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交野淳一は万代飴の袋を10個ほとアタッシェケースに入れると、タクシーで姫路駅に出た。新幹線で名古屋まで行き、名鉄に乗り換えて稲沢市の国府宮駅まで行く。それでサークルKサンクスの本部を訪れた。
(サークルKとサンクスは2001年に経営統合、2004年に合併した)
そちらのお店で扱ってほしい商品があると言うと、商品開発部長さんが会ってくれた。
交野は“株式会社・万代堂・代表取締役・交野淳一”の名刺を渡し、そちらのお店にぜひ置いてほしい商品があるといって万代飴を渡した。部長さんは1個食べてみる。
「ああ、これは美味しい飴ですね」
「置いてもらえます?」
「置いてもいいけど、昨今食中毒事件とかもよくあるのでね。衛生管理とか原料の保管とかに気をつけてほしいんですよ」
「うちは充分衛生的な環境で製造してますから」
そうか?作ってる所見たら誰も買わなくなるぞ。
「一応iso22000を取得してもらえませんか」
「文イエスオー?」
「取れますよね」
「大丈夫だと思います。すぐ申請の準備をします」
しかし彼は帰りの電車の中で呟いた。
「あいえすおー何とかってどうやって取ればいいんだ?全く見当も付かん。jまるで雲を掴むみたいな話だ」
さて、高校剣道の兵庫県春の大会で女子では双葉と千里の2人で相手チームの全員を倒してH大姫路が優勝したのだが、男子でも福田一鉄・谷口春恵(しゅんけい)・公世の1年生トリオの活躍でH大姫路が優勝。男女ダブル優勝となつた。男子でも決勝戦は女子と同じく神戸市のE高校 とであった。試合前、E高校の大将・川添君は言った。
「なんで向こうの大将は女なの?」
「女だけど凄く強いですよ。W学院の山本さんが瞬殺されましたから」
「情けない。俺、万が一にも女に負けたら、チンコ切って女にならなきゃ」
と言っていたのが公世はこちらの中堅の村田、副将の美波を瞬殺して公世と川添君の戦いとなる。
「村田も美波も情けない。あいつらチンコ切ってやらなきゃ」
などとつぶやきながら出て行く。ところが仕切り線で向かい合ってからギョッとする。
「何なんだ?この気魄は」
それで公世に1分で2本取られて負けたので
「さて潔くチンコ切って女になる手術受けてもらおうか」
と言われ
「やめてー。助けてー」
と泣き叫んでいた。ただし女子部長の西川百合からは
「川添君が女子になるのなら大歓迎。女子制服と白い道着、用意しとくね」
と言われた。顧問の北島先生まで悪乗りして
「川添君、女の子になるの?じゃインターハイ予選では君が女子の大将ね。個人戦のほうは“川添さくら”の名前で女子の部にエントリーするから」
などと言っていた。
「あ、さくらちゃんって可愛い」
「君の竹刀は男子用の基準になってるから、そのまま女子の部でも使えるから」
「インターハイは女子の紺色道着もOKだよ」
(昔は女子は白と規定された大会もあった:多分今は無い)
「その日は女子トイレ・女子更衣室使ってね」
「そんな。女子更衣室なんかに入ったらチンコ立っちゃう」
「大丈夫。そのチンコは今日中に無くなるから」
「いやだー」
「川添さくらちゃんはきっと女子の個人戦・優勝候補」
でも公世より強い千里や清香に負けそうな気がする。
今春は多数の性転換者が出る??
「さくらちゃん、女の子になったらきっとラブレター殺到するよ」
「そうか。女の子にもてるか」
「男の子からのラブレターに決まってるじゃん」
「俺、男と付き合うの〜?」
「だって女の子は男の子とつきあわなきゃ」
「性転換手術ではちゃんとヴァギナも造るから男の人と結婚できるよ」
「ヴァギナ〜?」
「それでちゃんと男の人とセックスできるから」
「俺、男とセックスするの〜?」
「だって女の子ならね」
「さくらちゃん、いいお母さんになりそう」
「もしかして俺が子供産むの〜?」
「女ならね」
彼はかなり悩んでいたようである。
キャプテンの保護者としてチームに付き添っていた川添君のお父さんに西川さんが言う
「慎君、ちんちん切って女の子になるそうですよ」
「ああ。いいんじゃないですか。娘がもうひとりほしいと思ってました」
「名前は“さくら”ということで」
「姉が桃だから、植物シリーズでお揃いですね。それにこいつ4月生まれだから“さくら”って季節感もいいですよ」
「桃先輩凄く強いです」
「こいつはまだ姉貴に勝てないはず」
「でもこないだ1本取ったよ」
「でもすぐ取り返されて負けたじゃん」
「姉貴、こさかしいんだよ」
「ああ、慎君は知恵が足りないんですね」
「確かに川添君は駆け引きが苦手」
と北島先生も言っていた。
その日の夜、彼の夢の中に白衣の女の人(女医さん?)が出て来て、彼のちんちんを触り
「可哀想に。こんなの付いてたら邪魔でしょ?私が手術して取ってあげるね。そして私と同じ形にしてあげるよ」
と言われたが
「邪魔ではありません。取らないでください。女の形になるとか嫌です」
と答えた。
「歩く時足がぶつかって邪魔だと思うけど」
「そんなことないです」
「おしっこの時もそれをわざわざ引き出さないといけないから大変でしょ。女の子と同じ形になれば、パンツ脱いで座るだけで、おしっこは割れ目ちゃんから自然に真下に落ちていくようになって楽だから」
「いえ。僕はちんちんでおしっこするのか気に入ってるんです。割れ目からおしっこするなんて嫌です」
「ちんちん無い方が楽なのにー」
でもあくまで「取らないで」と言った。
彼は翌朝、母から
「じゃ今日からはこれ穿きなさいね」
と言われて女物のパンティ(おばちゃんが穿くようなデカパン)を3枚も渡され、思わず股間を確認したらしい。更に母からはブラジャーとキャミソールまで渡された。
「このブラはフロントホックだから慣れてない人でも簡単に留められるから」
と言われて練習させられた!面白い形のホックだなと思った。でも確かに簡単に留められた。
またキャミソールはラウンドタイプだったので
「ランニングみたいなものか」
と言って着ちゃった!
