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■眠れる森の美人(12)

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玉座の間から食堂に移動し、一同が席について、祝いの宴が開かれた。ティアラが一同にワインを注いでまわる。アルベルディーナも「私も手伝います」と言い、ジルベールも手伝いを申し出て、タレイアも含めて4人で動き回った。侍女や護衛の兵士たちにも席を用意した。
 
「今日は私たち王家の者と大公家の方々が100年ぶりに会った記念の席ということで」
とデジレが言った。
 
「ではデジレ様とビクトルの婚約の儀、婚姻の儀はあらためて適当な場所を選んで」
とロベール大公が言った。
 
デジレが乾杯の音頭を取り、一同がグラスを合わせた。
 
「何て美味しいワインだ!」
「こんなワインは初めて飲んだ」
 
とロベール大公やルナーナ太后が言う。
 
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「この城とともに100年眠ったワインですから」
「おお!」
 
「200本ほどあります。何かの記念の席などに少しずつ出しましょう」
「それはいいですね!」
 
前菜、スープ、パンと出てきて、肉料理が出てくるが、この料理に
 
「なんて美味しいお肉なの!」
と感嘆の声があがる。
 
「これは何のお肉ですか?」
 
「最後に種明かししますね」
とだけリラの精が言った。
 
その後、デザートとして最初にチーズが出て、その後イチジク、そして焼き菓子と出る。
 
「この焼き菓子はデジレ様が今朝からお作りになったんですよ」
とカナリアの精が言う。
「私、小さい頃からお菓子作りが大好きだったんです」
とデジレ。
「本当に女の子だったんですね」
とカロリーネ妃が言った。
 
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最後に飲み物が出てきて食事が終わった後で、リラの精があのお肉は100年前にオーブンに入れられて100年掛けてじっくりと焼かれたお肉であることを説明すると、
 
「うっそー!?」
といった声が出てくる。
 
「2度と味わえない貴重な味ですね」
「ふつう100年掛けての調理なんてできないもん!」
 
「でも100年経っても全然悪くなってなかったんですね」
 

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その日、ビクトル王子やロベール太后たちはミュゼ城に泊まった。ビクトル王子はデジレ女王の私室に入ったが、なんだかおどおどしている。なお、ふたりの「結合」の見届け役としてティアラとアルベルディーナも控えている。
 
「どうしたの?」
「いや、えっとその・・・交わってもいい?」
「初めて私に許可を求めたのね。これまで勝手にしていた癖に」
「ごめーん」
 
「うん。でも今日はしていいよ」
「じゃ、させてもらいます」
 
ティアラがデジレの服を脱がせ、アルベルディーナがビクトルの服を脱がせる。ふたりは裸のまま抱き合ってキスをした。
 
「あ、キスをしたの初めてだ」
「ほんとね。でもこれからは毎日して」
「もちろん!」
 
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それでふたりは一緒にベッドに入った。
 

「えっと呼び捨てしていいよね?デジレ、君本当に元は男の子だったの?」
とビクトルが小さい声で訊く。
 
「うん。ビクトルのこれと同じようなものが付いてたよ」
「本当に?」
「まあ凄く小さかったけどね。こんな立派なものじゃなかった」
「でも取られちゃったんだ?」
「女の子になりたいと思っていたからちょうどよかったけどね」
 
「へー。でも普通の女の子と同じようにできるんだよね?」
「これまで何度もしてたくせに」
「ごめーん。でも僕実は他の女の子とはしたことないから、同じなのかどうかは分からない」
「それを知る必要は無いよ。だってビクトルはこの後、私としかしないんだから」
「そうだね!」
 
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それでふたりはゆっくりと睦み合ってからしっかりと結びつきあった。実際にはもう1年前からふたりは交わってはいたのだが、この日の結合が本当の意味でふたりが「結ばれた」時であった。
 

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ビクトルがデジレの中で逝った時、ティアラとアルベルディーナは部屋の中に置かれた時計を見て時刻を記録した。
 
昔の王族同士の結婚では「きちんと逝った」ことをもって婚姻が成立したものとみなす習慣であったので、どうかすると10人以上の見届け人が見守る中でセックスをする必要があった。結婚がうまくいくかどうかが国家の運命に関わるのでそういうことになってしまうのだが、王族というのも全く大変なお仕事である。
 
「これで王家と大公家がひとつになったね」
とティアラとアルベルディーナはそっと部屋を出てから小さな声で囁き合い、握手した。そのまま隣の控えの部屋に入る。
 
オロールとジュールが良く寝ている風であるのを確認する。マルグリットも自分の娘ジャンヌと添い寝して熟睡しているようだ。
 
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ティアラとアルベルディーナは取り敢えずワインをグラスに注ぎ2人で乾杯した。
 
