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■女子高校生・春は桜(9)

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6月下旬。万代飴を製造する新工場が完成し、新しい製品が生産され始めた。交野社長は新製品に“バンダイキャンディー”という名前を付け、サークルKにたくさん出荷された。交野は自分で新製品を立花K神社にも持って来た。
 
「なんか随分垢抜けましたね」
という声があがる。
[新工場はISO22000の認定も受けましたから]
「へー」
 
神社の巫女さんたちはサンプルとしてもらった袋を開けて食べてみた。
 
「オシャレな個包装ですね」
 
飴はチョコ菓子などによくあるように上下が圧着されていて。そこにBANDAI CANDY の文字が印刷されている。
 
「ピロウ包装というんですよ。一度開けたら元に戻せないから、悪意のある人物が飴に毒物とか塗ってまた店頭に戻しておくみたいなことができないから安全なんですよね」
「なるほどー」
「毒入り危険ってやつですね」
「それそれ」
 
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この最後の会話は千里たち若い巫女には分からなかった。グリコ森永事件はもう20年以上前である。
 

高校時代、千里Rはほぼ姫路に住んでいたのだが、しばしば留萌にも出没していた。ただし、留萌に居たのは、本当の千里Rの場合と、“千里r”(通称スモール・アールまたはスモール・レッド)、愛称“ロゼット”であった場合とがある。その制御はGまたはRがしていた。rには初期の頃出ていたr1 と途中で交代した r2 がいる。Y1/Y2 などと違って r1/r2 は同時には出現していない。ただし R とr1, Rとr2 は同時に活動していることもある。r1/r2はRに近い霊的な力を持ち、善美の代理で子牙として霊的な作業をしたこともあるし、Fの代理で女子のバスケットの試合に出たこともある。試合に出したということは確実に天然女性である。
 
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r1の最後の言葉
「気にしないで。私はお人形だから。さよなら」
 
r2の初期の言葉
「私は多分3人目」
 
r1/r2 の素性についてGもRも敢えて語らないが、Vはr1/r2 の上記のような言動から、P大神の手で作られたRのコピーではないかと想像している。
 
コピーといえば、高校・大学時代、姫路司令室/京都司令室にほぼ常駐していた“千里J”も実はRのコピーだったのではとVは想像している。彼女はいつも緑のワンピースを着ていて、Gのコピーにもみえるのだが、A大神がいつか言っていた言葉によると、GとVは特殊な存在でコピーが作れないはずなのである。しかしGとRは(ミラーなので)同じ霊力と運動能力を持つからRのコピーで用が済んだ筈である。多分Jを作ったのはA大神とVは推測している。
 
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2006年春、癖元継承者問題、素麺屋継承者問題、神社継承者問題という3つの継承者問題がくすぶっていたのだが、最初に表面化したのは神社継承者問題だった。
 
姫路の立花K神社の宮司・平田茂行には息子はおらず子供は女の子3人であった。それで末娘の光子が茂行の従兄の子供にあたる平田照星と結婚し、その間の子供に期待を掛けていた。しかし光子と平田照星の間にも女の子しか生まれなかった。更に照星は若死にした。結局3姉妹の末娘の真弓理が「私が宮司を継ぐ」と言って伊勢の皇學館に入り、6年間勉強して神職の資格を取った。
 
一方、留萌のP神社では翻田常弥宮司の息子は神社には興味無いと言って普通のサラリーマンになったが、その息子(翻田常弥の孫)の翻田和弥が「僕が後を継ぐ」と言って皇學館に入り、神職の資格を取った。和弥の姉の花絵は札幌の会社員・守聖視(もり・さとし)と結婚したが、彼は姫路に転勤になり、千里と同じ団地内の家に住むことになった。
 
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花絵の引越の時、和弥は手伝いに呼び出され、結果的に平田真弓理と親しくなってしまう。
 
