらっしゃーい」
と言って貴司を送り出した。
 
その後は葛西にいる《てんちゃん》と交替して、夜まで作曲作業を続けた。
 
ヨーロッパは冬時間になっているので、日本との時差はこのようになっている。
 
練習 ESP 14:00-21:00 JPN 22:00-_5:00
睡眠 ESP 21:00-_3:00 JPN _5:00-11:00
作曲 ESP _3:00-14:00 JPN 12:00-22:00
 
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この後、しばらく千里は忙しい時間が続いた。
 
11月7日(木)夕方には江東区の体育館で秋葉夕子と手合わせをした。これが40 minutesの初稼働日である。
 
「千里ちゃん、物凄く強くなってる!」
と夕子は驚いていた。
「これならもう日本代表に復帰できるよ!」
と言うので
 
「じゃ内緒ね」
と言って、アジア選手権で優勝した後の記念写真と金メダルを見せると
「うっそー!? 結局アジア選手権に出たの?」
と言ってまた驚いていた。
 
でもその強い千里に少しでも対抗できるように頑張ると彼女は言っていた。
 

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11月9日(土).
 
この日はスペイン時刻18:00(日本時刻11/10 2:00)からバルセロナでLFBの試合が設定されていた。集合は2時間前(日本時間・午前0時)である。
 
この日青葉が朝から、はくたか+新幹線で千葉に出てきた。先日千里と彪志で見に行った土地を自分の目で見るためである。
 
高岡6:32-8:41越後湯沢8:49-9:55東京10:10-10:50千葉
 
千里は金曜日の練習が日本時刻で11/9 5:00頃終わったので、その後グラナダ市内のアパートで5時間寝た後、千葉に転送してもらい、西千葉の立体駐車場からミラを出して、まずは桃香を拾い、それから千葉駅で青葉と彪志を拾ってその土地に向かった。
 
ミラは坂道に入るとかなり速度が低下したものの、何とか停まったりせずに、その土地まで辿り着く。千里はミラを土地の真ん前に駐めた。
 
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「まあ青葉は軽いから大丈夫とは思ってた」
などと桃香は言っていた。
 
青葉は土地や立地としては気に入ったようだが、盛んに首をひねっている。
 
「どうしたの?青葉」
「いや、ここがあまりにもきれいなもので」
「へ?」
 
「こんな場所に廃墟があれば、ふつう雑多な霊が溜まっていてもおかしくないと思うんだけど、何にも居ないんだよ」
 
「何も居なければ問題無いのでは?」
「でもなぜこうなったのかが分からない」
 

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青葉は悩んでいたものの、後ろに居候している女神様が笑顔なので、ここでいいだろうと決めたようである。
 
それで不動産屋さんに行き、購入手続きをした。
 
「解体祓いとか地鎮祭は青葉が自分でする?」
と桃香に訊かれたが、
「私は正式な神職ではないから、どこかの神社に頼もうかな」
と言う。すると千里が
「知り合いが勤めている神社があるから、そこに依頼しようか?」
といい、千里が推奨した千葉市内のL神社に頼むことにした。
 
そのあと一行は弁護士さんの所、工務店さんに回った。工務店はL神社は繋がりがあるのでそこに地鎮祭をしてもらうのは問題無いと言った。
 

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この日は夕食を4人で一緒に取った後、青葉は彪志と一緒に彼のアパートへ、桃香はガールフレンドと会うということでモノレールで移動。千里はミラを駐車場に戻し桃香のアパートで1時間仮眠してから、試合のあるバルセロナに転送してもらって、会場に入った。
 
スペイン時刻で20時頃、試合が終わって解散になるので、その日はバルセロナ市内のホテルで寝て、午前1時(日本時間朝9時)に起床。《すーちゃん》と入れ替わりで日本に戻る。ミラを出し、千葉駅で桃香・青葉・彪志を拾って、東京に向かった。
 

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