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■女子高校生・冬の夜なべ(8)

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きーちゃん(姫路の1番)はフルート教室に通ってきている5年生の男の子を誘惑していた。
 
「君、女の子みたいに可愛いねとか、女の子になればいいのにとか言われない?」
「普段スカート穿いたりしないの?」
「教室に来る時スカートで来てもいいんだよ」
「セーラー服似合いそう」
などと本人には言い(女子化教育)、更に母親には
「お姉さんともども美人姉妹ですね」
「発表会はぜひお姉さんとお揃いのドレスでセッションを」
などと唆していた。
 
お姉さんは3つ年上でピアノ教室に通ってきている(この子もピアノとエレクトーンは弾くが管楽器のほうが好きらしい)
 

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この子はまだ声変わりしておらず可愛いソプラノボイスの持ち主だった。
 
「君、声も可愛いね。音域もかなり高い所まで出るみたいだし」
 
この子は上のCの音を出すことができていた。
 
「でもぼくそろそろ声変わりしちゃうのかなぁ」
と本人は不安そうに言う。
「君、おちんちんで遊んだりしてない?ちんちんで遊んでると早く声変わり来ちゃうんだよ」
「あれしてはいけないと思うんだけど、ついちんちんに触るとこすりたくなるんです」
「だからできるだけちんちんに触らないようにすればいいね」
「でもおしっこする時はどうしても触るんですよ」
「小便器を使わず必ず個室で座ってするといいよ。そしたら触らずに済むから」
「でも個室って必ずしも空いてないんですよ」
「女子トイレに来ればすぐ個室使えるよ。君なら女子トイレ使っていいから」
「そんなのいいんですか〜?」
「声変わりしてない子は女子トイレを使ってもいいんだよ」
「へー」
 
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それでこの子はここの教室では女子トイレを使うようになった。彼の女子トイレ使用について特に他の女子から苦情は出なかった。むしろクラスメイトの女子たちと一緒にトイレに行ったりしている。
 
なお彼は学校では自粛して男子トイレの個室が空くのを待ってそこでしているらしい。また自宅では必ず座ってするようにしたらしい。お陰でほとんどちんちんに触らなくてすむようになり、ちんちんで遊んでしまうこともなくなりましたと言っていた。
 
彼はきっとまだ1年は声変わりが起きないだろう。そして声変わりが起きない限り女子トイレを使い続けるだろう。
 

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更に彼の姉は
「睾丸を体内に入れておくと声変わりしないらしいよ」
と言って、彼の睾丸を体内に押し込み、更にそれが落ちてみないようにお股をタックしちゃった。
 
すると彼は物理的にもちんちんに触ることができなくなった。更におしっこがしやすくなったと喜んでいた。ちんちんがあるとおしっこが前に飛ぶので便器の外に飛び出して汚してしまうことがある。しかしタックされていると、おしっこはほぼ下に落ちていくのでそういう失敗が起きないのである。
 
しかしこれで彼の声変わりは確実に遠のいた。結果的に彼の女子トイレ使用も長引くことになる。
 
“タック”を見た母親は面白がり
「これなら女の子と同じだね」
と言って、女の子用ショーツを買ってきて彼に穿かせた。彼もショーツがピッタリとお股にフィットするのでこれが気に入った。
 
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6月の発表会で、この子は本当にお姉さんが数年前の発表会で着たドレスを着て、お姉さんのピアノとこの子のフルートで『カルメン』を合奏した。
 
またお姉さんが中学を卒業したらセーラー服をもらう約束をしたらしい。きっと彼はその頃までまだ声変わりしてないだろう。
 
可愛い女子中学生になりそう、ときーちゃんは期待した。
 

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2月13日
鳩山邦夫法相は成人年齢を20歳から18歳に引き下げる案を法制審議会に諮問した。
 
