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■サクラな日々(10)

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翌日は母と会っている時に掛かってきた電話で話した通り、進平とお昼に町で待ち合わせ、一緒にお昼を食べてから映画を見た。そのあと、やはりついつい足がホテルに向き、私達は愛し合った。
 
私達はだいたいSを使うか、私が彼のをフェラしてあげた。私のSはしまりがほどよくて、女の子のVとそんなに感じが違わない、と彼は言っていた。Aについては彼も入れるのに抵抗があると言ってたし、私も入れられるのには抵抗があると言ったので、使わないことにした。
 
私達はよく夜間に椎名君たちと一緒に車4台でのドライブも楽しんでいた。私は機会を見て、花梨たちに実は私の身体が女の子ではないことをカムアウトした。彼女たちはびっくりしていたが「心が女の子で、見た目も女の子なんだったら、気にすることないよ」と言われた。
 
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「でも、お風呂にも何度か一緒に入ったけど、女の子の身体だったよね」
「あれはね〜、いろいろテクがあるのですよ、お姉様。実は、進平と初めてホテルに行った時もね、『どこからどう見ても女の子の身体にしか見えないじゃん』って、拍子抜けしたみたいな口調で言われた。彼、ホテルに来るまでは、男の子同士で愛し合うってどうすればいいんだっけ?って真剣に悩んでたらしいけど、普通に女の子とするのと変わらないからホッとしたって言ってた」
 
「へー。じゃ、彼とはふつうにヘテロ・セックスなんだ」と麻耶。
「うん。私も同性愛の趣味は無いし」
「ちょっと待て。何か話が難しい。私の頭では理解できないけど、要するにハルは女の子だってことで問題無いね」と花梨。
「ふつうに女の子だよね」と麻耶。
「また一緒にお風呂入ろうね」と美沙。
 
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ある日曜日。学校のOG会からの呼びかけに応じて、私は莉子たちクラスの女子4人で一緒に老人介護施設のボランティアに出かけた。これがなかなか大変で、ただボーっとしているだけの感じの人に何度も呼びかけながら食事を食べさせたり、暴れ回るお年寄りのオムツを数人で協力して何とか交換したり、感情がたかぶって泣いている人をなだめたりなどで、4時間ほどで精神的にも肉体的にもクタクタになったのだが、最後の方で「入浴介護できます?」と頼まれた。
 
涼世と妃冴がもうダウン寸前だったので、私と莉子で「やります」といってお風呂場に向かう。
「あ、私達も脱ぐんですね?」
「はい、下着付けてやる人もいますが、ずぶ濡れになるのでその後着替える必要が出て来ますね」と言われる。
 
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ん?という感じで莉子が私を見るが、私は「はーい。脱いじゃいます」といって裸になる。莉子も微笑んで裸になって一緒に車椅子のお年寄りの入浴を介護した。
 
「ふーん、なるほどね。実物は初めて見たけど、道具とかテクとかもあるんだろうけど、ハルリンって、雰囲気が女の子だからヌードでパスしちゃうんだな」
などと莉子が言う。
「あ、その見解は初めて聞いたけど、そうかも知れないね」
と言って微笑みながら、私はお年寄りの髪を洗ってあげた。
 
その日はみんなホントに疲れていたので、自宅まで帰る体力が無いという意見もあり、みんなで近くの旅館に泊まり込んだ。8畳の和室に布団を4枚敷いてもらう。とりあえず自販機で買ってきたビールで乾杯した。
 
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「でも疲れたねー」
「介護職の3Kってよく分かった。危険ってのが何でだろうと思ってたけど、私あちこち引っ掻かれて傷が出来たよ、今日は」と妃冴。
「私も凄い力で腕掴まれてまだ痛い」と涼世。
「人が居着かない訳だよね。それで給料も安いみたいだし」と莉子。
「でも腰を痛めない抱え方だけは最初に教えてもらって助かったね」と私。
「うん、知らずにやってたら、ギックリ腰とかになって、下手したら一生の悔いになってたかも」と莉子。
 
「そうだ、リコ、ハルリンのヌード見たんでしょ?」
「ふつうに女の子だよ。ぶらぶらするものも付いてないし」と笑いながら莉子。「あれ?もう手術終わってたんだっけ?」と涼世。
「裸の女装だと聞いた」と妃冴。
「うん、そんなもの」と私。
 
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「へー」と涼世は言うと「ハルリ〜ン、私にもその女装ヌード見せろ〜」と言って私の服を掴んで脱がせようとする。ビールの酔いも効いている感じだ。
「分かった、分かった、みんなでお風呂に行こうよ」
「取り敢えず御飯食べるまでは、お風呂行く元気無いよ〜。今見せて」
「分かったよ、もう」と笑って言うと私は服を脱いで、みんなの前で裸になった。
 
「上の方から説明致します。バストはブレストフォームというものを付けております。しっかりしたテープで身体に貼り付けているのでお風呂に入っても平気です。ウェストのくびれは自前のラインでございます。掛け値・誤魔化しは無し。お股の所はタックというものをしていて、女の子の股間に見えるように細工をしております。これは接着剤留めですので、お風呂平気です。足の毛はフラッシュ脱毛済みです」
 
