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アキは2年前のことを今でも時々思い出すが、ちんちんが無くなったおまたに女の子用のパンツを穿いた時のピッタリした感覚や、ちんちんが無いお股からおしっこが出る感覚、そのあとトレペで拭いたことなどは、鮮明に覚えている。ちんちんがいつ戻ってきたのかはよく覚えていない。しかし、やはりあれは夢か何かなんだろうなと思う。あんな簡単にちんちんが外れるわけないし。試しに自分でもギュッと引っ張ってみたことはあるが、外れたりはしなかった。
でもあの後で、お母さんと買い物に行き、服屋さんでアキが女の子用のパンツをつい見ていたら
「ああ、これ穿く?穿くなら買ってあげるよ。300円だし」
と言って買ってくれた。プリキュアのショーツである。キュアブラック・キュアホワイト・シャイニールミナスの3枚セットだった。
(ちなみにこの3人が出て来たプリキュアは2005年放送で、今は2007年。つまり2年前の売れ残り!安くなっている訳である)
母は更に「あんたこれも穿く?」と言って、スカートも買ってくれた。チェック模様のプリーツスカートである。母は「500円だし」と言っていた。でもスカートは「家の中だけね」と言われたのでもっぱら家の中で穿いている。でも神社に持っていって神社でも穿いている。神社では土日に“お話会”が開かれていて、年少(学年相当)以上・小学3年生以下の子供がこれに参加している(4年生以上は“お勉強会”をしている)
お話会は参加費月500円だが、おやつがもらえる。おやつはドーナツとかクッキーとかポテトフライとか手作りっぽい(実際実行メンバーの手作りである。朗読のうまい人が童話の類いを朗読し、お菓子作りのうまい人がおやつを作っている。材料代は実は千里と玖美子が出している)。会場は三泊会館(2006.11建設)で椅子に座ってお話を聞く。畳部屋だとそもそもの座り方が問題だが、椅子は楽である。でもアキは頑張って膝をくっつけているようにした。
スカート穿いてる時は女子トイレ使っていいよと言われているので使っている。スカートを穿いてない時でも人目が無い時は使っている。
プリキュアのパンツを買ってもらった日、自分の部屋でそれを穿いてみると、ちんちんの盛り上がりができる。うーん、と思っていたら
「ちんちんは後ろ向きにするんだよ」
という声がする。え?と思ったら、どこから入ってきたのか、着物を着た1年生くらいのお姉さんが出て来た。
「アキちゃんこんばんわ。ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ。これはこうするんだよ」と言って、パンツをいったん少し下げ、たまたまを体内に押し込んだ上でちんちんを曲げて後ろ向きにし、おまたにはさむようにしてからパンツを上まで上げてくれた。
すると確かにパンツには膨らみはできない。すごーい!と思った。それからは女の子用パンツはそういう穿き方をするようにした。
母はその後も女の子用パンツやスカートを買ってくれた。またズボンを買うときも前の開きが無い女の子用のズボンを買っていた。しかしアキはいつもトイレは座ってしていたので、何も不便はなかった。冬の間はタイツを履くが、これも前開きが無い女子用である。
ほかにポロシャツとかコートとかも女の子っぽいものを買ってくれた。左前の服のボタンを留め外しする練習もさせられたが、最初はなかなかうまくできなくて苦労した。他に女の子向けの雑誌とか漫画とか買ってくれて、おかげで幼稚園で女の子たちと話が合った。また部屋のカーテンとかは女の子っぽいものに交換された。またお布団カバーとかシーツも女の子っぽいものにした。プリキュアの毛布とかも買ってもらった。
「まあ幼稚園の内は男の子がスカート穿いててもいいだろうし」
と母は言っていたので幼稚園卒業したらスカートも終わりかなあと思っていたが、小学校になっても「家の中だけね」と言ってスカートを買ってくれたので本当に家の中だけで穿いていた。ズボンは女の子用を買ってくれていた。またパンツはいつも女の子用を買ってくれるので、アキの衣裳ケースには小学校に入る頃にはパンツは女の子用だけになった。
アキは小学校に入ってからは自宅でと美容室に行く時とか以外ではほとんどスカートを穿いてないが、幼稚園時代はショッピングセンターでの買い物の時、また遠くにお出かけする時などにも穿いていた。一度北海道グリーンランド(*5) に行った時とかも車での往復の間を含めて丸一日スカートで過ごした。
(*5) 岩見沢市の三井グリーンランドは、2007年7月28日に北海道グリーンランドと改称した。
スカートを穿いている時や巫女衣裳を着けている時は自分のことを“ぼく”ではなく“わたし”と言うように母から指導された。これがすごく大変で、最初はなかなか言えなかったが、年長さんになる頃には何とか“わたし”と言えるようになった。でもしばらくは逆に“ぼく”が言えなかった!
