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■八犬伝(11)

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語り手:富山(とみさん)の奥深く、1人の少年(七尾ロマン)が、剣術の練習をしていました。相手をしているのは、曳手ですが、この日は初めて少年が曳手に勝ちました。
 
「おぉ勝った勝った」
と単節(美崎ジョナ)が手を叩いて喜んでいます。
 
「だいぶ強くなった。私にも単節にも勝てるようになったら、そろそろ音音様に相手してもらわないといけないかな」
と相手をしていた曳手(大仙イリヤ)が言うと
 
「まだまだ。1回勝ったくらいではね。半分は勝てるようになったら相手してやる」
と音音(石川ポルカ)が言っています。
 
「そして音音にも勝てるようになったら俺が相手だな」
とお茶を飲みながら姨雪世四郎(原町カペラ)が言いました。
 
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単節のそばには、幼い子供2人、姨雪力二郎・尺八郎がいます。“あの夜”の交わりにより、曳手と単節は各々男の子を産んだので、父親の名前を継がせたのです。あの夜の(先代)力二郎・尺八郎は幽霊だった筈ですが、幽霊が子をなすのは、古い伝説にもある、と世四郎は言い、自分の孫たちを可愛がっていました。
 

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荒芽山でバラバラになった後、信乃(アクア)は、未発見の犬士を探して信濃、越後、陸奥、出羽と旅をしていました(8人全部見つかったことがまだ情報共有されていない)。
 
3年後の文明13年(1481)10月下旬。信乃は甲斐国の現在の笛吹市付近に来ていました。ここで彼は泡雪奈四郎(篠原倉光)という男から弓矢を射かけられます。反射神経の良い信乃は飛んできた矢を刀で叩き落とし、命に別状はありませんでした。信乃は奈四郎を捕らえ
 
「貴様何者だ?追い剥ぎか?」
 
と問い詰めます。しかし奈四郎は
 
「猪と間違っただけだ。済まなかった」
 
と主張します。
 
そこに四六城木工作(よろぎ・むくさく)(山本コリン)が通り掛かります。彼はこの揉め事(?)を仲裁しました。
 
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奈四郎はあらためて謝罪し、信乃も彼の言い分を認めて彼を解放しました。
 
木工作は信乃に
「もう暗くなります寒いですから、よかったらうちに泊まりませんか(*39)」
と誘いました。彼は猿石の村長をしていました。
 
(*39) 原作で木工作は「今年は閏月があるので普段の10月より寒い」と言っているが、実際には文明13年には閏月は無い!馬琴の時代に350年前の暦を知ることは困難だったかも。あるいは最初は別の年、例えば閏月のある文明14年の予定だったのが予定が変わったのかも。
 
文明10年(1478) 芳流閣の決闘
文明11年(1479) 対牛楼の仇討 閏9月有
文明12年(1480) 化猫退治
文明13年(1481) 甲斐物語
文明14年(1482) 越後物語 閏7月有
文明15年(1483) 幻城館山城
 
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村長の家には奥さんの夏引(薬王みなみ)と娘がひとり居ました。奥さんも信乃を歓迎してくれたのですが、信乃は娘の顔を見て驚きます。
 
「浜路!?」
と信乃が声をあげると、娘(姫路スピカ:二役)の方が驚いて
 
「お武家様、どうして私の名前をご存じなのです?」
と尋ねました。
 

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「すまない。他人の空似だったようだ」
と信乃が言いますが、
 
「でもその人も“はまじ”という名前なのですか?」
と興味を持ったふうの娘が尋ねます。
 
「もしかして、あなたの名前も“はまじ”なのですか?」
「そうなんですよ」
 
「その方は・・・お武家様の奥様?」
と浜路が尋ねると
「許嫁(いいなづけ)だった。しかし結婚する前に亡くなってしまったのだよ」
と信乃は答えます。
 
「それはお気の毒に」
と木工作が言いましたが、浜路は信乃を見ながら何か考えているようでした。
 

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猿石郷はその夜、雪が降ってきてかなり積もった上に翌日は吹雪いていました。
 
「これは危険ですよ。雪が収まるまでここに逗留なさってください」
「確かに無理するのもよくないかも知れない」
 
それで信乃は木工作の言葉に甘えて、滞在が一週間、二週間と延びます。
 
すると浜路は明らかに信乃に興味を持ち、何かと声を掛けてきますし、信乃が木刀で素振りなどしていると、
 
「もし良かったらお手合わせしてくれない?」
などと言って、自ら木刀を持ってきます。
 
信乃も逗留させてもらっている御礼も兼ねて彼女と手合わせするのですが、彼女が意外に強いので驚きました。
 
「浜路殿は、なかなか筋が良い。私が出発した後も誰か先生について習ったほうがよいかも」
 
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「出発する時に私を連れていってくれない?」
「えーっと・・・」
 
「私こんな素敵な殿方と一緒になれたらなあ、と思ってしまって」
と言って、スピカはアクアの手を握りしめた。
 
ではなくて!
 
