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■女子高校生・冬の宴(3)

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「立派なものですね」
「祖父ちゃんが、やっと跡継ぎが決まったというので張り切って作ったらしい。でも父ちゃん、すぐ死んじゃったし」
「ああ」
 
まゆりの父はまゆりが生まれる前に亡くなっている。
 
「虎の絵か」
「琳派風の作品だね。実際に描いたのは現代の作家さんだけど」
「ふーん」
と言って和弥が見取れているので千里は言った。
「よし。これには及ばないかもしれないけど留萌P神社にも金の屏風を寄進しよう」
「わっ」
「大丈夫?」
と和弥が心配する。
「絵を描いてくれそうな人の心当たりがあるから」
「へー」
 
「姫路と留萌の環境はできるだけ揃えますから、どちらで式をあげるかはおふたりの都合だけで決めてください」
「分かった」
 
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今回の結婚式で三三九度や親族堅めに使うお酒については、千里が友人のお父さんが蔵元をしている酒蔵のを使ってもらえるかと打診しOKをもらった。それで母里酒造の純米酒“日本号”が使用されることになった。
 
(母里(もり)酒造の蔵元は木里清香の父)
 
「お料理はどうします?冷水さんに頼みます?」
と千里は尋ねる。
 
ところがまゆりの返事は明快だった。
「冷水はうちの神社にはお出入り禁止」
「何かあったんですか?」
と恵美さんが訊く。
「巫女さんをレイプしたような人がやっている会社は使わない」
「巫女さんレイプってひどーい」
「でも60年くらい前の事件なのでは」
「レイプ犯に時効は無い」
「賛成です。レイプ犯には死刑しかないです」
と恵美さんも言っている。
 
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それで料理も母里酒造の子会社である母里食堂が担当することになった。母里食堂は宴会の料理とかはよく作っており、披露宴も自分のお店ではしたことがあるという話だった。一度サンプルをまゆりや前橋に見せてくれることになった。
 

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披露宴の司会とエレクトーン演奏については越智さんが
「僕の知り合いが関係してる芸能プロの人にさせるよ」
と言ったので、お任せすることにした。この人も人脈の豊かな人である。
 
実際には昔テレビで見たこともある40代の芸人さんと20代のエレクトーン奏者さんが来てくれた。花嫁のお母さんが司会の人にサインをもらっていた。
 
結婚式の出席者は30人ほど、披露宴は50人ほどだった(2区画通しで使った)。
 
「ここの式場、広くていいわあ。ホテルの結婚式場だと10人くらいしか入らないから」
と花嫁のお母さんは言っていた。
 
「披露宴の定員は大きい所多いですけどね」
 
「お母様も再度結婚なさる際はぜひまたご利用を」
「人生何があるか分からないよね」
「そうですよ」
 
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花嫁のお父さんも笑っていた。
 

神社側からあらためて60年前の事件を指摘された平田郷史は冷水の社長を退任する意向を固め、11月末をもって退任した。退任後は会長などにも残らず、取締役も退任して完全に経営から身を引いた。後任の社長には専務の西岡広義が昇格。また副社長の峰子も退任し、その娘で西岡の妻である晴子が副社長になった。また岸本京を常務に登用した(アルバイトからいきなり常務取締役へのスーパー昇進) 。しかしこれで素麺屋さんの後継者問題は方向性が固まった。
 
 

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和弥は10月30日(月)に姫路に来て、例祭と結婚式のある11月3日まで花絵の家に滞在していたのだが、31日、まゆりから
 
「ちょっとつきあってくれない?」
と言われ、出て行った。
 
まゆりは和弥を連れて最初にしまむらに行った。スカートを見ているので彼女の服を買うのだろうと思ったら「これとかかずちゃんに似合いそう」などと言う。
「僕が穿くの〜?」
「だってスカート穿きたいと言ってたじゃん」
 
確かにそんなこと言った覚えはある。それで店内のフィッティングルームで試着してスカートを3枚選んだ。まゆりは他にショーツやブラジャーも買ってくれた。
 
「じゃスカートは今穿いて」
「まさかスカート穿いて外を歩くの〜?」
「本当はいつも女装外出してるんでしょ?恥ずかしがらなくていいよ」
 
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そんなのしたことないーと思ったものの、うまく乗せられてグレイのロングプリーツスカートを穿いてしまった。
「うん。充分女に見える。可愛いよ」
などとまゆりは言っている。
 

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それでしまむらを出たが、まゆりはタクシーを停め、和弥を市内の富士クリニックという病院に連れて行った。どうも婦人科病院のようである。
「男性のみでのご入場はお断りします」
などという掲示がある。和弥はこんな場所に入るのはためらいを感じた。でも僕今女に見えるからいいのかな??
 
