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■女子高校生・春は桜(10)

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やがてコンビニのオーナーさんたちから照会が来始める。姫路市内や近隣の加西市・加古川市・神戸市などからは、わざわざ桜製菓の本社まで来て
「バンダイ・キャンディより更に美味しい飴があると聞いたのですが」
と言った人たちがあった。彼らの中には姫路駅のキオスクなどで万代飴を既にゲットしていて
「これ物凄く美味しいですね、うちにも卸してもらえませんか」
と言った人まであった。更には電話でも多数の問合せがあった。
 
交野は生産能力も考え、またサークルK本部側とも話しあった上、問合せのあった所の中でわざわざ本社まで来てくれた所と、兵庫県内のお店に限って、万代飴を出荷することにしたのである。ただ、手作りの製品を出す場合、作業員の手指の消毒・健康管理などきめ細かい衛生管理の徹底をお願いされた。
 
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交野もアルコール消毒液やアルコール入りウェットティッシュを置くなどの作業環境整備をした。むろん全員にビニール手袋を着けてもらい、マスクもして、頭にも作業用の帽子をかぶせた。毎朝の体温も報告してもらった。また体調の悪い日は給料も払うから休むように言った。作業室の入口にエアシャワーを設置したし、HEPAフィルターのエアコンで清浄環境を作った。またトイレも自動ドア・便座拭き・センサー蛇口・使い捨てペーパータオルなどを導入した。またトイレには廊下からアクセスするが、空気が常に廊下→トイレと流れるようにし、トイレの空気が廊下には出て来ないようにした。このシステムは「関西一衛生的なトイレ」として雑誌にも紹介され、14年後のコロナ騒動の時、多数の見学者もあった。
 
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それで万代飴はコンビニの多数の店舗でも売られることになった。万代飴の工房は建て増しして倍の広さになり、パートさんも増員して12人になり(その他に袋詰め担当3名)、また最初から居る3人は“シニア製造技師”の称号を与え給料もあげてやった。神社に納品に来た折に状況を嬉しそうに語ったおばちゃんの報告に千里たちも微笑んだ。
 
「ビニール手袋とかするのは煩わしいけどね」
「衛生的な環境で作ってます、とアピールするのがほとんどの目的ですよ」
 
手作りの飴は皿の上に敷いたセロハンの上にゲル状の飴を載せ、指でまとめていく。その指に手袋をするようにしたのである。つまりセロハン自体に直接指が触らないようにする。
 
「まあ仕方無いかね。そのうち宇宙服でも着せられるかも」
「ああそういう食品工場はありますよ」
 
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サラダ・和え物など生に近い状態のお惣菜を作る工場では作業員が気密服を着ている。天麩羅・焼き魚・麺類など加熱仕上げするものはわりとアバウトである。
 
「ほんとに?」
 
またバンダイキャンディーの方は製造機械の“型”を変更して丸い飴に変えた。これも「この方が取り出しやすいし食べやすい」として、好評だった。(空泡ができやすく製造時のエラー率が上がったが目を瞑る:重さが違うのは自動除外するし、更に光を当てて全品検査しているのでエラー品が出荷品に混じることは無い)
 

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川添慎(さくら)は5月8-12日に女子制服で登校した後は男子制服登校に戻していたのだが
「是非また女子制服で登校しよう」
と言われて、6月5-9日、7月3-7日にも女子制服で登校した。この間はトイレはもちろん女子トイレを使うが着替えは保健室でしようと思ったら
「大丈夫だから、こちらにおいでよ」
と言われて女子更衣室に連れ込まれ、そこで着替えた。でもさくらは
「私本当は女じゃないのにみんなの下着姿見たら申し訳無い」
とい言って、女子更衣室内で目を瞑っていた。
 