浜路は信乃の手を握りしめました。
 
(放送時に「こらぁ離れろ!」という声多数)
 

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「ちなみに殿方よね?娘子じゃないよね?」
「私は男だ」
「今度確認しよう」
「何する気だ!?」
 
信乃は、許嫁だった浜路(以下浜路1)と、ここの浜路(以下浜路2)は、名前が同じで顔もそっくりではあるものの性格はまるで逆たなと思いました。
 
ある夜、信乃が部屋でまどろみ掛けた時、物音がするのでさっと刀を手に取るのですが、部屋に入ってきたのは、浜路でした。
 
「どうなされた?」
「私をあなたのものにして」
「まて、祝言(しゅうげん)もあげていない女を抱く訳にはいかない」
「では今夜私を抱いて明日祝言というのではどう?1日くらい前後しても平気よ」
と言って、信乃に抱きついてくるので
「こら、よせー」
と信乃は言います。
 
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(放送時も「こらぁよせぇ!」という声多数)
 

信乃は大塚村を出る前夜に、浜路1にも言い寄られたことを思い出しました。思えばあの時は、彼女を抱いてやるべきだったのかも知れないと後悔の念が心に押し寄せてきます。
 
取り敢えず自分を押し倒した浜路2は撥ね除けたものの、その時突然浜路の様子が変わります。
 
「浜路殿、どうなされた?」
「信乃様、会いとうございました」
と涙を浮かべて語る様子は、普段の浜路と全然違います。
 
信乃はハッとしました。
 
「そなた、もしかして浜路か」
「はい。そうです。信乃様と一緒になりとうございました。でも私はもうこの世のものではないので、信乃様と夫婦(めおと)になることができません。代りにこの浜路姫様と夫婦になっていただけませんか?」
 
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信乃は、浜路2が自分を口説き落とすために、浜路1のふりをしているのでは?と疑いましたが、浜路2は浜路1のことは知らないはずですし、その口調なども知らないはずです。だいたいこちらの浜路は自分に敬語など使いません(使っていたのは最初の日だけ)。
 
信乃は念のため、浜路1しか知らないことを目の前の浜路に尋ねてみました。その答えで、信乃は目の前にいるのが、間違い無く浜路1であるという確信が持てました。
 
「信乃様がまだ女の子だった頃は、本当に可愛かったです。私信乃様と結婚しろと言われて、私、女の子と結婚するの〜?と思ってたし」
「その話は、よしてくれ〜」
 

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「実は私は天より命じられて、この浜路姫様の守護に入っているのです。ですから信乃様がこの浜路姫様と一緒になられたら、結果的には私と夫婦になったのと同じことなのですよ」
 
「ちょっと待て。“浜路姫”とはどういうことだ?」
「この姫様は、里見義成様の四女・浜路姫様にございます」
「何だと!?」
と信乃は驚きます。
 
(里見義成は伏姫の弟で里見義実の跡継ぎ。浜路姫を含めて5人の姫がおり、後に他の4人が4犬士と結婚した。道節−3.竹野、荘助−2.城之戸、現八−5.栞、親兵衛−1.静峯:角川映画の静姫の元ネタ)
 
「なぜ里見家の姫君がこんな所で村長の娘ということになっているのだ?」
 
だいたい領主の姫君が、こんなお転婆でよいのか?と信乃は思います。
 
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「浜路姫は赤子の頃“おくるみ”ごと大鷲に攫(さら)われたのです。そのおくるみが木の枝に引っかかっているのを、四六城木工作と麻苗の夫婦に拾われました。最初は餌漏(ゑもり)と呼んでいたのですが、近くにある“浜路”という市場町の名前を聞くと明らかに喜ぶので、この子の本当の名前は浜路かも知れないといい、その後、浜路と呼んで育てたのです」
 
「ん?夏引(なびき)殿ではないのか?」
「夏引は元々浜路姫の乳母でした。麻苗(あさなえ)殿は4年ほど前に亡くなられ、その後、夏引も夫を亡くしていたので木工作と再婚したのです」
「そうであったか」
 
