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■夏の日の想い出・コーンフレーク(10)

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記者会見が終わると、私と政子はスタジオの方に合流して『摩天楼』の音源制作に参加した。氷川さんも付いてきてこの日は仕上がりの様子を見る。
 
私たちが★★レコードに行っている間に楽曲の形はかなりまとまってきており、ほぼ仕上がった演奏に私たちの歌を乗せて全体のバランスを確認した。
 
そこから私と七星さんを中心にバランスやアピールポイントなどを検討。それで更に調整をして、結局29日の深夜にようやく音源制作は完了した。
 
「お疲れ様でした!」
「もう遅くなったね」
「ほとんどの人が帰宅不能!」
 
ということで男性陣は3日連続のホテル、女性陣は3日連続のマンションでの泊まりとなった。氷川さんもマンションに同行した。
 
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「女性陣もホテルでもいいんだけどね」
「いや、ここは食料が豊富だから」
「ここはおやつが豊富だから」
「ここはお酒が豊富だから」
「ここはCDが豊富だから」
 
と各自ここに泊まるメリットがあるようである。
 

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翌日7月30日(木)は、例によって朝最初に起きたのは私で、すぐに青葉も起きてくる。
 
「昔は青葉はいつも4時に起きてたよね」
「すみませーん。最近はダレてます」
「というか疲れが溜まっているのでは?」
「まあちょっと最近少しオーバーワークな気もしないではないのですが、人間ある時期にはそういうのも必要だと思うんですよね」
 
「青葉って元々オーバーワークな気がするけど」
「それ人の3〜4人分働いている冬子さんに言われたくないです」
 
それでお互い笑うが私は彼女に尋ねる。
 
「やはり今の時期は受験勉強もかなり忙しくなってきてるんでしょ?」
「受験勉強もしなきゃいけないんですけどねー」
 
「それ以外のことで忙しいの?」
「最近のパターンは朝から水泳部の朝練に参加して」
「水泳やってるんだ!?」
「昼休みと放課後は合唱軽音部の練習です。昼休みは主として軽音、放課後は主として合唱をやってます」
「忙しいね!」
「まあそれ以外にも補習で鍛えられてますけどね」
 
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「それだけやってたら、朝4時に起きられない訳だ」
「学校から帰ったら毎日10km走ってますし」
「青葉、身体壊さない?」
「それに耐えられるように毎日走ったり泳いだりで身体を鍛えているんですけどね」
「凄い! でも寿命縮めちゃうよ、そういう生活」
 
「千里姉の高校生時代はこんなものじゃなかったみたいです。先日姉の高校時代のチームメイトの人と話していて、私絶句しました。壮絶な高校生活だったようですよ」
「インターハイ3位とか、アジア選手権優勝なんて成績はやはり生半可な練習では成し遂げられなかったんだろうね」
「みたいです。それ聞いて、私も頑張らなきゃと思ったんですよ」
「なるほどね」
 
「だから私身体を作るのに最近結構食べているんですよ」
「あ、それは思った」
「可愛い女の子路線は放棄しました」
「ああ、やはりそれで少食を装っていたんだ」
「春から体重が3kg増えました。その増えた分は全部筋肉だと思います」
「頑張ってるじゃん」
 
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「だから歌手とかになる可能性も捨てましたから」
「ふふふ。青葉をけっこうその道に誘い込もうかとも私思ってたんだけどね。青葉歌も凄くうまいしさ」
「実際霊能者をやっていくにも、身体は鍛えておかないと凄い相手とかとは対峙できないと思うんですよ」
 
「それあるだろうね」
「最後の最後は腕力勝負です」
「ありそうありそう。でも歌手にならなくても、作曲の方はしてくれるよね?」
「まあ私ができる範囲でなら」
 
「それでひとつ頼みがあるんだけど」
「うっ」
 
青葉はやられた!という顔をした。美事に誘導されてしまったのに気づいたようである。
 
「アクアのさ、秋くらいに作るCDに曲を提供してくれない?」
「うーん。まあいいですけどね」
「取り敢えず1回だけだけど、好評だったら続けて頼むかも知れないという線で。後日あらためて秋風コスモスから連絡があると思う」
 
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「分かりました。アクアのCDって、初回は上島先生と東郷先生でしたよね?」
「そうそう。それで今制作準備中の2作目は上島先生に代わって私が書いた」
「へー」
「それで3作目は私に代わって青葉に頼めないかと」
「まるでリレーですね!」
 
「まあ私も上島先生も手が回らないというのもあるんだよ」
「私も秋以降になると受験で忙しくなりますけど、それまでなら何とかしますよ」
「うん、よろしく」
 

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「そういえば青葉、今年も高野山で回峰行するの?」
「無理です。今年はあまりにも忙しすぎるのでパスです」
 
「なるほどねー」
「やはりああいう修行は世を捨ててしまった人にしかできないのかも知れないです」
「そもそも回峰行って一種の捨身なんでしょ?」
「ですよー。特に昔は死が半ば前提で、生き残ったらそれこそ奇跡、生き神様ということだったと思います」
 
「まあ現代では死者が出るとあれこれ言われるから面倒だよね」
「ですです。だから千日回峰にしても、師匠からしてもいいと許可が出ない限り挑戦することは許されません」
 
「なるほどねー」
「もっとも現代でも、場所によっては死者が出ること前提の修行やってる所もあるようですよ」
と青葉は言う。
 
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「それ日本じゃないよね?」
と私は訊いたのだが
「この先は守秘義務で」
などと青葉は答えた。
 