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6月9日・旭川。N高校女子バケット部とM高校女子バケット部との練習試合がおこなわれ、この試合に千里(東の千里)は「男子でも構わないから出て」と言われて出場した。この試合に出たのは身体の形状は女でも内部的には男子であるB(Bw-Bs)である。東の千里は“安定状態”ではBw-Y1-Bs (第2次統合千里:千里F)の状態にある。この状態の時の代表人格はY1の場合とBwの場合がある(Bsは貴司の浮気に怒ったような場合に出てくる)。
 
しかしFから何かのできごとでY1が飛び出してしまうと、Bw-Bsだけが残りBが現れる。授業を受けているのはたいていY1である(Bw/Bsはよく「身体動かすのは好きだけど脳味噌動かすのは苦手」と言って旭川司令室で寝ている)。また旭川Q神社にご奉仕しているのはたいていBである。天津子と一緒に“チン切り弁慶”を倒したのは霊力の高いY1。またバスケットの練習はY1が「運動は、きつーい」と言って離脱してしまうのでBが出ている。そして1年生前半の千里が男子バスケ部にいた時代はBが試合にも出ていた。この日の試合は女子の試合だが先方が「男子でもいいから」と言ったのでBがそのまま出た。
 
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千里が女子バスケット部に移籍された12月以降はGがY1をなだめすかして通常のF(Bw-Y1-Bs) の状態で試合には出ている。Y1もスリーは上手い。ただBほどの体力が無いだけである。もっともBもずっと女性ホルモンを飲んでいるので筋肉はかなり衰えていて、普通の男子のような筋力・体力は無い。それで春には毎朝5kmのジョギングを課されていたが、やってない(やろうとしたが美輪子に「(神社の)バイトもして朝練までするのは体力的に無茶」と言われて禁止された:実際やってたら倒れていたと思う。Bが体力を付けたのは大学生時代。Bは時間が組み替えられており、高校2年生と3年生の間に大学生の時間がある。なお出羽で山駆けをしたのもB。性転換手術を受けたのは男性器のあったW)試合のある日のY1はそれ以外の時間はひたすら寝ていた。他の用事はBwや時にはrにさせている。調整が付かずVがした場合もある。
 
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神戸。
 
6月中旬の体育祭では川添さくらは
「チアやってね」
と言われ、チアのスカートを穿き、ボンボンを持って踊った。また集団演技は女子のバートに参加した(競技は男子として参加し男子3000mで2位になった:女子で男子の二位になるって凄いねと褒められた)。チアでは
「さすが運動神経いいね」
とおだてられ、宙返りなども披露した。6月下旬の土日から始まった高校野球の予選にもチアとして動員されたが、真ん中で踊らされた。
「剣道部でなかったらチア部に勧誘したい」
などとも言われた、さくらは体重があるので上に乗る役はできないが、安定しているので発射台や受け止め役はだいぶした。
「さくらちゃんに受け止められるのは安心感がある」
などと、飛ぶ役の子たちは言っていた。女の子の身体をまともに掴むことになるが、別にそれで変な気持ちになることはない。男子の身体を掴むのと変わりない(つまり女子不感症!)
 
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チンコ立たないというよりは、立てる必要がないという感じだなあ、と慎は思った。彼は5月以降一度も男の子式オナニーをしていない。
 
なお身体測定は5月以降全部個別測定にしてもらっている。さくらの下着姿を見ているのは保健室の白井先生と女子保健委員の森田さんだけである。森田さんは身体測定で見るさくらの下着姿については何も人には言わない。守秘義務を守っている(でも6月上旬にプールで見たさくらのフルヌードについては他の女子に話した:保健委員の業務中ではなかったし)
 

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更に6月下旬から始まった水泳の授業では女子用スクール水着姿をみんなに曝すことになり
「やはり女の子の身体になってたのね」
と言われた。でもさくらが既に女の子の身体になっているという情報は6月上旬には市内のプールで遭遇した森田さんから女子全員に知れ渡っていたので、その情報が確認されただけとなった。さくらの女子水着姿はむろん男子たちも見た。
 
着替えは、一応プール付属の女子更衣室を使ったが、女子の保健委員・森田さんと体育委員・安西さんとでコントロールして、最初さくらだけが入って着替え、さくらが出た後、他の女子を入れた。しかし水着姿をみんなに見せてるからあまり意味ない気もした。
 
