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夏休みの直前水泳教室があるので水着を買って下さいというお知らせを学校で渡された。“島元アキ 1200円”と書かれていたので母は集金袋に1200円入れて渡した。アキは低学年用スクール水着Mと書かれたパッケージを学校で渡され持ち帰った。
その水着を見て母は少し悩んだが車でマックスバリュに買い物に行き、何か買ってきた。
「あんたこれいつもパンティ穿くのと同じように穿いて」
と言われて黒いパンツを渡される。それで穿く。そしてその上に学校で渡されたスクール水着を着た。この時初めてアキはこれ女の子用の水着ということは?と思ったが、別に構わないよねと思った。
「うん。これで問題無い。明日は朝からこうやって水着を着てから普通の服を着ていこう」
それでアキはそうやってスクール水着を着て水泳の授業に出たのである。
同じクラスの子たちがこんな噂をしていたのを彼は知らない。
「島さんって、やはり女の子だったんだ?」
彼は女の子用水着を着けていたし、お股には男の子なら出来るはずの出っ張りのようなものは見られなかった。女の子と同じすっきりしたフォルムだった。
「男の子ではあるけど、幼稚園の時に、ちんちん取る手術したらしいよ」
「ああ。取っちゃったんだ」
「だから、おしっこも女の子と同じような出方になったらしい」
「それでパンツも女の子用を穿いてる」
「じゃほとんど女の子と同じようなもんだね」
「ちんちん無くなってお婿さんになれなくなったから、代わりにお嫁さんになるのに必要なものを付けてもらったらしいよ」
「だったらお嫁さんになれるんだ?」
「でもお嫁さんになるのに必要なものって何?おっぱい?」
と男の子たちが訊くが、女の子たちは
「やはりあれだよね」
などと言っている。どうも女の子たちには分かるようだが、男の子たちにはさっぱり見当も付かなかった。
もちろんお股の穴のことだよね。男の子たちはそんなものがあること自体知らないが、女の子たちもその正体はまだよく分かってない。
7月21日 - 閣議において衆議院解散を決定。同日の衆議院本会議で河野洋平議長が詔書(詔)を朗読して衆議院が解散された。この解散により、小泉純一郎元内閣総理大臣を含む前職25人が今期限りで引退。
8月8日、歌手で女優の酒井法子が、覚せい剤取締法違反容疑で警視庁に逮捕される。
雅の振袖であるが、7月19日で注文を締め切った丹後縮緬使用の手描き友禅特上品は8月10日で全品染め完了となった。7月31日で締め切った準特上品(但馬縮緬使用)もこの時点で25%が染め完了になっていた。
丹後縮緬使用品が染め完了になったことから、東山工房では東京縮緬の染めが始まり、“上級品”の染めの数字が上がり始めた。インクジェット染めの分は注文受付後たいたい一週間程度で染め完了になっていた。
千里はブラジルのリオ・タンゴ・シルクのアルテス社長に電話して言った。
「土地代と建築費は出しますから、リオ近郊、おたくの工場か農園の近くにでも小さな家を用意してもらえませんか?大人が2-3人程度暮らせればいいです」
ところで陽万里窯と天橋窯はどちらも有田焼系なのだが、使用している土が違うので製品の色合いが異なる。各々窯の近辺で採れる土を使用している。どちらかというと良い土の採れる所の近くに窯を設置したのである。
「播磨窯さん、きれいな色が出てますね」
「なんならうちの土を使う?」
「いいんですか?」
「自分で採るなら使ってもいいよ」
「ぜひ」
それで、真鍋さんは天橋に連れられて採取場所に向かおうとしたのだが・・・・・
諦めた!
