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■女の子たちの性別変更(11)

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「お身体の方は大丈夫なんですか?」
「まだ全然本調子じゃない。以前の2割くらいのパワーで運用している感じだよ」
「わあ。まだ痛みます?」
「痛い。痛みが無くなるには1年以上掛かるって言ってた人もいる」
「きゃー」
「それにダイレーションしないといけないからさ。あれがまた痛いんだよ。ダイレーション分かるよね?」
「分かります」
「でもサボると、手術した意味が無くなるから、痛いけど我慢して頑張るよ」
「ええ。でもお大事にしてください」
 
「あんたもちゃんとダイレーションしてる?」
「あ、えっと留め置き式のを入れてますけど」
「うん。留め置き式はいいみたいね。私もあれ取り寄せようかと思ってる。でも留め置き式使ってても、ちゃんと普通のダイレーションもしないといけないよ」
「はい」
 
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「もっとも日常的にセックスしてたら、パートナーのおちんちんでダイレーションされるみたいなものだけど」
「さすがにそんなにセックスはしません!」
「まあ高校生だからね。でも高校生で性転換しちゃうなんて大胆。高校生で去勢しちゃう子は結構いるけどさ」
 
「うーん。やはり今更、私性転換なんてしてませんと言っても誰も信じてくれないんだろうなあ」
「ああ。あんた親に黙って性転換したんだって? でもそういう無意味な話をして誤魔化そうとしても今更だよ。だいたいちゃんと病院の先生に見せて、女の身体だというのを確認されたんでしょ?」
 
「そうなんですよねー。陰茎・陰嚢・精巣は無くて、大陰唇・小陰唇・陰核・膣があるという診断書が出ました」
と言って千里はため息を付いた。
 
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「だったらもう完璧に女の身体じゃん。性転換したこと後悔してる訳じゃないんでしょ?」
「いや、自分が女の身体になったら嬉しいですけど」
「だから、女の身体になったんだよね?」
「お医者さんの見解ではそうみたいです」
「不思議な言い方する子ね〜」
と敏美さんは言った。
 

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大晦日から三が日。神社は無茶苦茶忙しい。
 
昇殿祈祷する客が続く。お清めをしたり、榊を手渡したりする役は、昨年も一緒に働いていた康子さんと、千里が辞めた後で入った中学生巫女の真理香が交替でするのだが、祈祷での笛は千里がいる時間帯はずっと千里が務めた。御守りや縁起物の授与所の方は、臨時雇いの巫女さんたちに任せ、この3人または細川さんの内の誰かが付いているようにしていた。
 
「千里さん、笛が格好いいです」
と真理香が言う。
 
「なかなかここまで吹けないよね。千里が居る間に、聴いて見習うといいよ」
と康子が言っている。
 
「龍笛はね、優しく吹いてもダメ。力強い龍と戯れる感じで吹くの。優しく吹くと、龍じゃなくて、ミミズさんと戯れる感じになっちゃうから」
と千里は言う。
 
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「ああ。私の龍笛は龍じゃなくてドジョウかウナギが来るよと言われる」
と康子。
 
「来たら捕まえて食べちゃいましょう」
「ああ、それもいいね」
 

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1月3日は中学の同窓会があるということだった。神社も3日になると1日や2日ほどではないので、その時間帯だけ抜け出して出席してきた。
 
千里が「ごく普通の」セーターにロングスカート、そしてショートヘアのウィッグという格好で出て行くと
 
「あれ?髪切ったんだ?」
などと言う子がいた。
 
千里は夏の同窓会には、補習もあったし帰省していないので出席していない。それで中学の卒業式以来の再会という子も結構居たのである。
 
「髪はもっと短く切ったんだよ。これウィッグだよ」
「へー。どのくらい切ったの?」
というので、千里がウィッグを外して見せると
 
「うっそー!?」
と絶句される。
 
「なんで、そんなに短くしたの?」
「だって男子高校生として通学してるから」
 
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「うそ。千里は高校に入る時に性転換して女子高校生として通学してるって聞いてたのに」
「それは何かの間違いではないかと」
「でも、女子バスケ部の特待生で入ったんじゃなかった?」
「そうだよ」
「だったら女子バスケ部に入ったんでしょ?」
「最初男子バスケ部に入ったんだよねー。でも君は女子だから男子の試合に出てはいけないと言われて、女子バスケ部に移籍になった」
 
「そりゃ当然」
「女子が男子バスケ部に入るなんて無茶」
「でも戸籍上男子だったし」
「でも医学上は女子だったんでしょ?」
 
「うーん。そのあたり実は自分でもよく分からない」
 
などと言っていたら、近くに居た恵香が
 
「千里は、確かに男子バスケ部に最初は入ったんだけどさ、協会から性別に疑問を持たれて、病院で精密検査を受けた結果、女であることが判明したからもう女子バスケ部に移籍になったんだよ」
 
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とここ数ヶ月の経緯を説明する。
 
「病院で検査されたってことは、やはり本当に女の子の身体なんだ?」
「いや、千里は中学時代に既に女の子の身体だったよね?」
「だって、修学旅行の時は女湯に入ったんでしょ?」
 
「千里は中学のバスケ部の合宿でも女湯に入ったよ」
と近くにいた数子が言う。
 
「千里、いつ性転換したんだっけ?」
「もしかして小学校の内に手術しちゃってた?」
「私、本当は性転換とかしてないんだけどなあ」
 
「そういう意味不明なジョークは言わないように」
 
「だいたい千里は生徒手帳ではちゃんと女になってるんだよ」
と恵香が言う。
 
「えーー! それ見せて見せて」
などと言われるので千里は生徒手帳を出して見せる。
 
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「ああ、髪切る前に写真撮ったんだ?」
「うん」
「ほんとに性別・女になってる」
「じゃ女子制服を着て通学してるの?」
「ううん。男子制服だよ」
「何のために?」
「ってか、女子生徒なのに男子制服を着て通学するのは違反なのでは?」
 
