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■女の子たちの冬山注意(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2014-11-08
 
医師が診察をしますのでというのでズボンを脱いだ。
 
その付近を触られていたら、反射的に立ってしまう。
「済みません」
と思わず言ってしまったが
「普通の反応ですよ。問題ないです」
と医師は言う。医師はついでに?ペニスの硬さを確認するかのように触り、更に睾丸にも触っている。
 
「では今から手術しますが、よろしいですか?」
「はい」
「一応先日も説明しましたが、手術に伴う後遺症についてあらためて説明します」
と医師は言って、紙を見せる。
 
「勃起障害になる可能性があります。陰茎からの射精ができなくなる可能性があります。短期的に尿失禁を起こす場合があります」
 
そのあたりは納得している話なので同意してサインする。治療室に案内されてズボンとパンツを脱ぎベッドに横になる。既に剃毛済みだが、あらためてその付近を消毒されると、また立ってしまう。
 
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「別にペニスを切断する訳じゃありませんから落ち着いて」
「すみません」
「それともサービスでペニスも切断しましょうか?」
「いえ、いいです!」
「切っていいの?」
「違います。ペニスは切らないでください」
「じゃ仕方ないのでペニスは温存しますね」
 
全く冗談のきついお医者さんだ!
 
部分麻酔を打たれる。感覚が無くなる。医師がレーザーの出力を確認している。緑色に光るファイバーが美しいなと思った。
 
「音楽を掛けますが何かお好みは?」
と訊かれる。
 
「あ、野口五郎とかありますか?」
「はい、ありますよ」
と看護婦が言って掛けてくれた。すると『女になって出直せよ』が流れる。うっ・・・と思ったら、医師が「その曲飛ばして」と言ったので、看護婦がボタンを押すと『私鉄沿線』になる。
 
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「では始めます」
と言って医師はペニスをつかんだ。
 

11月初旬。
 
学校をサボった薫は病院の周りを3回も回ってから玄関を入った。受付で「予約していた田中と申します」と告げる(偽名)。待合室で15分ほど待った後、診察室に通される。
 
「あなた何歳?」
と50代くらいの感じの男性医師に訊かれたので
「21歳です」
と答える。
「えとは?何年生まれ?」
「寅年です」
 
医師は、まあいいかという感じの顔をした。手術の方法を説明した後、後遺症についても説明する。
 
「男性として性交することはできなくなります。排尿障害が出ることがあります。ほとんどの場合で射精困難になります」
 
それらの注意事項は目の前に出されている紙にも書かれている。薫はそこに「田中巌雄」と署名・捺印をした。
 
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剃毛と点滴のため病室に案内される。看護婦さんに連れられて奥の方に行っていたら「済みません、急患です。お願いします」という声が玄関の方でした。「あ」と看護婦が声をあげる。
 
「先に向こうをしてください。私はひとりで病室に行きますから。何号室ですか?」
「えっと確か203号室が空いていたはずだから」
「分かりました。行っておきます」
と薫が言うと、看護婦は玄関の方に飛んで行った。
 
薫がそれでひとりで廊下を歩いて行こうとすると、いきなり腕を掴まれる。30歳くらいの女性が立っていた。
 
「何ですか?」
「あんたまだ高校生でしょ?」
 
薫は黙ってその女性を見る。
 
「あんたにはまだこの手術は早い」
「誰です?あなた」
「通りがかりのオカマよ」
 
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薫は驚いた。彼女はとても男性あるいは元男性には見えない。
 
「せめて高校卒業してからにしなよ。玉くらいは抜いてもいいけどさ」
「あなたがGIDなら、私の苦悩を理解してくれません?耐えがたい毎日を送っているんです」
「これあんたの靴だよね?玄関から持って来た。そちらに裏口あるからさ。このまま逃げちゃいなよ」
 
薫は30秒近くその女性を見つめていた。そして涙が出てきた。
 
薫は黙って礼をすると、彼女から靴を受け取り、裏口へ向かった。
 

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弁護士は2組の夫婦および付き添いの各々の娘を前にして書類を提示した。
 
「まだ概算です。正確な金額は向こうの弁護士さんが被害者と話し合って確定させていっている所です」
と弁護士は説明する。
 
「基本的には私たちはこれを弁済する義務は無いんですよね?」
と広子が発言した。
 
陽子と広子の間に血のつながりは無い。広子は陽子の腹違いの姉の父違いの妹という関係である。会ったのも今回が初めてであった。しかしエリート然とした雰囲気の広子に陽子はとっつきにくさを感じていた。
 
