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3月3日(月)、全国の多くの高校で卒業式がおこなわれた。高校の卒業式は3月1日というところが多いが(*8)、今年は土曜日なので3日になったところが多かった。
H大姫路では剣道部の西山さんや武原さんなどが卒業していった。武原さんは県内の一般企業に就職する。西山さんは神戸のビジネス専門学校に入り経理を学ぶということだった。ふたりとも剣道はやめてしまうようである。
(*8) 高校の卒業式が3月1日に行われるのは3月まで授業料を徴収するので、一応3月まで学校があったという“いいわけ”であるとされる。実際には高校3年生は受験や就職の準備があるので1月以降、ほとんど授業はおこなわれないことが多い。せいぜい受験対策の講義程度で生徒もあまり出てこないし、出席も取らない。
留萌では貴司がS高校を卒業した。彼は大阪市内のMM化学という会社の営業部門に就職することが決まっており、そこのバスケットチームに入る予定である。
MM化学サウザンド・ケミストラーズは現在大阪の3部リーグであるが、優勝を狙える位置に付けており、優勝する(その場合無条件)か、準優勝して入れ替え戦に勝てば2部に上がることができる。チームとしては2部で戦い更に1部に上がるための戦力としてインターハイ経験者の貴司をスカウトしたのである。
「ロビン、貴司君が大阪に来るよ。たくさんデートできるよ」
とグレースは言った。
「別に私は興味は無いよ。ブルーム(Bs) を同棲させてやったら?」
「ロビン、中学時代はたくさん貴司とデートしてかなり濃厚なこともしてたのに」
ロビンは貴司とたくさんデートし、何度もディープキスしており、貴司はロビンの手の中で逝ったこともある。またロビンは貴司に自分のクリトリスを触らせている。しかしロビンとしてはあくまで青の代役でデートしているつもりだったので、自分が彼を好きだったわけではない。このあたりの割り切りはドライな赤らしい。
「青はよくあんな浮気男に愛想が尽きないね」
「私も呆れてる」
とグレースも言った。
3月3日(月)、千里は17歳の誕生日を迎えた。
今年も清香と公世はケーキとチキンを買ってきてくれて、お祝いをしてくれた。
この日はひな祭りでもあるので、菱餅・ひなあられと、白酒代わりのカルピスで、ひな祭りのお祝いもした。
菱餅とひなあられを一応リビングの雛壇にお供えしてから30分おき、下げて食べた。カルピスはぬるくなってしまうからお供えとかせず、作ったのをそのまま飲んだ。コリンは甘酒を飲んでいた。母里酒造
(清香の父が経営する酒蔵)からもらった酒粕(さけかす)で作った
ものである(*11)
「あんたたちも甘酒くらい飲む?」
「それアルコール度数は?」
「たぶん1%程度」
清香はもらって飲んでいたが、千里と公世は遠慮しておいた。
(*11) 甘酒は酒糀(さけこうじ)から作るものと酒粕(さけかす)から作るものがある。前者はノンアルコールだが、後者は微量のアルコールを含む。市販の缶入り甘酒には前者が多い。筆者は個人的には後者の味が好きである。酒粕はそのままオーブントースターで焼いて食べるのも美味しい。筆者の親戚に杜氏をしていた人がおり、よく頂いていた。
3月3日、南氷洋で、反捕鯨団体シー・シェパードが日本の捕鯨船日新丸に対し薬品の入ったボトルを投げるなど攻撃、4人が軽傷を負った。日本国外務省は、シー・シェパードの船舶が船籍を置くオランダの駐日大使を呼び、適切な処置を講じるよう要請した。
3月3日ロゼの家のピアノルームにグランドピアノが納入された。実は玲羅の入試が終わるタイミングでの納入を依頼していたのである。
玲羅は早速弾いていたが
「やはりグランドピアノは電子キーボードとは全然違う」
と言っている。
「アップライトとも違うでしょ」
「うん。鍵盤がすぐ戻って来る」
「だから、ある程度上達するともうアップライトではダメなのよ。同音連打ができないから」
「そうだったのか。あとここは物凄く音響がいい」
と感動していた。
「フルートとかの練習に使ってもいいよ」
「うん。使わせてもらう」
3月6日、最高裁判所は、住民基本台帳ネットワークを違憲として提訴された4件の訴訟について、大阪高等裁判所の違憲判決を棄却するなど、いずれも住基ネットは合憲との判断を下した。
3月10日、まゆりは妊娠36週目に入り、臨月に突入した。
予定日は40週目を言うが、その4週前からが臨月である。似た言葉に正産期というのがあるが、正産期とは37週目以降(41週目まで)を言う。微妙に一週間ずれているが、どっちみちいつ出て来てもおかしくない状況である。
