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■女の子たちのウィンターカップ・接戦と乱戦(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-08-17
 
T高校萩尾の異常とも思えるほどの猛攻で防戦一方になり大差を付けられたN高校、最後のインターバル。ベンチでは誰も発言できずに居た。千里も頭が空白になっていた。一体全体何が起きているんだ!?
 
その時《こうちゃん》が千里に語りかけてきた。
 
『あのさ、千里』
『ちょっと試合中に私に話しかけないでよ』
『だけど、あのハギャちゃんだっけ?』
『はぎおさん』
『あの子、何か変なのが憑いてるぜ』
『え〜〜!?』
 
『あのままにしておくとあの子危険だと思う。尋常ではないエネルギーの取り出し方をしてるんだよ。さっきの4分間だけで通常の3〜4日分くらいのエネルギーを使っている。体重もたぶん10kgは落ちてる。試合が終わった頃にはあの子、そのまま死ぬかも。死なないまでも体中の神経が破壊されて、一生ベッドの上かも』
 
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4分で10kg落ちたのなら、あと10分で更に25kg?萩尾さんってそもそも細いのに。あの人たぶん体重52kgくらい。それが35kg体重落ちたら17kg!?
 
『祓える?』
『俺ひとりでは無理。あれ無茶苦茶強そう』
『とうちゃん?』
 
と千里は眷属たちのリーダーである《とうちゃん》に呼びかける。
 
『やっちゃっていい?』
『お願い』
『勾陳、青龍、玄武来い』
 
と言って《とうちゃん》は《こうちゃん》《せいちゃん》《げんちゃん》の3人を連れてT高校のベンチの方に行く。
 
千里はこういうのが視覚的に見えないのだが、かなり激しい戦いが起きているのを感じた。そして千里はそれまで異様な雰囲気で立っていた萩尾がふっと気を失って倒れるのを見た。
 
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T高校のコーチが慌てて彼女を介抱している。
 
「あれ?どうしたんだろう?」
と南野コーチが向こうのベンチの異変に気付いて言う。
 
「さっきのピリオド頑張りすぎて、力を使い果たしたのでは?」
と千里は言った。
 
ここで暢子が発言する。
「えー、こういう発言はキャプテンの役目かも知れないけど、僭越ながら発言する。無心になって頑張ろう」
 
揚羽が言う。
「永子・久美子を出しましょう。この子たち全くビビらないし」
 

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それで最終ピリオド、N高校は永子/千里/久美子/絵津子/暢子というオーダーで出て行く。永子はウィンターカップ本戦準決勝のこんな大事な局面で自分に出番が来るとは思ってもいなかったようで武者震いしている。久美子はもとより無心だ。千里もあらためて心をリセットし、気力を充実させた。
 
眷属の4人が戻ってくる。
 
『倒した。むっちゃ強かった』
と《こうちゃん》が報告した。
『みんな無事?』
『無傷じゃないけどみんな生きてるよ』
と《とうちゃん》。
『お疲れ様。ごめんね、無理言って。傷の治療してて』
『じゃちょっと2−3日出羽に戻ってるけどいい?』
と《こうちゃん》が言った。
 
『うん。お大事に』
『六合、あとを頼む』
『任せとけ』
と《りくちゃん》が言う。
 
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『天空さん、ほんとに危ない時はお願いします』
と《とうちゃん》は唯一彼が敬語で話しかける相手である《くうちゃん》に言った。
『まあその時はお前らを強制召還するよ』
などと《くうちゃん》は言っている。基本的に彼は「細々としたこと」には関わらない主義である。実際彼の力は強大すぎて、彼が何かした後はしばしば「この世のバランス」に歪みが生じる。
 
ただ彼が常に作用をもたらしているものがひとつだけある。千里の眷属の存在を隠蔽することである。《くうちゃん》の作用のおかげで相当ハイレベルな霊能者でも千里に眷属がいることを察知することができない。《くうちゃん》は眷属の存在を隠すため千里の「透過映像」を自在に操っている。いわば光学迷彩のようなものなので、普通に透視能力のある天津子のような霊能者が千里の身体を見ると、あたかも普通の女性のように見えるし、子宮や卵巣も存在するかのように装えるのである。MRIやCTに子宮や卵巣を写すかどうかもその時の必要性に応じてコントロールしている。
 
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・・・と、千里は《とうちゃん》から聞いていたのだが、子宮・卵巣の件については、どうも何か仕掛けもあるようで、その件について眷属の子たちはみな千里に真実を隠している雰囲気もある。まあ、いいけどね!
 
