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■女の子たちのウィンターカップ・接戦と乱戦(2)

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スローインのボールを雪子が受け取り、ドリブルで攻め上がる。千里のそばに山王さんがピタリと付いた。雪子が千里にボールをパスする。それでドリブルしながら山王さんと対峙する。
 
そして千里は「右へ行くぞ」と明確に意識した。そして次の瞬間山王さんの左を抜いた。山王さんは千里が最初に意識した方向に手を伸ばして千里を停めようとしたので、やすやすと抜かれてしまう。
 
そして素早くスリーポイント・ラインの所に立ち、美しい動作でシュートする。
 
入って3点。
 
千里にとってこの試合初めてのスリーが決まった瞬間であった。
 

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次の攻撃機会。
 
またもや雪子から千里にボールが送られ、山王さんと対峙する。ドリブルで相手の呼吸を見計らう。千里は「左へ行くぞ」と明確に意識し、次の瞬間、本当に山王さんの左を抜いた。またもや山王さんは千里が抜いたのと反対側に身体を動かして停めようとして、やすやすと抜かれてしまった。
 
千里のスリーが決まる。
 
チラっと藍川さんを見ると、悔しそうな表情をしている。
 
このようにして千里はこのピリオド、反撃をしていった。
 

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千里の考え方はこうである。
 
自分がどちらに行くか決めた次の瞬間、その思考を藍川さんが読み取って山王さんに伝えている。おそらく山王さんは優秀なテレパスなのだろう。本人はテレパシーを受け取っているとは意識していないかも知れない。しかし手段としてはそういう手順で伝えられている。そこで千里は、どちらに行くか決めたのと無関係に本当に抜く側を選択するようにした。
 
その結果藍川さんの指示が全くあてにならなくなってしまったのである。
 
その後、山王さんは純粋に千里の動きを見て反応するようになる。恐らく藍川さんが指示するのをやめたか、あるいは頭に響いてくる左右の指示は考えないほうがいいと自分で判断したかどちらかであろう。
 
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しかし瞬発力だけの勝負になれば、その遅さを1年前に暢子に指摘されて以来徹底的に鍛えている千里はそう簡単に相手に負けはしない。
 
それで3割くらいは停められるものの、停められてもボールだけは奪われないようになる。
 
千里を完全に封じることができなくなったことで、第2ピリオドでは両者の点差が開き始める。
 
新鋭三人組の成長でお尻に火が付いている感もある揚羽がこのピリオドは本当に頑張って得点を重ねる。スモールフォワードの位置に入っている志緒も積極的なプレイをして揚羽をサポートする。そして紅鹿は相変わらず高梁さんを封じ続ける。高梁さんはこのピリオドでもファウルを1つ犯してしまった。これで4ファウルで、あと1つ犯すと退場である。
 
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そういう訳で、このピリオドは16対24とN高校が大きくリードする結果となった。このピリオド、千里はスリーを7本撃って4本放り込んだ(3本は山王さんにブロックされた)。前半合計は34対40でN高校6点のリードである。
 

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第3ピリオド、向こうは主力を休ませる。こちらは永子/ソフィア/久美子/リリカ/留実子というメンツで出て行く。永子というオーソドックスなプレイをするポイントガードを使いつつ、様々な変化を持つソフィアというシューティングガードを使うと、向こうとしては攻撃の起点が読みにくくなる。ソフィアはそれを考えてやっているのではなくセンスで全体の空気を読みながら選択しているので、相手はそれに振り回されたようである。
 
結局このピリオドでは14対18とこちらが4点リードした状態で終えることができた。18点の内訳はソフィア8点、留実子4点、リリカ2点、久美子2点、途中から入った志緒2点である。久美子もこの強い相手に得点をあげられて随分自信を付けたようである。
 
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第4ピリオド。向こうは当然高梁さんを戻す。紅鹿は前半でくたくたになっているのでこのピリオドでは暢子が高梁さんの専任マーカーとなった。雪子/千里/絵津子/暢子/揚羽という顔ぶれで出て行くが、暢子が専任マーカーなので、得点係は千里・絵津子である。
 
