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■娘たちの世界挑戦(6)

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さて、この時点で1位ロシア、5位ラトビア、6位ウクライナは順位が確定している。しかし2〜4位はこの最終戦の結果次第である。
 
もし日本が負けた場合は、2位オーストラリア・3位ブラジル・4位日本で、日本は準々決勝でA組1位が確定しているアメリカとぶつかることになる。
 
日本が勝った場合は3勝で3ヶ国が並ぶので「相互得失点率」の勝負になる。つまりこの3ヶ国同士の対戦成績のみで得失点率を計算し、その上位から順位が付くことになる。
 
現時点では3者の対戦成績はこのようになっている。
 
AUS____ JPN____ BRA____ 得点_ 失点_ 得失点率 AUS ------- ◇xx-yy ○77-74 77+xx 74+yy JPN ◇yy-xx ------- ×80-82 80+yy 82+xx BRA ×74-77 ○82-80 ------- 156__ 157__ 0.993
 
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ここで日本がブラジルを得失点率で上回るためには常識的な点数の範囲では2点差以上で勝つ必要がある。たとえば1点差の76-75で勝った場合、80+76=156, 82+75=157で、ブラジルと得失点が同じになり、その場合直接対決でブラジルが勝っているので、ブラジルが上位になるのである。
 
2点差であれば日本の得失点率は1.000になるのでブラジルを上回り3位になる。
 
ところがここで日本が3点差以上で勝った場合を考えてみる。例えば76-73で勝った場合、日本の得失点率は 156/155=1.006、オーストラリアの得失点率は150/150=1.000 となって日本はオーストラリアを上回り2位になってしまう。
 
日本敗戦→2.AUS 3.BRA 4.JPN
1点差勝→(同上)
2点差勝→2.AUS 3.JPN 4.BRA
3点差勝→2.JPN 3.AUS 4.BRA
4点差勝→(同上)
5点差勝→2.JPN 3.BRA 4.AUS
 
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さて2位になった場合と3位になった場合の違いは何かというと、決勝トーナメントのどこに組み込まれるかである。
 
USA(A1)┓
BRA(B4)┻□┓
FRA(A3)┓ ┣□┓
___(B2)┻□┛ ┃
ESP(A2)┓   ┣□
___(B3)┻□┓ ┃
CAN(A4)┓ ┣□┛
RUS(B1)┻□┛
 
予選リーグを3位通過した場合、準々決勝ではA組2位のスペイン(ESP)と当たる。そこに勝った場合は、ロシア(RUS)とカナダ(CAN)の勝者と当たるがたぶんロシアになるであろう。予選リーグの再戦になる。
 
ところが予選リーグで2位になった場合、準々決勝の相手はフランス(FRA)で、そこに勝った場合は、アメリカ(USA)とブラジル(BRA)の勝者と当たることになるがたぶんアメリカであろう。
 
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つまり3位通過なら準決勝の相手がロシアであるのに対して2位通過だと準決勝の相手はアメリカになる訳で、より絶望度が高い。
 
昨夜玲央美が高田コーチに言っていたのはこのことである。
 
つまり2点差で勝って3位になれば準決勝でロシアに勝ち決勝に進出する可能性が少しはあるのに、3点差以上で勝って2位になると準決勝でアメリカに勝つのはほぼ無理である。つまり2位になるより3位になった方が良いという不条理な仕組みになっている。
 
しかしアメリカと本気の対戦をする機会は少ないので、楽しみだと玲央美は言っていたのである。玲央美の本心としては、アメリカや“本気の”ロシアに現在の日本の実力でかなう訳がないので、どうせ準決勝で負けるなら、アメリカともやっておきたいという所である。
 
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なお2年前のU19では日本はアメリカに109-68で大敗している。
 

さて、この最終戦はどうも奇妙な戦いになった。
オーストラリアはこのようなメンツで始めたのである。
 
11.ミラー/12.トロ/10.ホワイト/14.ボーガー/15.サドラー
 
明らかに控え組でのスタートである。
これに対して日本はこのような“マジ”なスターティング5であった。
 
11.早苗/7.千里/14.絵津子/9.王子/10.サクラ
 

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オーストラリアのスターターを見た朋美が高田コーチに訊いた。
 
「これもしかしてオーストラリアさん“あれ”を狙ってませんか?」
 
しかしコーチが答える前に彰恵が言った。
「その件、この試合中は口にしないこと」
 
玲央美も言う。
「うん。それを知ると、プレイに影響が出る子が多いよ」
 
「たぶん・・・これ分かってるの、私たち3人だけじゃない?」
と彰恵。
 
「そんな気がする」
と玲央美。
 
高田コーチが苦笑していた。百合絵や江美子は「何だろう?」という顔をしている。
 

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この試合は、彰恵や朋美たちが想像した通りの展開となった。
 
オーストラリアは明らかに手抜きしていた。
 
出ている選手は頑張っているのだが、主力をなかなか投入しないのである。日本が頑張って少し点差がつき始めたりすると投入するが、追いつくと下げてしまう。
 
出ているオーストラリアの控え組選手たちが必死に頑張るのに対して、日本側では絵津子、純子、王子の3人も、江美子やサクラもよく得点し、千里もどんどんスリーを放り込む。
 
それで最後は日本が1点リードしている局面から、千里がスリーを放り込み、97-93というハイスコアで日本が勝利した。
 
ハイスコアなのでみんなの得点も凄い。千里は結局12本もスリーを放り込み、オーストラリアのハモンド(U19の時にベストファイブに選ばれている)も出場時間こそ短いものの5本放り込んで、スリーポイント競争の3位にしっかり付けていた。
 
