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千里は、きーちゃんに尋ねた。
「公世が女性化している問題について、きーちゃんは何も知らないよね?」
「あれは何人もの人が関与しているんだよ」
「そんな気はしてる」
「主犯は夢魔(*6) だと思う。公世を女の子に変えて自分の子供を産ませたいんだよ」
「ほほお」
そんな奴(*8)がいるのか。確かに強い子供ができそうだが。アニマルX(*7)みたいな話だな。
(*6) 一般に女の形をしていて睡眠中の男性と交わる夢魔をサッキュバス(succubus)、男の形をしていて、睡眠中の女性と交わる夢魔をインキュバス(incubus)という。インキュバスとサッキュバスは実は同一の夢魔で交わる相手により女の形・男の形を自在に取るとも。また女性形態で人間の男から精液を集め、それをインキュバスの形態で人間の女に注入するとも。中世には夢魔は浮気による妊娠の言い訳に随分使われた。他に馬の形態の夢魔もいて夢馬とも書くらしい。
(*7) 『ANIMAL X』は杉本亜未の漫画。新薬の被験者をしていた主人公は薬の副作用で女になってしまうが、彼を自分の妻にしたいというダイナソー一族の少年との旅を描く物語。主人公は女になってしまうが、見た目は普通に男性的に描かれているので萌え要素は全く無い。
なお似たタイトルで『アニマル1(ワン)』は川崎のぼるのアマチュア・レスリング漫画
(*8) メンカという北海道土着の夢魔だが、多分この名前は再登場しない。
「彼の睾丸を取り外して代わりに卵巣を入れたのは金色千里姉妹の誰か」
「ああ」
これはオーリンから色々話を聞いている。主としてやっているのが3人の内誰なのかはよく分からない。オーリンは「オーレム」と言っていたが、金色系統にそんな子いたっけ?
「彼の男性機能を保留しているのは私」
「うん。そんな気がしていた」
「だって千里たちと一緒に暮らしてて、清香の裸とか見たらどうしても男性的反応をするでしょ?トラブル防止のためだよ」
清香が裸で素振りとかするのが根本的原因か。
「だったら彼の男性機能を復活させるには?」
「この家とは別の所に住まわせるしかない」
千里はおキツネさんの女の子でお蔦という子を呼ぶと南荘の202号室に連れて行き
「あんた、ここに住んで」
と言った。
「なんか私たちってわりとそういう仕事がありますね」
「ごめんね。色々下工作があって。結婚してもいいけど女装してくれることが条件」
「面白ーい」
でもお蔦は青藤という男の娘キツネと結婚したのである。
「お料理はフジちゃんが作ってくれるから楽」
などと言って楽しそうにしていた。
「ちんちんにハサミ当てて『切ってあげようか』と言うと期待の目で見るから面白い」
などとも言っていた。
お洋服とかもかなり共用しているようである。色々“女の子教育”もしているようである。男物の服は全部捨ててしまったらしい。
(青藤のほうが妊娠したりして)
こうした下準備の上で千里は公世に言った。
「南荘のほうがさ、住人が女ばかりで不用心なのよ。悪いけど、きみちゃん用心棒代わりにあそこに住んでくれない?ご飯と稽古はこちらで」
「まあいいよ」
それで公世は南荘の101号室に引っ越したのである。これで彼は男らしくなるかも?
