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一方、和弥と千里(R)は、12月29日(金)の夕方、公世も連れて神戸空港に行き、桜模様のジェット機で旭川に飛んだ。サハリンの車に乗り、金曜日の22時頃、留萌に到達した。公世は自分の実家に行ったが、Rはrの家に泊まった。
30日はあちこちに餅を飾ったり、縁起物や頒布物の用意など、また境内の掃除などに追われる。
お正月の参拝客は31日の午後くらいから来始める。年末に昇殿・祈祷をする人もあるので、和弥が祝詞をあげて御祈祷をした。今年は31日は和弥、1日は常弥、2日は和弥、と1日交替で担当することにした。笛は昼間は玲羅が吹いてくれるので、千里は夕方20時以降の客に対応した。また善美が外出している時は千里が太鼓を叩き、玲羅が笛を吹く場合もあった。
常弥は和弥に、6月の大祓いの報酬5万円、夏祭りの報酬20万円、秋祭りの報酬20万円、10月の七五三の報酬15万円、の合計60万円を払い、和弥はそれを全部姉に渡した。これで指輪の借金の残りは18万円ほどになった。
一方姫路でも31日の昼過ぎくらいから参拝客がある。千里Y2は手伝いに顔出してあげてとRから頼まれたので出て行き、ご祈祷で太鼓を叩いた。笛は弓佳さんが吹いていたのだが
「あんた笛が吹けそうな顔してる」
と言われて吹いたら上手い。それで
「お正月の間全部頼む」
と言われた。
「しかもちゃんとこの神社のご祈祷の曲を覚えてる」
「弓佳さんが吹いてるのを聴いてたから」
「聴くだけで吹けるようになるのは凄い」
「だいたいマイ龍笛持ってるし」
「しかもそれ物凄く良い龍笛」
「なんか高そうに見える」
「煤竹の龍笛じゃん。数十万円するよ」
「すごーい」
弓佳もまさかこれが今ではほぼ入手不能な天然煤竹とは知るよしもない。20年ほど前に解体された古い民家から得られたものである。
なお夜梨子が使用しているのはTS No.222 “花姫”である。Y1(ゆき)も同じ笛を所有している。(Yが分裂した時、持ち物が二重化されたため)
また旭川の“統合千里”(フランソワーズ)あるいはB(Bwブレンダ/Bsブルーム)はNo.224“月姫”である。これは細川保志絵からもらった笛である。
そういう訳でこのお正月、ロビンは留萌P神社で、夜梨子は姫路立花K神社で、神社のお手伝いをしたのである。(この他フランソワーズは留萌Q神社に出ている)
手塩工房の主な笛
200(織姫) Bにreserve
210(赫夜:かぐや) Rが使用中。
214 きーちゃん所有(楽器店で買った:この頃までは楽器店で買えた)
218 保志絵使用(龍五から遺贈)
219 天子にReserve
220(白雪) YにReserve
221(藤姫) Vが使用中。
222(花姫) Yが使用中。
224(月姫) 保志絵から千里に渡された。Bが使用中。
228(若竹) 中学時代のRが使っていた。
229(桜姫) Gが使用中。
230(銀河) 梁瀬龍五の最後の作品。最高傑作。A大神も誰に渡すか決めてない。
最初保志絵は千里BにNo.224を渡そうとして誤ってRに渡してしまった(だって千里が何人も居るとは知らないし)。それで小春が仲介して正しくBに渡され、Rには代わりに228が渡された。しかしRが上達したので、ご褒美にNo.210をA大神から頂いた。228は現在オーバーホール中。rは、228のコピーを使用している。
現在Y1・Y2の双方が222を使用しているが、後にY2は220を与えられる。
上記の中で梁瀬が自分で銘をつけたのは210赫夜、220白雪など最後が0で終わる笛だけで、これらは管体に直接銘が書かれている。○姫といった名前(No.200“織姫”を除く)は後に岸本メイが調整をしたあと付けた名前で、銘はシールで貼られている。
梁瀬龍五がひとりで全て完成させた最後の作品はNo.230“銀河”で、彼の最高傑作である。これを完成させた後、No.228を作り、No.229を製作している最中に龍五は亡くなった。229を完成させたのはメイである。228もメイの手で調整が掛かっている。
