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■女の子たちの精密検査(7)

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予約していた時間になったのでスタジオに入る。楽器はだいたい持ち込みだが、ドラムスとピアノはスタジオからのレンタルである。ピアノはヤマハS4B。標準的な高級グランドピアノだ(一般の家庭にあるようなのよりは良い品)。スタインウェイのD-274とか、同じヤマハでもCFXなどのコンサートグランドも備品にはあるのだが借り賃が高いので、安いピアノで間に合わせている。
 
まずはとにかく11人揃って演奏したことがないので合わせてみるのだが、やはり全然合わない!
 
「おまえら、とりあえず最初の1時間練習した方がいい」
と田代君が言い、それからひたすら練習した。
 
田代君が結構全体を見てアドバイスしてくれるので、それでお互いのボリュームなども調整する。またギターやベース自体の設定も田代君が「こうした方がいい」
と言って調整してくれた。
 
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結局借りている時間の半分、1時間半を消費して、何とか形にまとまる。それでやっと録音に入る。
 
収録する曲は、『残酷な天使のテーゼ』『WHITE LOVE』『浮舟』『Butterfly』
の4曲である。千里は『浮舟』でだけ龍笛を吹き、他の曲ではヴァイオリンを弾いた。約1時間掛けて何とか収録を終える。録音したデータは田代君が持ち帰って、自分のパソコンでミックスダウン・マスタリングしてくれることになっている。
 
「『浮舟』でのフルートと龍笛の共演が美しかった。村山、お前フルートは吹けないの?」
「練習してるけど、まだまだ」
「あ、千里、フルート買ったの?」
「もらったんだよ」
「ああ。千里はそういうのが多い」
「くれる人があったんだ?」
「うん。叔母ちゃんの知り合いの人」
 
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「今持ってる?」
「うん。念のため持って来た」
 
「ちょっと吹いてみてよ」
 
それで千里がビゼーの『アルルの女』の『メヌエット』を吹いてみせる。
 
「おお、充分うまい」
「それでさ、『残酷な天使のテーゼ』でツイン・フルートにしてみない?」
 
田代君がアレンジの要点を言う。
 
「ああ、何とか行けそう」
「村山、即興に強いから、五線譜書かなくても行けるよな?」
「うん、何とかなると思う」
 
それで合わせてみると、結構良い感じになる。トランペットも京子と鮎奈が吹いてツイン・トランペットにし、リズムギターは智代が弾いて、ヴァイオリンは孝子、ピアノは花野子で、ライアと大正琴がお休みである。
 
「よし、残り10分だけど、このアレンジ録音しよう」
「OKOK。みんな一発で合わせるよ〜」
 
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と言っていたのだが、最後の方で少し混乱が生じる。
 
「ラストチャンス!あと1回」
「よし、頑張ろう」
 
ということで再挑戦したのが何とかうまくいった。
 
「お疲れさまー」
「撤収!」
 

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ということで最後は1分でバタバタと片付けて撤収し、そこから歩いて10分ほどの所にあるショッピングモールに移動した。取り敢えず各自適当なものを取って食べたり飲んだりしながらおしゃべりする。
 
「そうだ。これまとまったら、谷津さんにも1枚送ってあげよう」
「やづ?それ誰?」
「東京のプロダクションの人」
「何、おまえらスカウトされたの?」
「スカウトというより、見込みありそうな子には多分誰にでも声を掛けていた気もしないではない」
 
「こないだからTVスポットが流れてるでしょ? Lucky Blossom っての」
「ああ、何かベリーショートの女の子がサックス吹いてるやつ?」
 
「そそ。千里には負けるけど、かなりのベリーショートだよね」
「え?あれ男じゃないの?」
「女だよ」
「うん、私も女だと思った」
「うそ。私、男の人と思ってた」
「俺も男とばかり思ってた」
 
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「女子だよ。私、東京に行って会ってきたから。谷津さんはそのLucky Blossom のマネージャーなんだよ」
と千里が説明する。
 
「へー」
「いつの間に東京に行って来たの?」
「10月末まではできるだけ他人には言わないでって言われてたからね」
 
「しかし、女であそこまで格好よくサックス吹けるのなら凄いよ」
「あの人、音楽大学の管楽器科に在籍中なんだって。その基礎がある上に、ワンティスの雨宮三森にサックスの才能を見出されてポップス系の演奏をかなり鍛えられたらしい。本人から聞いた話」
 
「雨宮の弟子か! なるほど〜」
「雨宮の弟子なら、やはり本当はオカマだってことは?」
「オカマさんなら逆に髪を伸ばしていると思う」
「確かにそうだ」
 
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「しかし村山みたいに髪短い奴もたまにいるかも」
と田代君。
「田代君、一回性転換してみる?」
と千里。
「いやだ。俺はチンコ切りたくない」
と田代君。
 
ちなみに今日の千里はロングヘアのウィッグである。
 
「まあそれで、千里が占いで、何月何日、どこそこに行ったらいいアーティストに巡り会えるって言って、それで谷津さんがそこに行ったら、Lucky Blossom を見つけたんだって」
とあの時一緒に居た蓮菜が言う。
 
「凄いな。村山の占いは、留萌でも百発百中だったからな。俺も記念のメダルをなくしたのを見つけてもらったし」
 

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記念写真を取り忘れたね、ということで、そのショッピングモールの何だか不思議なモニュメントの前に11人並んで、田代君が写真を撮ってくれた。
 
