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■夏の日の想い出・コーンフレーク(3)

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私はそれに思い至ると七星さんにメールした。
 
《大変申し訳ないのですが、明後日の演奏曲目から『白い虹』を外したいのです。代わりに『影たちの夜』を入れたいのですが》 
 
《『影たちの夜』はスターキッズは目を瞑っても弾けるから大丈夫だと思う。でもどうしたの?》 
 
《どうも政子は失恋したようなんですよ。だからしばらく失恋の歌は歌いたくないみたいなんです》 
 
《分かった!相手は?まさか渋紙さんじゃないよね?》 
《まさか。実は高校の時の同級生なんですよ》 
《そっかー。じゃその件は近藤にも言わないことにするね》 
《はい、済みません》 
 

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前夜祭が終わってホテルに戻る。
 
政子は琴絵・仁恵・美空と4人で一緒に戻ってきた。いったんはぐれてしまった仁恵は先に美空と偶然会い、美空が「まぁりんの居場所ならたぶん分かる」と言って連れて行ってくれたら、焼き鳥屋さんの屋台で遭遇できたらしい。
 
その日はもう遅いのでそのまま寝たが、翌日は午前中、朝御飯のあとで私たちの部屋に青葉たち3人も呼んで、お茶を飲みつつ、おやつを食べつつ、おしゃべりしていた。しかし政子もいるし、女子高生が3人もいるとおやつの消費速度が激しい。途中で仁恵が2度も追加で買って来てくれた。
 
9時すぎに七星さんが「楽曲の変更があったのでよろしくー」と言って『影たちの夜』の譜面を配っていった。仕事の速い人である。政子は『白い虹の代わりにこれを入れます』という七星さんのコメント書きを見て、ホッとしたような顔をしていた。
 
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24日はお昼をホテルで食べた後、午後からのんびりと会場に出て各々好きなステージを見た。むろん政子には仁恵と琴絵がピタリと付いていて、今日ははぐれることもなかった。
 
この日、私はHanacleと川崎ゆりこ、南藤由梨奈、チェリーツイン、それに昨年末にデビューしたばかりの蓬莱男爵(ほうらいだんしゃく)というハードロックのガールズバンドの演奏を見た。
 
25日にはKARION,XANFUS,RoseQuarts,GoldenSix,AQUAといったところが登場する。
 
朝1番に行われたAQUAのステージは、会場が若い女の子で埋め尽くされた感があって、凄まじいボリュームの黄色い歓声があがっていたらしい。AQUAのバックバンドは例によってゴールデンシックスが務めたが、ゴールデンシックスは自らも夕方にステージがある。今日のゴールデンシックスはこういうメンバーだったらしい。
 
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リードギター:リノン、リズムギター:マノン、ベース:ノノ、ドラムス:キョウ、キーボード:カノン、フルート:フルル
 
AQUAのステージは当然のことながら政子も(珍しく)早起きして見に行ったが不満そうに帰ってくる。
 
「どうしたの?」
「途中で中止になっちゃった」
「なんで?」
「観客が興奮して20-30人ステージに上がってしまってさ」
「あらら」
「あまりにも人数が多くて、警備員さんたちだけでは抑えきれなかったみたいで。ギターのリノンが駆け寄って何とかAQUAを逃がしてあげたみたいだけど、後はもうメチャクチャ」
「あぁ・・・」
「あれ、かなり怪我人が出ていると思う」
 
そのゴールデンシックスのカノンの方から10時頃電話があった。
 
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「いやあ、参りました」
「大変だったみたいね」
「あ?聞きました?AQUAのステージ大混乱で演奏は30分やる予定が20分で中止になってしまって」
「お疲れ様。怪我はなかった?」
 
「それがベース担当のノノとフルート担当のフルルが腕を痛めちゃって。湿布貼っておけば数日で直りそうなレベルだけど、大事を取って夕方の演奏は休ませようということにしました」
 
「わあ」
「楽器もAQUAをかばったリノンがギターを壊されたし、ドラムスは完全に破壊されたし、ベースも折られたし、フルートもキーが取れちゃって、修理代が高く付きそう」
 
「そのあたりの修理代ってどうすんの?」
「アクアの事務所で出してくれるらしいです。修理困難で特に思い入れのない楽器に関しては代わりのものを買ってくれるということでした」
 
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「なるほど。じゃ、夕方の演奏は?」
 
「楽器についてはアクアの事務所で新潟の楽器レンタル店から急遽借りてきて夕方の演奏には間に合わせてくれるということです。演奏者の方だけど、さっき美空ちゃんに連絡したらベース代わりに弾いてくれるって。事務所の許可も取れたみたいで」
 
「ああ。時間帯がずれてるから行けるだろうね」
 
KARIONとゴールデンシックスは会場も別だが時間帯も違う。ゴールデンシックスは18-19時の時間帯、KARIONは16-17時の時間帯である。KARIONのステージが終わった後というので、畠山さんもOKを出したのだろう。
 
「それでですね。フルート奏者の心当たりがありません? フルートが吹けて、実際に楽器を持ってきている人。フルートはレンタル店で調達できなかったらしくて。演奏者はできたら同世代程度の女性がいいですけど、無理なら取り敢えず女性であればいいです。あ、男の娘でもいいですけど」
 
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「だったらうちの風花を行かせるよ。私と同い年の女性だよ」
 
それで風花に連絡したところ、難しい部分が無ければしてもいいということだったので、取り敢えず引き合わせることにした。風花はKARIONのステージでフルートを吹くために楽器を持ってきている。
 