孫娘が神職の資格を持つ“立派な青年”を連れてきたことから、平田茂行は
「君がここの神社を継いでくれないか」
と言い残して死んでしまった。
 

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しかしそんなことを言われても、翻田和弥は留萌P神社の唯一の跡取りである。困ってしまったのだが、花絵はとんでもない案を出した。
「あんたが姫路立花K神社と留萌三泊P神社の宮司を兼任すればいい」
「近所なら宮司兼任はよくあるけど、姫路と留萌の神社の宮司を兼任するなんて物理的に不可能」
「神戸空港から旭川空港までジェット機なら1時間半だよ。充分いける」
「そんな都合の良い便は無いよ」
「ビジネスジェットを1個買えば良い」
「そんなお金は無いしパイロット雇うお金も無い」
「千里ちゃん、ジェット機とか持ってないよね?」
「きーちゃん?」
「よし。1機買おう」
「(驚いて)え〜!?」
[パチパチパチ」
「千里、あんたも留萌・旭川にたくさん用事がある」
「(嫌そうに)え〜!?」
[パチパチパチ」
 
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千里は本当はP大神から渡された“洞門の鏡”を使えば短時間で姫路と留萌を行き来できるのだが、この鏡は他人には使わせられないし、その鏡の存在についても他人に言うことはできない。しかしビジネス・ジェットで飛んできたと言えば言い訳が立つというものである。
 
それで、きーちゃんは中古のビーチ400XPを980万ドル(11.5億円)で買っちゃったのである。中古にしたのは値段の問題とすぐ入手したかったからである。
 

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パイロットは2人必要だが、ひとりはきーちゃんの友人のエリッサに頼むこととし、もう1人は出羽の美鳳さんから紹介してもらった山橋さくらという27歳の女性を雇うことにした。彼女はパイロット免許は取ったものの、女性のパイロットはあまり信頼してもらえず、仕事が無くて派遣で食いつないでいた。彼女の給料(120万円/月)は最初の5年間は美鳳さんが払ってくれるということだった。ただし健康保険証は天野産業から発行したし、彼女の勤務地は旭川ということにした。旭川に4LDKの戸建て住宅、神戸に2DKマンションの宿泊所を用意したが彼女はほぼ神戸のほうに住んでいる。ジェット機は彼女の名前にちなんで桜の花の塗装をし花絵により“チェリージェット”と命名された。
 
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しかしそういう訳で和弥は“ジェット機禰宜”になったのである。花絵は和弥のために野菜のネギが空を飛んでいる絵を描いたTシャツを作ってプレゼントした。彼のテーマ曲はGO!!GO!7188の『ジェットにんぢん』(2000年リリース)である!
 
女性パイロットにしたのは花絵の希望もあった。和弥がひょっとして、彼女に“転んで”くれたらという期待もあったのだが、そういう事故は起きず、むしろさくらはまゆりと仲良くなった。
 
P神社の方は翻田常弥が2023年現在でも健在であり、立花K神社の方も宮司は平田真弓理で、和弥はしばらく禰宜だったが2023年現在は副宮司というあまりふつうには見ない職位になっている。(大きな神社には権宮司がいるが、立花K神社は権宮司を置くほどの社格が無い。副宮司というのはあくまでも臨時の職であることも強調している。2023年現在は千里が禰宜に任命されている)
 
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兵庫県神社庁は和弥を宮司にしたかったのだが、常弥の異議(『まさかうちの跡取りをそちらの宮司にはしませんよね』)により“副宮司”に落ち着いた。和弥は、P神社の例祭でもK神社の例祭でも事実上の宮司の役目を果たしているが、正月・節分・大祓・七夕など日程が重なる時はP神社のほうに居て、K神社のほうは、花絵か千里が神事を執り行っている(七五三は北海道は10/15なので姫路と日程がぶつからない!)。
 
(神職の資格は無いが、越智さんもかなり手伝ってくれる。彼はたぶん神職の検定試験を受けたら合格する。実は祝詞奏上も上手い/朝晩の祝詞を代行してくれていることもある:この祝詞をあげるのは資格が必要無い:越智さんを宮司だと思い込んでいる氏子さんも多い!)
 