なお彼は南荘で寝泊まりするだけであり、朝は6時半頃南邸に来て双葉と朝練をし、そのまま朝食をとる。夕方は夕食を南邸でとってから南荘に戻る。
彼には「防犯用に、男物の下着とか干しといて」と言っておいたが
「男物?買ってこなくちゃ」
などと焦っていた。つまり男物を全く持ってないのだろう。
なお女物は「南邸の洗濯機に放り込んどいて」と言っておいた。彼は少なくともブラジャーが必要である。またナプキンを使うために女性用ショーツも必要である。
「きーちゃん、京都の男の娘をたくさん女の子に変えてあげてるんでしょ?」
「そんなにたくさんでもないよ」
「そう?」
「新成人の男の娘を5人、振袖が着れる身体にしてあげても振袖もプレゼントして」
「ふむふむ」
「男の娘の舞妓さんを2人、芸妓さんになれる身体にしてあげて」
「ああ」
「芸能スクールに通ってた歌がうまくて可愛い男子高校生を女の子歌手としてデビューできるようにして」
「うん」
「スカートはいてみたいと思ってたという韓国人と中国人とフィリピン人とベトナム人とタイ人とペルー人の男の娘をスカートの似合う身体にしてあげたくらいかなあ」
それで既に14人。8ヶ月で14人は結構なペースじゃん。
「タイの子は日本でお金を稼いで帰国してから性転換手術受けるつもりだったらしい。でも腕力が無いから1年で20万円しか稼げず、まだ4〜5年掛かるなあと思ってたらしい」
「そもそも手術受ける必要が無くなったね」
「日本の医療技術は凄い。痛みが全然無い、って感動してた」
「医療ではない気がする」
「あとは小学生の男の子30人の睾丸を取ってあげたくらいだよ」
「大量にやってるな」
「だって小学4年生男子の睾丸は除去すべきだよ。声変わりとかしたら可哀想じゃん」
「ちなみにそれ本人が睾丸を取りたいと希望していた子だけだよね?」
「あと小学3年生男子から睾丸を取ってあげればオナニーなんて悪いこと覚えずに済む」
「悪いことなの〜?」
「3年生までに玉を取っておけば将来女子スポーツ選手にもなれるし、もちろん本人が希望すれば、ちんちんオナニーよりずっと気持ちいい栗ちゃんオナニーができる身体に変えてあげる」
「親切だね」
「でしょ?あと6年生男子はセーラー服で中学に通えるようにしてあげるべきよね」
「そう?」
「だって詰め襟とか可愛くないよ。あと5年生男子はおっぱい触り放題にしてあげて」
「ほお」
千里は2009年秋、京都市内に四丁目工務店という会社を設立した。実は2006年春に眷属たちを多数大学の建築科に入れたのが、来春卒業するので。彼らが建築士の試験を受けるまでに実務経験を積める会社を作りたいのである。来春卒業予定なのは下記である。
西宮市・M女子大:前橋・七瀬・虹彩(妹の歌愛は2011春卒業予定)
西宮市・T大学:南田兄弟
兵庫県立大(姫路市):九重・清川
神戸大学:令明・追風
全部で9名もいて、全員を同じ工務店に入れるには多すぎる。それで工務店もいくつかほしいのである。(2011年以降も卒業予定者が続々と居る)
四丁目工務店の事務所は伏見区の土地の安い場所に零風たちを使って建てさせた。事務所と資材置き場である。作業用の2tトラックが駐められる駐車場が隣接する。
ここの社長には、3丁目工務店の榎木さんという人(一級建築士)に就任してもらった。そして彼の住居として京都南荘の103号室(2DK)を家賃無料で提供したのである。また彼には通勤用にエブリイを提供した。南荘の前面には小型車が4台駐められるようになっており、その枠のひとつも無償提供する。
経験者3人(30-40代。男2女1)と新人2人(20代)を雇用し、軽量鉄骨工法の研修を受けさせてライセンスを取得することにする。
9月19日(土)、大学剣道女子の秋の関西地区大会がおこなわれた。京教女子は、シルキー、双葉、千里、清香に3年生の時風さんというチームで参加。同志社に次ぐ準優勝となり全国大会に駒を進めた。
雅の四条店は京都の賑やかな通りにあり、広さは15m四方(64坪)ほどあった。雅の店舗の中でも(6月に建て直した新本店を除くと)最も広い旗艦店である。店長は小川社長夫人尚美(常務)の妹・典恵(取締役)である。
ここの右隣はブラウンホテルという4階建てのホテルだった。雅四条店の後ろ側もブラウンホテルだった。つまりブラウンホテルは ̄| のような形で、雅の店舗を抱え込むように建っている。それでホテル側は10年くらい前から雅に「おたくの土地を売ってくれませんか?」と言っていた。つまりホテルを四角い建物に建て替えたいのである。それが雅の店舗が邪魔になってできなかった。
しかし雅としては、京都市内でも有数の人通りのある場所の店なので、手放すことはできないとしてお断りをしていた。
2009年、雅は振袖の大量受注問題から生産体制増強のため大量投資をおこなった。その額は一部の報道機関によると百億円規模で、資金繰りを心配する声もあがっていた。その噂を背景にブラウンホテルの社長は雅の本社まで来て小川社長に言った。
「10億出していいです。売ってくれません?」