お出かけの時とかショッピングセンターでの買い物の時にスカート穿いてもいいことになっていたのはトイレの問題がある。彼が男子トイレに入ると髪型が女の子っぽいこともあり「女の子が男子トイレ使ったらだめ」
と注意される。それなら最初から性別の誤解が無い?ようにスカート穿いてなさいということになってしまった。ショッピングセンターのトイレでは同級生女子と遭遇することもあるが、普通におしゃべりしている。
ちなみに彼はあの夏祭りの時以来美容室で髪を切っているが、一度床屋さんに連れて行かれたら
「女の子は美容室に」
と言われてしまった。美容室では女の子らしい髪型にされてしまうので彼はこの“女の子ループ”の中に居る。
なお彼はあの夏祭りの時はショートカットだったが、少しずつ髪を伸ばし、小学校に入る頃はセミロングになっていた。
ところでアキは幼稚園に入る前の年4歳の時_(2005年)に数え五歳の七五三をしたのだが、七歳の七五三もすることになったのは、こういう経緯だった。
その日、アキがお話会から帰宅すると、母の友人が来ていた。2歳くらいと4歳くらいの子供を連れていた。その友人がアキを見て言った。
「お嬢さん(きっとアキのこと)何歳?」
「今年長さん」
「だったら七五三だよね。七五三の着物のレンタルとかしない?」
「そうだね」
それで母は七歳の女の子用の着物をレンタルしたのである。その友人が生活が苦しそうであったので同情して営業に協力してあげたようである。
「せっかく借りたしあんた著る?」
「うん」
それでアキは女の子の赤い着物を着せられ、着たついでに?両親と一緒に神社にお参りに行った。拝殿の前でお賽銭だけ入れて帰って来るつもりが、偶然由真ちゃんとその御両親とも遭遇し、結局昇殿して若神主さん(和弥)の御祈祷も受けた。由真ちゃんはピンクの着物を着ていた。千歳飴も買い、由真ちゃんと並んだ写真も撮った。
ところで彼の名前(戸籍名)は島・元秋(しま・もとあき)なのだが、しばしば姓名の区切りを間違われ島元・秋(しまもと・あき)と思われる。小学校に入った時、彼は出席番号が27だった。前が26.嶋田絵美(しまだ・えみ)ちゃんで、後ろが28.諏訪伸代(すわ・のぶよ)ちゃんである。またしばしば先生が「しまもとさん」と呼ぶ。それでやはり名前の区切りを間違えられているみたい、とは思ったが細かな?問題だし、気にしないことにした!
しかし気にしないついでに、そもそも女子の並びに入れられているのではという問題には気づかなかった!ちなみに男子の鹿内君は5番である。
小学校で体育の授業では体操服に着替える。2年生以降は着替えは男女で別の部屋を使うのだが、1年生では
「男子は窓のほうで、女子は廊下のほうで着替えてください」
と言われた。彼が窓の方に行ったら、先生は
「君はこっち」
と言われて廊下のほうに連れて行かれた。女子たちも
「アキちゃんはこちらでいいよ」
と言うので、そこで着替える。彼がリボンやレースの付いたシャツを着ているし女の子パンティを穿いていて、何も盛り上がりも無いので女の子たちは頷いていた。
なお、この小学校は身体測定は着衣で行う。
佳月ちゃんは年中の1月に引っ越して行ってしまったが、アキは毎年初穂舞に出た。2008年は後列中央で舞い、2009年はとうとう先頭の要(かなめ)の位置で舞った。しかしちんちんが無くなったりすることはなかった。巫女衣裳を着ける時は、ちんちんは後ろ向きにして女の子用パンツを穿き、巫女衣裳を着けていた。もしかしてパンツに盛り上がりができないからちんちんを取る必要も無いのだったりして?
