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■夏の日の想い出・コーンフレーク(1)

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(C)Eriko Kawaguchi 2015-10-16
 
2015年7月22日(水)。
 
この日朝のテレビ番組の間に流れたCMに多くの人が「あれ?」という顔をした。ローズ+リリーの新曲のCMだったのだが、昨日まで流れていたやや重い感じの曲ではなく、明るい8ビートの曲である。画面ではリオのカーニバルっぽい派手な装飾の衣装(但し肌の露出は小さい)を着たローズ+リリーが歌っているそばで、和服を着た2匹の豚が踊っているのである。
 
この豚が何とも可愛いのだが、歌の進行に沿って豚が和服を脱いでしまう。すると下にはスリップドレスのような服を着ている。更にはそれも脱いでしまうとビキニの水着を着ている。更にそのビキニのブラに手を掛けたあたりでCFの映像は終わってしまう。
 
この豚のストリップ?が気になって、流れる字幕には気づかなかったという人が随分居たようであるが、速攻でこのビデオが動画投稿サイトに(違法に)転載される。それを見た人はこのようなテロップが入っていたことに気づいた。
 
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《7月29日発売予定の『内なる敵』はCDタイトルが『コーンフレークの花』に変更になりました。大手通販サイトの予約はいったんキャンセルとさせて頂きますので大変お手数ですが、予約のやり直しをお願いします。ショップ店頭でご予約なさった方は予約の扱いについて各ショップにご確認をお願いします》
 
全国の大手CDショップでは朝10時の開店前に『内なる敵』のポスターが『コーンフレークの花』に貼り替えられた(昨夜の内に全国の★★レコードの社員が直接CDショップを回って交換をお願いしたもの)。このポスターにはお詫びの文面がかなり目立つ文字で入っている。ただし大手CDショップはどこでも『内なる敵』の予約だけをしていた人にも『コーンフレークの花』の予約特典(先日のワールドツアーでのローズ+リリーのスナップ生写真)は渡しますという対応にしたようである。
 
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★★レコードや一応の問合せ先ということになっているUTPには大量の質問の電話が入ったので、都合によりタイトルが変わったこと、『内なる敵』は次のアルバムに収録される予定であること、予約していた場合の対応については直接予約していたショップに問い合わせて欲しいことなどを伝えた。この日、UTPの電話は使用不能状態が1日中続き、話を聞いていなかった須藤社長が「何が起きたの〜?」と叫んでいたらしい。
 

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テレビのCFは15秒版と30秒版があったのだが、その日のお昼すぎには90秒にまとめられたPVが★★レコードから公式にyoutubeなどにアップロードされた。七星さん、有咲、風花、それに「私にもやらせろ」と言ってわざわざ出て行った雨宮先生の4人による力作である。
 
ここで豚のストリップの続きが見られるのだが、これを見た人はその衝撃の結末(?)に口をあんぐりさせることになる。
 
90秒バージョンのPVでは最初コーンフレークで花のように作られた作品が映る。そして前奏が終わった所で、ローズ+リリーっぽい2人がサンバの衣装を着て出てくるのだが、よくよく見るとローズ+リリーに似ているが、ローズ+リリーではない。実はここに出演しているのはローザ+リリンなのである。
 
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彼らが少しセクシーに踊っている横に和服の上に羽織まで掛けた豚が2匹登場して踊り出す。最初に出てきたのがローザ+リリンだったことで、このPVってまさか偽物?と思ったファンもいたようである。
 
ローザ+リリンの映像は10秒ほどで終わり、その後ゴスロリの衣装を着た2人組が登場する。これは実は「ゴース+ロリー」であるが、この映像は私たちがゴース+ロリーをやった2011年当時のものを使用したので「懐かしい!」と声をあげた人たちもあったようである。「ふたりとも若ーい」という声もあがっていたか、私は見なかったことにした!
 