まゆりが受付票を取り、待合室で待つ。居るのは女性ばかりである。和弥はさすがに気後れする思いだった。
 
 
やがて番号を呼ばれて診察室に入る。まゆりは女性の医師に言った。
 
「この人の精液の冷凍を作って欲しいんです」
「ああ。そちらは男性ですか」
「はい」
 
「でもどうして?」
「彼は性転換して男性機能を喪失する予定なので」
「なるほど」
 
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和弥がスカートを穿いてることから医師はそれを信じたようである。
 
 

医師は数点確認する。
 
「おふたりはご夫婦ですか」
「婚約者です」
「あなたは彼が女になってしまってもいいんですか」
「彼自身が好きなので彼の性器の形態は気にしません、それに私元々女の子が好きですし」
 
まゆりが『女の子が好き』と言ったら信じるよな、と和弥は思った。きっとこの子は女の子からたくさんラブレターとかバレンタインとかもらってる。
 
医師は和弥に尋ねた。
「あなたは女性になりたいのに自分を父親とする子供ができてもいいんですか」
「問題ありません」
「子供が居ると法的な性別を変更できませんよ」
「性別の変更より結婚維持優先です」
「分かりました。あなたは現在去勢とかしてますか?あるいは女性ホルモンを摂取していますか」
「いいえ」

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「ではそこの採精室でこの容器に精液を取ってきてください」
と言って、容器を渡された。
 
精液を取るってやはりオナニーするんだろうなと思い容器を持って採精室に行くが、まゆりも付いてくる。
「私も協力してあげるよ」
「え?」
「だって私と和弥君のふたりの子供だもん。一緒にしよう」
「まあいいか。でも変に思われないかな」
「いや、採精室には一緒に入るカップルが多い」
「そういうもんなんだ!」
 
それでまゆりは採精室の中で、和弥のスカートをめくりショーツをさげて和弥のペニスに触った。まゆりがペニスを指3本で押さえて回転運動を掛ける。女の子オナニーみたいと思った。気持ちいい。でもそれでペニスが大きくなる。するとまゆりは今度はペニスを握り往復運動をする。ひぃー!
「待って。あとは自分でする」
と言って和弥は自分でフィニッシュさせた。精液が容器の中に出る。するとまゆりは和弥のペニスの先を舐めてきれいにしてくれた。
「わっそんな」
「指輪買ってくれて嬉しかったから」
と彼女は言った
 
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それで2人は精液の入った容器を持ち、採精室を出た。医師に渡す。医師は顕微鏡で調べているようである。
「元気な精子がいっぱいいますよ」
「良かった」
「男女の産み分けはご希望ですか」
「私たち男の子が欲しいんです」
「だったらX精子とY精子に分離して冷凍しましょうか」
「それぜひお願いします」
 
それでこの日採取した精液はXYに分離してから冷凍されることになった。
 
このあと、11月に和弥は七五三のため毎週姫路に来ることになるが、その度に毎回(スカートを穿いて!)まゆりと一緒にこの病院を訪れ、精液の採取をおこない、冷凍を作ってもらった。精液を濃くするため、和弥はこの月はオナニーを我慢した。
 
しかし和弥もだんだん度胸が出て来て3回目はチェックの膝丈スカート、4回目にはミニフレアを穿いた。
 
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なお一時的に女になっていた後遺症か、和弥の足にはむだ毛が生えなかったし、ヒゲも生えなかったので毛の処理は必要無かった。
 

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家に帰ってからまゆりは言った。
「人工授精の準備もできたけど、その前に自然授精に挑戦してみない?」
 
和弥は答えた。
「それ結婚した後にしない?だから結婚するまでは避妊する」
「いいよ」
 
しかしふたりはこの日初めて愛の儀式をしたのである。避妊具は和弥がちゃんと用意していた。この日は避妊具の箱を1個使い切った。でも初めての経験だったので、膣内射精がうまくできなかった。
「気にしないで。その内できるようになるよ」
「うん。また頑張る」
 
でも入れる前に彼女のクリトリスをたくさん刺激してあげたので
「気持ち良かった。これなら男の子ができるかも」
 
とまゆりは言っていた。なお膣内射精は3回目のデートで何とか成功した。むろん結婚までは避妊する。
 
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和弥は5日・日曜日の夜、まゆりの家で夕飯も食べた後、コリンの運転するウィングロードに乗って伊勢に戻った。
 
コリンは車を向こうに駐めたまま千里に転送されて姫路に帰還した/きーちゃんに伊勢市内の月極駐車場を契約してもらうことにした。和弥が卒業するまで使うことになる
 
このウィングロードはt0月に買ってもらったもので、伊勢と姫路の往復専用に使用することにする。この車は姫路では神社に駐めておく。
 

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和弥が伊勢に戻るとき、まゆりは
「プレゼントあげる。車に積んどくね」
と言って何やら段ボール箱を車に載せていた。
 
伊勢に着いてからその箱をアパートに運び込む。それでいったい何だろうと開けて見ると
 
・ショーツが推定50-60枚
・ブラジャーが10枚くらい
・ガードル5枚
・ボディスーツ3枚
・ベージュのパンスト2枚パック×5パック
・黒タイツ3足
・スカート4枚
・ブラウス5枚
・セシールのランジェリーカタログ
 
といったものであった。和弥はただ笑うしかなかった。箱は取り敢えずそのまま押し入れに放り込んだ。
 
 

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