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■眠れる森の美人(8)

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この話を聞いた王子は純粋にその眠れる美女というのを見てみたい気がした。
 
愛馬に乗って男たちに聞いた森の中の道を進む。この森自体がかなり深い。王子は熊か何か出たら面倒だなと思ったものの、そのような物は出ず、狐を1匹見ただけであった。泉があったので、馬を下り、水を飲んで少し休憩する。
 
王子はそのままうとうととしてしまった。
 
王子が夢を見ていると、夢の中に古いお城が出てきた。自分が入って行くと正面に階段がある。それを登っていき右手の方に行くと何か部屋がある。誘われるように中に入ると、豪華な天蓋のついたベッドに美しい姫が寝ていた。夢の中で見たその姫の顔は物凄い美人であった。
 

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ハッと目を覚ます。
 
王子はある種の確信を持って馬を進めた。やがて深い茨が覆い茂っている所に到達する。
 
ところが王子がその茨の前まで行くと、茨が自然に左右に分かれ、王子が通れる道が出来た。
 
「これはどうしたことか?」
と思ったものの、王子はそのできた道に馬を進めた。王子が通るとその後ろの方では茨が閉じていく。しかし気にせず王子は前に進んだ。
 
そして馬を10分も進めた所で王子は茨の森の向こう側に出ることができた。
 
「美しい」
と王子は呟いた。
 
そこには古い様式のきれいな白い城が建っていた。王子は城の玄関の所に馬を留めた。玄関を入ると階段がある。登っていくと2階には左右に廊下がある。
 
「右だよな」
と思って歩いて行くと、ベッドがふたつ並んで、そこに男が1人ずつ寝ているのを見た。1人は兵士だが、もうひとりは文官に見えた。兵士は大尉の肩章を付けている。王子は男たちの顔の上に掌をかざし、ふたりが生きていることを確認する。それで男たちのベッドの間にあるドアを開けて中に入る。
 
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そこは美しく飾られた部屋であった。姫君の部屋という雰囲気である。
 
入口近くに50歳くらいの女が寝ている。侍女なのだろう。中に進むと夢で見たのと同じ天蓋付きのベッドがあって、そのそばに少し小ぶりの、わりと豪華なベッド、少し離れた壁際に簡素なベッドがある。その3つのベッドに女性が1人ずつ寝ていた。
 
王子は天蓋付きのベッドに寝ている女性を見て
 
「美しい!!!」
と声をあげてしまった。
 
声をあげたことで誰か目を覚ますかと思ったものの、目を覚ます様子は無い。王子はじっとベッドの中の女性を観察した。
 

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これがデジレ女王なのだろうか。
 
本当に生きていたのか。
 
そしてやはり女性だったんだ!男かもという噂はどこから出てきたのだろう。こんなに美しい人が男のわけないじゃん。
 
しかし100歳を越えているはずなのに。見た目はまだ16-17歳くらいに見える。そして王子は思っていた。こんな美しい人は今まで見たことも無いと。日々ビクトル王子に言い寄ってくる娘たちの中で、従妹のアデレイドは結構な美人だ。今言い寄っている子の中の誰かと結婚しろと言われたら彼女でもいいかなと思っていたのだが、この眠っている美女を見た後では、アデレイドでさえ完全にかすんでしまう。
 
王子はそのままじっと30分くらい姫を見ていたのだが、唐突に欲情が込み上げてきた。そして王子はズボンを脱ぐと、ベッドの中に潜り込み、姫を抱きしめた。そして王子は15分後、姫が間違い無く女性であることを自分の身体で確認してしまった。
 
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「あはは、やはり女の人だった。男ではなかった」
と王子は自分が逝って脱力し、姫のそばで身体を休めながらつぶやいた。
 
王子にとって実は初めてのセックスだったが、何だかとてもうまくできた。
 
自分のものを見ると血が付いている。女王のあの付近にも血が付いているのでどこか怪我させてしまったか?と焦ったのだが、すぐにそれが処女の出血であることに気づく。
 
そうか女王は処女であったのか。それを自分は摘んでしまった。
 
そう考えた時、急に罪悪感に襲われてしまう。王子はベッドから出るとズボンを穿き、逃げるようにして城を出て立ち去った。城から出る時も茨たちは自然に左右に分かれて王子に道を開けてくれた。
 