青葉は結局その日の午後、彪志君を東京に呼び寄せ、都内でデートしてから夜の新幹線で高岡に帰還したようである。
 
氷川さんは昼近くまで寝ていた。氷川さんにしては珍しいが、恐らくはここしばらくのストレスが凄まじいのだろう。ずっと後から聞いたのではこの時期氷川さんは実は進退伺いを書いて、いつでも提出できる状態にしていたらしい。
 
お昼過ぎに会社に電話して色々話していたが、電話を切った時の表情が明るい。
 
「ケイさん、昨日の売上の速報値が出ました」
「どのくらい行きました?」
 
私はせめて20万枚近く行ってくれたらと思っていたのだが、氷川さんは
 
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「74万枚です」
と言う。
 
私は信じられなかった。
 
「7万4千枚ではなくて?」
「桁数は間違ってませんよ」
「そんなに枚数が存在したんですか?」
 
確かCDは頑張って生産させているものの発売日までに30万枚くらい用意できたらいい方と聞いていたのである。記者会見ではファンに不安を与えないように実は水増しして言っておいたのである。
 
「とにかく生産できたものをどんどん各地に発送していたので、実はこちらでも今何万枚生産できたか完全には把握できていなかったのですがとにかくショップの売り上げ速報値が74万枚なので、それ以上は生産されていたことになります」
 
「凄いですね!」
 
「それと面白い情報があるんですよ」
「はい?」
 
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「Woonden Fourの5月に出ていたCDがいったん21万枚で売り上げが停まっていたのが、先週の本騨君達の記者会見以降、突然動き出して、ここまでに8万枚も売れているらしいんです」
「凄い」
「制作側ではいつまでも店頭に置いておくわけにも行かないし回収しようかなんて言っていた矢先ということで」
 
「良かったですね」
 
「そして山村星歌ちゃんの4月に出したCDも売れて売れて」
「わぉ!」
「これはもうこれ以上のセールスは見込めないということでいったん回収していたんですよ。それを廃棄寸前で再出荷」
 
「それも良かったですね!」
「ムダにならなくて喜んでいるということです。場合によっては増産しないといけないかも知れないと」
 
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「嬉しい悲鳴ですね」
 
「まああの本騨君たちの記者会見はほんとに白馬の騎士という感じだったから」
 
と氷川さんも疲れの中にうれしさがある感じだった。
 

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私たちの記者会見の席で記者から質問があった件は、本当に4種類の裏ジャケをコレクションしようとする人たちが結構出たようである。
 
どの裏ジャケのCDがどの地域で売られているかは、こちらでも全く把握できていなかった。それで発売日の翌日から「コーンフレークの花 表C裏K」とか「表F裏L」などと明示したCDが大手オークションサイトに出品されるようになる。出品する方も大量に出回るのが見えているので法外な値段は付けず、本来1枚1600円のCDがせいぜい1800-2000円程度+送料ということになっているようであった。
 
ただ表ジャケットは元々均等に発注しているのでA-Jがわりと均等に存在するのだが、裏ジャケはK,Lが圧倒的に多く、Mはやや少なく、Nはかなり少ないというのが、ネットの住人たちの分析で浮かび上がってきた。レコード会社では各々がどの程度存在するかの情報は提供しない。
 
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しかしその情報が出回ったあたりから希少価値のあるNの裏ジャケのCDはオークションでも値段が高めに設定されるようになったようであった。
 
また表ジャケットの「色合い」がEのものだけ、他のと微妙に違うというのも多種を集めたファンによって明らかになった。この問題についてはレコード会社も、その会社だけ違うバージョンのソフトを使用したことから色合いが少し変わってしまったこと、もしお気に召さない場合は、他のものと交換に応じるというコメントを発表したが、交換を希望する人は現れなかった。逆にそれが希少価値とみなされて、表ジャケットEのものが他のものより若干高くなったようである。
 
つまりとてもレアなのが表E裏Nというもののはずだが・・・・・これは存在しないのではないかとファンは推定した。オークションに全く出品されないからである。その問題についてレコード会社では「資料不足で回答できない」という回答を出した。
 
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更に細かい分析をした人たちも居て、表ジャケがA-Eのものは裏ジャケはKかMであり、表ジャケがF-Jのものは裏ジャケはLかNではないかという推察をした人があった。そしてそれらのCDの出品者の住所から、前者が東日本、後者が西日本で生産したものではないか、という所まで推論をしていたが、これは実は大正解であった。これについてもレコード会社としては特に情報は開示しない。
 
ただしこのCDは発売日の翌週以降に出荷されたものは全てC/Kになってしまったので、コレクターさんたちのお遊びもそのあたりで終了となった。
 

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山村星歌のCDが突然売れ始めたことで8月に予定されていた彼女の全国ツアーのチケットも売れ残りが出ていたのが7月末までに全てソールドアウトした。気をよくした彼女のレコード会社は急遽新しいCDの発売を決め、こちらも大急ぎで生産して、何とか彼女のツアー初日に発売を間に合わせたようである。全くCDのプレス工場さんもたいへんである(ローズ+リリーのCDを依頼した所とは別の工場ではあるが)。
 
私たちは彼女の事務所から、ツアーの中のどこかの日程にゲスト出演できないだろうかと打診され、アルバム制作中で他の仕事はあまり入れたくないものの、8月8日にはどっちみち横須賀でサマーロック・フェスティバルに出るので、その翌日の大阪公演なら出演してもよいと回答。向こうからはではそれでお願いしますという返事があった。
 
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