「はい、そうです。あくまで弁済の義務を負うのはX子さんご本人です」
と弁護士は答える。
 
「ただ少しでも弁済が行われたら娘の判決も軽くなりますよね?」
「保証はできませんが、その可能性はあります」
 
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「宝くじでも当たらないかなあ」
と唐突に陽子は発言した。
 
「ジャンボの一等が当たったら、賠償を済ませた上でお詫び金くらいも渡せるね」
と広子も言って微笑んだ。
 
ふたりの目が合い、陽子も少し微笑んだ。
 
「ねえ、お母さん、私の作ったミニロトのプログラム、こないだから2度的中したんだよ。買っちゃだめ?」
と広子は唐突に言う。
 
「そういうのは買うと当たらないんだよ」
「毎回1口だけにするからさ」
「んーん。じゃその番号で私が毎回1口買うよ」
 
その会話を聞いて、広子ちゃんすげー!と陽子は思った。私も何かで稼ぎたいな。
 

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薫が涙を浮かべながら裏口から出て行ったのを見送り、「彼女」は受付に行くと、自分の手術代金を払って表に出た。近くのバス停から旭川駅に向かう。
 
商店街のレストランに入り、メニュー(の金額)を見ながらオーダーする。たくさん頼んだら、ウェイトレスが「お連れさんがいらっしゃいますか?」と尋ねた。ん?と思う。そういえばたくさん頼みすぎたかなとは思ったが「マラソン走ったんでお腹空いてるんです」と笑顔で答えた。
 
1時間後、さすがに食べ過ぎたかなと思いながら席を立ち会計を済ませる。財布の中には3000円弱しか残らない。先にトイレに行っておこうと思い、レストランのトイレを借りた。
 
便器に座っておしっこした時に、この感覚やはりいいなと思った。生まれ変わったようだ。といってもあと数時間の人生だけどね! 付いたままは死にたくなかったし、手術して良かった。どうせなら幼稚園くらいの内に手術しておきたかったけどね。そしたら私もう少しマシな人生を送れたかも。でもこれで思い残すことはなくなった。「彼女」はそんなことを考えていた。
 
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レストランを出て、駅前のバス停に来る。時刻表を眺め、どこにしようかな、と思っていた時、目の前に「いで湯号」と書かれたバスが止まる。「彼女」は何となくそのバスに乗った。
 

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その日の昼休み、千里と暢子は校長室に呼び出された。
 
南野コーチと宇田先生が神妙な顔をしている。教頭先生も来ている。
 
「まあ、座って」
と言われるので、校長室のふわふわしすぎているソファに腰掛ける。
 
「君たち最近、かなり自主トレしているみたいだね?」
と校長が訊く。
 
「はい。済みません。やはりインターハイで準決勝に勝てなかったこと。今回はウィンターカップの地区予選決勝でL女子高に負けましたし、先日の秋季大会でも決勝戦が引き分けで、部活の時間だけでは鍛錬が足りないと思って個人的にもっと自分を鍛えようと思いまして」
と暢子が言う。
 
「うん。それは構わないんだけど、そういう練習をしている時に、怪我されたりすると、とても困るんだよ」
と校長は言う。
 
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「はい。それは充分気をつけてやっていますので」
「うん。気をつけてもらうのは当然だけど、先日の試合で花和君が怪我しているしね。怪我ってするつもりでするんじゃなくて、怪我しないつもりでいても、してしまうのが怪我だから」
 
「はい。申し訳ありません」
 
「まあ、それでだ」
と校長は言う。
 
「本当なら、そういう勝手な練習については禁止令を出すべきかも知れないけど、全国大会で輝かしい成績をあげた君たちの心情は理解すべきかもしれないと思ってだね」
 
「はい」
 
「女子バスケット部だけの特例として、休日も南体育館の入館を認めることにするから」
 
「はい?」
 
「要するにだね」
と教頭先生が引き取って言う。
 
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「部活は本来は大会の直前のような特殊な場合を除いては土日は禁止だけど、部活でなくて、自由に個人個人が学校の施設を使って練習している分には学校としても停める理由はないし、そのための便宜は図ってもいいのではないかと校長と話したんだよ」
 