3月13日。11日に打ち上げられたスペースシャトル・エンデバーに搭載された国際宇宙ステーションの日本実験棟きぼう船内保管室のドッキングに成功。15日、土井隆雄宇宙飛行士が初入室した。
3月14日、パスネット利用私鉄各社のうち、舞浜リゾートライン以外の各事業者が、この日の終電をもって自動改札機でのパスネット利用終了。翌日始発から残額のPASMOへの移行開始。
パスネットは2000年に利用が始まった私鉄各社の定額プリペイド方式の磁気カード乗車券であったが、より利便性の高いPASMOに移行することになった。
3月14日(金)、留萌S中で卒業式があり、玲羅のほか、高木貞美、細川理歌などが卒業した。
この日父は札幌にスクーリングに行っており、母は仕事があったので両親とも卒業式には臨席していない。しかし千里Rに頼まれたVが出てあげた。Vは黒いフォーマルドレスを著た。
「すみれ色のお姉ちゃんありがとう」
「私の時はお母ちゃん出てくれたけど、部署が変わって休みづらくなったみたいだもんね」
「よく残業もしてるみたい」
実はそれをいいことに玲羅の帰宅時間も遅くなっていた。(村山家で晩御飯が出る確率も減った)
なおrは卒業式には行かなかったものの家でお祝いの散らし寿司(すし太郎)を準備して待っていた。
「卒業おめでとう」
「ありがとう」
3月15日、JRグループダイヤ改正実施。寝台特急「なは・あかつき」及び寝台急行「銀河」が3月15日朝到着する列車を以て廃止された。
上野駅と札幌駅を結ぶ寝台特急「北斗星」と大阪駅と青森駅を結ぶ寝台特急「日本海」がこれまでの2往復から1往復体制での運行となる。理由としては北斗星は青函トンネル内での北海道新幹線建設工事本格化により運行できなくなるためで、日本海は利用客の減少である。
3月15日、海上自衛隊で6隻目となるイージス艦、あたご型護衛艦「あしがら」が就役、佐世保基地に配備された。
3月17日(月)、留萌S高校とK高校で合格発表が行われた。玲羅の受験番号は無かった。
「やはりさすがに無理だったね」
「だったらU高校の入学手続きする?」
「そだねー」
それで津気子は今月初めには届いていた振込票を持って郵便局に車で行き、年末に千里からもらったお金を使い、U高校に入学金と寄付金・1年生前期の授業料合計45万円を振り込んだ。これで玲羅は4月からU高校に行けるはずである。ただし入学式までに制服を作る必要がある。また教科書も買わなければならない。他に体操服・内履きなども買う必要がある。頭痛いなと津気子は思った。
3月18日、政府は、セルビア共和国から独立したコソボ共和国を国家として承認することを閣議決定した。セルビア共和国は同決定に抗議、イバン・ムルキッチ日本駐在大使を本国へ召還した。
3月18日、ICOCAとSuicaの電子マネーが相互利用開始した。
3月20日(木)、京都の國學院神職研修所で卒業式が行われ、花絵は普通課程I類を修了、神職の階位“権正階”を取得した。
神職の階位は上から順に浄階・明階・正階・権正階・直階の5段階である。
正階が普通の階位、明階は少しいい階位、浄階は特別な階位、権正階は正階に準じるもので、直階は暫定的なものである。
直階(ちょっかい)
一般神社の禰宜及び権禰宜になることができる。
権正階(ごんせいかい)←花絵はこれ
一般神社の宮司及び宮司代務者、別表神社の権禰宜になることができる。
正階(せいかい)←和弥が2年前に取った
別表神社の禰宜及び宮司代務者になることができる。
明階(めいかい)←まゆりが持ってる。和弥も明日取る。
別表神社の宮司及び権宮司になることができる。
常弥は留萌から出て来て、これに列席した。その後は花絵の下宿先で一休みする。
「いい所に下宿してたな」
「ここ千里ちゃんの別宅なんだよ」
「へー。京都にも家があったのか」
「あの子は貧乏なのかお金持ちなのかよく分からない」
「僕も今そう思った」
花絵が神職の資格を取ったことから、常弥は花絵をP神社の権禰宜に任命した。少し後、まゆりも花絵を立花K神社の権禰宜に任命した。つまり花絵は姫路立花K神社と留萌P神社の権禰宜を兼任する!(3年後には千里も権禰宜になる)
花絵と常弥はその日の夜、花絵の車で伊勢に移動した。使用した車はミラである。花絵は姫路の家にはエクストレイルを置いているのだが、大きすぎて使い手が悪いので京都ではミラを使っていた。(千里のスクーターも使っていた)
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女子高校生・冬の夜なべ(10)