このピリオドでは相手はゲームメイクは第3ピリオドでも出ていた2年生ポイントガードの今出さんに任せて、正ポイントガードの烏丸さんが千里の専任マーカーになった。山王さんは前半物凄く頑張ったので体力限界なのだろう。また第2ピリオドではブロックは結構決めたものの、スピードや瞬発力ではかなり千里に振り切られていたので交代となったのかも知れない。
 
また高梁さんのそばに常にフォワードの平野さんが付いているようにして、2人で対抗しようとした。
 
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これに対して千里は烏丸さんとのマッチアップで8割くらい勝利したし、高梁さんのところは揚羽が暢子のサポートに入り、2対2の状況にしたことで結局高梁さんは何も仕事ができなかった。
 
そして第4ピリオド開始から3分ほど経った時、高梁さんはとうとう5つめのファウルを犯してしまった。退場である。
 
凄く悔しそうな表情をして彼女はベンチに下がった。
 
そして高梁さんが抜けてしまうと、愛宕さんや広瀬さんがどんなに頑張ってもN高校の強力なフォワード陣とは破壊力に差がある。絵津子も暢子も揚羽もどんどん得点するし、千里も調子良くスリーを撃ち込む。
 
それで結局12対21で決着した。
 
後半の得点だけ見ると25対39となる。
 
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整列する。
「79対59で旭川N高校の勝ち」
「ありがとうございました」
 
それでお互い握手して健闘をたたえ合う。その後、下がっていたメンバーも一緒にお互い相手のベンチの所に挨拶に行く。その両軍がコート上で交錯した時のことであった。
 
高梁さんが紅鹿の所に近づいてくるので、紅鹿は握手を求められるのかなと思い手を伸ばそうとした。ところが高梁さんはいきなり紅鹿を殴ったのである。
 
千里は危ない!と思った瞬間《こうちゃん》を飛び出させて紅鹿を守った。それでも紅鹿は殴られた勢いで倒れてしまう。
 
慌てて愛宕さんが高梁さんを後ろから押さえる。審判が笛を吹いて駆け寄る。
 
「大丈夫?」
と言って千里も紅鹿のそばに駆け寄る。
 
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「ええ。大丈夫です」
と言って紅鹿は自分で立ち上がった。
 
「申し訳ありません!」
と高梁さんを取り押さえている愛宕さんに代わって烏丸さんが紅鹿に謝った。
 
「いや大丈夫ですから気にしないで下さい」
と紅鹿は言っているがさすがに顔色が青くなっている。
 
それで愛宕さんも高梁さんに「お前も謝れ」と言うのだが、高梁さんはもっと困ったことを言ってしまう。
 
「お前のせいで全然点数取れなかった。あんなにピタリと付いて邪魔するなんてずるい。それでもお前女か?おかげで退場もくらうし、賭けにも負けたし」
 
「賭け?君、賭けをしてたの?」
と審判が厳しい顔で尋ねる。万一トトカルチョでもやっていたら永久追放ものである。
 
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「BEST4以上になったら本田圭佑選手のサイン、友だちから譲ってもらう約束だったのに」
 
紅鹿の顔が一瞬緩むが審判は相変わらず厳しい顔をしている。
 
そんなことを言っている内に向こうの監督が駆け寄ってきて「そいつ連れて行け」と部員に指示するので、結局愛宕さんと広瀬さんのふたりがかりで高梁さんをフロア外に連れ出した。愛宕さんも監督もたぶん自分が高梁さんを殴りたい気分だったかも知れないがこんな所で殴ったりしたら、チームが除名処分になりかねないからひたすら我慢である。
 
「部員の教育がなってなくて、大変申し訳ありません」
と監督が深々と頭を下げて謝る。
 
「このことはスコアシートの裏面に記録して提出しますから。相応の処分があることは覚悟してください」
 
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と主審は監督に宣告した。
 
ゲーム中にエクサイティングしてしまって喧嘩になるのはままあることだが、試合終了後の暴力行為というのは罪が重い。
 
ゲーム時間が終了した後もスコアシートに主審がサインをするまでは、まだ試合中に準じる時間である。また試合が完全に終わった後であってもスポーツマンらしくない行為があった場合は処分の対象になる。過去におとなの試合で、ゲーム修了後に選手が控室のロッカーを壊したので罰金と出場停止処分をくらった事例もある。そして高校生の場合はこの手の行為に対してはおとなの場合より更に厳しい。
 