Bは手塩工房の龍笛は神社での仕事にのみ使用しており、音源製作には楽器店で買った花梨製の龍笛を使用している。千里としては神事用と音楽用を区別しなければと考えたのだが、手塩工房の笛を千里が吹けば、スタジオ機器が壊れると思う。
2007年1月7日(日)、千里Rと公世は留萌を出て旭川空港から神戸空港まで桜模様のジェット機に乗り姫路に戻った。姫路では学校は8日(月)から始まる。年末年始は清香も両親の家に行っていたらしい。お正月くらいいいだろうと言われてお酒飲まされたなどと言っていた。
和弥も7日のジェット機に同乗し、神戸空港からコリンの車で伊勢に戻った。
和弥は年末年始の報酬として15万円を常弥からもらったので、それを花絵に全部渡した。これで残りの借金は3万円ほどになったが、花絵は残りは“御祝儀”として免除し、指輪代は完済ということにした(花絵は更に5万円和弥に戻した)。
和弥は遙拝所の制作費をまゆりに立て替えてもらっていたので、ふたりで折半にしないかとまゆりに提案したのだが、まゆりは制作費は村山さんに300万円払ったが結納金に150万円もらったので、それをその金額に充てたいと提案し、和弥も了解した。これで和弥の借金は全てクリアになった。
遙拝所の製作には約1600万円かかっている。今回のまゆりと和弥の話し合いでその費用は最終的にこのように分担されたことになる。
まゆりと和弥300 千里500 P大神200 K大神200 A大神300
(まゆりが払った300万に千里が200万足して500万をP大神に渡したが、大神は宮大工さんに700万払った。材料は千里が300万相当(檜)、A大神が500万相当(ヒバ)各々の所有林から出している。またK大神は感謝の印にA大神に200万渡した、額や依代の費用もあるが大きな物ではない。和弥は初穂料としてK神社に1万円、立花K神社に1万円、P神社に3万円納めている。このほか、作業を手伝った万奈には千里がお酒をあげた。また色々教えてくれた鳥井さんには和弥が1万円相当の缶詰セットを贈った)
1月9日(火).
H大姫路の1-2年生では実力テストが行われた。千里は学年10位で1組のままである。なお複数の千里の中で本当に数学や理科が得意なのは旭川にいる青である。姫路で数学・理科を担当している黄色は“赤よりはマシ”なので受けている。赤は因数分解のたすき掛けがうまく解けない。黄色は霊感で解いてしまう。またY2は"Tiger"を構成していた関係で最も頭のいいBsの影響を受けている。
ヴィクトリア提唱の原子分子論(かなり怪しげ)↓
Tiger: Bs+Y2.
Star: Bw+Y1.
“統合千里”Fは上記のU-yからY2とY1が入れ替わった Bs-Y1-Bwである。
2007年1月13日(土・大安。でも“やぶる”!)
“東の千里”は細川貴司と、内輪の結婚式をあげた。この時は2人は5年程度先には正式に婚姻届けを出すつもりだった。2人がほんとうに婚姻届けを出したのは何と14年後の2021年である。その間に貴司は他の女性と2度も結婚している。千里もよく我慢したものである。しかし2人はこの日交換した結婚指輪代わりのリング状携帯ストラップをずっと手放さなかった。
2人が最終的に婚姻に到達したのは、何とか自分の両親を結婚させたかった京平の思い、そしてその京平と親子の契をした“意志の女”Bs(≒千里3)の頑張りもあった。貴司は浮気性(浮気症)であるが故に他の女性と結婚していても千里に誘惑されると簡単に密会を続けていた。
(更に別の女性とも浮気しようとして千里から制裁をくらい、男性器を取り上げられてしまう。彼は自分で掛けてしまった呪のため、千里以外とはセックスができない:千里以外で貴司とセックスしたのは緋那と虚空のみ(*6)。阿倍子・美映は貴司と結婚していたにもかかわらずセックスできてない)
(*6) 千里は貴司に「決して浮気しない」という誓いを立てさせる時「まあ浮気2回までは許してやるよ」と言った。その2回を緋那が使った。虚空は千里に擬態して貴司とセックスした。だから貴司としても浮気したつもりが無い。
1月20-21日(土日).