信乃は考えました。
 
「浜路殿が里見の姫君なのであれば、私はこの方を安房に送り届けなければならない」
 
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「それはいいですけど、その前にちゃんと抱いてあげてくださいね。私は信乃様に抱いてもらえなかったことが死ぬ時、心残りでたまりませんでした」
 
「その件はすまない」
と信乃は素直に謝りました。
 

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浜路1の霊はそれで去ったようで、浜路(浜路2)は信乃の布団の上で眠ってしまいました。信乃は取り敢えず彼女に布団を掛けてあげたものの、困ったなあと思って眺めていました。
 
なお、浜路1はそのことまで言いませんでしたが、浜路2の実母・盧橘(はなたちばな)は、信乃の母・手束の又従姉妹なので、信乃と浜路2は三従兄妹の関係にあります。
 
しかし、浜路が信乃の部屋に一晩泊まったことから、木工作はふたりが“成った”ものと思い、ニコニコ顔でした。浜路は信乃にべたべたするので、信乃は本当に困った困ったと思うのでした。
 
しかしその日、信乃は木工作と話し、確かに浜路はおくるみごと木の枝に引っかかっていたのを拾った娘であること、また名前も最初“えもり”だったが、浜路という言葉に反応するので、きっとそれが本名だろうと言って、その名前で育てたことを語り、昨夜の浜路1の言葉が正しかったことを信乃は知ることとなります。
 
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ところで、木工作は、信乃を見込んで、ぜひ自分の娘と結婚させようと早い内から思っていたのですが、夏引の方は実は浜路を武田信綱公(*40)の側室にしたいと思っていました。そのことで木工作と夏引は争いになります。そしてついに夏引は木工作を石で殴ってしまいました。
 
(*40)当時の武田家当主・武田信昌(信玄の曾祖父:少し先で登場)の嫡男・信縄のことと思われる。遠慮して、縄(なわ)を綱(つな)に変えたのだろう。
 

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語り手:夏引が石で殴った結果、木工作が倒れます。夏引は狼狽し、愛人の泡雪奈四郎!を呼んできました。奈四郎は「この罪は信乃になすりつけよう」と言い、夏引に鶏を1羽持ってくるように言います。信乃の脇差しにその鶏の血を付けておこうという魂胆なのです。
 
ところが夏引が鶏を捕まえに行っている間に木工作がうめき声をあげます。彼は死んでいたのではなく、気を失っていただけでした。奈四郎はここで木工作に生き返られると話が面倒だと思い、彼を再度石で殴って絶命させてしまいました。
 
そして2人はそういう工作をしてから夏引が役人に届けます。奈四郎は取り敢えず身を隠します。
 

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信乃と浜路はしばらく外に出て川の傍で話していたのですが(デート!)、家に戻ると木工作が死んでいるので驚きます。浜路が父にすがりついて泣きます。
 
するとそこに数人の役人が来て、信乃だけでなく浜路まで「お前も共犯だろう」と言い、一緒に連行していってしまいました。その後で眼代の甘利兵衛(恋珠ルビー!)がやってきて、木工作の遺体を検分します。
 
「これは何か硬いもので殴り殺している。刀傷ではない」
と指摘するので、夏引はギョッとします。
 
「つまり、下手人は犬塚ではないな。女、お前が怪しい。こいつを連行しろ」
と眼代が命じるので夏引は
「殺すつもりは無かったのよぉ、言い争いになってつい」
などと叫びながら連行されていきました。
 
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眼代は、夏引と一緒に居た泡雪奈四郎も共犯の疑いがあるとして手配しましたが、彼はすぐには捕まりませんでした。
 

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一方、信乃と浜路は石禾の守護所ではなく指月院に連れてこられましたが、そこの住職が丶大法師(高崎ひろか)なので仰天します。
 
更にここには、荘助も来ており、信乃は彼との再会を喜びました。しばらくしてから戻って来た、“余利兵衛に変装していた”道節は、信乃の疑いは晴れ、夏引が真犯人として捕まったことを報せます。
 
実はそもそも夏引と奈四郎が話している所を偶然指月院の小者(信乃の様子を探っていた)が耳にして、それで道節が眼代に変装して助けに行ったのです。
 
「夏引さんがお父さんを殺したの?」
と浜路は絶句します。
 
「何か言い争いをしたらしい」
 
「夏引さんは後妻さんだよね?」
と信乃が確認します。
 
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「うん。私の養母・麻苗さんは4年前に亡くなったの。でも夏引さんも優しい人だったのに」
と浜路は困惑しています。
 
「そちらの事件は事件として処理するとして、浜路殿はどうする?」
と荘助が訊きます。
 

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