「それは部活ではないんですね?」
と暢子が訊く。
「生徒会向きにはね。あくまで自主練習」
と教頭。
 
「でもその競技団体が用意した練習場で、自由練習している時の怪我はその団体での活動とみなされて、スポーツ保険の対象になるんだよ。正式の練習でなくても」
と教頭は更に説明する。
 
「ただ、こちらで自主基準を設けることにする」
と宇田先生が言う。
 
「南野コーチに届けを出しておくこと。中間・期末の期間中はNG。一応君たちの誰かひとりでも出て来ている時は、宇田先生か川守先生、僕(教頭)、進路指導の波多先生、図書館の嘉藤先生。このあたりの誰かが職員室に居るようにするから」
 
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「わあ、済みません」
「教頭先生や進路指導の先生、図書館の先生はどうしても休日出勤率が高いんだよ」
と校長が補足する。
 
「ほんとにご苦労様です」
 
「むろん他の部員を呼び出したりするのはNG。あくまで個人が勝手に出てきて、たまたま一緒になったら組んで練習してもよいということで」
「自主練習に出て来てる、出て来てないは、ベンチ枠を考える時にも一切考慮しない」
 
「分かりました。部員全員に通達します」
と言ってから、暢子はハッとする。
 
「歌子(薫)と湧見(昭ちゃん)はどうしましょうか?」
 
この2人はしばしば女子と一緒に練習している。
 
「それなんだけどね」
と宇田先生は言う。
 
「あの2人に関しては、女子バスケ部にも在籍させることにする」
「男子バスケ部から移籍ですか?」
「そうではなくて二重登録」
 
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「いいんですか?」
「バスケ協会の登録では二重在籍は不可だから、男子バスケ部として登録する。しかし校内の部活動としては、男子バスケ部と女子バスケ部の兼部ということにする」
 
「なるほど、兼部ですか!」
「だからスポーツ保険も2重に払うんだけどね」
「それって本人負担ですか?」
「本人たちは1人分払ってもらえばいい。もう1人分は部費で負担するよ」
「だったらいいですね」
 

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「それから、君たちが使っている南体育館・朱雀なんだけど、建て替えることにしたから」
と校長は言った。
 
「建て替えですか!」
 
「先日の放火された箇所は取り敢えず焼けた部分の壁の穴を塞いで、2階に登るハシゴを取り付けたのだけど、本格的な修復のための見積もりを作ってもらったら、結構かかるみたいでね。それなら、元々老朽化しているし建て替えようかということになったんだよ」
 
「でもそれって私たちが卒業した後に完成したりして」
「内装以外は本格的な冬到来前にやってしまう」
 
「本格的な冬って・・・」
「既に冬になっている気も・・・」
 
「今建っている朱雀は元々2代目なんだよね。初代の朱雀は今テニスコートがある場所に建っていた」
 
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「ああ、そういう話は聞いたことあります」
「それでそのテニスコートをいったん潰して、明日から早速基礎工事のための調査に入る。そして今月中に基礎工事を終えて12月中に鉄骨を組み立てる。1月中に屋根と壁を作って、2月以降は内装工事。4月末に完成予定」
 
「それかなり無茶な気がします」
 
北海道で冬の建築は無茶なんて話を先日、C学園の橋田さんとしたばかりだ。それで旭川C学園の校舎再建はとりあえず春まで延期されている(中止になる可能性もある)。
 
「だいたい設計はどうなってるんですか?」
「前々から建て替え計画があったから、実は設計はもうとっくにできていた。ただ既存の設計ではトイレや控室が女子用しか無かったのを男子用も追加したくらい」
「ちょっと待ってください。うちが共学になったのはいつです?」
「いっそ女子トイレをそのまま共用にしようかとも思ったんだけどね」
「ああ、男子も座ってしてもらうと」
「でも男子に座ってさせると、おしっこが前に飛ぶから漏水事故を起こしがち」
「まあトイレを共用したとしても更衣室の共用は無理」
「それ更衣室の意味が無い」
 
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「でも鉄骨の組み立てが1ヶ月で終わるんでしょうか?」
「鉄骨は大半を工場で組み立ててから搬入するから、現場ではそれを繋いでいくだけなんだよ。プラモデルと同じ」
「なるほどー」
 
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■女の子たちの冬山注意(1)

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