「でもアルベルディーナ様、本当はビクトル王子のこと好きだったのでは?」
と小さな声でティアラが尋ねる。
 
「筆降ろしをさせて頂くことになってたんですけどねー。誘惑しに行った夜にデジレ様とのデートに付きそうことになってオロール様・ジュール様の出産に立ち会って」
「あらあら」
 
「ティアラ様もデジレ様のこと好きだったのでは?」
とアルベルディーナは反撃してくる。
 
「デジレ様が王子様として成人していたら、私が筆降ろしをさせて頂いていたかも。でも姫様になってしまったし。筆が無くなってしまっては筆降ろし不能。一応いつでも求められたら応じろって8歳頃から言われていたよ」
 
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「8歳ではさすがにセックスしたがる男の子はいないよね?」
「とは思うけどね」
「宮仕えは辛いね〜」
と言ってふたりは微笑んだ。
 
「でさ、夜中にこっそりあれいじったり舐めたりしたことない?」
「それは国家機密ですよ」
 
と言ってふたりは小声で笑いながら各々のベッドに入った。
 

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ビクトル王子が、女王デジレ2世と結婚するという発表は国民の間に大きな驚きをもたらした。100年前に「眠った」デジレの肖像画を持っていたごく少数の人たちは、その姿を現したデジレ2世の姿を見て
 
「高祖母のデジレ1世様に生き写しだ!」
と言ってまた驚いた。
 
デジレは国民たちへの挨拶代わりと称して、歌を歌い、横笛やリュートにヴィオール、チェンバロの演奏を披露した。
 
(リュートはギターの先祖のような楽器、ヴィオールはヴァイオリンの親戚のような楽器である。ヴィオール族で21世紀まで唯一生き残っていたのがコントラバス)
 
「でも物凄い美人!」
「歌も物凄くうまい」
「素敵な笛の音だった」
「魅せられるようなリュートの響きだった」
「ヴィオールであんな凄い音が出るって初めて知った」
「チェンバロもまるで2人で弾いているかのように凄かった」
 
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「こんな素敵な方が女王ならばこの上も無い」
 
デジレは実質23歳なのだが、元々見た目が若いので18歳のビクトル王子と「お似合い」の感を出すため20歳と発表された。デジレ1世と2世の間には架空の王の名前が考案され、その名前を挿入した系図がでっちあげられていた。エスト大公家やその他の王族の者で早世した王子や姫の名前が実は王家の者と婚姻していたことにされて使用されていた。
 
しかし一方で妖精たちは「デジレ2世は実はデジレ1世その人」という噂も積極的に流した。そして国民の2〜3割はその噂の方を信じた。
 

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デジレ2世の成人の儀がミュゼ城で、ビクトル王子との婚約の儀がシャトン宮殿で続けて行われ、翌年1月に婚姻の儀がミュゼ城で行われた。またデジレ2世とビクトル王子の間の子供2人も続けて披露された。
 
これらの式典やお祝いにはカラボス、リラの精を始め、この国に住む10人の妖精を全員しっかりと招待した(アネモネの精とトネリコの精が加わった)。
 
そしてロベール大公は大公と摂政から引退し、ビクトル王子に譲位することを発表した。それでこの年から女王デジレ2世と、摂政大公ビクトルが共同で国を治め、先大公ロベールがバックアップするという体制が取られることになった。
 

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シャルル国王が亡くなった後、デジレは自らはミュゼ城に眠ったまま女王になっていたのだが、実際には象徴的な存在でしか無かった。それが67年ぶりに本当の統治者となったのである。
 
実際にはデジレは100年も眠っていたので、100年の間に社会がどう変化したかを把握しておらず、そのあたりは先大公の側近たちや大学の先生たちに習って覚えていった。
 
また国の現状を見ようとビクトルとふたりで一緒にあちこち行幸して回った。シャルル国王がデジレを守るために作った「糸車の町」を見学した時は、そこが立派な工業地帯になっているのを見て感動した。
 
「今はもう糸車に紡錘は使われていないのですよ。代わりに尖った部分が無く安全性の高いボビンというものを使っているんです」
と言って町長さんは最新式の糸車をデジレたちに見せてくれた。
 
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また自分が「女の子のお股になってしまった村」ビレーに来た時は思わず笑いが込み上げてきた。村の集会所には今も温泉があったので、デジレは村の女たちと一緒に温泉に入りたいと希望した。
 
それで村長の妻も付き添ってティアラとふたりで一緒に入り、村の女たちと一緒におしゃべりしてひとときを過ごしたが、話題が100年前とほとんど変わらないので、デジレもティアラも大笑いしていた。村の女たちは自分たちのおしゃべりが女王陛下に受けているようなので、饒舌になってあれこれ会話を楽しんだ。
 