“西の千里”を含むH大姫路の剣道部は“全国高等学校剣道選抜大会”の県予選に臨んだ。この大会の出場資格は1−2年生で実質的な新人戦である。女子はこのようなオーダーで臨んだ。
先鋒・西山明理(2年・三段)
次鋒・武原玲花(2年・三段)
中堅・島根双葉(1年・三段)
副将・村山千里(1年・三段)
大将・木里清香(1年・三段)
西山さんは「ごめん。私負け役だ」などと言っていたが、3回戦までは最初の3人だけで勝って勝ち上がった。清香と千里は座り大将・座り副将である。準々決勝で西山さんが負けて千里に回ってきたが清香の出番はまだ来ない。準決勝も千里までで決着したので清香のご機嫌が悪い。
この大会は2位まで全国大会に行けるので、準決勝に勝った時点で全国大会出場は決まった。決勝は毎度神戸のE高校とであった。多分千里たちが卒業するまではこの両校での決勝というパターンが続く。
(選抜は、各都道府県から1校ずつの都道府県枠と開催地枠(愛知県)、出場校の多い県に与えられる出場校数枠、そしてインターハイの上位校の所属県に与えられるベスト8枠がある。H大姫路がインターハイでベスト4だったので兵庫県は2校行ける。全国大会の出場校は全部で64になる)
そして決勝戦だが、先鋒と次鋒はE高校が勝ったがその後の双葉・千里・清香が勝って、女子ではH大姫路はこの県予選で優勝することができた。
男子の方はやはりE高校との決勝戦で最初の3人が敗れたので、E高校の優勝。H大姫路は準優勝であった。それでも全国大会には行くことになる。E高校としては「大将戦まで回すな」という作戦のようであった。決勝戦は強い3人を先に置いていた。(この大会は試合ごとにオーダーを変えられる)
2月3-4日(土日).
“東の千里”は旭川N高校女子バスケ部の主要メンバーと一緒に秋田市までバスケットの東北大会を見に行った。千里はこの大会の会場で雨宮と遭遇し、インターハイのテーマ曲の作曲を依頼された。“東の千里”はこの曲の作曲料のおかげで3月の修学旅行に行くことができた。
なお“西の千里”の修学旅行は3年生になってからである。
桜鱒プロジェクトでは2月、ここまで生き延びた桜鱒20匹を水揚げして1年目の成果とすることにした。水揚げした20匹は、柳里君の個人的なコネから京都の料亭に“季節を少し先取りした春の使者”として買ってもらい、1匹2000円、合計4万円の売上となった。
(千里のジェット機で伊丹に運んだので輸送費が10万円ほどかかっているが取り敢えず気にしないことにする:でも料亭では『北海道からジェット機で空輸して来たんですよ』と客にアピールした)
もっとも11月に電気でやられたヒグマを熊料理店に引き取ってもらった時は5万円もらっているので、今年度は桜鱒よりヒグマの売上のほうが大きかった!(来年以降もそうだったりして)
「来年は200匹水揚げしよう」
「再来年は2000匹で」
「ということで海上生け簀の名前は、1号スコット、2号ジョン、3号ヴァージル、4号ゴードンということで」
「何それ?」
実は、幸いにも今年はそういう事態は起きなかったが、病気などによる全滅を避けるため、生け簀は複数に分割しようということになったのである。
「サンダーバードか」
「陸上の方は1号みつお、2号ブービー、3号すみれ、4号法善ということで」
「パーマン4号の本名を知る人は少ない」
「クリスマスパーティーの回に出て来たね」
「お寺の子供がクリスマスをするの?」
「誰の誕生日でも誕生日はめでたい」
「日本人の宗教的寛容性を象徴する会話だ」