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■私の二重生活(3)

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中学に入る時、同級生の女子たちがみんなセーラー服を着ているのを見て羨ましくて仕方がなかった。どうして自分は学生服なんか着なければいけないのだろう。私もセーラー服が着たいのに。
 
私はそう思ってずっと泣いていた。
 
そして中学1年の夏のことだった。
 
当時、私はコーラス部に入っていたのだが、大会に出るのに混声合唱で出るのか女声合唱で出るのか揉めた。
 
大会の出場枠は35人である。但し課題曲と自由曲で最大15人入れ替えることができるので最大で50人まで出すことができる。女子部員は登録されている子が80人ほど、実際に練習に出てきている子だけでも60人ほどいる。一方男子部員は登録されているのも15人ほどで、ちゃんと練習に出てきている子は私を含めてその3分の1ほどの5-6人しか居なかった。
 
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当初顧問の先生は混声合唱で出る方針を部員に示していた。
 
その場合、最初課題曲で女子25人・男子10人ほどで出て行き、自由曲で女子の15人を入れ替えるような形になる。つまり2曲歌える女子が10人と1曲だけ歌える女子が30人になる。男子10人の内半数は、必ずしも練習に出てきていない子を使うことになる。そして男子は全員2曲歌える。また熱心に練習に出てきているのに出場できない女子部員が20人ほど出る。学年構成を考えるとその出られない20人の中に今回が最後の大会チャンスになる3年生も数名入る。
 
しかしもし女声合唱で出ることにすれば、20人の女子が2曲歌えて、1曲だけ歌える女子部員が30人ということになる。熱心に練習に出てきているのに出られない女子部員が10名になるが、この人数なら1年生だけで済み、2−3年生はほとんど出られる。しかし男子部員で熱心に出てきている5人が出られない。
 
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やはりいちばん問題になったのが、女子で熱心に練習しているのに出られない子が大量に出る一方で、大して出てきていない男子が5名入ることになる問題である。ここに女子の一部から不平が出た。
 
「俺だって出たい」
と主張する男子部員がいる一方で
「男子を出せばその分、この暑い中毎日出てきている女子部員で出られない子が増える」
と主張する女子部員も多い。
 
議論はかなり揉めたものの、やがて男子部員の中でリーダー格の子が
 
「今回は女子に譲ろう。女を優先してやるのも男の美学」
と言って、それで他の男子も仕方無いかといって渋々了承した。
 
しかしその後で
「男子部員でも女子制服を着たら、一緒にステージに立ってもいいかもね」
などと部長の宣代さんが言い出したら
 
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「お、俺、それでもいいからステージに立ちたい」
などと2年生の河内君が言い出した。
 
「じゃ女子制服を着ても違和感無かったらそれで行こう」
などという意見が出て、その時出てきていた男子5人が代わる代わるセーラー服を着せられることになってしまったのである。
 
特に出たいと言っていた河内君は実際にセーラー服を着せてみると、何とか女に見えないこともない感じだった。
 
「よし、あんたそれでステージに立ちなよ。眉毛とか直前に女の子っぽく整えてあげるからさ」
と言われて
「やった!」
と喜んでいた。他の男子は
「だめだ。変態にしか見えん」
とか
「あんたそれで会場にいたらきっと通報される」
などと言われていた。
 
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そして最後に私がセーラー服を着た。
 
するとそれまで大騒ぎになっていた音楽室が一瞬にして静まりかえってしまった。
 
何だか顔を見合わせている女子たちがあちこちに居る。私は、やはり変だったかなと思って、赤くなって俯いてしまった。その時「可愛い!」という声があがって私は更にドキドキした。
 
「ああ、それもう脱いでもいいよ」
と部長の宣代さんが言い、それで私はセーラー服を脱いで学生服に戻したのだが、私が出られるのかどうかについては誰も何も言われなかった。
 

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結局、その年、私は指揮者としてこの大会に参加した。河内君は本当にセーラー服を着て課題曲の合唱に参加した。ただし男声がまざると変なので、彼は歌っているかのように口を開けるだけで実際には歌わない。それでもいいなあ、と思いながら、私は学生服を着て指揮棒を持ち、指揮をしていた。
 