そしてこのゴース+ロリーが出ている間に豚たちは羽織を脱ぐ。
 
その後は映像はサンバの衣装を着たローズ+リリーになる。冒頭のローザ+リリンと同じデザインのものを着ている。ただし身体のサイズが違うので、衣服のサイズもそれに合わせている。こちらは私が167cm, マリが164cmであるが、ローザ+リリンは、ケイナが176cm, マリナが172cmである。
 
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そして歌が進行するにつれ、豚たちは和服を脱いでスリップドレス姿になり、ビキニ姿になり、最後はとうとうビキニのブラを外すが、胸は平らである。そして画面の外でビキニのパンティも脱いだかのような仕草を見せる。2匹の豚がお互いの下半身をじっと見ているかのような映像でPVは終了する。
 

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このPVについて発生したツイートは
 
「まさかこの豚たちって男の娘?」
というものであった。
 
私は10時くらいまで寝ていたのだが、ツイートを見ると予想通りの反応なので、「豚君たちの性別は個人情報なので、開示できません」とツイートした。この回答が大量にリツイートされ『やはり男の娘だったようだ』というツイートも大量に行われていた。
 
またなぜ楽曲を直前に差し替えたのですか?という質問が私のツイッターのアカウントにも大量に来ていた。私は説明する。
 
「内なる敵は作った時は名作だと思ったのですが、PVで流したりFMなどで先行公開してもらったりしての反応が『救われない』『悲しすぎる』といったものが多かったので、シングルで出すにはふさわしくないのではないかという議論が出ました。それで『内なる敵』のCDはもう大量にプレスしてあったのですが、差し替えることにしました。誤りに気づいたらできるだけ早くあらためるべきなんですよ。今変更したら凄い被害が出ると思っても、放置していたら、更に被害は拡大するんです」
 
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それに対して「某国の五輪会場の建設みたいな話ですね」という反応もあった。「まあさすがにこちらは1000億円とかの規模ではないですけどね」と私はレスポンスした。
 
しかし発売直前のCDを差し替えたら損害額は数千万円に及ぶのではと心配するツイートもあった。損害額についてはこちらでは公開しないことにしている。
 
もうお昼頃になってから
「もしかして『コーンフレークの花』ってテーマは『偽物』ですか?」
という声があがってくる。
 
「正解!」
と私はツイートする。
 
「最初にコーンフレークで作った花を映しているのがまさにそれです。一見花に見えるけど、実はコーンフレーク。一見女の子に見えるけど、実は男の娘というのがプロットにあるんです。歌詞も友情ということにしているけど本当は?という女の子の微妙な心情を歌っていますよね?」
と私は解説した。
 
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「じゃやはり豚の性別は?」
「そこは個人情報保護法で」
 

22日の午後、この日発売になったKARIONの25枚目のシングル『魔法の鏡』の発売記者会見が★★レコードで行われ、私はむろん和泉たちと一緒にこの会見に参加したのだが、集まってきた記者が今日は異様に多かった。
 
最初に4人で実際の楽曲を歌う。今日は4人とも「おジャ魔女」のような魔女っぽい衣装である。マイクを魔法の杖っぽく装飾している。色合いは各々のパーソナルカラーを使っていて、いづみが赤、みそらが青、らんこ(私)がピンク、こかぜが黄色である。
 
一緒にPVも流している。
 
『魔法の鏡』は白雪姫の后のような雰囲気の蘭子が魔法の鏡に呼びかけるのだが、鏡の中で応じるのは美空である。それで白雪姫のような和泉が猟師に扮したSHINさんに連れられて森の中に行くが、SHINは和泉を射殺しようとして射殺できず逃がしてやる。白雪姫を殺したという報告を受けた蘭子は満足気に魔法の鏡に向かって再度問うのだが、そこに和泉と王子に扮した小風が現れて、蘭子を倒してハッピーエンド(?)というストーリーになっている。
 
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『お菓子の城』はヘンゼルとグレーテルに扮した和泉と美空が森の中の道を歩いている内にお菓子で出来た城に遭遇する。お腹が空いていた2人は喜んで城を食べ始める。そしてきれいに食べてしまった所に魔女に扮する蘭子が現れて2人を叱る。それで蘭子はふたりに強制労働をさせてお菓子の城を再建しようとするものの、建てるそばから美空が食べてしまうので、一向に城は完成しない。怒った魔女がふたりを釜で煮て食べてしまおうとした所に王子に扮した小風が現れて蘭子の魔女を倒してしまう。
 
