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■女の子たちの性別変更(7)

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「でも、るみちゃん、お父さん怒らなかった?」
「怒ってたけど、療養中に責めるようなこと言うなとお母ちゃんから釘を刺されて今のところは黙っているみたい」
「ああ、大変だね」
「私、全然他人事じゃない」
「ああ、千里も大変そうだね」
「千里、性転換しちゃったこと、せめてお母さんにだけは打ち明けといた方がいいよ」
「うーん・・・」
 

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「ただいまあ」と言って貴司を連れて家に戻ると、美輪子の彼氏・浅谷さんも来ていた。
 
「こんばんはー」
とお互いに挨拶する。
 
「ちょうど良かった。クリスマスケーキ買ってきたんですよ」
と千里が言い、貴司がケーキの箱をテーブルの上に置く。
 
「おお」
「千里がお金出す係、僕が持つ係で」
「なるほどー」
 
浅谷さんがシャンパンを開ける。
「高校生だし、少しくらいはいいよね?」
などと言われて、千里と貴司もグラス1杯だけ飲んだ。
 
ケーキを食べた後で唐揚げでもしようということになる。鶏肉は買ってあったので、食べ頃サイズに千里が切って下味を付け、テーブルにフライヤーを持って来て揚げながら食べた。ハーブティーを入れて飲み、少しおしゃべりしながら、交替でお風呂に入った。全員入浴したところて゜
「じゃ、後はお互い不干渉で」
と言って、お互いの部屋に入った。
 
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貴司が何だかそわそわしている。
 
「どうかした?」
と千里は貴司にキスしてから言った。
 
「今日もヴァギナのほうに入れていいよね?」
「え? だって私にヴァギナなんて無いよ」
「だって、こないだそこを使ってセックスしたじゃん」
「夢でも見ていたのでは?」
「でも、千里、性転換したんじゃなかったの?」
「そんなのしてないよ。私は男の子だけど」
「だって、お医者さんが肉体的に女だって診断書を書いたんでしょ?」
「お医者さんの勘違いだと思うなあ」
「えーー!?」
「ふふふ。気持ちよくしてあげるから」
 
と言って千里は貴司に抱きついてディープキスをした。
 

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その夜、貴司は千里の口の中で1回、手の中で1回、スマタで2回と4回も逝き、最後はほんとに精根尽きた感じであった。
 
「だめー。もう立たない」
「まだ私は行けそうなのに。立たないおちんちんはちょん切っちゃおうかなあ」
「勘弁してぇ。だってセックスの時の運動量は男と女で大違いなんだから」
「ああ、そうかもね。私は男に生まれなくて良かった」
「千里、さっき自分は男の子だと言ってた」
「気のせい。これ何とか立たないの?」
「無理〜。次会った時に、またしてあげるからさ」
「いいよ」
 
「でも冬休みは千里、留萌に帰るの?」
「そのつもり。まだ何日になるかは分からないけど」
「留萌のどこでしようか?」
「高校生が怪しいことできるような場所が無いよね。旭川では友だちの話を聞いてると、カラオケ屋さんとかネットカフェで結構こっそりやってるみたい」
「それ見つかったら追い出されるのでは?」
「うんうん。ネットカフェでしようとしてて、追い出されたと言ってた子もいた」
「オープンスペースと大差無いからなあ、ネットカフェって」
「お店の人がモニター見てるからね」
 
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「でもどこかでしたいな」
「ふふふ」
 

月曜日、冬休み前の全体集会・HRの後で部活に行こうとしていたら、化学の古川先生に呼び止められる。
 
「あ、千里ちゃん、放送委員だよね? ちょっと原稿読んでくれない?」
「はい」
 
女性の先生たちの多くは千里のことを他の女生徒と同様に名前で呼ぶ。
 
それで職員室の奥の放送室に入る。内容は冬休みに入るにあたっての生徒への注意事項であった。
 
「美しい朗読だなあ。きれいに読むね」
と先生から褒められる。
 
「小学5年生で初めて放送委員選ぶ時にジャンケンで負けてやることになって。その後、中学に入ると、小学校でやってたみたいだからと言われて任命されて、高校に入ると、中学でやってたみたいだからと指名されて」
 
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「ああ。放送委員とか、図書委員とかは、そうなりがち」
 
と言ってから先生は小さな声で
 
「でも千里ちゃん、声変わりがほんっとに来ないね」
「最近ちょっと喉の調子が微妙なんですけどね」
「あら、とうとう声変わりが来るのかしら?」
「最近低い声が出にくいんですよ。高い声は問題ないのですが」
「うーん。。。千里ちゃん、声帯が伸びるんじゃなくて縮みつつあったりして」
「そうかも」
 

