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■女の子たちのウィンターカップ・接戦と乱戦(11)

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ところで貴司は芦耶と13時に梅田で待ち合わせていた。阪急三番街でお茶を飲んでおしゃべりした後、地下鉄でアウディのショップに行ってみた。
 
「へー、アウディが好きなの?」
「うん。わりと気に入ってるんだ」
「ふーん」
と答えてから少し芦耶は考える。
 
「例の女子高生の好み?」
「え?そんなことないよ」
と言って焦ったふうの貴司を見て、芦耶は「まいっか」と思った。メーカーは彼女に任せてあげるよ。でも私の好みの車種を選んじゃおっと。
 

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この日千里たちは自分たちの試合は11時過ぎ、札幌P高校と岐阜F女子高の試合も12時半すぎには終わったので、午後からはV高校に戻って黙々と明日に向けての練習をしていた。
 
14時半頃、合宿のサポートをしてくれている靖子さんが
「千里ちゃん、親戚の人が面会に来ているよ」
と言うので、誰だ?と思って出て行くと、雨宮先生である。
 
「おはようございます。またもや詐称ですか?」
「まあいいじゃん」
「それとも先生って、どこかで私と血のつながりか姻戚関係でもありましっけ?」
「あんた、私のお嫁さんになる気はない?」
「重婚じゃないですか」
 
「・・・・・」
「どうしたんですか?」
「それってどちらが?」
と雨宮先生は訊く。
 
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「お互いにですよね?」
「ああ、あんた結婚してると言ってたね」
「形式的にはいったん別れたんですけど、意識としては夫婦の意識を持ち続けているつもりです」
「ふーん。でも私も重婚だと言うの?」
「雨宮先生、奥さんがおられますよね?別居なさっているみたいだけど」
「なんで知ってんのさ?上島でさえ知らないのに」
 
「私、巫女ですから。結婚している人と独身の人の区別はつきます」
 
「参った、参った。あ、それでさ。つい先ほど、ケイとマリの父ちゃんが町添さんと契約書を交換したよ」
 
「よかったですね!」
「あんたの言ってた写真の添付については、両親側は新たに撮影するのでなければ構わないと言った。ケイの父ちゃんもややしぶしぶだけど、女装写真でも良いと了承した。実は『甘い蜜』のCDのジャケ写は蜂蜜を入れた壺の写真で中も歌詞カードだけ。ふたりの写真はどこにも使用されていなかったから、寂しいという意見もあったんだよ。東京公演でふたりが歌った時の写真を期間限定で購入者全員プレゼントとして付けることにした」
 
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「ああ、おしゃれしたスナップよりそういうのがいいと思います。あの子たち多分アイドル系よりアーティスト系になりそうだし」
 
「うん。そのあたりはスタッフ間に意見の相違があるけど、私や町添さんはそういう意見だよ」
 
「でも早かったですね!」
「ケイが自分の父親だけじゃなくて、マリの父親も説得してくれたらしい」
「まあ、あの子はもっとさっさとどこかの事務所と契約していれば良かったんですけどね」
「全く、全く」
「KARIONの方はどうするんですか?」
「もちろん掛け持ち。ドリームボーイズも掛け持ち」
「ドリームボーイズにも関わってるんでしたっけ?」
「そもそもそれが一番古い」
「へー!」
 
「それでさ。レコード会社の契約の方はいいんだけど、プロダクションとの契約は現在白紙状態でさ」
「うーん。それは別に必須ではないでしょ。レコード会社と契約できてるなら」
 
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「うん。そもそもケイはどこの事務所とも契約しないまま既に5年も芸能活動してきているからね」
「あの子、そんな前からやってるんですか!」
 
「うん。という訳で、あの子、KARIONの2月の全国ツアーに全部参加させるから」
「いいんですか?」
「まあその辺りはうまくやるよ。ただ、あの子はKARIONでボーカル兼ピアニスト兼ヴァイオリニストだからさ。ピアノ弾きながらヴァイオリン弾きながら歌を歌ってくれと言ったら無理だと言われてさ」
 
「それはさすがに無理です」
「仕方ないからヴァイオリニストは、上手い具合に男の娘のヴァイオリニストがいるんで、その子に代理で弾いてもらうことにした」
 
「へー」
「ちょっと可愛い子だよ。ベッドの上で押し倒して、あの子の***を揉んで***を攻めてみたい」
 
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「あまりノンアダルトサイトに書けないような発言しないでください」
「だから千里、ピアノ弾いてよ」
 
千里は、そこに来たかと思った。
 
「ツアーいつと言いました?」
「1月31日から3月14日」
「無理です。私は受験やってます」
「あんたなら推薦でしょ?もう試験は終わってんじゃないの?」
「世俗の義理で一般入試を受けないといけないんですよ」
「日程は?」
「センター試験が1月17-18日、□□大学一次試験が2月21日、C大学の試験が2月25日、□□大学の二次試験が2月28日です」
と千里は手帳を見ながら答えた。
 
「あんたバスケばかりしてるでしょ? 勉強する時間なんてあるの?」
「頑張ってますけど」
「取り敢えず2月28日の沖縄以外は日程がぶつかってないな」
「私、ウィンターカップが終わったら受験勉強に専念したいです」
「2時間くらいライブに出る程度いいじゃん」
「旭川からの移動に時間がかかります!」
「あんたどこでもドアとか持ってないの?」
「そんなの持ってません」
「2月28日は試験は何時からさ?」
「朝からですが」
「だったら昼過ぎには終わるよね?」
「うーん。受験番号にもよると思いますが」
 