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私が♪♪大学管楽器科出身の秋乃風花さんと紹介すると
 
「すごーい!」
「一流大学だ!」
「専門家を紹介して頂けるとは」
と声が上がる。
 
「いやあ、ピアノ科に落ちて管楽器科に回ったんですけどね」
などと本人は言っている。
 
「特にフルート奏者ってお嬢様が多いから、大学時代は精神的に疲れましたよ」
などと風花は言う。
 
「うちのフルルもお嬢様だな」
とリノンがいう。
 
「えー。そんなお嬢様ってほどでもないですよー」
と大波さんは言うが
「年商300億の会社社長令嬢だもん」
とキョウ。
「すごーい」
「しかもお嬢様学校のバスケ部元キャプテンですよ」
 
「あ、バスケットするんですか?」
「そうなんですよ。それで千里さんと知り合って。その縁でDRKに引き込まれて。今は関西のチームに所属しているんですけどね」
「へー」
 
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「だから今日怪我したことは秘密で。バスケ外の活動で怪我したら始末書もんだから」
「たいへんですねー」
 
彼女もベース担当の橋川さんも腕に大きな湿布薬を貼っている。
 

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風花はそんな話をしながらずっと演奏予定の曲のスコアを見ていたが
 
「これなら行けると思います。やりますよ」
と言う。
 
「じゃちょっと個別で練習してもらっていて、あとで代わりの楽器が来てから合わせましょうか」
「了解了解」
 
「まあゴールデンシックスのアレンジは誰でも弾けるようにというのが基本だから」
「実際の音源制作なりライブで、誰が出て来られるか分からないから演奏者が交換可能な編曲をするんですよね」
「オーケストラや吹奏楽などの大編成バンドの考え方に近いですね」
「あ、そうかも」
 
「フルートは大波さんが吹くことが多いんですか?」
「本来は千里なんですけどね」
「ああ」
「でも今千里はバスケの合宿でオーストラリアだかニュージーランドだかに行ってるんですよ」
「何か会社は2ヶ月間休職にしてもらったと言ってたね」
「わあ、大変そう」
「千里、この機会に会社辞めたかったけど、辞められたら困ると言われて休職になったらしい」
「なんか大変そう」
「4月に入社した5人の内既に2人辞めたらしいから」
「きゃー」
「ソフトハウスって激務だもん」
 
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「いや千里がソフトハウスに就職したと聞いて嘘でしょと思ったんだけどね」
「うんうん。あの子、少なくとも高校時代はプログラム苦手だったのに」
「苦手というよりセンスが無かったね」
「コンピュータの操作自体は上手かったけどね」
「うん。パンチも速いし」
「だから私はオペレーターになったのかなと思ったんだけどSEだって言うし」
「大学時代に随分勉強したのかなあ」
 

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11時にはローズクォーツが出演する。
 
このステージが始まると「代理ボーカル」のミルクチョコレートに加えて、ケイの姿もあるので会場が沸く。しかしよく見るとケイのフェイスマスクをかぶった誰かである。
 
そして声を聞くとその「中の人」がマリであることが観客の認識する所となり、大いに歓声があがっていた。
 
「マリちゃん、がんばってねー!」
という声が多数掛かってローズクォーツがかすんでしまうくらいだ。中には
 
「マリちゃん、結婚しないでー」
「マリちゃん、愛してるよー」
「マリちゃん、僕と結婚して」
といった声も出ていた。
 
ケイのフェイスマスクを付けた人物をローズクォーツのステージに出すのはローズクォーツの「影のプロデューサー」を自称するマリの発案であるが、中の人は川崎ゆりこがしてくれる予定であった。
 
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ところが直前になってマリが自分でやりたいと言い出したのでやらせることにしたのである。今マリには心のリハビリが必要である。
 

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演奏は50分間だがミルチョ、タカ、そしてケイのフェイスマスクを付けたマリのMCが入るので8曲を選んであった。
 
4月に出したCDから『アイアン・ランナー』『アウト・オブ・ライン』、昨年秋に出して大きな話題になったアルバム『アイランド・リリカル』 から『金華山・海を渡る鹿』『与論島・隠れ浜』、他に昨年のシングルから『パンを拾う人』『ビキニの誘惑』『セーラー服とさくらんぼ』、過去のヒット曲から『夏の日の想い出』。
 
しかしマリが『ペティコート・パニッシュメント』を歌いたいというので、この曲を最初の曲『アイアン・ランナー』に続いて2曲目で歌うことにする。すると観客が異様に盛り上がる。それで演奏が終わってから
 
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「タカコちゃん、今日は何で女の子の格好じゃないの〜?」
などという声が掛かる。
 
それに対してタカは
「今日はタカコはお休み」
などと返事していたのだが
 
「大丈夫。タカコの衣装はあるよ」
とケイに扮したマリが言うと、桜川悠子が真っ赤なドレスを持ってステージに上がってくる。
 
「何この計画的な犯行は?」
とタカは言うが
 
「タカコちゃんーん!」
という声援に応えて、ノリでタカはそのドレスを着る。
 
「タカコちゃん、可愛い〜!」
「タカコちゃん好きだよ〜」
「タカコちゃん、結婚して〜」
などという声まで掛かり、タカは
「んじゃ『美少女製造計画』、行っちゃおう」
などと言って、予定になかった曲を演奏し始め、自ら歌い出す。それにミルチョのふたりと、ケイに扮したマリが合わせる。
 
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そしてそれを歌い終わると観客から「『女子力向上委員会』!」とリクエストが掛かる。タカも「よし、それ行ってみよう」と言って演奏する。
 
更に『男子絶滅計画』『女の子にしてあげる』と歌ってから、
 
「そろそろまともな路線に戻らないと叱られるから」
と言ってミルチョをメインボーカルにして『ビキニの誘惑』を歌い、最後は『与論島・隠れ浜』で美しく締めた。
 

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