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「結局卓越した選手が1人居て、その人の力で勝ち抜いていくチームって、その人さえ押さえてしまうと得点力がガタ落ちするんだよね」
と控室に戻ってから薫が言う。
 
「うちも第1ピリオドでは千里を随分押さえられたね。その後何とか自力で突破したみたいだけど」
と暢子。
 
「うちの場合は千里が押さえられていても、暢子も揚羽も絵津子もいるから」
「まあでも絵津子の成長は大きい。岐阜でほんとによく鍛えられてきているみたいね」
と薫は言う。
 
「うん。学校側もよくこういう思いつきに対応してくれたと思う」
「晴鹿ちゃんも爆発しているみたいだしね」
「あの子、凄いね!」
 
千里は岩手D高校との2回戦でスリーを15本、今日の3回戦では8本入れた。これに対して岐阜F女子高の晴鹿は2回戦で12本、3回戦で10本入れて、今のところ2人のスリーポイントの数は1本差なのである。
 
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「今のところこの2人でスリーポイント女王争いしている感じかな」
「1回戦から出ているチームでもっと入れてる人いないのかな?」
「3位はたぶん札幌P高校の伊香さんで2回戦で8本入れてるけど今日の3回戦は1度もコートに立たなかったんだよね。明日のために温存したのかなあ。正確なスコア確認してないけど、他のチームのシューターはもっと落ちると思う」
 
と客席で情報を集めていた白石コーチは言った。
 
千里は今日伊香秋子が出なかったのは、昨日の件で謹慎を命じられたんだろうなと思った。
 

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「だけどあの高梁さん、パワフルなプレイをするけど少々プレイが荒っぽいよ。確認したら、地区大会で3回、県大会でも2回退場をくらってる。インターハイの時も1度退場になっているみたいね」
 
と宿舎に戻った後で薫は言った。
 
「女桜木花道の異名があるらしいけど、花道と同様に退場の常習犯にならなくてもいいのにね」
と暢子。
 
「自分が重要な戦力の中心だという意識が無いよね。退場してしまうとその後の戦力が落ちるんだから、自粛すべきだよ」
と千里も言った。
 
なお殴られた紅鹿本人はショックを受けてトラウマになったりしないかと心配したのだが、全然平気な様子である。
 
「いや中学時代に助っ人で出てたソフトボールの試合でも乱闘とかやったことあるし、喧嘩では小さい頃から男の子にだって負けたことないから平気ですよ」
 
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「それはいいけど、コート上でファイティングはしないようにね」
「はい、それは自粛します」
 

さて25日の結果は下記の通りである。
 
○旭川N高校─倉敷K高校×
○札幌P高校─福井W高校×
○東京T高校─大阪E女学院×
○静岡L学園─熊本S実業×
○愛知J学園─秋田N高校×
○岐阜F女子─佐賀C高校×
○愛媛Q女子高─山形Y実業×
○福岡C学園─金沢W高校(神奈川)×
 
50校あった参加校も3日間の激戦を経て8校まで減ってしまった。
 
ここで有力校の中で山形Y実業・大阪E女学院・秋田N高校などが消えることとなった。3回戦で愛媛Q女子高と山形Y実業がぶつかってしまったのは、愛媛Q女子高がインターハイで札幌P高校に3回戦で敗れてしまっていたのでシード権を取れなかったためである。そのインターハイで愛媛Q女子と札幌Pが3回戦でぶつかったのは、昨年のインターハイに札幌P高校が出られなかったので札幌P高校はシード権を取られなかったためである。
 
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要するに昨年夏の旭川M高校のインターハイ道予選決勝リーグでの快挙が、回り回ってこんな所に影響してきているのである。
 
また一昨年の優勝校(倉敷K高校)と準優勝校(福井W高校)も今日で消えてしまった。
 

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女の子たちのウィンターカップ・接戦と乱戦(2)

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