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その後、王子は自分の城に戻ったものの、ずっと茨に囲まれた古い城に眠る姫のことを考えていた。自分が祖父の祖母の従姉などという随分と年を経た女と交わってしまったことについてやや自己嫌悪に陥ったものの、それでもあの美しさは捨てがたい気持ちになった。
 
そしてまた1ヶ月ほどの後、王子は単身お忍びで出かけると、あの村まで行き茨が自然に開けてくれる道を通って古いお城に行く。そして姫の部屋まで行くとまた姫と交わってしまった。今日はもう2度目なので出血はしない。そして王子は翌月もこの城に来てしまった。
 
そういう「逢瀬」が続く内、母のカロリーネ皇女がビクトルの様子に気づいた。
 
「あなた、どこぞの娘と付き合っているのでは?」
「すみません。田舎の方に住む女なのですが」
「あなたは将来この国を継ぐ人なのですよ。そのような身分の低い女と付き合って面倒なことになるのは困ります。もう会いに行くのはやめなさい」
 
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王子は身分が低いどころかこの国の女王様だけどなあとは思ったものの、その年老いているはずの女王とセックスすることに罪悪感も感じていたので素直に母の忠告に従うことにした。
 
「分かりました。もう会いに行くのはやめます」
「もし夜が寂しいようであれば、侍女のアルベルディーナに添い寝させますよ。本人には言いくるめていますから。赤子が出来ても田舎に帰ってひとりで育てるようにさせますし」
 
「いや、いいです!ひとりで何とかします」
「だったらいいですけど」
 

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アルベルディーナは素直で可愛い子だけど、自分の欲望のはけ口にはしたくない気分だった。あの子には純粋に侍女でいて欲しい。
 
しかし今母親から言われてふと王子は考えてしまった。僕、随分とデジレ女王とセックスしちゃったけど、赤ん坊できたりしないよね?いや、どんなに若く見えても100歳の女が妊娠する訳無い・・・よね??
 

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「今月はビクトル王子様、いらっしゃらないのかしら」
とカーネーションの精が言った。
 
「どうもカロリーネ様が気付いて、止めたようですよ。どこかの田舎娘と付き合っているのかと思って」
とカナリアの精。
 
「相手を知ったら仰天なさるでしょうね」
とチューリップの精が言う。
 
「ところで、デジレ姫の方はこれどうしましょう?」
と桑の精がデジレ姫のお腹をさするようにして言った。
 
「ビクトル王子様、たぶん姫のお腹の中で自分の子供が育っているとは思ってないわよねえ」
「うん。先月いらっしゃった時も妊娠に気づいている様子はなくて、そのままふつうに交わっておられたし」
 
「でも姫様はセックスされても起きないのね」
 
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「まだ100年経ってないから」
と今やってきたリラの精が言った。
 
「赤ちゃんのために姫様の代謝をカラボス様と協力して普通の速度に戻したから、赤ちゃんは後4ヶ月ほどで生まれるだろうと思う。でも姫様が目覚めるのはまだ8ヶ月後」
 
「出産は私たちで何とかしてあげなければ」
「目が覚めて自分が子供を産んでいたなんて知ったらびっくりするでしょうね」
「そもそも自分が女になっていることに驚くかも」
「でも赤ちゃんがいたら結果的に女としての意識に目覚めると思う」
「女としての意識というか母としての意識というか」
 
「お乳出るかしら?」
とチューリップの精が心配するが
 
「出るようにマッサージしてあげるよ」
とリラの精が言った。
 
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一方のビクトル王子は母親から眠り姫に会いに行くことを停められ、悶々とした気分で居た。相変わらず従妹や重臣の娘たちからのラブレター攻撃は続いているし、夜這いを掛けてくる娘もいる。しかし以前は気が向いたらラブレターのお返事を書くこともあったのだが、デジレ女王と会った後は一切書かなくなっていた。
 