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(神職の検定試験で神職の資格を取れるのは跡継ぎ予定者が急死してその弟などが緊急に神職にならなければならなくなったような場合のみ)
 
年表
2006.3 平田真弓理が皇學館の修士卒業・翻田和弥が学部卒業
2006.4 翻田和弥が留萌P神社の禰宜に任命(姫路に取られそうなので先手を打って任命)
2006.5 平田茂行死去。平田真弓理がK神社の宮司、翻田和弥が禰宜に任命(和弥が“ジェット禰宜”になる)
2007.7 和弥と真弓理が留萌で結婚する。(P神社御鎮座80年の年)
2007 花絵が京都國學院に通い神職の資格(権正階)を取る(花絵は1年間京都と姫路で遠距離夫婦)
2008.4 花絵がK神社の権禰宜に任命(現職)
2009-2010 千里が京都國學院に通い神職の資格(明階)を取る(Rは同志社大学に入り、Y2が京都國學院の神職養成所に通った。両者は自転車で10分程度の距離:この時代は司令室も京都に置いた)
2011.4 千里がK神社の権禰宜に任命。
2022 立花K神社鎮座150年。千里がK神社の禰宜に就任。和弥は副宮司に任命
 
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花絵・千里が神職の資格を取ったのは宮司夫妻が姫路を空けられるようにである。
 
 

交野が桜製菓に買収を仕掛けたのはiso220000取得のためである。そういう場合、常識的にはコンサルタント会社の指導に基づき工場を建設して、衛生的な製造工程とか、原料の管理方法などを構築していく。しかし交野は生憎常識的な手段が嫌いである。それで彼が考えたのは、既にiso22000を取得している会社を買収し、そこのノウハウを使って工場を建設しようということだったのである。それにコンサルタントの意見より実際に取得したところの経験のほうが役に立つと思った。更に既に取得している企業がもうひとつ申請する場合、審査自体が少し緩くなるのではとも期待した。それで資金的に経営難に陥っていた桜製菓に目を付けた。また桜製菓の社長が自分と同世代なので交渉しやすいかもという計算もあった。ラグビー部出身同士でしかも激戦を戦った仲だったのは、予想外のことである。
 
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※工場生産されるバンダイ・キャンディーと手作りの万代飴で変更された点
 
・万代飴は指でまとめやすい丸形だったが、バンダイ・キャンディーは機械で処理しやすい四角形
・万代飴は材料をハンドミキサーで10分攪拌。バンダイ・キャンディーは機械で30分攪拌
・万代飴は手作りなのでねじり包装。バンダイ・キャンディーはピロウ包装
・原料の違い。万代飴の原料の醤油については醤油店に生産余力があったが、蜂蜜については養蜂園が「そんな大量には納品できない」と言ったので、中国産の輸入蜂蜜の特上品を使った。
 

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サークルKの店頭に置かれた“バンダイ・キャンディー”は人気が出て美味しい飴だとして雑誌やラジオでも取り上げられた。よく売れて、コンビニ本部から桜製菓に感謝の電話まで入った。
 
一方、神社で“バンダイ・キャンディー”を買った人たちからはこんな声が出た。
 
・以前の万代飴の方が美味しかった(根本的問題)
・新製品の個包装(ピロウ包装)は飴が取り出しにくい
・以前の丸い形の方が食べやすかった。
 
千里やきーちゃんも以前のものと食べ比べてみて
「形や包装はまだいいとして味はかなり落差がある」
と交野氏に苦言を言った。
 
同様の苦情は万代飴を扱っていた、地場のスーパー・東北屋さんとか、姫路駅のキオスクとかからもあがってきた。交野氏は遣り手だけあってこういう問題への対応は早い。それで彼はプレハブの工房を建てると、そこにこれまで万代飴を作っていたパートの女性3人を入れ「これまで通りの万代飴を作ってほしい」と頼んだのである。更に技術継承のため、彼女たちに娘さんとかお友達を呼んで見習いをしてもらい、万代飴の製造は6人体制になった。更に製造された飴を集めて袋に詰める作業をする人を雇った。
 
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「うん。バンダイキャンディも悪くは無いんだけど、やはり万代飴のほうが美味しい」
と千里たちは言った。
 

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女子高校生・春は桜(9)

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