最後の『太陽が沈む前に』は一転して青春ドラマっぽい演出である。浜辺でセーラー服姿の和泉と顔の映っていない男性が楽しそうに話している。そこにトレーニングウェア姿の美空と小風が走ってきてふたりにぶつかったりして邪魔する。唐突にバイクで走ってきた蘭子が和泉の彼氏を拉致して去って行く。呆然と見つめる和泉を、美空と小風が励まして3人でバイクを追いかける。走り去るバイクと追いかける3人の背景に夕日が沈もうとしている。しかし小風が唐突にどこからか出てきたバスケットボールを投げると、それが蘭子に当たってバイクは転倒。無事和泉たちは彼氏を取り戻すことができた。
 
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私はバイクの免許を持っていないので実際に走っているのは私に扮したKARIONの元マネージャー望月遙香(現在は篠崎マイのマネージャー)である。彼女は身長が169cmで私と背丈が近いし体型も似ているので吹き替え役にはピッタリである。実際2008-9年頃、彼女には随分私の代役をしてもらったのである。またバスケットボールを投げてバイクで走っている蘭子に命中させたのは実際には千里である。日本代表の活動で忙しい中、数時間だけ時間を作ってやってもらったのだが千里は30mの距離から3回目のトライできれいに私の背中の真ん中にボールを命中させた(一応この時バイクは停止している)。
 
なおこの顔の映らない彼氏を演じているのは★★レコードの松田幸作さんである。PV作成の時にたまたまお使いで∴∴ミュージックに来たので、これ幸いと徴用した。松田さんは私たちと同じ1991年生まれで和泉の相手役にはちょうど良かったのである。
 
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「こかぜさん、何か王子様役が多いですね」
「はい。小学校の学芸会でも白雪姫と眠りの森の美女と人魚姫の王子をしました」
 
「らんこさん、何か悪役が多いですね」
「はい。幼稚園で白雪姫の母親、小学5年の時に眠りの森の美女の魔女、中学2年の時に『ライオンと魔女』の白い魔女をしました」
 
「女役なんですね?」
「はい、私は女ですから」
 
苦しそうにしている記者が結構あるが笑顔で黙殺する。
 
「みそらさん、お菓子の城はあれ実際はどのくらい食べたんですか?」
「けっこうお腹いっぱいになるほど食べました」
「撮影後、お菓子は残っていました?」
「全部無くなりましたよ」
 
記者席では「やはり」という声が囁かれていた。
 
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楽曲に関して色々質問があった後で、むずむずしていた感じのひとりの記者が
 
「ところでローズ+リリーの新譜でタイトル曲の差し替えがありましたが、らんこさん、どう思われますか?」
 
「さあ、ローズ+リリーのことは知りませんが、発売前に収録曲や収録順序が変更になるのは、結構よくあることですよ」
と私は笑顔で言う。
 
「KARIONでもアルバム『三角錐』に入れる予定だった『愛の三角錐』を編成上の都合で外して、あとから発売されたシングル『四つの鐘』に収録したりしましたね」
と小風が言う。
 
「あれは楽曲の大半を入れ替えられたんでしたね?」
「そうです。実際には『愛の三角錐』自体、換骨奪胎的な大改造を掛けています」
と和泉も言う。
 
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「そういう例って他にも色々あるんでしょうかね?」
 
「例えば五輪真弓の『恋人よ』は元々B面で発売される予定でA面は『ジョーカー』という曲だったんです。でも『恋人よ』の方が売れるのではという判断になり最終的に『恋人よ』をA面にして発売されました」
 
と私は過去の似た例を挙げる。
 
「楽曲自体が差し替えられたものとしてはピンクレディの『サウスポー』があります。当初リリースされる予定だったのは、みんなが現在『サウスポー』として知っている曲とはまるで違う曲だったんです。しかしレコーディング作業が終わり、発売を待つばかりになっていた時に、急遽楽曲を差し替えたいという話が浮上して、歌詞も曲も全く違う楽曲に差し替えられたんです。タイトルだけは変更しなかったんですけどね」
 
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この話は記者の中にも知っていた人と知らなかった人がいたようで、あちこちで囁き合う様子が見られた。
 
実はKARIONでも以前『積乱雲』という曲を発売前に歌詞・曲まるごと差し替えてタイトルだけ残したことがあるのだが、知る人はほとんどいない事件なので、わざわざ言う必要もないであろう。
 
「やはり今回の楽曲差し替えも営業的な観点から浮上したものなのでしょうか?」
という質問があるが
 
「さあ、それは私に聞くより、ローズ+リリーさんに聞いた方が良いと思いますが」
と私は答える。
 
あちこちで苦笑が漏れる。
 
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