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H大姫路では1月7日(日)に始業式があり、翌日8日には実力テストが行われた。このテストの結果、清香は双葉と同じ3組に振り分けられ、大学進学を狙える位置に来た。この振り分けは、英数国3科目の合計点で30位以内が特進A、60位以内が特進Bだがそれ以下の総合コースでは、“英語と数学の良い方の点数”で3〜8組に振り分けられる(*3)。清香はここ1ヶ月くらい英語の勉強を頑張ったので英語の点数が総合コースの中では30位でぎりぎり3組に入れられたのである。これは英語でハイスコアを出すような子はたいてい3科目合計の点数も良く特進に入れられていて、つまり上が居ないため、総合コースの中では上位に入ったのである。この振り分けの仕組みをうまく利用した形にはなったものの清香は学年主任から
「英語頑張ったな」
と褒められていた。私大の文系学部には英語の成績さえ良ければ合格できる所もあるのでこの振り分け方法は理にかなっている。そういう所は数学は受験科目に入ってない場合も多い。国立や私立も名門だと総合力が問われる。そういうところで文系を受ける子は英語と国語が満点に近いので数学で合否が決まるのである。もっとも清香がそういう大学を受けるとは思えない。
なお、公世は千里と同じ1組、双葉は清香と同じ3組となった。
(*3) H大姫路のモデルにした東洋大姫路では最近のシステム改革以前は、英語または数学の点数の良い生徒を3〜4組に、どちらも良くない生徒を7〜8組に、残りの生徒を5〜6組に振り分けていた。これは言い換えれば“英語または数学の点のいい方”を基準に触り分けることと等しい。
成績によってどんどんクラスが移動していく高校は特に私立の進学校には結構ある。科目毎にクラスが違い、授業と授業の間の休み時間に生徒が大移動する所も多い。
「清香、どこか志望校考えた?」
「同志社女子大学もいいかなと思ってる」
「同志社大学ではなく同志社女子大学か」
双葉が言った。
「同志社は特進に来れるようでないと無理だけど、同志社女子大ならこれから1年の勉強次第では合格の可能性あると思う」
「そこに千里も双葉も公世も一緒に来ないか」
「なんで」
「この4人が一緒に入れば、そこは強豪になる」
「それは確かにそうだ」
ちょうどそこに公世が来たので清香は公世にも言った。
「公世も一緒に同志社女子大に行こう」
「は?」
「私と千里と公世と双葉の4人が一緒に入れば、そこは強豪になる」
「さやちゃんたち3人でやって。ぼくは男子だから女子大には入れない」
゜いや入れると思う。公世はこの学校では女子生徒として登録されてるから女子大を受験できるはず」
「むしろ願書に男と書いたら調査書が女子になってるから性別詐称とみなされるね」
「だから公世は女子大生にはなれるが男子大生にはなれない」
「え〜!?」
「男子大学なんてあったっけ」
「(兵庫県)川西市の東洋食品短期大学が日本で唯一の男子大学(*4)」
「へー。でもそこ行くつもりないからいいや」
「それにきみちゃんは高校に入った時、自分は男子であり、今後3年間は性別は変更しないと宣言して男子の部への出場を認められている。高校卒業するタイミングでその期限が切れるから大学からは女子の部に来れる」
「いや宣言を延長する」
(*4) 東洋食品短期大学は、この物語の直後、2008年度から共学化された。以前は工業系に幾つか男子短大があったが(例えば北海道自動車短期大学)、いづれも共学化されている。最近女子高は絶滅しかかっているが、女子大はまだ多い。
旭川の藤女子高(物語ではL女子高)なども共学化されてびっくりした。
公世は不安になり教頭に相談したところ、調査書の性別は願書に合わせてくれるということだった。だから願書を出す時点でその大学を男女どちらで受けるか教えてほしいと言われた。
また注意として、大学を男子として受けるならセンター試験も男子として、大学を女子として受けるならセンター試験も女子として受けるよう言われた。つまり大学によって男子として受けたり女子として受けたりはできず、全ての大学を同じ性別で受ける必要がある。