ともかくもそれで4人は出羽に飛んでいったようである。
 

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T高校は萩尾が倒れて騒ぎにはなったものの、幸いにもすぐ意識を回復したようである。結局山岸/萩尾/竹宮/川原/森下というオーダーで出てくる。しかし千里は萩尾がふつうの状態に戻っていることに気づいた。
 
N高校のセンターライン横からのスローインで試合は再開される。
 
N高校の攻撃に対してT高校がまたプレスに来る。しかし永子は慌てない。彼女のプレスに来た萩尾をオーソドックスなフェイントの組合せで抜いてしまう。永子は基本的なプレイをするので、ハイレベルなプレイヤーほど考えすぎて自滅する傾向がある。
 
永子がそのままドライブインする姿勢を見せるので川原がフォローに来る。するとバウンドパスで川原の足下を抜いてボールを絵津子に送る。絵津子がミドルシュートを放り込んで2点。
 
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N高校は反撃を開始した。
 

「さっきのピリオドの萩尾さん、どうしたんでしょうね?」
とP高校の選手が座っている席で秋子がひとりごとのように言う。
 
「考えたくないけど、あれ興奮剤か何かでも飲んでいたのでは?」
と徳寺翔子。
 
「萩尾さんがそんなバカなものに手を出すとは考えられないけどなあ。でも多分あの子試合が終わったらドーピング検査受けさせられると思う。ちょっと異常だったもん」
と聖子は言う。
 
「そのつもりがなくてもうっかり飲んだドリンクとかにカフェインとか麻黄とかあるいはホルモン剤とかが入っていたとか?」
「ああいう強豪チームではそのあたりの注意もしっかりやってるはずだから、そんなミスはしないと思うけどなあ」
 
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「でも彼女、このピリオドでは普通になってますね」
「というか普段よりトロい気がする」
「さすがにさっきのピリオドのプレイで疲れきったのでは?」
 

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萩尾の動きが良くないので、T高校はうまくボールが外に出たタイミングで交代させ代わりに吉住を入れた。ベンチに戻った萩尾はやはり疲れていたようで横になり、アイスバッグを額や膝などに当ててもらっている。低血糖になっていたようで、チョコレートも食べている。カロリーメイトのドリンクまで飲んでいる。
 
一方このピリオドではN高校が猛攻を見せていた。永子・久美子が基本に忠実なプレイをする一方で千里・暢子・絵津子は頑張ってコートを走り回り相手の固いディフェンスに穴を開けては得点を重ねていく。
 
6分経過した所で得点は69-65とわずか4点差まで縮んでいた。
 
ここで萩尾は起き上がり、再度自分を入れて欲しいと監督に訴えたようである。
 
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絵津子のシュートを止めようとして森下がファウルをおかしたタイミングで彼女と交代でコートインする。森下は今のが4つめのファウルなのでいったん下げる意味もあった。N高校側もここで永子・久美子を下げて雪子・不二子を入れる。雪子が入る時は不二子は本来のフォワードに徹すればいい。
 
絵津子がフリースローを2本とも入れて点数は69-67。N高校が2点差に詰め寄る。T高校のメンバーに焦りの色が濃くなっている。しかし萩尾はみんなに声を掛け、気持ちを再構築して攻めていく。第3ピリオドで物凄く頑張った彼女が戻ってきただけでもT高校は心強いであろう。
 
山岸からのボールを萩尾が受ける。暢子とマッチアップ。複雑なフェイント合戦の末、萩尾はスリーポイントシュートを選択したかに見えた。大きくジャンプしながらシュート!
 
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と思ったものの、彼女は空中で反対側のサイドに居る竹宮に鋭いパスを投げた。
 
千里がカットを試みるも、竹宮は千里を押しのけるようにしてボールを受け取る。千里が超絶反射神経で彼女の前に回り込んでブロックしようとしたが、千里のタイミングをうまく外してシュートを撃つ。
 
これが入って71-67.
 