西洋などでは成人年齢は古くは21歳だったが、20世紀以降19歳に、そして更に近年18歳に引き下げられた国が多い。西洋の場合、一般にこれは徴兵年齢と同期している。
 

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2月14日はバレンタインでーである。
 
貴司が大好きな青の千里はむろん貴司にチョコを渡した。貴司がわさわざ旭川に出て来たので美輪子のアパートで渡し、その晩は貴司は千里の部屋に泊まっていった。但し千里が生理中だったので2人はセックスはしていない。一緒のお布団に寝ただけである。
 
赤の千里はこの手のイベントには興味がないのでチョコも買っていない。
 
清香はガーナチョコを買ってきて「友チョコ」と言って、公世と千里に渡した。また清香は1年生の女子剣道部員数名からチョコをもらったようである。2年生の剣道部員でチョコをもらったのは清香だけであったようだ。男子部員は誰ももらってない。
 
双葉は誰か男子にあげたらしいが、誰にあげたかは聞いて無い。公世は別に誰にもあげてないし誰からももらっていない。
 
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春恵は昨年夏にはセックスもしたボーイフレンドに渡したらしい。そのあと数百メートルお散歩したと言っていた。山崎君はかなり悩んでいたが、女子たちに応援されて憧れている男の子に渡したようである。相手は驚いたものの「ありがとう」と言って受け取ってくれたらしい。
 
玲羅は勉強優先で今年は何もしなかった。ただピアノルームの建築をしてくれている徳部(九重)たちにチロルチョコを配ったら彼らは喜んでいた。
 

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2月15日、文部科学省は30年ぶりに授業時間を1割増加し、小学5年生から英語を必修とするなど、“ゆとり教育”からの脱却を柱とした新学習指導要領を発表した。
 
ゆとり教育は戦後の“詰め込み教育”が、授業に付いていけない生徒を大量に産み、学校現場の荒廃を引き起こし、また課外活動などをする時間が無くなっているとして導入された。しかしこの方針は今度は知識の足りない“ゆとり世代”を生み出し、文部省の方針に拘束されない私立学校への進学者を増やし、また学校で教えてくれないことを学ぶため、学習塾に行く子を増やし塾や予備校などを繁栄させることになる。また私立校や学習塾は都会にしか無くまた経済的な負担も必要であるため、教育の貧富格差・地方格差を生み出すことにもなった。
 
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2月16日、新千歳空港で、日本航空502便が管制塔の許可を得ず着陸機がいる状態で滑走路に進入、離陸を開始したが管制塔の指示で停止した。航空・鉄道事故調査委員会が重大インシデントとして調査する。
 

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2月中旬、H大姫路ではスキー教室を実施した。
 
関西以外の人にはあまり馴染みが無いだろうが、兵庫県のハチ高原・ハチ北高原というところには立派なスキー場があり、初心者向きから上級者用まで多彩なコースのゲレンデが整備されているし、多少はゲレンデ外(オフピステ)での滑走も楽しむことができる。
 
なおハチ高原は時々八ヶ岳と混同されることがある。長野県・山梨県にまたがる八ヶ岳のほうはは“やつがたけ”と読む。
 
(筆者は出雲からの帰りにハチ北の道の駅で休憩したことがある。福岡町と書かれていたので兵庫にも福岡があるのかと驚いた。また道の駅の駐車場に車体左側に酷い擦り傷のある車が駐まっていた。きっとブレーキの使い過ぎによるベーパーロックか何かでブレーキが利かなくなり、わざと車体をガードレールに擦って減速したんだろうなと思った。物凄く長い坂の続く所だった)
 
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「スキー板やストックはレンタルのを使うけど自前のものを持ってる人は持ってってもいいよ」
と言われた。
 
「きみちゃん、スキーは?」
と千里は公世に尋ねた。
 
「実家に置きっぱなし」
「じゃ私が持ってくるよ。電話だけ入れといて」
「うん。ありがと」
 
それで千里は玲羅に電話して自分のスキー板をrの家に移動してもらった。それからコリンを連れて留萌にジャンプする。コリンに千里のスキー板を見ててもらい、自分は公世の家に行って、お母さんからスキー板・ストックを受け取った。そしてコリンを連れて姫路に戻った。
 

