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■夏の日の想い出・ジョンブラウンのおじさん(11)

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八雲さんは20分ほどでやってきた。
 
「済みません。急用って何でしょうか?」
などと言っている。
 
「まあまあ座って座って」
「お酒飲みます?」
「あ、いえ。私、ふだんはあまりお酒飲まないので」
「そんなこと前にも言ってたね」
「じゃ、取り敢えずコーラで乾杯」
 
「えっと用事は?」
「八雲さん、Hanacleの担当になるんでしょ?」
「はい。正式の担当が決まるまでの暫定ですけど」
「じゃ担当するアーティストの付き添いも立派なお仕事」
 
八雲さんは氷川さんを見るが、氷川さんが頷いているので、八雲さんはまあいいかという感じになったようで、結局音羽・光帆に震雷・離花とグラスを合わせてコーラを飲んでいる。
 
「だけど八雲さん、肌が白いですよね」
「けっこうそれで子供の頃は馬鹿にされたんですけどね」
「いや、これって羨ましいですよ」
「私、あまり日焼けしないんですよ」
「ああ、そういう人っていますよね」
 
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「ウェストも凄く細い。あれ?これもしかしてズボンはレディスですか?」
「実はそうです。私、ウェストが63・ヒップ94だから男物は合わないんですよね」
「それって完璧な女性体型じゃないですか」
 
あれ?何か似た話をどこかでも聞いたな、と私は思ったのだが思い出すことができなかった。
 
「レディスのズボンを持っているということはスカートとかも持ってないんですか?」
「さすがに持ってないです」
 
「一度女装させてみたいなあ」
「勘弁してくださいよ」
 
などと言って八雲さんが困っている風だったので、氷川さんが
「音羽ちゃん、マリちゃん、それってセクハラ+パワハラ」
と注意した。
 

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翌12月25日。
 
その日の午前中、私のマンションには、千里と氷川さんが来ていた。ちょっと不思議な組合せである。氷川さんがこちらに書類を持ってこようとしていたら、ちょうど千里が車で通りかかったので、乗せて連れてきたらしい。
 
「そうだ、千里、関東選手権進出おめでとう」
「ありがとう。実質1年目で、しかも23-26歳が中心のチームで早々に関東に行けるとは思ってなかったら素直に嬉しいよ」
 
千里たちの40minutesは12月13,21,23日に行われた東京都クラブバスケット選手権という大会に出ていた。そこで2位になったので1月31日〜2月2日に行われる関東選手権に出ることになる。ちなみにこの大会で3-4位のチームは来年8月に行われる関東選抜(俗称:裏関)に出る。
 
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「このまま全国に行こう」
 
関東クラブ選手権で5位以内に入ると3月の全国クラブ選手権である。
 
「もちろん狙うよ。そちらもRC大賞おめでとう」
「えっと・・・どの分だっけ?」
と私は焦りながら言った。
 
「KARIONの『アメノウズメ』(水沢歌月名義)、ローズ+リリーの『Heart of Orpheus』(ケイ名義)、松原珠妃の『ナノとピコの時間』(ヨーコージ名義)、しまうららさんの『ギター・プレイヤー』(同じくヨーコージ名義)。冬の作品が4つも金賞を取ってる。どれか大賞を取る可能性もあるんじゃない?」
 
「いや大賞はワンティス『フィドルの妖精』でしょ」
 
今ここに居るメンツは『フィドルの妖精』の作曲者FKが私というのは知らないので安心してこんなことが言える。知っているのは上島先生・雨宮先生・蔵田さん・町添部長に静花(松原珠妃)くらいのはず。
 
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「それに『ナノとピコの時間』はヨーコージ名義ではあるけど、純粋に蔵田さんの作品で、私は関与してない。『ギター・プレイヤー』には関与してるけど、私はあくまで楽譜の整理係だよ」
 
「でもピコって冬のことじゃん」
「まあね」
 
「今年の金賞はレベルが高いですね。他に入っているのが小野寺イルザ『夜紀行』、ハイライトセブンスターズの『月と雨傘と君』、狩野信子の『みちのく恋の花』。楽曲的な品質も、本人たちの歌唱力も素晴らしい曲ばかり入ってますよ」
と氷川さんが言う。
 