「もう今更だからずっと女子制服にしなよ」
「いや男子制服に戻す」
 
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でも誰もがさくらは既に完全な女子になったと思っていた。
 
 

6月下旬の日曜日にさくらが女子制服で三宮の町を歩いていたら青いポロシャツと短いスカートのお姉さんに何か小さなパッケージを渡された。ポケットティッシュかなと思ったが何だか違う。帰りのバスの中でよくよく見ていて「これナプキンだ」というのに気付いた。ユニチャームのボディフィットである。さくらは自宅に戻ってから自室でショーツにそれを着ける練習をしてみた。
 
何か面白ーい。でも女の子になったら生理って大変そうだな、とも思った。けっこう辛いみたいだし。
 

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翌日の月曜日、唐突にクラスメイトのつばきちゃんに
「そういえば、さくらちゃん、ナプキンは何使ってる?」
と訊かれた。さくらは何か答えないといけない気がして
「ボディフィットかな」
と答えた。すると翌日までには
「さくらちゃん、生理もあるらしい」
という噂が女子全員に伝わっていた。しかしそんな噂を立てられては、ナプキン持ってないといけないみたいな気がした。それでさくらは姉に相談した。姉はボディフィットの軽い日用を1パックと携帯用の生理用品入れを買ってくれたので、さくらはそれを持ち歩くようにした。
 

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さくらは5月中旬に一度美容室で髪を切ってもらったのだが、インターハイ予選が終わった後、7月2日(日)にもまた美容室で髪を切ってもらい、とても可愛い髪型になった。
 
結果的にさくらは男子制服を着ていても女子にしか見えなくなった。なお剣道をする時は頭に手ぬぐいを巻いているので髪型は分からない。
 
さくらは“困った問題”について担任に相談した。
 
「最近、バスに乗っててよく『この定期券違うよ』と注意されるのですが」
「どういうこと?」
「定期券は男名義なのに私は女に見えるみたいで。男子制服着てても」
「ああ。だったら“川添さくら”名義で定期券作っちゃえばいい」
と言って、先生は川添さくら名義の通学証明書を発行してくれた。
 
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それで、さくらはそれを持って交通局に行き、川添さくら・女・18という定期券を作った。以降卒業までさくらはこの名義の通学定期を使うことになる。
 
もうすぐ夏休みで、夏休みの間は学校の授業は無いものの、剣道の練習でほぼ毎日学校に出てくる。なお、通学区間以外に乗る時は市バスと地下鉄の共通カード(Uラインカード:無記名)を使用している。
 

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川添慎(さくら)は6月の10日以降は男子制服で登校していたのだが、7月3-7日にも女子制服で登校した。今回は定期券が女子名義なのでバスでは全くトラブルが無かった。
 
この間はトイレはもちろん女子トイレを使ったし、更衣室も女子更衣室を使った。水泳の授業でみんなさくらの水着姿を見た後なので、さくらが既に女の子の形なのは、みんなに認識されていた。それでもさくらは更衣室内で目を瞑っていたが「女の子同士なんだから目を瞑る必要は無いよ」と言われた。
 

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7月7日、旭川。
 
(東の)千里と貴司はQ神社で会い、4月に終えていた?ふたりの交際を再開することにした。正確には交際再開したのは9日からである(「祭り中に巫女がセックスすると仕事に差し支える」と言って、七夕祭りが終わった後、下宿先である美輪子のアパートに貴司を泊め、自分の部屋でセックスした:8日も同衾したがセックスはしてない:隣に付き合ってる女の子が寝てるのによく我慢できるものだ。貴司君は偉い)

なお(千里が)高校1〜2年の時(貴司は2〜3年)に貴司と交際していたのはほとんどBである。この千里はボーダフォン(会社としてはソフトバンクに移行済み)の青い携帯(着ぐるみ携帯)を持っており、むろん貴司にもその番号・アドレスを教えている。
 
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