「これCDのレーベルにプリントしてもいいかもね」
「あ、それできるならお願ーい」
「OKOK」
 
「ところでおまえら、バンドの名前は何?」
と田代君が訊いたが、お互いに顔を見合わせる。
 
「そういえば名前決めてなかったね」
「何にしよう?」
「じゃ、ドーン・リバー」
と恵香が言った。
 
「何か格好良いけど、どういう意味?」
「Dawnは夜明け、Riverは川」
「旭川か!」
「まあ、いいんじゃない?」
「じゃ、それに kittensを加えよう」
と梨乃。
「なぜ猫?」
「私、猫好きだもん」
 
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「梨乃ちゃんち、猫2匹いたんだよね?」
「うん。黒猫と白猫」
「ほほぉ」
「黒猫がブランで白猫がノワール」
「待て」
「それ逆じゃないの?」
 
「いや、うちのお母ちゃんがうろ覚えのフランス語で名前付けたんでそうなっちゃった。それで本猫たち自分の名前と思ってるから、今更変えられないし」
「犬にミケとか付けるよりは罪が無いかも」
 
「で、旭川の子猫ちゃんたちか」
「まあ、いいんじゃない?」
「安易にgirlsとか付けるよりいいかもね」
「ごめーん、私、さっきGirlsとかは?と言いかけた」
 
「じゃ、Dawn River Kittens?」
「略称は DRK 」
「デオキシリボ核酸?」
「団子・ラーメン・粉物」
「Dルフィー・海賊王」
「ドクターK」
「男子との恋愛禁止」
「それって女子との恋愛は良い訳?」
「ってか男子との恋愛を既にしてるメンツが数人居るような」
 
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「じゃ、Dawn River Kittens という名前をレーベルに印刷するぞ」
「よろしくー」
 
「そうだ。演奏指導もしてもらったし、ミクシングもしてもらうし、私たち田代君に幾らくらい払ったらいいかな?」
と孝子が言う。
 
すると蓮菜が
「じゃ、私に1人800円払ってくれない。CDのメディア代、JASRACに払う著作権使用料に、雅文の札幌からの交通費まで合わせて」
と蓮菜が言う。
 
「それで足りる?」
「交通費は高速バスで往復4000円弱だから」
 
「しかしJASRACにも払うのか」
「ちゃんと払っといた方が後で面倒くさくないよ。JASRACの使用料は確認したけど4曲で1600円」
「ああ、そのくらいなら払ってもいいかな」
 
「じゃ、そのお金を蓮菜が田代君に渡すのね?」
「ううん。私それで本でも買っちゃう」
「ちょっと待て。交通費はいいけど、メディア代と著作権使用料の分は俺に渡せよ」
「欲しいの? 仕方無いなあ」
 
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結局、田代君の作業手間賃を含めて全員1200円払うことにした。
 
「じゃ、雅文、食事おごってよ」
「そのくらいいいけど」
 
「おお、みんなの前でデートの約束するとは大胆だ」
「いや、千里と細川君には負ける」
「ああ。またやって始末書を書かされたんだって?」
「なんか、今度は体育館の女子トイレの中でセックスしていたという噂が」
 
「ちょっと待って。何でそんな話になってるのよ!?」
 

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その日千里が神社のバイトを終えて帰宅すると、美輪子が
 
「千里、CD作るよ」
と言った。
 
「え?何の?」
と訊くと、先日の公演の横笛協奏曲『カムイコタン』が好評だったのでCDにしようという話になったのだそうである。
 
「『カムイコタン』だけでCDにするの?」
「ソーラン節とカップリング」
「ソーラン節〜〜〜!?」
「いや、何だかその場のノリで決まった。明日の午前中、千里時間取れる?」
 
「明日録るんだ!?」
「うん。ほとんど一発録音になるかな」
「ははは」
 

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それで翌日、美輪子と一緒にホールに行く。スタジオで録音する手もあるが、ホールの残響が欲しいということで、ホールで録音することになったらしい。
 
先にソーラン節を録るので千里はお休みである。何だかみんな楽しそうに演奏していた。
 
「そこな少女、暇そうにしてるね」
とコンマスさんが千里に声を掛ける。
 
「いえ、みなさんの演奏を楽しく聴いてます」
 
「踊る?」
「えーー!?」
「君、留萌出身なんだって?」
「お、留萌ってニシンの本場じゃん」
「ソーラン節、踊れるよね?」
「えっと・・・」
 
「踊って、踊って」
「でもこれCDなのでは?」
「CDにもビデオは収録できるよ」
「女子制服で踊るんですかぁ?」
「うん。その方がいい」
 
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結局、うまく乗せられて、千里は女子制服でソーラン節を踊ってしまったのであった。やだー。これ、うちのお父ちゃんが見たりしませんように、と千里は祈った。
 

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その後、横笛協奏曲『カムイコタン』を演奏する。こちらは先日の演奏会で着たドレスを着用して吹いたが、この様子も撮影された。
 
演奏している最中に落雷がある。
 
取り敢えず最後まで演奏してから、その問題について話し合う。
 
「ね、ね、こないだの演奏会の時も途中で落雷があったよね」
「そうそう。晴れてたはずなのにびっくりした」
 
「今日もそんなに天気は悪くなかったはず」
「この曲を演奏すると、雷が落ちるとか」
「だったら、今入った落雷の音は、楽曲の一部ということでいいかな?」
「うん、そうしよう」
 
ということで、この音源は「落雷音」入りでリリースすることになった。
 
千里は天空を去って行く龍たちを笑顔で見送った。
 
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女の子たちの精密検査(7)

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