ハイライトセブンスターズは10代に圧倒的な人気のあるバンドだが、今回の曲は80年代のニューミュージックにハマった世代にうけて大きなセールスとなった。『みちのく恋の花』は高倉竜と同じ八雲春朗作詞・海野博晃作曲の作品である。今年は演歌から唯一金賞に選ばれた。小野寺イルザの『夜紀行』は昨年から彼女に曲を提供している上野美由貴さんの作品だが、イルザにとっても上野さんにとっても初のプラチナ・ディスクとなった。20歳を過ぎてアイドルからポップシンガーへと脱皮を図る彼女にとってやっとその路線が認められた作品とも言える。
 
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「私、貝瀬日南の『花火恋物語』が良かったと思うんだけどなあ」
と政子が言う。
 
「あのあたりもボーダーラインだったみたいですよ。今年の選考委員はかなり悩まされたようです」
と氷川さん。
 
貝瀬日南の『花火恋物語』は秋穂夢久(あいおむく)の作品だが、千里はたぶん秋穂夢久がマリ&ケイとは知らないはず。
 
「惜しかったといえば谷川海里の『Lancer』もよかったんですけどね」
と千里が言う。
 
「ええ、昨年の『OHSHO』には及ばなかったものの充分売れました。あれも金賞行っていい作品でした。進藤歩さんは良い曲を書きますね」
と氷川さん。
 
「進藤さんといえば Hanacle の曲を書くんですね」
「21歳の谷川海里と17歳のHanacleでは競合しないという判断で引き受けたみたいですね」
 
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「でも今年は金賞に上島さんの作品がひとつも入ってないね。10年前の作品である『フィドルの妖精』は別として」
と千里は指摘する。
 
「上島先生が楽曲を提供していた歌手の引退が最近続いたからね。大西典香、篠田その歌に前多日登美まで引退。鈴懸くれあは今年は1曲もCDを出さなかったし、AYAはずっと休んでいたし。稼働していたのは百瀬みゆきとmapくらい」
と私は言う。
 
「もっとも南藤由梨奈の曲が新人賞を取りましたから。あれは普段の年なら金賞でも良かったですね。今年の金賞を取った作品のレベルが高すぎました」
と氷川さんが言った。
 

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「だけどHanacleは、結果的にはXANFUSの妹分がデビューすることになったようなもんだよね」
と千里は言う。
 
「同じ事務所だと思いっきり競争できないから事務所を分けたってのに似てるよね」
と政子も言う。
 
「保坂早穂と芹菜リセ、松原珠妃とケイちゃん、槇原愛と篠崎マイ、AYAのゆみと遠上笑美子みたいなもんですよね」
と氷川さん。
 
「ゆみちゃん、だいぶやる気が回復してる」
と政子が言う。
 
「歌もだいぶうまくなってたね」
と千里。
 
先日youtubeで公開された、音羽とのデュオ《XAYA》の歌は、音羽が1ヶ月半ほどの休みの間に「一皮むけた」歌い方をしていたのが目立ったのだが、ゆみの方も最後に出した2月のCDの時の歌からぐっと進化していることが話題になっていた。
 
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「マリちゃんもうかうかしてられないね」
と私は言ってみた。
 
「最近はサボらずに毎日練習してるよ」
と政子は答える。
 

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その日の午後、これまでは実質ペーパーカンパニーだった@@エンタテーメントが、XANFUSを迎えることで事務所開きをするということだったので、私たちはクリスマスのお祝いを兼ねて行くことにし、丸の内に向かった。
 
千里の車の助手席に氷川さんが乗り、私と政子が後部座席に乗ってそちらに向かう。駐車場に駐めてから、∞∞プロの鈴木社長から案内されたオフィスビルに行く。そのビルの2階に@@エンタテーメントという新しい看板が掲げられている。
 
私たちが入って行くと、新XANFUS(今日の時点ではまだΦωνοτον)の音羽と光帆のほか、神崎美恩・浜名麻梨奈、Purple Catsの4人、またここに所属している、近藤うさぎ・魚みちる、マミカ・テルミなど15-16人のタレントさんが集まっている。部外者では私と政子に千里、★★レコードの加藤課長、氷川さん、福本さん、八雲さん、◎◎レコードの林葉課長、◇◇テレビの陽光課長、FHテレビの棚橋次長などの顔も見える。その人たちにお茶を出しているのは∞∞プロの菱沼さんと五田さんである。
 