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温泉から上がったら雨が降り出した。デジレとティアラは一緒に窓の外の雨を見ていた。
 
「やはり私って雨女で確定みたい」
とデジレが言うと
「実は私の方が雨女かも」
とティアラが言う。
 
「うーん。それはどちらが原因かは確かめようがないね」
「私はいつも姫様と一緒ですからね」
 

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「でもこの村に来なかったら、私は男のままだったかも知れないよね」
「その時はきっとエルビラ王女みたいな人生を送っていますよ」
「聞いた聞いた。ビクトルの曾祖父の人だよね? 子供を4人作った後でおちんちん切って女になったんだって?」
 
「そうみたいですね」
「おちんちん切る手術って凄く痛かったろうね」
 
この時代は当然麻酔は無いが少なくともアラビア系の医師は縫合や結紮の技術を持っていたはずである。
 
「でも女になるために痛みに耐えたんですよ。ちゃんと割れ目ちゃんまで作っていたらしいですよ」
「すごーい。鞘も作ったの?」
「女同士なら必要無いかと」
 
「確かに!でも女になってしまった後も、奥様と仲睦まじくしていたんでしょ?」
「女同士でも愛し合えるんですよ」
「うん。サフィズムとかいうんだっけ?」
「私、その道に詳しい人にやり方を教えてもらいましたから、デジレ様がビクトル様に飽きたら、私がお相手してもいいですよ」
 
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「うーん。ハマったら怖いからやめとく」
 
「ふふふ。実はデジレ様って、男の人も女の人も好きになれるでしょ?本当は男の心と女の心を両方持っておられません?」
 
「それ誰にも言わないでよー」
「もちろん言いませんよ。おちんちん無くしちゃったの残念だったなとか思うことありません?」
「内緒」
「うふふ」
 

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そこにフランソワ少佐がワインの瓶を5本も抱えて入って来た。
 
「村長さんからワインもらいましたよ。ここのワインは製法が特殊で独特の味わいがあるんですよ。100年ぶりにあの味が楽しめるかと思うと。。。あれ?摂政殿下は?」
 
「まだお風呂に入っているみたい」
「ありゃ。ジルベールが付いてるからいいだろうと思って、あたしゃさっさとあがったんだけど。話が弾んでるんかね〜」
 
「男の人は男の人で、いろいろお話があるんでしょうね」
 
「デジレ陛下もティアラ様も、何なら先に始めてますか?」
「それもいいかもね」
「前回ここに来た時は私たち子供だったからお酒は飲めなかったもんね」
 
「じゃ始めましょう、始めましょう」
と言ってフランソワは楽しそうにグラスを並べてワインのふたを開けた。
 
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「しかしコロナの子孫がずっと私たちが眠っている間に代々城のサポートしてくれていたというのはなんか嫉妬するなあ。ジャンヌはオロール様の侍女確定のようだし」
などとティアラは言う。
 
「んーん、じゃティアラも子供を産んで、女の子ならオロールに、男の子ならジュールに仕えさせる?」
とデジレは言った。
 
「そうだなあ。それもいいかな。でも男の子だったとしても女装させてオロール様の侍女にしちゃおう」
などとティアラは言っている。
 
「まあそれでもいいよ〜。10歳くらいまでは男の子でも女装すれば女に見えるかも知れないし」
「それは最初から睾丸を取っちゃうということで」
「それは可哀想だよぉ」
 
「取り敢えず私はどこかで種もらってこようかな」
などとティアラが言うので
 
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「結婚するんじゃないの?」
と訊くと
 
「私は夫に仕えるつもりないです。死ぬまでデジレ様にお仕えします。だから種だけもらって1人で産みます。子供の世話は母に押しつけて」
と結構過激なことを言っている。
 
ティアラの母タレイアは最近はローラン元侍従長と一緒にずっとソフィー王太妃のおそばに付いている。ソフィー妃としては格好の話し相手になっているようである。100年の時を飛んでしまうと話し相手にも事欠く。
 
するとフランソワが突然言い出した。
 
「ティアラ様、私の種でも良ければ差し上げられませんか?実は熊ん蜂退治の時にティアラ様からキスして頂いて以来、ティアラ様のことが好きでした。子供ができたらティアラ様はお忙しいし私が頑張って育てますよ。それに私は早漏だから女の子が生まれやすいです」
 
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「ちょっと、ちょっと、デジレ様の御前で何言い出すの?」
とティアラは焦っている。しかしティアラはほんのり赤く頬を染めていた。
 
ふたりの様子をデジレは微笑んで見ていた。
 
 
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