広告:メイプル戦記 (第2巻) (白泉社文庫)
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■娘たちの危ない生活(7)

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桃香は結局翌日、2月1日(火)の早朝、戻って来た。
 
「飲み過ぎたぁ」
などと言っているので、《予め用意していた》オレンジジュースとアイスクリームを出してくると、美味しそうにアイスを食べ、オレンジジュースを飲んでいた。
 
「きついから学校休みたいけど、試験前だから休めん」
などと桃香は言っている。
 
「学校まで歩けば少しは酔いが覚めるかもね」
「そうするか」
 
一緒に朝御飯を食べてから、千里が茶碗を片付けている間、桃香はパソコンでmixiの書き込みを見ているようである。
 
「畑中さんとの関係は、桃香がネコちゃんなの?」
と千里は茶碗を洗いながらなにげなく訊いた。
 
「まさか。私がネコになる訳無い。私はいつもタチだよ。昨夜も私があいつに入れたよ」
 
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「じゃ彼って、FTMだけどネコなんだ?」
「あいつ彼女いるけど、彼女がいつも男役らしいよ」
「それでも男の子になりたいんだ?」
「女の子に騎乗位でされるのが理想だとか言っていた」
「やはり性の問題って難しい」
「うん。正直完全には理解できない人の方が多い」
「確かにね〜」
 
そんなことを言っていたら、いつの間にか千里の後ろに忍び寄っていた桃香が後ろから千里のお股に触った。
 
「きゃっ!」
「ごめんごめん」
「次これやったら、遠慮無く顔面蹴るからね」
 
「すまんすまん。でも千里、まだ少し時間あるしさあ、学校に行く前に1発やらない?」
 
桃香って・・・・ほんとに男の子の発想だよなあと千里は改めて思う。
 
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「セックスはしません」
「ケチ」
 

千里はハッキリ言っておかなければならないと思った。
 
「桃香、何度も言ってるけど、私は彼氏がいるから、桃香の求めには応じられないから」
「でも彼氏って大阪なんだろ?普段の性欲解消くらいいいじゃん」
「私は嫌です」
 
「しかし千里に夜這いを掛けて、その度にお腹とかお股とか蹴られるのも辛い」
「桃香が私を襲おうとするからだよ。顔も蹴られないように気をつけてね」
「それも辛い」
 
ふたりは少し話し合ったのだが、千里も少し妥協することにした。
 
「だったら、バストに触るのまでは女の子同士のふざけ合いの範疇ということで、許すけど、お股はやめて」
「気持ち良くしてあげるのに」
 
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お股に触られると、おちんちんが無いことがバレるので(今日はあるけど)困るのだが、ここは千里は詭弁を使うことにした。
 
「おちんちんは、自分でもできるだけ触らないようにしてるんだよ。だって触ると自分が男であることが悲しくなっちゃうから。だから桃香にも触って欲しくない」
 
「うーん。。。じゃしばらく控える。でも千里は私のお股には触っていいから」
「それも触らない。だって女の子のお股に触ったら、羨ましくて、すぐにも手術したい気分になるから」
 
「すぐ手術してもいいんじゃない?あ、待って。精子を保存してからにしてくれ」
「それも気が進まないけど、まあいいよ」
「おっぱいは触ってもいいのね?」
「そこまではいい」
 
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「キスは?」
「拒否」
「友だち同士でもキスするぞ」
「じゃ友情のキスならいい。舌入れるのも無しね」
「OKOK」
 
なお千里の身体は2月2日の朝に女の子に戻った。
 

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2月3-10日は後期の試験がある。千里はファミレスの方は1月下旬以降海外遠征のためお休みにしてもらっていたのだが、10日まで休ませてもらうことにしていた。そして試験なのでたくさん勉強しなければならない。勉強場所を求めて朱音や玲奈が桃香のアパートにやってくるが、すぐに気付く。
 