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「菱沼さんたち、もしかして、やはりこちらに移籍?」
「いえ。特に辞令は無かったです。取り敢えずこちらは今スタッフが誰もいないので、臨時応援です」
 
やがて鈴木社長が入ってくるが、鈴木さんと一緒に入って来た人物を見て、
 
「えーー!?」
という声があがる。
 
「社長!?」
と音羽が声を挙げる。
 
∞∞プロの鈴木さんと一緒に入って来たのは8月に&&エージェンシーの社長を解任された斉藤さんであった。
 
「紹介しよう」
と鈴木さんが言う。
 
「新しい@@エンタテーメントの社長になってもらうことになった斉藤邦明さん」
 
思わず拍手が起きた。
 
「斉藤社長、どちらにいらしたんですか?」
と光帆が訊く。
 
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「僕はある人に頼まれて実はカリフォルニア州に行ってたんだよ。それで巷の噂で音羽君もアメリカに来てると聞いたから連絡を取ろうと思ったけど、どうにも連絡先が分からなくて」
と斉藤さんは答える。
 
「すみませーん。私は実は日本国内に居たんです」
と音羽。
 
音羽の所在を知っていたのは、私と政子、美来、ゆみ、千里のほかは町添部長くらいだったろう。
 
「それで鈴木さんに呼び戻されて帰国したんだけど、僕ひとりではさすがに手が回らないので、スタッフをひとり雇うことにした。入って来て」
と斉藤さんが呼びかけると、女性がひとり入ってくる。
 
「白浜さん!? あ、いや結婚したから・・・」
と音羽言いかけたが
 
「いや、白浜に戻っちゃった」
「え?」
「まさか?」
 
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「お嫁さん、クビになっちゃった」
「なんで!?」
 
「私、料理、洗濯、掃除、まるでダメだしさ」
と白浜さん。
 
「そういえば、白浜さんがお料理している所を見たことない」
「私、炊飯器で御飯も炊けないのよ。やってみたけど、おかゆか、こげた塊にしかならない」
「それは水加減が適当というか」
「結婚してから2個も炊飯器壊しちゃったし」
「どうやったら、あんなもの壊れるんですか!?」
 
「こちらで仕事している時はいつも外食かチンすればいいものだけだったのよね」
 
「いや、私は白浜さんが卵をレンジでチンして爆発させたのを見たことがある」
とnoirが言う。
 
「まあそんなでお姑さんから嫌われちゃって」
「あらあら」
 
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「味付けとかも全然分からなくて。自分で食べてもまずいーと思うのよね。彼からも、まさかここまで出来ないとは思わなかったと言われたし、彼の子供からはママの御飯食べたくないと言われちゃうし」
「うーむ。。。」
「それ食べたくないんじゃなくて、食べられないものだったりして」
「私、ジャガイモの芽を取らないといけないなんて知らなかったのよね」
「食べたら病院行きのレベルだったりして」
 
「ほかに色物と白い服を一緒に洗濯しちゃって、お義母さんのお気に入りの服をダメにしちゃって」
「白浜さん、ふだん洗濯はどうしてたんです?」
「色移りするような服を持ってなかった」
「なるほど!」
「窓掃除でガラス割っちゃうし」
「どうすれば割れるんです!?」
 
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「それで流産したのを機会に離婚になっちゃった」
「流産したんですか!」
 
「さすがに身体的にも精神的にしんどかったよ。年齢的に子供産む最後のチャンスだと思っていたし。涙がもう止まらなくて。そんな時期にXANFUSのトラブルを聞いて更に落ち込んでね。でも私が離婚になったことmixiに書いたら、それに気付いた斉藤社長の奥さんが私を東京に呼び戻してくれて。だから11月以降は私、東京で社長の奥さんと2人で暮らしてたんだよ。奥さんに大事にしてもらったおかげで体調もだいぶ回復した。ホルモンバランスも随分よくなったみたい」
 
「大変でしたね」
 
「だけど私、妊娠が分かった時は、あんた本当に女だったのね。性転換した元男じゃないかと思い始めていたとかお姑さんに言われちゃった。結局、流れちゃったけど」
 
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「白浜さん、ほんとうに性転換はしてないんですよね?」
「自分では性転換手術を受けたおぼえはないけど」
「知らないうちに手術されていたりして」
「知らないうちにって、男から女に変えられたのか、女から男に変えられたのか」
「どっちだろ? 今夜お風呂入ったら確認してみようかな」
 

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