どうも母君のお勧めは将軍の娘フランシスカ、父君のお勧めは大公家の分家フー公爵家の娘ミゲラのようである。ミゲラは又従妹、フランシスカは三従妹に当たる。それで母から1度フランシスカとお見合いをしてみないかと言われていた。
 
「取り敢えず一晩寝てみない?夜の生活の相性って大事だから、それであまり合わないようだったらそのまま別れてもいいし」
 
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などと母は言っている。そんな寝るだけ寝て後はポイ捨てとかしていいのか?と思ったのだが、それって自分は既にデジレ女王にそういう行動を取っている気がしてきた。
 
やはり近い内に一度デジレ女王の所に行って来よう。
 
そう思っていた夜、もう寝ようとしていたら侍女のアルベルディーナが来て言った。
 
「殿下、3日後はフランシスカ様とのお見合いですよね」
「うん」
「それでフランシスカ様と夜を過ごされて、うまくできなかったら困るから少し練習させてやりなさいと言われて、私、今夜は参りました」
 
とアルベルディーナが言う。
 
ちょっと待て〜〜!と王子は思う。
 
「私も男の方とするのは未体験なので、うまくお相手できるかどうか分かりませんけど、私、ずっと殿下にお仕えしていて、殿下のことをお慕い申し上げております。ふつつか者ですが、練習のお相手務めさせて下さい」
 
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と言ってアルベルディーナはペコリと頭を下げると服を脱いでしまう。
 
うっ・・・と王子は思った。アルベルディーナはまだ13歳だ。成人式を終えたばかりである。そのまだ未熟な肉体が夜の薄明かりの中に浮かぶ。彼女は近づいてきて
 
「王子様のおズボン脱がせますね」
と笑顔で言ってズボンを留めている紐に手を掛けた。
 
その瞬間、王子は思いついた。
 

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「アルベルディーナ、ちょっと一緒に出かけないか?」
「はい?」
 
「今夜は満月だし、夜駈けのデートも楽しいぞ」
「あ、はい」
 
それでビクトル王子はアルベルディーナに服を着せ、乗馬用のズボンを穿かせた上で一緒に部屋を出た。
 
「ちょっと夜駈けをしてくる」
と言って馬を出させ、アルベルディーナを前に乗せ、自分がその後ろに乗って手綱を持つ。馬を出す。
 
この日は満月でカンテラなどを持つ必要もない。馬は夜道を駈けてやがていつもの村までやってくる。王子は村はずれの森の中に馬を進める。さすがに暗くなるので馬の速度は落ちるが、ホタルたちが道を照らしてくれて、木々の間の明かりもあり、何とか進路が分かった。そして茨の森に到達する。いつものように茨が自分たちで左右に分かれて道を作る。
 
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「これどうなっているんですか?」
とアルベルディーナが尋ねる。
 
「分からない。でもいつもこうやって茨たちは僕に道を開けてくれるんだよ」
 
やがてビクトル王子とアルベルディーナは茨の森を抜けて旧城に到達する。
 
「こんな所に城があったなんて!」
とアルベルディーナが驚く。
 
「100年前に封印された、デジレ女王が眠るミュゼ城だよ」
「あの伝説、おとぎ話じゃなかったんですか?」
「デジレ女王に会いに行こう」
「デジレ女王様って、おいくつなのでしょう?」
「伝説通りだと多分112歳」
「え〜〜〜!?」
 
その数字は王子自身が城に残る王家代々の記録を調べて確認したのである。
 
ビクトル王子はアルベルディーナと一緒に玄関を入ると階段を登り、右手に廊下を進む。ベッドが2つあって兵士と文官が寝ている。
 
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「この方たちは死んでいるのですか?」
「眠っているよ。顔の上に掌をかざしてごらん」
 
アルベルディーナがそっと掌をかざすと確かに息をしているのが分かる。それでドアを開けて中に入ったのだが・・・・
 
 
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