なお着替えに女の子たちと別の部屋を使ったのは最初の年だけで2年目からは女の子たちと同じ部屋で着替えていた。
女の子たちがこういう噂をしていたことを彼は知らない。
「アキちゃんってちんちん無いの?」
「昔はあったけど、年中さんの時に取っちゃったらしいよ」
「ちんちん無くなったから、おしっこも男の子みたいにズボンからちんちん出してはできなくなって、女の子と同じような出方になったらしい」
「だから女子トイレ使ってるのか」(しっかり見られてる)
「男子トイレは使えないからね」
「だったら一緒に着替えても問題無いね」
2009年の舞いでは、アキと後列右で舞った由真ちゃんが小学1年生だった。指導係の6年生・春佳さんが2人に言った。
「これで夏祭りの幼女舞いは卒業だね。お疲れ様でした」
「ありがとうございます」
「あんたたち今度は秋祭りの小学生巫女の舞いに出てよ」
「はい」
と由真ちゃんは言ったがアキは
「ぼくもですか?」
と訊く。普段巫女衣裳の時は“わたし”と言うが、この時は敢えて“ぼく”と言った。
「ああ、アキちゃんって男の子だったっけ?」
「ええ」
「ふーん。でも大丈夫だよ。まだ巫女衣裳似合ってるもん。巫女衣裳が似合わなくなったら卒業だけど、それまではよろしく」
「あ、はい」
でも由真ちゃんは
「きっとアキちゃんは高校生になっても巫女舞をしてる」
と言った。
その日、アキは自分の部屋で呟いた。
「ぼくも巫女舞、ずっとしてたい気分だけど、その内男っぽくなって巫女衣裳が着れなくなるのかなあ」
すると、いつかパンツの穿き方を教えてくれた着物の女の子が出て来た。あれから2年経ってるのに女の子はあの時と同じくらいの年齢に見える。
「アキちゃんこんばんわ。ぼくは“男の娘の味方”魔女っ子千里ちゃんだよ。男っぽくなって巫女衣裳が着れなくなったりはしないようにしてあげようか」
「そんなことできるの?」
「たまたまを取っちゃえばいいんだよ」
「たまたまって、ちんちんの後ろに付いてるやつ?」
「うん。そこから、アキちゃんを男っぽく変えてしまう男性ホルモンという物質が出てくるんだよ」
「へー」
「たまたま必要?」
「うーん・・・」
たまたまはいつもパンティを穿く時に体内に押し込んでいる。邪魔だなあ。これ無かったらもっと楽にパンティ穿けるのにと思うけど、取ってもいいものなのだろうか。
「特に必要無いなら取っちゃおう」
「取れるの?」
「簡単だよ」
と言って女の子はアキのお股に手を当てた。
「はい、取ったよ」
触ってみると確かに袋の中に玉が無くなっている。
「これでいつまでも巫女衣裳が着れるよ」
「ありがとう」
「たまたまの代わりに体内に卵巣(らんそう)を入れたから」
「らんそう?」
「身体を女の子らしくしていく女性ホルモンという物質を出す器官だよ。たまたまが無いなら卵巣が必要なんだよ。どちらも無いと身体が成長しないから」
「だったらぼく女の子っぽくなるの?」
「今から3年くらい、4年生頃まではそれほど目立たない。5年生くらいになったら、体型が女の子らしくなり始めるから、気が変わったら、いつでもぼくを呼んで。適当に調整してあげる」
「分かった」
それで女の子は姿を消したが「呼んで」って、どうやって呼べばいいんだろうと思った。
ただ“らんそう”を入れてもらった後、アキはおまたの後ろの方に何か穴のようなものができていることに気付いた。これ何だろうと思ったが、気にしないことにした。
なお玉の入っていた袋は当初はちんちんの後ろに垂れていたが。中身が無いせいか縮み、そのうちお股に張り付いたようになって、やがて少し色が違うだけの普通の肌になった。またちんちんも少し小さくなった気がしたが、彼は立っておしっこしないので、不便とかは無かった。でもパンティ穿くのが凄く楽になって良かったぁと思った。
アキは神社で中学生の翠花さんに言われた。
「あんた笛が吹けそうな顔してる。練習してくんない?」
「はい」
「御祈祷とかの時に吹くのは龍笛(りゅうてき)という笛なんだけど、いきなりは難しいからまずは篠笛(しのぶえ)で練習して」
と言われ、赤い漆塗りの笛を渡される。
「これあげるから取り敢えずこれで音が出るように練習しよう」
「はい」
最初は全く音が出なかったが、色々やっているうちに微かに出た。それで、また色々工夫しながら、ちゃんと音が出るように頑張った。