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試合が終了した時、コート上に居た、千里や絵津子、王子たちが物凄い歓喜で抱き合って喜んでいた。
 
一方、オーストラリアは最後の93点目を入れた主将のマーティンがホッとしたような表情をしていたのが印象的であった。実はマーティンにとっては最後の日本の得点は2点でも3点でも良かったのである。ただシュート失敗が非常に少ない千里がボールを持ったので、うまく行った!という感じだった。
 
「97 to 93, Japan won」
と主審が告げ、双方握手する。どちらも笑顔で握手し、ハグしたりもした。
 
この時、絵津子や純子はなぜオーストラリアが負けたのに明るいのか、首をかしげていた。
 

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本日の結果。
BRA88○−×82LVA RUS86○−×62UKR AUS93×−○97JPN
 
確定順位 1.RUS(5勝) 2.JPN(3勝) 3.AUS(3勝) 4.BRA(3勝) 5.LVA(1勝) 6.UKR(0勝)
 
2-4位の相互得失点表
 
___ JPN__ AUS__ BRA__ for agt average JPN ----- 97-93 80-82 177 175 1.011 AUS 93-97 ----- 77-74 170 171 0.994 BRA 82-80 74-77 ----- 156 157 0.993
 
この結果、決勝トーナメントはこのような組合せで行われることになった。
 
USA(A1)┓
BRA(B4)┻□┓
FRA(A3)┓ ┣□┓
JPN(B2)┻□┛ ┃
ESP(A2)┓   ┣□
AUS(B3)┻□┓ ┃
CAN(A4)┓ ┣□┛
RUS(B1)┻□┛
 
3ポイント成績
日本・村山 39本
アメリカ・フィオリーナ 30本
オーストラリア・ハモンド 21本
スペイン・フェルナンデス 16本
 
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「え〜〜〜!?準決勝でアメリカと当たるんですか!?」
 
と多くの選手が声を挙げた。
 
「準々決勝でフランスに勝ったらだけどね」
 
この日の夕食は試合が終わって着換えた後、韓国プルコギのお店に行ったのだが、食事をしながら決勝トーナメントのことを話していた時、確定した組合表を見た選手たちの間から驚きの声があがった。
 
むろん千里も
「うっそー!?」
と言った組である。
 
選手の中でこれを知っていたのは、やはり朋美・彰恵・玲央美の3人だけであったようだ。
 
「アメリカとまともに勝負するなんて、なかなか無いから頑張ろうよ」
「2年前はダブルスコアで負けたから、今回はこちらがダブルスコアで勝つということで」
 
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と彰恵や朋美が言う。
 
「ひぇー!?」
と大半の子が悲鳴をあげるが
 
「じゃ50点差くらいで日本が勝ちましょうよ」
と王子が言うと
 
「さすがに50点差は無理だから20点差くらいで」
と絵津子が言い
 
「よし、まずは準々決勝のフランスに30点差勝ちして、その勢いでアメリカに20点差勝ちしましょう」
と純子が言う。
 
絵津子と王子はかなり本気で言っているが、純子は冷静ではあるもののそれに合わせている感じでもある。しかし若手3人が盛り上がったので、千里たちの世代も
「よし、このままアメリカにも勝って、決勝戦でロシアを倒して優勝だ!」
 
などという話になり、この日は大いに盛り上がったのであった。
 

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なおこの日オーストラリア側としては、このまま2位になると準決勝でアメリカと当たることになり、かといって4位では準々決勝でいきなりアメリカと当たるので3位になるのが理想であった。そのためには日本に3点差または4点差で負けることが必要だったのである。
 
2点差負けだとオーストラリアは2位、5点差負けだと4位になってしまう。
 
それでオーストラリアは控え組に主として試合をやらせて、時々主力を少し入れて点差の調整をしていたのである。オーストラリアとしては、とっても上手に負けることができた。それが最後のマーティンのホッとした表情だった。
 
心配していたのは、あまり手抜きして八百長を疑われることだが、控え組は自己アピールの場なので頑張ったし、日本はこの問題を知ってか知らずか必死に戦っていた(実は朋美・玲央美・彰恵は「全ての手の内をさらけ出さないように調整」していた)ので、結構熱戦になってくれて安心した所であった。
 
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7月9日は休養日で試合が無い。しかし日本は朝から夕方までみっちりと練習をした。但しこの日は18時で練習を打ち切り、その後エステに行って筋肉を揉みほぐしてもらった。
 
例によって幾人かが
 
「すみません。うちは女性のみ(Ladies only)なんですが」
と言われていた。
 
王子の筋肉はあまりにも硬くて若手のエステティッシャンが音を上げベテランの人に交代していた。しかし王子はマッサージしてもらった後、
 
「何か身体が軽くなった気がします」
などと言っていた。
 
「だったら高く飛べるし、ダンクも楽々決められるね」
「ええ。どんどんダンクします」
 

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7月10日(日)。
 
この日はまず9時と11時から、9-12位決定戦が行われた。
 
LVA88○−×34EGY CHN78○−×68UKR
 
勝ったラトビアと中国は明日9-10位決定戦、負けたエジプトとウクライナは11-12位決定戦に回る。
 
その後、準々決勝が行われる。
 
13:00 FRA-JPN 15:00 ESP-AUS 17:00 CAN-RUS 19:00 USA-BRA
 
日本は準々決勝の1番手、13時からの登場であった。
 

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