あまりにも険しい場所で真鍋さんの体力では到達できなかったのである。
それで真鍋さんは今まで通りの場所から採った土を使い続けた。
夏休みに入ってすぐの頃、アキは凄い夢を見た。
その日お父さんが
「アキ、たまには一緒にお風呂入ろ」
と言った。アキはたまたまが無いことがバレる〜と思ったものの、まあいいかと思い一緒に入ることにした。しかしお父さんと一緒にお風呂に入ってびっくりする。
「お父さん、ちんちん無いの?」
「ああ。今日性転換手術受けて女になったんだよ」
「え〜。そうなの!?」
「だからチンコは無くなったけど代わりに割れ目ちゃんができた」
確かに父のお股には母のと同じように割れ目ちゃんがある。そしておっぱいも大きい。
「お前も明日女になる手術受けろ」
「明日なの〜?」
アキはその内手術受けて女の子になろうかと言われるかもとは思っていたが明日?
翌日、お父さんはお化粧してスカート穿いて会社に出掛けて行った。一方アキは母の車で市民病院に連れて行かれた。
「女の子になる手術お願いします」
「はい。そのまま手術室にお入りください」
すぐ手術?
アキは母に連れられて手術室に入った。手術台に寝せられ、看護婦さんの手でスカートとパンティを脱がせられて、お股を露出される。更に両足を広げられる。白衣(はくい)を着たお医者さんが入ってきて言った。
「それでは今から息子さんを女の子に変える性転換手術を行います。よろしいですね?」
「はい、お願いします」
と母は言い、お医者さんは麻酔を打ってアキは意識を失った。
目が覚めたら病室に居る。看護婦さんがそばに居て言った。
「ああ、意識回復したね。手術は無事終わったよ。もうあなたは立派な女の子だからね。良かったね。おめでとう。これでスカート穿いて学校に行けるし、女子トイレ使えるし、女の子水着を着れるし、中学生になったらセーラー服着れるし、おとなになったらお嫁さんになれるよ」
ぼくお嫁さんになるの?
夕方には退院して家に戻る。そして翌日は本当にスカートを履いて学校に行った。サツキちゃんが
「珍しいね。今日はスカートなんだ?」
と言う。
「ぼく女の子になる手術受けて女の子になっちゃった」
「おめでとう!これで正式に女の子の仲間ね」
他の女の子たちも祝福してくれてアキは女の子になれて良かったのかもと思った。
ふと気づくと竹田君がスカートを穿いている。
「なんでスカートなの?」
「ああ、俺昨日病院に連れて行かれて女になる手術受けさせられた。それで女になったらスカート穿きなさいと言われて穿いて来たけど、これ恥ずかしー」
「すぐ慣れるよ」
ふと気づくと村井君がスカートを穿いている。
「なんでスカートなの?」
「ああ、俺昨夜寝ている内に病院に運び込まれて女になる手術受けさせられたらしい。だから今朝起きてトイレに行ったらチンコ無いからびっくりした」
そんなのあり〜?
それでよく見るとクラスの男子(だった)全員がスカートを穿いている。やがて先生が入ってきて行った。
「このクラスの男子全員が女の子になってこのクラスは全員女子になりました。男子トイレを使う人が居なくなったので、男子トイレは廃止し、女子トイレを倍の広さにします」
女子たちから拍手が起きていた。そんな男子トイレ廃止とか来年はどうするのさ?
先生は言った。
「来年からは新1年生の男子は入学式の直後に女の子になる手術を受けてもらいますので5年後にはこの学校は女子小学校になります」
なんか無茶じゃない?
と思ったら校内放送がある。
「2年生の男子は保健室に来て下さい。順番に全員女の子になる手術を受けてもらいます。手術が終わった人には女の子パンティとスカートをプレゼントします」
5年も経たなくても女子小学校になるのでは?
と思ったところで目が覚めた。
変な夢を見た翌日、お父さんは普通に男物のスーツを着て出かけて行ったから。多分女になったりはしてないだろう。お昼近くになって母が
「一緒に出掛けよう。あんたスカート穿いて」
と言う。スカート穿いてのお出かけは久しぶりである、母は車には乗らず歩いて行く。神社にでも行くのかなと思ったらバス停に来た。
「バスに乗るの?」
「車駐められないから」
やがて留萌駅前行きのバスが来るので乗る。バスが市街地に近づいて行く。
「次は市民病院前です」
というアナウンスがあり、母はボタンを押した。
「降りるよ」
「うん」
市民病院というのでアキは昨夜の夢を思い出す。まさか女の子になる手術とかじゃないよね?