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公世の家に向かう途中でバッタリと父に遭遇した。
 
赤の千里は父に会ったのは約2年ぶりである。
 
しかしこちらは制服(セーラー服)を著ている。やっばーと思ったのだが父は思わぬ反応をした。
 
「お前いつもそういう服着てるの?」
「高校生だから学校の制服著てるよ」
「女子制服なんだな」
「そりゃ私は女子だからね」
「そうだよなあ。お前やはり女なんだよな」
「私が男だったら大変だよ。お父ちゃん仕事見付かりそう?」
「今ホタテ貝の見回りの仕事とK高校の水産コースの講師をしてるけど、高校出てからだろうな。本格的な求職活動は」
 
武矢の給料はその2つ合わせて現在月8万円くらいである。NHK学園の費用はスクーリングがあるのでもっと掛かっている。出しているのは千里だが(学費を出しているのは東の千里(フランソワーズ)、交通費・宿泊費を出しているのはグレース)。
 
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「お勉強頑張ってね」
「お前もな」
 

なお清香は姫路に引っ越した時にスキーも一緒に持ってきていたらしく(姫路市内の)実家に置かれていたのを持って来た。清香は
 
「レンタルのスキーなんて恐くて使えん」
などと言っていた。ちゃんとしたスキー場なら大丈夫と思うが、どうかしたところのだと、レンタル品はエッジが摩耗していて危険なものが混じっている場合もある。
 

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当日は1クラス1台の大型バスに乗り、学校から2時間ほどかけてハチ高原まで移動した。なお千里は普通の授業は1組で受けているが、スキー教室は体育の授業に準じるので本来のクラスである9組で受ける。全員体操服の上にスキーウェアを着てバスに乗った。そしてバスを降りる前にスキー用の手袋をした。
 
千里たち北海道組以外は、スキー板(滑降用)とストックはスキー場からのレンタルである。そして初心者コースに並ぶ。
 
「この中で経験者は?」
と指導者の先生から訊かれる。千里・清香・公世の3人が手を挙げる。
 
「ああ。自前の道具使ってるね。どのくらい滑れる?」
と訊かれたので千里は実演して見せる。
 
「初心者の人はまずボーゲンを覚えたほうがいいです」
と言ってスキーをハの形にして滑ってみせた。
 
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「2年目以降の人はクリスチャニアに挑戦しましょう」
と言って今度はスキー板を並行にくつつけて滑ってみせる。
 
「スケートしたことのある人なら実はこれスケートと同じ要領なんです」
と千里は言った。
 
「木里さんは多分私と同程度です」
と千里は清香の表情を見て言った。
 
「工藤さんは私より上手いです」
 

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「じゃ君たち3人は中級者コースに行って好きなだけ滑って。ほかの人は先生と一緒に楽しくボーゲンの練習しよう」
 
ということになった。
 
「最初は転ぶ練習からね」
などと言っている。
 
スキーで転び方は重要である。上手に転ぶことで怪我を避けることができる。
 
一方、千里たち3人はスキー経験者の鳴海先生と一緒に中級者コースに行き、1日たっぷり滑った。3人共2年ぶりのスキーだが、すぐ感覚を取り戻した。
 
「君たちだいぶ滑るみたいね」
「工藤さんとか、雪崩に巻き込まれそうになったのを滑って逃げたこともありますから」
「それは凄い。というかよく助かったね」
「あれは神様が助けてくれたんだとしか思えないよ」
と本人は言っている。千里もそう思った。
 
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しかし今日は雪崩に遭うこともなく!楽しくたくさん滑ることができた。
 
「しかしこんな近くにスキーのできるところがあるとは思わなかった」
と清香は言っていた。
 
「でもリフトのあるスキー場はいいね」
と千里は夕方、教室が終わってから言った。
 
「ああ。スキーって上に昇るのが大変だからね」
 
「リフトの無いスキー場って上に行くにはどうするの?」
と同じクラスの子から訊かれた。
 
 
「上に向かって滑ればいいんだよ」
 
 
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