「ああ、千里はよく先生から、君のその服は違反なんだけど、って言われてるよ」
と恵香。
 
「やはり」
「千里女子制服持ってないの?」
「持ってるけど」
「だったら、それを着て通学すればいいじゃん」
「いや、頭を丸刈りにして、男子制服で通学するというのが、入学の時の教頭先生との約束だったから」
 
「その約束は教頭先生はもう気にしていないと聞いたけど」
「いや、教頭先生とうちのお父ちゃんとの約束だから」
 
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「ああ、お父さん、千里が性転換手術しちゃったこと知らないんだ?」
「勇気を出してカムアウトしなきゃ」
 
「でも千里、どこで手術したの?」
「やはりタイ?」
「いや、タイの病院は18歳未満は手術してくれないんだよ」
と千里は言う。
 
「じゃ国内?」
「国内の病院はもっと厳しいよ」
「もしかして韓国か中国とか?」
 
「あ、もしかしてロシア? 私聞いたことある。ロシアで性転換手術するとタイとかより1桁料金が安いんだって」
「千里、貧乏だけど、ロシアでなら手術代出たんじゃない?」
「ロシアだと年齢誤魔化せそうだよね」
 
なんか一週間後には女の子たちの噂で、私はロシアで性転換手術を受けたことになっている気がするなと千里は思った。
 
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「無理だよ、そもそもロシアまで行く交通費が無い」
「確かに!」
 

1月4日以降も千里は午前中だけ神社に出て、午後からバスケの練習に行くようにしていた。夕飯は貴司の家で食べて夜間と早朝の練習も一緒にする。そして冬休みもそろそろ終わるという1月13日のお昼近く。千里が中学の時に習った先生が、セーラー服を着た少女を連れてきて、大祈祷をしてほしいと言った。
 
ほとんどの昇殿祈祷の客は普通祈祷(5000円)である。たまに中祈祷(1万円)を申し込む客はいるが、大祈祷(2万円)になると少ない。そもそも先生が生徒を連れてくるのは異例なので、知り合いでもあるし少し事情を聞いてみた。
 
「実はこの子のお父さんとお兄さんが相次いで亡くなったんだよ。お父さんは心臓発作で仕事中に倒れて急死。お兄さんは交通事故で。こんなのが続くのは何かよくないものでも憑いてるんじゃないかと周囲の人が心配してね。お祓いでもした方がいいんじゃないかという人もたくさんいたんだけど、お父さんが亡くなったばかりで余裕もないみたいだから、この子だけでもお祓いを受けさせようと僕が代わりに連れてきた」
 
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などと先生は言う。4人家族でお父さんとお兄さんが亡くなり今はお母さんと2人暮らしらしい。家族の半分を失って急に寂しくなった家の中を思うと千里は胸が痛んだ。
 
「そんなにご不幸が続いて大変でしたね」
と宮司さんは同情するように言った。
 
千里はふたりを待たせている間に細川さんに言う。
「この件、私、水垢離してから昇殿していいですか?」
 
「これさ、あれだよね?」
と細川さん。
「それだと思います。先生が神社に連れて来たのは正解です」
と千里。
「特に千里ちゃんが居る時にね」
「何のことでしょう?」
「それ、ほんとに上手に隠してるよね。私も最初の状態を見てなかったら分からないよ」
「《くうちゃん》の力なんですよ」
 
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細川さんは頷いていた。
 
「それとあの子さ。セーラー服を着てるけど・・・」
「男の子ですよねー」
「まあ、千里ちゃんみたいな子もいるし」
 
「最近増えてる気がしますよ。それでこれって男の人だけがターゲットみたい。だからお母さんの方は大丈夫ですよ」
「ああ、そこまでは私も読めなかった」
 
そんなことを言ってから神社内のお風呂場に行き、そこで服を脱いで水をかぶる。真冬の北海道で水をかぶるのはなかなか辛い。が自分の霊的な感覚とパワーを研ぎ澄ますのに必要なのである。自分自身のパワーを上げないと眷属も充分な働きをしてくれない。
 
身体を拭き、洗濯済みの下着に着替える。こういう時のために千里はいつも洗濯済みの着替えを数セット用意している。事務室の方に戻って、宮司さんと細川さんに声を掛け、細川さんとふたりで、先生たちを待たせている応接室に行く。
 
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千里がその部屋に入った途端、《こうちゃん》がセーラー服の子の『背後にいたもの』に飛びかかった。一瞬で勝負は付き、《こうちゃん》は平然と元のポジションに戻る。細川さんが「へー」という顔をしていた。
 
先生たちを案内して神殿の方に行く。
 
康子さんがお清めをする。祈祷が始まる。宮司さんが祝詞を読み、禰宜さんが太鼓を叩いて千里が龍笛を吹く。特に強く吹いていたら、神社裏手にある磐座の方から何か大きなものが寄ってくる気配があった。康子さんが舞を舞う。
 
神殿内部の空間が物凄く清らかなものに変質している感覚があった。早朝のお伊勢さんの参道に近いような、汚れの無い空気だ。その空気がセーラー服の子の中にたくさん染みこんでいく雰囲気なのを、千里は笛を吹きながら感じていた。
 
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