彼は更に、姉から高校時代に着ていた制服をブラウスと一緒にプレゼントされてしまった。更にブラウスのボタンを留める練習をさせられた
「何て留めにくいんだ」
「慣れの問題よ。これから毎日それ着ようね」
「え〜?」
取り敢えず女子制服も試着したが
「スカートって袴みたいなもんか」
などと言っていた。一応スカートで転ばずに歩けたので
「優秀優秀」
と言われた。
「月曜からそれで学校行く?」
「勘弁して〜だいたい服装違反」
「それも制服なんだから、違反にはらないと思うけど」
「男子が女子制服着たら違反だよ」
「男子が女子制服着てはいけないなんて校則には書いてないはず」
「普通いちいち書かないよ」
「そもそも女子になるんだし」
「女にはならないよー」
「そうだ。これもあげる」
と言われて広いゴムベルトのようなものと白い道着まで渡される。道着はE高校の名前が入っている。学校でまとめて作った物である。現役の女子剣道部員たちもこれを着ている。
「このベルトみたいなのは何?」
「スポーツブラだよ。運動する時はそれでおっぱい押さえておかないと揺れて邪魔になるから」
「女は大変なんだね」
「男もちんちん何かで押さえないと邪魔になると思うけど」
彼は昨夜の夢でも女医さんに歩く時ちんちん邪魔でしょ?と言われたことを思い出した。
「邪魔じゃないよー」
「ああ。小さったのね。どっちみち取っちゃったから邪魔にならなくなったね」
「取ってないよー」
でもスポーツブラを着ける練習もさせられた!
彼はその日は結局スポーツブラ・キャミソールの上に“紺色”道着を着けて練習に出ていった。そしたら女子部員たちが彼の女子制服試着写真(坊主頭隠しに帽子をかぶっている)を持っていて
「結構似合ってる」
「女に見えないこともない」
「川添君の女装と聞いてもっと奇怪なものを想像したのに」
「この程度の女子は居るよ」
などと言っていた。
なんで、この子たちがこんな写真を持ってるんだ〜?(もちろん犯人は姉!)
彼は月曜日には一応男子制服を着て学校に行ったが
「今日から川添さんは女子制服ですと聞いたのに」
などと言われた!更に女子の保健委員の森田さんから
「トイレ一緒に行こうね」
と言われた!でも男子トイレを使った。男子のみんなからは
「女子トイレに行かなくていいの?」
と言われたが。でも「川添さんは個室使って」と言われて毎回個室でして、小便器は使用しなかった。
(彼はその後二度と小便器は使わなかった)。
また彼の女子制服試着の記念写真をクラスメイトの女子たちも持っていて彼女らも
「結構似合ってる」
「女に見えないこともない」
「この程度の女子は居るよ」
などと言っていた。
「大丈夫だから明日からはちゃんと女子制服で出ておいでよ」
「せっかく女の子になる手術受けたんなら堂々と女子制服着なきゃ」
などと言われる。
なんか俺が女になったってのが既成事実化してない??
彼は翌日(火曜日)も男子制服で登校したが
「トイレは女子のほう使ってね」
と言われ、男子制服のまま女子トイレに誘導されてしまった。でも実用上の問題は無いので!そのまま女子トイレの個室を使った。
彼は姉に相談した (姉に相談したことを後悔することになる)
「なんかみんなが俺が女になったと思い込んでてさ、今日は女子トイレ使ったけど、トイレならまだ良いけど、その内女子更衣室にも連れ込まれそうで、更衣室だとさすがにチンコあるの分かって俺痴漢として逮捕されるかも」
「あんた、ショーツの下にアンダーショーツ着ければいいよ。そしたらちんちんの形とか分からないから」
と言って姉は自分のアンダーショーツをくれたのである。それで彼が睾丸は体内に押し込んでペニスを“後ろ向き”にアンダーショーツに収納し、その上に母に渡されたショーツ(でかぱん)を穿いたら確かにペニスの形は外に響かない。すげー!と思った。また姉はバストパッドも貸してくれた。
それで翌日(水曜日)彼は本当に体育の時間女子更衣室に誘導されてしまったが、胸はブラジャーの中に挿入したパッドのおかげであるように見えるし、ショーツには何も膨らみが無いので
「さくらちゃん、ほんとに女の子になったのね」
などと言われた。
彼は重大な一線を越えてしまった気がした。