また男子として受ける場合、公世は見た目が女子にしか見えないので、自分が男性であることを証明する物、たとえばパスポートとか住基カードを取得しておき携帯するよう言われた。公世は手数料の安い住基カードを取得する方向で検討し始めた。
1月8日(火)、義浜裕恵(旧姓中村。ハイジの法的な夫)が女の赤ちゃんを出産した。裕恵は法的には男性なので、色々面倒な問題を回避するため法的に女性である“義浜ハイジ”の名前で産婦人科に掛かっていた。それで子供の出生証明書は母:義浜ハイジ、父:義浜裕恵として発行され、そのように戸籍にも記載された。本当は佐藤小登愛の3人目の子供である。
(1人目は小登愛の従姉の音香が産んだ。2人目はハイジが、そして3人目は裕恵が産んだ。4人目を誰に産ませるか、きーちゃんはまだ決めてない)
なお小登愛の卵巣は沙苗(現在旭川L女子高に通学中)の体内にシールドされた状態でライブ保存されている。シールドされていても卵巣のお仕事はしているから沙苗はどんどん女性化が進んでいるし、沙苗には生理もある。しかし女子高生に妊娠出産させるわけにもいかない。精子の調達先も問題である。(音香の場合は彼女の夫の精子、ハイジと裕恵は本人の精子を使った:ハイジと裕恵は自分を遺伝子的な父とする子供を妊娠出産した。沙苗は男の子しては成熟しなかったので、射精の経験が無く当然精液の保存も無い)
1月9日、日本製紙が年賀はがき用「再生紙はがき」として納品した紙の古紙使用率を偽り、ごく僅かな比率しか使用していなかった「環境偽装」が発覚、その後、コピー紙など同社の他の再生紙利用商品においても同様の偽装が行われていたことや、王子製紙、北越製紙、三菱製紙、大王製紙、中越パルプ工業各社も同様の偽装を行っていたことが判明した。
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1月10日、パスネット販売が終了した。
1月10日、松下電器産業は同年10月1日から社名を「パナソニック株式会社」(英名:Panasonic Corporation)と変更することを発表した。。
1月11日、インド洋での海上自衛隊の給油活動を再開するための「新テロ対策特別措置法案」が、午前の参議院本会議での否決の後、同日午後の衆議院本会議で、衆議院議席の3分の2以上の賛成多数で可決。憲法59条の規定に基づき成立した。参院否決法案の衆院再可決は1951年のモーターボート競走法案から実に57年ぶり2度目である。
(郵政民営化の時は衆議院での再可決前に、総選挙での自民党大勝を受けて多数の参議院議員が反対から賛成に態度を変更したため、参議院で可決され、衆議院での再可決無しで成立した)
1月11日、ロッテホールディングスは銀座コージーコーナーの買収に合意したことを発表した。
鏡開きは本来1月11日だが今年は平日なので立花K神社でも留萌のP神社やQ神社でも12日の土曜日に鏡開きの行事をおこなった。参拝者にどんどんぜんざいを振る舞う。もっとも北海道では切り餅、姫路では丸餅である。小豆はいづれも市販の缶詰のものを使用している。
千里たちは、ロビンが留萌P神社、夜梨子が姫路立花K神社、青(統合千里)が旭川Q神社、B'(ビーダッシュ“ボニー”)が留萌Q神社でこの作業に参加した。グレースは、千里たちの担当神社がだいたい固まってきたなと思っていた。
なお玲羅は神社には行かずお勉強をしていた。赤の千里からハリー・ポッターの以前の映画のDVDも(r経由で)もらったので、それを見ていた。
ハリー・ポッターと賢者の石 (Harry Potter And The Sorcerer's Stone)
ハリー・ポッターと秘密の部屋 (Harry Potter And The Chamber Of Secrets)
ハリー・ポッターとアズカバンの囚人 (Harry Potter and the Prisoner of Azkaban)
ハリー・ポッターと炎のゴブレット (Harry Potter And The Goblet Of Fire)