「千里の私物が増えている気がする」
「それに真新しい布団が2組もある」
 
「私のアパートがこないだの大雨で崩壊しちゃったんだよ」
「うっそー!?」
「元々ガス爆発にやられて、かなり傷んでいたから、今回の雨で一気に崩れてしまったんだろうということで。だから、次のアパートが見つかるまで一時的にここに同居させてもらうことにした。新しい布団は市からお見舞いにってもらった。私は古いピンクのを使うから、新しい布団は朱音たち使っていいよ」
と千里。
 
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「使わせてもらおう。でもそれなら同居というより同棲?」
 
「まさか。だって私と桃香はお互いに恋愛対象外だし」
「その主張は何度も聞いているのだが、微妙に疑問もあって」
「いつまで同居の予定?」
 
「取り敢えず私、夏までほとんど時間が取れないんだよね。だから引越先を探すのも秋以降かな」
と千里は言うが
 
「いや、ずっと居てもいいのだが」
と桃香はまた言っている。
 
取り敢えず7月がU21世界選手権、8月がユニバーシアードである。もしフル代表にも招集された場合は、8月はU24(Univ)のユニバーシアードとフル代表のアジア選手権の連チャンになる。
 

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大学は試験中であったが、2月5-6日は関東クラブバスケット選手権が山梨県立小瀬スポーツ公園体育館および南アルプス市櫛形総合体育館で行われるので、行ってくることにする。この大会で上位に入れば3月の全日本クラブ選手権に出場できて、そこで上位になれば全日本社会人選手権に出られて、そこで上位になれば、来年正月のオールジャパンに出場できる。これはオールジャパンへの長い長い道のりである。
 
玉緒が先行して2月4日に甲府に入り、夕方からの代表者会議(ベルクラシック甲府)に出席してくれている。他のメンツは5日朝から総武線などで新宿駅に出て《スーパーあずさ1号》に乗車。甲府駅からバスで30分ほど揺られて、櫛形総合体育館に到着した。女子の試合は今日はここで行われる。
 
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「最近ほとんど顔を見ない沙也加だけど、4月から就職するので3月いっぱいで退団したいということだった」
と浩子が報告する。
 
「きちんと就職できたのなら良い良い」
と玉緒が言っている。
 
玉緒は「短大生です」と言うのが恥ずかしいくらいにほとんど学校に行かずにバイトに明け暮れる2年間を過ごして(しばしば「私OLでーす」などと言っている)今春に卒業予定(それで卒業させてくれる所がすごい)なのだが、就職活動もほとんどしていないので、4月からの行き先が無い。取り敢えず今会社事務のバイトしているところで4月以降もバイトを続けることで、会社側と同意しているらしい。
 
「同じくほとんど出てきてない茜については、あまり顔出せないけど気が向いた時に練習に出てきていい?とか言うから、いいよいいよと言っておいた」
と浩子。
 
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「じゃ茜ちゃんはそういうことで」
 
現在ローキューツの選手は18名おり、全員出てくるとベンチに入れないのだが、今日はその沙也加と茜が来ていないので16名であり、全員ベンチに座ることができる(この大会は監督・コーチ・アシスタントコーチ・マネージャー1名ずつと選手16人の合計20名がベンチに座ることができる)。但し今回玉緒は、とても自分が出られるような大会ではないからマネージャーということにさせてくれと言うので、マネージャー登録することにした。従って今日は選手15名である。
 
来年以降は大会のレベルとかでベンチに座らせる人を選ばないといけないなあと麻依子・浩子とは話していた。たぶん玉緒などはシェルカップとか栃乙女カップのような気軽な大会要員になるだろう。逆に千里や麻依子はそういう大会では客席応援になる。
 
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関東クラブ選手権は関東8都県から2チームずつ代表が出てきて16チームで争われる。今日のタイムスケジュールはこうなっていた。
 