バスが病院前に停まり、アキは母と一緒に降りる。すると母は病院の門にはには行かず“鬼ヶ島うどん”に入っていく。
「うどん屋さんだったのか」
「ここ安くて美味しいと評判なんだよ」
「スカートはいたのは?」
「女の客には稲荷寿司のサービスがあるんだよ」
「へー」
それでアキは月見うどん、母は掻き揚げうどんを頼み、ふたりともレディスサービスのお稲荷さんももらったのであった。(アキはスカート穿かなくても女の子に見える気がする)
京丹後市の慶子さんがトンボ工房に来て言った。
「お友達が階段から落ちて絹織りの作業ができないのよ。あんたたちのところで代替する余力無い?」
それで千里は、トンボ工房のお麦と、出石で働いているお滝という子を行かせた。ここは蝶々縮緬製作所というところで、やっているのは幸子さんという人だった。8月中に京都の呉服屋さん“立山呉服”に縮緬を納めなければならなかったのだが、お麦たちが頑張ってくれたので間に合わせることができた。
“蝶々”という名前は幸子さんの夫のお父さんが“加藤一”という名前でこれを“ピン・カートン”と読んだことから。
(ピンカートンはマダム・バタフライ(蝶々夫人)の彼氏の名前)
ラッキーブロッサムの夏のツアーが行われたが、ロビンもグレースも忙しいので、主としてジェーンが参加した。一部は、ゆきに出てもらったものもある。ゆきはブレンダが福岡から帰ってくるまでは暇である。
雅の振袖は、8月20日で但馬縮緬使用品も全品染め完了となった。
千里は九重達を動かし、東山工房について、人の居ない深夜に工事して現在の2階の上に3階を作った。2階に重ねるのではなく新たな柱を立てて、それに取り付ける。こうしないと強度が取れない。工事は毎日夜0時〜朝6時におこない、一週間で3階ができてしまった。9m×5.4m(30畳)の部屋が8つである。これはあまり広すぎると集中できないから小さく区切ったほうがよいという雅夫さんの意見を入れたものである。
この時ついでに1階には食堂と託児所を作った。桜製菓の片倉の紹介で神戸本社のファミレス、サンデーファミリーを好条件(家賃無し・収入保証など)で釣って入ってもらい、9月上旬から営業開始した。ここにはそのあと、山崎工房・姫路ネオラボにも入ってもらう。
軽食メニューとして、おにぎり、サンドイッチ、ホットドッグ、中華まん、コロッケ、フィッシュフライ、アメリカンドッグ、チキン、ポップコーン、たこ焼き、などを提供するのは、向こうのスタッフも面白がっていた。コンビニでも始めた気分だと言っていた。スタッフの中にコンビニでのバイト経験のある人が居て、この人が凄い戦力になっていた。また、たこ焼きを作るのがうまい人(関西にはわりとこういう人が居る)が居て、じゃんじゃん作り、じゃんじゃん売れていた。
8月18日、第45回衆議院議員総選挙が公示される
8月22日、大坂を舞台にしたイベント“水都大阪2009”が開幕した。会期は10月12日まで。
8月31日、クトネシリカを3Dプリンタでコピーしたものに貞美ちゃんが着色していたものが完成した。貞美ちゃんは松田さんの作ったレプリカを見て
「さすがプロは違うなあ。負けたぁ」
などと言っていたが、貞美ちゃんのも充分良い出来だと思った。
千里と常弥は話し合い、姫奉燈の初日の巡行には貞美ちゃんの作品を使い、2日目の巡行(朝夕2回)には松田さんの作品を使うことにした。