広告:國崎出雲の事情-9-少年サンデーコミックス-ひらかわ-あや
[携帯Top] [文字サイズ]

■女子高校生・冬の夜なべ(11)

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
前頁次頁目次

↓ ↑ Bottom Top

和弥は卒業式を2日後に控えた3月19日、クラスメイトの女子から
「卒業式前日の夕方に女子の卒業生で集まろうと言ってるのよ。かずちゃんもおいでよ」
と誘われた。
「女子だけで?」
「かずちゃんも女子だもん」
「うーん」
「振袖とか著てさ」
「振袖・・・・・」
 
コリンが言った。
「振袖の着付けできますよ。任せてください」
「振袖自体は?」
「レンタルしてきますよ。レンタル代と下着代だけ出してください」
「分かった!」
 
和弥はやや不純な気持ちで振袖とか著てみたい気がしたので、振袖のレンタル代と下着代で5万円コリンに払った。(やはり女の子になりたいのね)
 

↓ ↑ Bottom Top

20日の午後、着付けしてもらうが
「先にトイレいっておいたほうがいいです」
と言われて行ってくる。
 
その後でコリンは、肌襦袢・長襦袢と着せて更に紺色の振袖を着付けしてくれた。この作業に1時間半かかった。なるほど確かに先にトイレに行っておく必要があったなと思った。
 
着付けが終わり帯も締めてもらってから、コリンに車で送ってもらい、すかいらーくに行った。
 
「おぉ、やはりかずちゃん振袖姿も可愛い」
とみんなに言われた。他の子も8割くらいが振袖だった。お店の人が記念写真を撮ってくれた。
 
服が服だけに汁物など服を汚す危険のあるものは避けて、チキンやポテトなどをつまみ、1時間くらいおしゃべりして解散した。でもたくさんお互いに記念写真を撮り合った。
 
↓ ↑ Bottom Top

20日夜に常弥と花絵が来たがが、それまでには普通の(男物の)服に着替えていた。肌襦袢・長襦袢はコリンが洗濯しておくと言っていた(実は千里の家に置いて来た)
 

↓ ↑ Bottom Top

3月21日(金)、伊勢の皇學館大学で卒業式が行われ、和弥は修士課程を終了、修士の学位を取得すると共に、神職の階位“明階”を取得した。
 
和弥は2年前に正階を取得していたのだが、これでひとつ上の階位を取得したことになる。
 
和弥はこの卒業式には男性用のスーツで出席した。
 
常弥と花絵も臨席した。
 

↓ ↑ Bottom Top

卒業式のあと、和弥のアパートの荷物をウィングロードとミラの2台に分けて載せて姫路に移動した。それでアパートは鍵を返却した。
 
まゆりの予定日が近いので常弥もしばらく姫路(の花絵の家)に留まる。また札幌の睦美(和弥の母)も近日中に姫路に来ることになっている。P神社には神社庁にお願いして臨時代理の神職さんに来てもらっている。
 
氏子さんたちの会話
「神社に見慣れない神主さん居るね。宮司さんどうしたの?死んだ?」
「そうじゃなくて若神主さんに子供が産まれそうだから、そちらに行ってるんだって」
「ああ、とうとう生まれるのか」
 

↓ ↑ Bottom Top

3月22日(土).
 
10時頃、村山家の電話が鳴った。津気子は取ろうとしない。家に掛かってくる電話は、何かの督促、何かのセールスやアンケート、というものが多く、取りたくないのである。
 
「おい電話取らないのか」
と言って武矢が取った。
「はい。はい?ちょっと待って」
 
武矢は送話口をふさいで津気子に言った。
「おい、S高校だって。でも言ってることがよく分からん」
 
それで津気子が出る。
「はい。はい。はい!」
 
津気子は驚いていたがやがて玲羅に訊いた。
 
「玲羅、あんた、S高校に補欠合格だって。入学の意思があるなら今日の15時までに高校まで直接来て入学手続きしてくれって。あんたS高校に入る?」
「入る!」
 
↓ ↑ Bottom Top

それで津気子は電話の相手に「すぐ手続きに行きます」と伝えた。
 
こうなるとU高校に払った入学金が惜しいがU高校の入学手続きは昨日までだったので、やむを得ない。一昨日が本来のS高校の入学手続き締め切りだった。それで手続きをしなかった人が予想より多く、補欠合格者を若干出したのだろう。津気子が聞いた電話ではどうも成績上位者から入学意思を確認しながら1本釣りしている雰囲気だった。
 
生徒の数は定員を大きく下回ると文部科学省から注意されるがオーバーすると、施設に収容できなくて困る。
 

↓ ↑ Bottom Top

「入学手続きに入学金5000円要るらしいけど、玲羅あんた5000円とか持ってないよね?」
「お母ちゃん、私が手続き行ってくるよ」
と玲羅は言った。母では“危ない”気がした。母はそもそも方向音痴だし!
「そう?じゃお願い」
 
玲羅は家を出ると家の前の細い坂を下りる。

 
 
玲羅は道を降りながらサハリンの携帯に電話した。
「車をロゼお姉ちゃんの家の前までお願い」
「すぐ行きます」
 
深川司令室に居たサハリンはGに頼んで留萌司令室に自分を移動してもらい、そこに駐めてあるタントを運転してC町に向かった。
 

↓ ↑ Bottom Top

玲羅はロゼの家に飛び込むと
「お姉ちゃん少しお金貸して」
と言った。
「どうしたの?」
「私S高校に補欠合格だって。でも15時までに手続きしないといけないらしい」
「だったら私も付いてってあげるよ」
「助かる。それとサハリンをこの家の前まで呼んでる」
「了解」
 