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N高校が攻め上がる。T高校はもはやゾーンプレスもゾーンディフェンスもせずに通常のマンツーマンのハーフコートディフェンスである。萩尾以外の選手もやはりゾーンプレスではかなり消耗したようである。
 
雪子から千里にパスが来るが、竹宮が必死のディフェンスをする。そこに不二子が走り込んできてスクリーンを掛ける。千里が彼女の向こう側に走り込むが、すぐに不二子にパスする。ここまでは普通のピック&ロールである。T高校はスイッチと声を掛けて、不二子を竹宮が追い、千里のそばには不二子に付いていた川原が来る。
 
ここで不二子はボールを再度千里にパスで戻した。川原がブロックを試みるも全然構わずに高い軌道のスリーを撃つ。
 
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入って3点。71-70.
 

このあと両者点を取り合って、残り1分で77-76と1点差のままである。
 
T高校の攻撃だが、ここでN高校は強烈なプレスを掛ける。もう疲れがピークに達しているポイントガード山岸が今日は充分休ませてもらっている雪子の強烈なプレスにたじたじとしている。
 
萩尾が暢子に追われるまま山岸のそばまで駆け寄り、スクリーンプレイのような感じでボールを受け取り、そこからいきなりシュートを撃つ。距離は16mくらいある。
 
これが信じられないことにゴールのリングに当たって跳ね上がる。さすがに入らなかったものの、そのボールが落ちてきた所に不二子と川原が走り寄る。一瞬不二子がボールに触ったものの、川原が横取りした。川原がボールを確保したのがゴールの真下だったので、さすがにそこからはシュートできない。全力で走り寄ってきた萩尾にパス。萩尾はボールを受け取るとスリーポイントラインの所で立ち止まり、シュート動作に入る。
 
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しかしそこで必死で戻って来た暢子が彼女の前に回り込むと、彼女がシュートを放つ直前、思いっきり飛び上がってきれいにブロックを決めた。
 
そのこぼれ球を千里が確保する。
 
自らドリブルで攻め上がる。吉住が前方に居るのを一瞬でかわす。
 
そしてスリーポイントラインの手前で停まると、きれいな動作でシュートを放った。
 
入って77-79。逆転! 残り42秒。
 

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ここでT高校は川原を下げて森下を再投入した(最終ピリオドで残り時間が2分を切った場合、得点を取られた側は選手交代が出来る。得点を取られた側が実際に選手交代をした場合は、得点をあげた側も同時に交替できる)。
 
T高校の攻撃だが、再びN高校はプレスを掛ける。しかし今度は山岸がもう最後の力を振り絞って雪子を何とか抜き、8秒ギリギリでフロントコートにボールを進める。N高校は通常のディフェンスに切り替える。
 
例によって竹宮のそばにはピタリと千里が付いている。しかし山岸は敢えて竹宮にボールを送る。千里と激しいキャッチ争いをするが、竹宮は千里をもう無理矢理肘で押しのけるようにしてボールを確保した。
 
その後も千里は両手を広げて凄まじいディフェンスをする。普通の選手ならとてもシュートできないと思う所だ。しかし竹宮は千里のシリンダーのギリギリ外側を通り抜けて制限エリアに進入した。
 
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絵津子がフォローに来る。しかし構わず竹宮はレイアップシュートに行く。絵津子がジャンプしてブロックを試みる。が竹宮は空中でダブルクラッチで体勢を変えて絵津子のブロックをかいくぐろうとする。しかし絵津子も空中で体勢を変えて、シュート筋を塞ぐ。物凄い空中戦である。
 
それで竹宮も諦めて着地する前に身体をひねってボールを萩尾に送る(ボールを持ったまま着地すればトラベリング)。萩尾は暢子をファウルを取られても仕方ないくらい激しく押しのけてボールを確保した。暢子はそれでも倒れたりせずにすぐ彼女をディフェンスする。接近してガードしているので、とてもシュートできないように見える。
 
しかし萩尾はいったん暢子の脇を抜くかのような動作から一瞬のバックステップをし、そこから後ろ向きにフェイドアウェイしながらジャンプする。そして身体が斜めになったままスリーを撃った。
 
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これがきれいに入って80-79。また逆転! 残り20秒!
 
萩尾はこれで10本目のスリー成功である。
 

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女の子たちのウィンターカップ・接戦と乱戦(9)

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