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雨宮先生は鞄からJTBの時刻表を出して調べ始める。
 
「羽田を15:30の飛行機に乗ってもらえたら18:15に那覇空港に着く。間に合う。それでもう試験は終わりなんだから、受験には影響無いよね?」
「先生のこと鬼と呼んでいいですか?」
 
「ケイの腕がないとどうしても弾けないピアノやヴァイオリンがあるんだよ。ちょっとこれ見てみ」
 
と言って雨宮先生は『優視線』のスコアを見せる。
 
「こんなの誰が弾けるんです?」
「ケイじゃなかったら、世界的なコンテストで上位入賞できるレベルのピアニストでないと無理」
「少なくとも私には無理ですね」
 
「だからこういう曲はケイに弾かせる。でもできるだけ多くの曲でケイはボーカルとして参加させたい。だから、そういう曲ではピアノやヴァイオリンの代理演奏者が必要なんだよ。だけど、ケイの代理には男の娘を使わないと、演奏者のすり替えがバレやすい。でも特にあんたはケイと身長も近いし、小学生の内に性転換したのも同じで雰囲気が似ているから影武者として貴重なんだ」
 
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「ケイって小学生のうちに性転換したんですか?」
「あんたもでしょ?」
「私は高校1年の時ですが」
 

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貴司は芦耶とともに販売店のスタッフに色々説明を受けていた。芦耶は最初900万円するTT RS plus Coupeに興味を示したものの「ごめん。さすがに払いきれない」と貴司が言う。
 
それで芦耶が「そうだなあ」と思って見ていた時、誰かに肩を触られたような気がして、そちらを見る。誰も居ないのであれ〜?と思ったものの、そちらに何か良さそうな車があるのに気づく。
 
「あ、これなんかどう?」
と芦耶が言ったのは450万円のA4 Avantである。
 
貴司は
「それもきついなあ」
と言って貴司は反対側の方に置いてある、250万円のA1と350万円のA3 Sedanに興味を示している。
 
するとスタッフが
「ちょっと試乗してみられませんか?」
と言った。
 
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それで最初A1に乗って近くの道を1周してきた。
「ちょっと狭い気がする。それに非力だと思う」
と芦耶が言う。
 
貴司もそれは感じた。このくらいの車ならヴィッツかフィットでもいい気がした。それでA3 Sedanの方にも乗ってみる。それでまた近くを一周走ってきた。
 
「微妙だなあ」
 
それでスタッフさんは「やはりA4 Avantに乗ってみられます?」と言う。芦耶は気に入っているようだが、450万円というのは払えないこともないが、きついなと思っていた。芦耶は「せっかくアウディ買うならこのくらいのがいいよ」などと言っている。するとスタッフさんが言う。
 
「これは実をいうと来月発売のモデルなんですよ。ですからお売りできるのも1月以降になるのですが。うちにもつい昨日入って来たばかりの品で。まだどなたも試乗なさってないんですよ。1人目の試乗者になられませんか?」
 
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「じゃちょっと試乗してみようか」
と言って貴司は芦耶を助手席に乗せて、そのA4 Avant 1.8TFSI を発進させた。
 
「やはりこの車いいよ。室内も広くてなんか快適だし、パワーもある感じ」
「室内はこれオプションのシート使われているみたい」
「それにステーションワゴンだと荷物載せるのにも便利なんじゃない?貴司大会であちこち遠出もするでしょ?」
「まあそれはあるけどねー」
 
そんな会話をしながら貴司は走ってきた道を左折してショップに戻ろうとしたのだが、そこに左側に強引に割り込んで来たバイクがあった。危ない!と言いながら右車線に避ける。ところがその後、後ろからどんどん車が来て貴司はなかなか左車線に戻れない。このあたりが運転初心者たるゆえんである。そして貴司の車は阪神高速の入口に入らざるを得なくなってしまった。
 
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「仕方ない。次の出入口から降りよう」
と言って貴司は料金所で料金を支払い本線に入った。
 
しかし・・・・阪神高速を使ったことのある人なら分かる所だが、阪神高速は初心者にはとっても厳しい道路である。路線図を頭に入れた上で、早い時期に車線変更しておかなければならないのに、貴司の場合、路線図や線形も分からない上に、そもそもその車線変更自体が下手だという問題がある。それで貴司は思う方向に行けず悪戦苦闘する。貴司が「うっそー」とか「だめだー!」などと叫びながら運転しているので、芦耶もひょっとしたらどこかで脇に緊急停止させて、運転代行でも呼んだ方がいいか?と思い始めていた。30分ほどの必死の運転の結果、貴司の運転するAUDI A4 Avantはとうとう名神の上り線に乗ってしまっていた!
 
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その間、貴司の携帯に着信があった。むろんショップからである。それには芦耶が出て
 
「済みません。運転初心者なもので、間違って高速の入口に入ってしまって。そのあと降りるのに苦労しているんです。何とか頑張って下に降りて戻りますので」
 
と答えておいた。しかしショップの人もまさか名神に乗ってしまったとは思いもよらないだろう!
 
芦耶が貴司に言う。
 
「多分名神の方が阪神高速より楽だよ。すぐ先にSAがあったと思うからそこで一度休憩してさ。それから次のインターで下に降りてショップに戻ればいいよ。場合によってはショップの人に迎えに来てもらおう」
 
「うん。そうしよう」
 
それでちょうど吹田SAの入口が見えてきたので、貴司は中に入って車を駐めた。そして、貴司と芦耶のこの日の記憶はここで途切れている。
 
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