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ハリー・ポッターと不死鳥の騎士団 (Harry Potter and the Order of the Phoenix)
「誰か間違って『アズバガンの囚人』とか言ってたけど(玲羅君、それは君だ)、外国語の固有名詞は難しいよね」
などと言っている。
「しかしエマとかミネルバとか“ア”の音で終わる名前は女の人が多いのかな」
(そうそう、そういうのが分かると英語は面白くなってくるんだよ)
「ローラとかリサとかアンナとかマリアとか」
と言ってたらきーちゃんの6番(アンナ・マリア)が「ん?」と言って顔を出したが
「呼ばれたわけでは無いみたい」
と言って顔を引っ込めた。(きーちゃんは玲羅の頼みでも簡単なことなら聞いてくれると思う)
「でも明石家さんまは男だな」
(いや欧米人には性別を誤解されると思う)
1月12日、南極海でグリーンピースが日本の捕鯨船団を追跡し調査捕鯨を実力阻止した。
1月13日、渡辺捷昭トヨタ自動車社長は、アメリカ合衆国デトロイトで開かれたモーターショーで、2010年までに家庭用電源で充電可能なプラグイン型ハイブリッドカーを販売する方針を表明した。
2008年は1月14日(月)が成人の日だった。工藤弓枝(公世の姉)は現在旭川の大学に通っており住民票も旭川に置いているが留萌の中学高校を出ているので留萌市からも成人式の案内が来ていた。留萌市の成人式は1月13日、旭川市の成人式は14日なので、どちらにも出ようと思った。記念品二重取りできるし!
弓枝は年末に留萌に帰省したままずっと実家に居た。1月2日は公世にも小振袖を着せ、振袖を拒否して男物のコートを着た大樹と3人でP神社にお参りに行き、おみくじで大吉を引き、福引きで1等のTDRを当てた。公世は吉、大樹は末吉だった。福引きは公世は招き猫を当て、大樹は参加賞のみだった。
公世は6日に姫路に帰ってしまったが、1月12日は両親と大種と一緒にP神社に行き、ぜんざいを食べた。13日早朝に小さい頃からいつも行っていた美容室に行き、髪のセットと振袖の着付けをしてもらった。
お昼頃タクシーで市民会館に行き、成人の日の式典に出席する。市長の挨拶、来賓の祝辞のほか、S高校の吹奏楽部の演奏があった。そのあと中学のクラス単位で記念写真を撮った。女子は全員振袖だった。男子はスーツが多いが数人紋付き袴、数人仮面ライダーの怪人とかのコスプレをしていた。
タクシーでC町まで戻ってからP神社に寄り祈祷を申し込むと和弥さんが祈祷をしてくれた。笛は千里ちゃんが吹いていた。でも和弥さんもだいぶ祝詞がうまくなってきたなと思った。
自宅に戻って両親と並んだ記念写真を大樹に撮ってもらった。夕方の高速バスで旭川に戻った。振袖は着たままである。明日は旭川の成人式に出る。
和弥はお正月のあともしばらく留萌に留まり、12日は鏡開きをし、13日は成人式の人の御祈祷をたくさんした。14日午前中に桜ジェットで神戸空港に戻り、いったん姫路に戻り、午後からは姫路で成人式を迎えた人の御祈祷をたくさんした。
夕方、御飯を食べてからコリンの車で伊勢に戻った。
しかしまゆりは7ヶ月なのでさすがに求められなかった。睦みごとをすれば陰嚢が消失していることをなんか言われると思ったので助かったと思った。
でも女装はさせられて、伊勢に戻る経路でも女装のままだった。
1月27日、大阪府知事選挙で、弁護士でタレントの橋下徹が初当選。就任時で38歳と、現役都道府県知事として最年少となる。
1月30日
消費期限偽装問題で食品衛生法に基づき営業禁止処分となっていた三重県伊勢市の赤福が、保健所より処分を解除された。
1月30日
国土交通省は東京国際空港、大阪国際空港両空港の正式名称を「東京羽田空港」、「大阪伊丹空港」とし、正式名称から「国際」を外す方針を、自民党の反対により撤回した。
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女子高校生・冬の夜なべ(4)