あの付近の土地相場の倍額である。魅力的な話だ。しかし小川としては千里の支援があるので資金繰りの心配は無い。それでお断りした。
雅の振袖は8月末でインクジェットプリンター染めも本注文を締め切った。
ここまでに入った本注文の件数は、丹後縮緬使用手描きの特上品が150, 但馬縮緬使用の準特上品が170, 東京縮緬(中国産)使用の上級品が320, 里王縮緬(ブラジル産)使用プリンタ染めの友禅風振袖が800, 振袖21が1000であった。合計約2600で、昨年の振袖売上数の25倍に近い。
製作のほうだが、丹後縮緬使用の特上品が9月10日に、但馬縮緬使用の準特上品も9月20日に全て完成し、注文者に完成の通知を送付した。2chの「雅の慌てぶりを生暖かく見守る」スレッドでも「すげー」という感嘆の声が多数あがった。
9月、京都市内の大手呉服店“立山呉服”が縫い子さんを多数派遣してくれた。雅ではこの人たちに東山工房の3階に入ってもらい、インクジェットで染めた“友禅風”振袖の縫製をしてもらった。期間中、この人たちは食堂は社員価格で、託児所は無料で利用できる。託児所無料と聞いて、育児のために(立山を)退職していた人まで多数このプロジェクトに参加してくれた。この人たちの身分は立山の臨時職員である。立山さん向けに発行したidカードを持っている。そのカードで工房の出入口を通れるし、食堂の食券を買える。
この立山呉服の協力もあり“友禅風”インクジェットプリンター染めの振袖についても7月25日までに本注文した人の振袖は9月末までに全て完成して注文者にハガキまたは電話・メールで通知した。
9月下旬には“秋本呉服”も縫い子さんを派遣してくれた。この人たちも東山工房に入れ、友禅風振袖の縫製をお願いした。多数の小部屋に分かれている3階の構造は他社からの派遣の人たちを受け入れるのにも都合が良かった。
10月には“白糸呉服”も縫い子さんを派遣してくれたが、ここは立山呉服と仲が悪く「立山とは別の場所で使って」という希望だったので山崎に入れた。バス会社と契約して白糸呉服から送迎バスを運行した。
他にも中小を含む呉服店合計10社ほどが縫い子さんを派遣してくれて、東山や山崎に入れた。いづれも“友禅風”振袖の縫製をお願いした。
これらの呉服店の協力で8月15日までに注文が入った友禅風振袖は10月19日までに全て完成した。(9月下旬には伏見工房が動き始めたのもある)
9月中旬、留萌三泊P神社では秋祭りの練習が始まった。小学生巫女の舞いに出る小学生10名も練習を始めた。1年生で今年初参加になる、アキと由真も練習に参加した。10人なので、1−2−3−4というフォーメーションにする。初参加の1年生は3列目に置いた。中央が由真で左がアキである。
由真は言った。
「これ夏祭りの幼女舞いに似てるけど少し複雑なんですね」
「そそ。これを簡略化したのが初穂の舞いなんだよ」
「なるほどー」
この舞いの先頭と最後をつなぐとほぼ夏祭りの初穂舞いになる。初穂舞いの指導を5−6年生がしているのは自分達が毎年舞っているものと共通部分が多いからである。
P神社の巫女行事
お正月
成人巫女:初日の舞い(鏡の舞い)
4月29日(旧みどりの日)
中学生:早乙女神事
夏祭り
初日朝
高校生:鈴の舞い
幼女:初穂の舞い
両日12,14,16時
中学生:風の舞い
祭りのラスト(ソーラン節の後)
中学生:珠の舞い
(夏祭りのラストはソーラン節→珠の舞い→木遣り歌→神輿船出・神上げ神事)
秋祭り
初日15時
小学生:実りの舞い
2日目12時(姫奉燈が戻ってから)
高校生巫女:白鳥の舞い
両日18,19,20,21時
先導巫女:豊穣の舞い(五節の舞)
9月16日、鳩山由紀夫内閣が組閣される。閣僚の発表後、同日夜、皇居において内閣総理大臣親任式とそれに続く閣僚認証式を執り行い内閣を発足させた。
9月18日 - 日本初の宇宙ステーション補給機(HTV:H-II Transfer Vehicle)の初号機が国際宇宙ステーション(ISS)への接続に成功。
9月下旬、ローゼン(スモールrr)は関空から最初にロサンゼルスに飛び、そこからリオデジャネイロのアントニオ・カルロス・ジョビン国際空港に飛んだ。ローゼンはリオ・タンゴ・シルクを訪問し、新しい織機(但馬で使用しているものと同じもの)で織った縮緬を見せてもらった。
「うーん・・・」
取り敢えず先日用意してもらっていた家に入る。ここには玄関に青いテープを貼り、青の家(カーサ・アズル)と命名した。
身に付けてきた2個の腕輪を居間に置く。そして2人を元の姿に戻した。これは今年の初め頃から但馬の縮緬工房で訓練させていた、青月・青島というキツネの兄弟である。生糸作り・絹織だけでなく、ポルトガル語も勉強させておいた。彼らのもうひとりの兄弟、青海は日本に置いてきた。
ローゼンは縮緬のサンプルを青月に持たせると、日本に居る青海と位置交換した。そしてロビンに電話する。
「どう思う?」
「織り方はいいけど、糸が悪いね」
「誰か指導者寄越せない?」
「検討する」
「よろしくー」