その後も文化祭に出たり、市内の中学のクリスマスコンサートなどがある度に男子部員の女装大会(?)は行われたのだが、他の男子はセーラー服を試着させられるのに、私は「ああ、ノリちゃんはいいよ」と言われて私はセーラー服を着させてもらえなかった。
 
私はただ、自分もセーラー服着たいのにと思って、他の男子のセーラー服姿をながめていた。
 
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女子トイレに初めて入ったのも中学1年の時だった。思えばあの頃は自分の性別意識が明確になってきた時期ではないかと思う。
 
私が通った中学は古い校舎で、トイレは別棟になっていて渡り廊下で結ばれていた。その廊下の突き当たりを左に行くと男子トイレ、右に行くと女子トイレである。さすがの私も日中はいつも男子トイレの方を使っていた。
 
しかし放課後になると人は少なくなる。
 
それで部活の無い日に図書館で居残りをしていたような時、トイレに行く場合、周囲に人の目がないことがよくあった。
 
そんな時、私は女子トイレを使った。
 
最初の頃はドキドキしてしまい、個室の中でつい「おいた」をしてしまった。しかし慣れると、ふつうに、ちゃんとおしっこだけできるようになったし、特に興奮することもなくなった。
 
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放課後で人が少ないので、私はトイレを使っていて他の生徒に見られたことは1度も無かった。ただ、個室の中に居た時、別の生徒がトイレに入って来る音を聞いた時はぎゃっと思った。彼女が個室の中に消えた音がした所で私は個室を出て、手を洗うと急いで外に出た。
 

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当時はいわば「こっそり」女子トイレを使っていたのだけど、中学3年の時に初めて堂々と女子トイレを使うことになった。
 
その日は図書館に寄った後、参考書を買うのに商店街の本屋さんに行った。大きな本屋さんなので参考書もいろんな種類が置いてあり、私はどれにしようか迷っていた。
 
その内トイレに行きたくなった。それでその書店の隅にあるトイレに行ったのだが、男子トイレの方に「故障中・使用禁止」と書かれた札が下がっている。ドアを引いてみたものの、鍵がかかっているようで開かない。
 
えー?どうしようと思っていたら、モップを持ったおばちゃんが通りかかった。そして私を見て言う。
 
「あ、トイレでしょ? ごめーん。今男子トイレ壊れているのよ。そちらの女子トイレ使って」
 
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「え?こちらを使うんですか?」
「うん。今修理頼んでるんだけど明日くらいになりそうなのよね」
「分かりました」
 
それで私はドキドキしながら女子トイレのドアを開けた。
 
学校では頻繁に女子トイレを使っているものの、こういう所の女子トイレに入るのは初めてだ。
 
入ってみたら、中はピンクのタイルで覆われている。わあ、女子トイレってこういう色使いなのかと初めて知った。ここの男子トイレはブルーのタイルが使われているのである。
 
学校のトイレは殺風景で、こんなタイルなんて使われていなかった。私はそのピンクのタイルに囲まれた中で、個室に入り、ふつうに座って用を達した。中学で使っていた女子トイレは和式便器ばかりだったので、洋式の便器を女子トイレの中で使用するのは初体験であった。
 
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高校では英語部に入った。音楽が好きなので、高校でもコーラス部に入りたい気分ではあったのだが、自分がテノールに振り分けられるのが嫌だった。自分もアルトかソプラノに入りたいよ、と思っていた。実際にはそんな高い声は出ないのでどうしようもないのだが。
 
それでテノールを歌わせられるよりはと思い、音楽とは無関係の英語部に入ったのである。英語部の活動内容はアメリカ映画のDVDを原語のまま鑑賞したり、英会話のテキストを役割分担して読んだりというのが主だったが、私はしばしば女性の役をする時に心臓が高なるのを覚えた。
 
「Where are you from?」
「I'm from Japan. I am a Japanese girl」
「Are you a colledge student?」
「No. I am a schoolgirl」
 
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「How do you do」
「Nice to meet you」
「My name is Susan. I am a sister of Bill」
「Oh, your father is Mr. James Brown?」
「Yes. I am a daughter of James Brown」
 
また映画の台詞の中に性的なジョークが入っている時にちょっとドキドキしたりした。
 
「I met Mr. and Mrs. Johnson little while ago」
「They are pansies, you know?」
「Don't speak such a unsure thing」
 
え?夫婦なんでしょ?それが同性愛ってどういうこと??もしかして奥さんが男なの?なぜ男なのに奥さんになれるの?
 