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それで部活をしていたら、今度は「村山千里さん、南国花野子さん、職員室まで来て下さい」という放送がある。この声は同じ放送委員の麻里愛だ。やはり、たまたま近くを通ったところを徴用されたのだろうか。
 
それで職員室に行くと、麻里愛が教頭先生の所に居て
 
「東京のプロダクションの人から連絡があったのよ」
 
と言う。てっきり谷津さんかと思ったら、三島さんの方であった。ほどなく英語部で残っていた花野子もやってくる。
 
「Dawn River Kittens の音源でちょっと調整したい所が出て来たんだって。それでリーダーの蓮菜と、歌を歌った花野子・千里・麻里愛・美空の4人にちょっと来て欲しいと。美空ちゃんの連絡先は誰が知ってるんだろ?」
 
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「あ、あの子は鮎奈の従妹なんだよ」
 
と言って、教頭先生にことわって鮎奈に電話を掛ける。鮎奈はすぐ連絡を取ると言ってくれた。蓮菜にも連絡する。また美輪子にも電話して東京に行く許可を取った。それで、結局、千里は麻里愛・花野子・蓮菜と一緒に、その日の旭川空港からの最終便で東京に向かうことになった。また、美空は東京に戻っていたので、直接指定のスタジオに入ってもらうことになった。
 
「ところで向こうから指名があったみたいだから呼び出したけど、蓮菜がリーダーだったんだっけ?」
と私は疑問を呈した。
 
「うーん。リーダーって決めてないけど、確かに蓮菜は偉そうにしていた」
と花野子。
 
「もしかしてこないだ名前書いた時に先頭に蓮菜ちゃんが名前書いたからでは?」
と麻里愛。
 
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「あ、確かに」
「まあいっか。蓮菜、決断力あるし」
「うんうん。漢らしい」
 
交通費は向こうが出してくれるということであったが、取り敢えず東京までの交通費を教頭先生が貸してくれた。
 

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千里は女子制服に着替えて麻里愛・花野子と一緒に旭川空港に向かったのだが(蓮菜は別途自宅から空港に向かっている)
 
「あれ?千里ちゃん、今日の全体集会は女子制服で出たの?」
と麻里愛に言われる。
 
「ううん。男子制服で丸刈り頭で出てるよ。でも部活するのにウィッグ付けて部活の後はいつも女子制服に着替えて帰宅してるから」
「それ絶対変!」
 
空港で蓮菜と落ち合う。三島さんが予約だけ入れてくれていた航空券を購入する。セキュリティを通ってすぐに搭乗案内があった。結構ギリギリで動いている感じであった。
 
1時間40分のフライトで羽田に着き、京急と山手線を使って新宿に着いた。スタジオに入ったのは24時前であった。美空は先に入っていた。
 
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雨宮さんが来ているのでびっくりする。
 
「どうせなら、もう少し売れるようにしてあげようと思ってね」
と雨宮さんが言って、アレンジの変更の要点を説明する。要するに雨宮さんの意向で変更が入ることになったようである。
 
「でもそれだと演奏も一部録り直さないといけないのでは?」
と蓮菜が言う。
 
「同じ機材を用意して、こちらで手配したミュージシャンに、元の演奏者に似た感じで演奏させたから、それをつなぐ」
 
「うーん。まあいっか。時間も無いみたいだし」
と蓮菜は妥協する。
 
その演奏分の録音は夕方から始めて、既に終わっているらしい。素早い!
 
「でもよく機材が分かりましたね」
「美空ちゃんが全部覚えていた」
「凄い!」
 
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「美空ちゃんが覚えていてくれて助かった。私、ギブソンとフェンダーの区別もつかないから」
などと三島さんは言っている。
 
「ただ声だけはどうにもならないから、あんたたちに来てもらったのよ」
 
ということで、変更された部分を歌ったのだが、
 
「やはりあんたたち素人だ」
と雨宮さんに言われる。
 
「すみませーん。下手で」
 
「いや、うまいよ」
と雨宮さん。
「ただ、土曜日の歌と声質が違うんだよ。これじゃつながらない」
「ああ!」
 
「きちんと訓練受けた人の声は、あまり変動しないんだけど、素人の悲しさで毎回違うんだな。仕方無い。歌は全部録り直そう」
 
「分かりました」
 
ということで、3曲全部を歌い直して録音した。
 
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