サハリンの車はすぐ来た。ロゼットと玲羅でタントに乗りこみS高校に向かう。
 
「駐車枠に駐めてますから先に降りてください」
とサハリンが言うので千里と玲羅は遠慮無く降りた。校舎に入ると千里は迷わず事務室に向かった。このあたりがお姉ちゃんはいつも凄いよなと玲羅は思った。千里姉はまず迷子とかになることが無い。
 

↓ ↑ Bottom Top

事務室の入口で千里が来意を告げるとすぐ受験担当の人が出て来て入学手続きをしてくれた。入学金の5600円を千里が払い、玲羅は入学許可証を受け取った。入学までに準備しなければならない物を千里が確認する。
 
「じゃ教科書とか体操服は入学説明会の時に買えばいいんですね」
「はい。だから制服だけ頼んでおいて下さい」
「分かりました。ありがとうございます」
 
それで千里はサハリンの車で玲羅をジャスコに連れて行くとS高校の制服を注文してくれた。10日くらいかかるらしい。30日の入学説明会に間に合うかどうかは微妙だが、入学式に間に合えば何とかなるだろう。制服代はその場で千里が払った。
 
「これ教科書代と体操服や内履き代に」
と言って千里は玲羅に10万円入りの封筒を渡した。
 
↓ ↑ Bottom Top

「入学祝いはあとで赤からもらいなよ」
「うん。ありがとう」
「あとお弁当箱買ってあげるよ」
と言ってロゼ姉はお弁当箱を売っているコーナーで玲羅の希望する弁当箱を買ってくれた。
 
「男の子が使うようなの選ぶね」
「可愛いお弁当箱はお腹が空く」
「それは言えてる」
 

↓ ↑ Bottom Top

しかしそういうわけで玲羅はS高校に滑り込み合格したのである。
 
玲羅はS高校普通科だが、理歌はS高校特進、貞美はK高校特進である。
 
津気子はU高校にはS高校に補欠合格したのでと言って入学辞退を申し入れた。すると入学金等は返せないが、前期授業料(約18万円)は4月までに返すということだった。
 
玲羅は中学の先生にS高校に補欠合格したことを連絡した。先生は
「奇跡だな」
などと言っていたものの喜んでくれた。
 
千里たちの中でGやVは全部様子を見ているので全て認識している。赤はロゼからの連絡で話を聞き、お祝いにシャープペンシルと3色ボールペンをあげ、ベネッセの高校コースをS高校で申し込んであげた(ベネツセの講座は学校を指定して申し込む。そこの教科書に合わせた教材が送られてくる)。
 
↓ ↑ Bottom Top

青は玲羅がS高校に合格したという話を聞いてない!それで青は毎月U高校の授業料相当額を津気子に送金した。津気子はS高校の授業料との差額を借金返済に回した。それで村山家の借金は随分小さくなることになる
 
また玲羅は青の千里姉からは(S高校に入ったとは言わないまま)高校入学のお祝いにといってテニスのシューズを買ってもらった。玲羅はS高校ではテニス部と吹奏楽部をすることになる。
 

↓ ↑ Bottom Top

3月26日(水)、H大姫路の剣道部一行は朝から新幹線で名古屋に移動した。今年も名古屋近郊の春日井市で行われる全国高等学校剣道選抜大会に出場する。
 
初日は道具検査・代表者会議・開会式だけが行われた。名古屋に戻って夕食に味噌カツを食べ、栄近くのホテルで一泊する。
 

↓ ↑ Bottom Top

3月27日、2日目は男女の1−3回戦が行われた。今日は全試合最初の3人で勝ち上がり、副将の香織と大将の光の出番は無かった。男子も順調に勝ち上がった。この日の夕食は土手鍋を食べた。
 

↓ ↑ Bottom Top

3月28日、朝、今年も控え部員が代表選手の予備の道具を持ち秋田に向かった。魁星旗の道具検査のためである。
 
大会のほうは準々決勝以降が行われる。
 
準々決勝では双葉・千里・清香で勝って勝ち上がる。
 
しかし茨城代表との準決勝では先鋒の双葉が2-1で敗れた。
 
「ごめーん」
 
しかし千里・清香が勝ち、次は副将戦である。
 
「嘘〜私対戦するんですか?」
などと香織が言っているが
「頑張って」
と言って送り出す。
 

↓ ↑ Bottom Top

しかし香織は相手副将とかなりいい勝負をした。どちらも1本が取れずイーブンの闘いが続く。それでも時間切れ寸前、相手の鋭い面打ちが来る。香織はこれを竹刀で受け止め、そのまま返し胴で1本取った。それで香織の勝ちである。
 
「でかした」
「嘘みたい」
 
それで決勝に進出する。
 
ただし今の面打ちを受け止めたので香織の竹刀が折れてしまった。
 
「2本検査してもらってるから大丈夫です」
 
念のため、マネージャーの知代の竹刀に検印をもらってきた。
 

↓ ↑ Bottom Top

↓ ↑ Bottom Top

前頁次頁目次

[*前頁][0目次][#次頁]
1  2  3  4  5  6  7  8  9 10 11 12 
女子高校生・冬の夜なべ(11)

広告:Back-Street-Girls(2)-ヤングマガジンコミックス-ジャスミン・ギュ-ebook