自分が充分当事者なのに、この方面に知識が無かった私はその映画のセリフをどう解釈していいのか悩んだ。
 

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その英語部で文化祭に英語劇をしようという話になる。その演目がシンデレラということになった。
 
主な登場人物は、シンデレラと両親、姉2人、王様・お后・王子、妖精。これに舞踏会の出身者多数である。特に重要なのが、シンデレラ、母、姉2人、王子、妖精の6人。
 
さてこの高校の英語部というのは、まともに活動している部員が極めて少ない部であった。3年生の大鳥部長、2年生の細木さん・也寸子さん、1年生の私、摩美ちゃん、邦子ちゃん、の6人くらいであった。
 
「本番近くになったらもう少し出てきてくれるとは思うけど、セリフの多い役はこの6人で回そうよ」
といった話になる。
 
「じゃ誰がどの役?」
 
「部長が王子様だと思う」
「シンデレラは也寸子先輩で」
 
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とこの2つはすんなりと決まる。
 
「女子たちはお婆さん役は気が進まないだろ?僕がやるよ」
と細木さん。
 
「すると、母と姉が1年生3人か」
 
「僕が母をやりますよ」
と私は言う。
 
「じゃ、私たちは意地悪な姉で」
と摩美ちゃんが言って配役は決まった。
 

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それでこの6人で練習を進め、残りの部員には勝手に役を割り振って、父、王様、お后様、ネズミ1・2・3に割り当てて行き、あとは友人たちを徴用して、舞踏会に出る娘たちの頭数を揃えた。
 
「ノリちゃんがいちばんかき集めた気がする」
「えー? 友だちにどんどん声を掛けただけだよ」
 
「ノリちゃんって女子の友だちが多いよね」
「ノリちゃんって男子の友だちが少ないよね」
「ノリちゃんも実は女子だったりして」
 
そんなことを言われると私は恥ずかしくなって俯いてしまった。すると摩美ちゃんと邦子ちゃんは何だか顔を見合わせていた。
 

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そういう訳で私はこの英語劇でシンデレラの母役をしたのだが、個人的にはとりあえず女性の役なので、女性の服が着られるのが嬉しかった。衣装については、シンデレラ・王子・ふたりの姉の舞踏会衣装は部費で布を買って縫い、母の衣装、シンデレラと姉たちの普段着、妖精のお婆さんの衣装は各々自主調達することになった。細木さんはお祖母さんの服をもらって着たようである。
 
私は母に言ったら、母が
「あんた細いからね」
と言って、押し入れの奥に入っていた古いワンピースを出して来てくれた。着てみると充分着れたので、それを使わせてもらうことにした。
 
「W66の服なんて、私はもう着れないし、捨てようかとも思ってたんだけどね」
などと母は言っていた。
 
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「胸とか無くてもいいかなあ」
などと私が言ったら
 
「あんたブラジャー付ける?」
などと訊く。私が恥ずかしそうにして俯いたら、母は私のバストサイズ?をメジャーで測ってくれた。
 
「これならA75かA80って感じだけど、劇だから、おっぱいたくさんあった方がいいよね。だったらC70が使えると思う」
 
それで母は、しまむらでワゴンで売っていたというC70のブラを買って来てくれた。300円だったらしい!
 
「ちょっと着けてごらんよ」
と母が言うので、私は服を脱いでそのブラの肩紐を通し、手を後ろに回してホックを填めた。
 
「ふーん。あんた後ろ手でホックを留められるんだ?」
と母が言ったのに、ギクッとした。
 
やばかったかなと思ったが、母はその問題を特に追及せず、靴下の丸めたのをバストカップに入れてくれる。それで衣装用に貸してくれたワンピースを着ると、ふつうに胸があるように見えた。私は鏡に映してみて、ドキドキしていた。
 
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