9:00 1回戦AB 10:35 1回戦CD 12:10 1回戦EF 13:45 1回戦GH 15:20 2回戦AB 16:55 2回戦CD
 
ローキューツは10:35の試合に割り当てられていた。勝てば15:20の2回戦に進む。1回戦の相手は栃木2位のチームであった。
 
浩子/夏美/聡美/夢香/桃子
 
というメンツで出て行ったのだが、相手は桃子の背丈を見ただけでビビっている雰囲気である。ティップオフもこちらが取り、こちらが先に攻めて行くがスクリーンとかをしなくてもそのまま点が取れる感じである。菜香子、元代、司紗などを順次投入していくものの、実力差は明白だった。50-88で快勝して2回戦に進出する。
 
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午後に行われた2回戦の相手は茨城1位のなかなかギャルズである。茨城県予選の決勝でサンロードスタンダーズに勝ってここに出てきている。那珂市・ひたちなか市付近の20-30代の女性で結成したクラブのようだが、薫の事前分析では、ひたちなか市を拠点とするWリーグ所属プロチーム・ハイプレッシャーズのOGが数人入っているということのようである。現在のハイプレッシャーズには昨年度ローキューツにいた小杉来夢が加入している。
 

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凪子/国香/薫/岬/桃子
 
というさっきよりは強いメンツで出て行く。これで前半はかなり競ったゲームとなり、前半終わった所で38-32と向こうが6点リードしている。
 
「どうする?主力投入する?」
「迷うくらいなら、私が出よう」
と麻依子が言って、彼女が後半出て行くことにする。
 
すると麻依子は前半休んでいたこともあり、相手エースを軽く翻弄する。あっという間に逆転して、どんどん引き離す。結局72-84で勝った。
 
この結果、ローキューツはこの大会で4位以上が確定。3月19-21日に浜松市で行われる全日本クラブバスケットボール選手権への出場が決まった(6位以上で進出)。
 

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バスで甲府まで戻り、甲府市内の旅館に泊まる。
 
「でもこういう遠征の時、だいたいホテルではなく旅館になっているような気がする」
という声があがる。
 
「まあ多人数の場合は、その方が安くなる場合が多いというのもある」
「お風呂も大浴場の方が疲れが取れる気もする」
という声もあるが
「大浴場に行くと、脱衣場で悲鳴上げられたり、『えっ?』という顔で見られるのが・・・」
という一部の声もある。
 
「確かに女であることをみんなに確認してもらうために大浴場に入っているんだったりして」
「セックスチェックなのか!?」
 
「男なのに女湯に入ったことのある人知ってるけど」
と薫が言うと
 
「そんな犯罪者は即通報しなきゃ」
 
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などと千里が言う。
 
その2人の会話を聞いて司紗と麻依子が思わず呆れたような顔をしていた。
 

翌2月6日、準決勝と決勝は男女ともに甲府市内の小瀬スポーツ公園体育館で行われる。昨日の南アルプス市の体育館もこの体育館も、甲府市中心部からバスで30分ほどでアクセスできる。ただ、今日は泊まった旅館が「送迎サービス」の範疇ということで会場まで送ってくれた。
 
おかげで10分程度の所要時間で楽に会場入りすることができた。
 
今日のこちらの試合スケジュールはこのようになっていた。
 
9:00 女子準決勝 10:35 男子準決勝 12:10 女子3決&決勝 13:45 女子表彰式 14:00 男子3決&決勝 15:40 男子表彰式
 
ここまで勝ち残っているのはこの4チームである。
 
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江戸娘(東京1位)
ローキューツ(千葉1位)
ビッグベース(埼玉1位)
サザン・ウェイブス(千葉2位)
 
ローキューツの準決勝の相手は埼玉のビッグベースであった。製紙会社の社員を中心に運用されているチームで、実質実業団ということのようである。
 
マジなオーダー、
 
凪子/千里/岬/麻依子/誠美
 
で出て行く。
 

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