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「へー。凄い。でもウェストくびれてるし、足も細いし。体重いくらだっけ?」
「49kgかな。身長は163cm」
「むむむ。身長158cmの私より体重が軽いじゃん」
「男の子だった頃から、その体重だって言ってたよね」と莉子。
「うん。それは全然変わってない」
「ちょっと待って。じゃ、男の子だった頃から、ウェスト、そんなにくびれてたの?」
「うん。高校の修学旅行でお風呂に入った時、お前このウェストライン凄い。女の子なら良かったのにな、とか友達に言われた」
 
「なんかさ、ハルリンって、ついこないだ女の子始めたようなこと主張しているわりには、その手のエピソードが昔からかなりあった感じだよね」
と莉子が笑って言った。
 
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「高校時代は、女子制服着て女子トイレに籠もったことあったと聞いたし」
「違うよ。あれはクラスメイトの悪戯で、女子制服着せられて椅子に縛り付けられて女子トイレに放置されたんだよ。もう恥ずかしかったんだから」
「でもトイレに入ってきた女子が誰も騒がなかったとか」
「そうなのよ。みんな『あら可愛い』とか『女子制服似合ってるね』とか言うばかりでロープを解いてくれないんだもん」
「だいたいなんで女子制服着せられたのさ」
「・・・・いや、一部の子たちが私セーラー服似合いそうだって言い出して・・・」
 
「要するにハルリンは高校生の頃、既に女の子だったのか」
 
その日、私達は部屋まで料理を持ってきてもらい、それを堪能して一休みしてから一緒にお風呂に行った。浴槽の中で、私は妃冴からも、涼世からも、かなりボディタッチされた。莉子は笑って見ていた。
 
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12月初旬の土曜日、私は朝から携帯の着信で起こされた。誰かなと思って見ると、花梨からである。私は彼女たちと携帯の番号は教え合ってはいたが、実際には各々の彼氏とセットでの行動の時しか顔をあわせたことはなく、直接連絡を取りあったことはなかった。何かしら?と思い、出ると
 
「お早う、ハル。余計なことかも知れないとは思ったんだけどさ」
と花梨はいきなり切り出した。
 
「なあに?カリリン」
「今、周囲には誰もいない?」
「うん。ひとりだよ」
「・・・・あんたさ、進平君が二股してるのには気付いてる?」
「え?」
「やはり、気付いてなかったのね」
 
「そうなんだ・・・・」
「私達カップル4組で集まる時は、いつも彼、ハルを連れてくるけど、それ以外の場合で、しばしば他の女の子を連れてることがあるみたいなのよね。ちょっと情報源は勘弁」
「あ・・・・」
 
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「何か思い当たることあった?」
「彼の車の助手席・・・・私身長163cmで背が高い方だからさ、乗るとしばしば座席の位置を調整してたんだけど、そのこと何も考えてなかったけど、それって私と違う背丈の人が前に乗ってたということだよね」
「それは、もっと早く気付かないといけなかったね」
「別に調整せずに座れることの方が多いんだけど、時々調整の必要がある場合がある。私いつも後ろにずらしてた」
「それは、ハルより背の低い子を乗せていたということになるね」
 
私は電話を切った後、少し考えていた。
 
やはり彼女にするなら、私みたいな子より普通の女の子の方がいいよね。。。。ちゃんとふつうのセックスできるし、結婚もできて、子供も産んでくれるし。ああ、でもちょっと楽しかったなあ・・・少しだけ夢見ることもできたから、この辺りが私の引き際かな。彼を解放してあげよう。そしたら、彼、ふつうの女の子とふつうの恋人になれる。
 
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そんなことを考えてみたが、涙が出てきた。
 
えーん。悲しいよお。。。。。
 
私、やっぱりそんなに割り切れないよお。
進平といる時間、凄く楽しいのに。
もう進平と一緒に過ごすことできないの?
深夜のドライブでくだらないこと話して。
運転中の彼に悪戯して叱られたり。
 
私はいたたまれなくなって、バッグだけ持ってアパートを出ると、通りに出てしばらく立ち尽くしていたが、タクシーが通りかかったの見て、反射的に手をあげて停めた。
 
乗り込んで行き先を訊かれる。行き先・・・どこにしよう。
「あ、すみません。空港」
「羽田ですか?」
「あ、そうですね」
「第1?第2?」
うーん。どちらにしよう。
「じゃ、第2」
「分かりました」
 
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第2ターミナルで料金を払って降りる。あ、お金下ろしておかなくちゃ。私はATMで取り敢えず20万下ろした。どこに行こう?便の一覧を見る。
なんか遠くに行きたいなと思って見ていたら、釧路行きに空席がある。釧路ってなんか凄い遠くの地の果てみたいな気がした。それで、カウンターに行き「釧路行き1個ください」と言ってしまった。
 
言った瞬間『1個』は無いよな、と思って心の中で苦笑する。
 
すぐに搭乗案内が始まるということだったので、急いで手荷物検査を通り、搭乗口へ走って行った。53番。これかなり遠いぞ。行くと、もう既に搭乗案内が始まっている。ゲートの所の列はもうあまり残っていない。私はその最後に並ぶと、搭乗券をかざして中に入った。
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