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■夏の日の想い出・ジョンブラウンのおじさん(3)

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KARIONのアルバムの方は、中盤にしっとりと聴かせる系統の曲の作り込みを進めた。
 
『アラベスクEG』(八雲春朗作詞・東堂千一夜作曲)はアコスティック系の音で作る。TAKAOのアコスティック・ギター、HARUのウッドベース、夢美のバロックオルガン、私のヴァイオリン、和泉のグロッケン、といったラインナップで大半の演奏をしている。間奏部分にだけSHINのアルトサックスをフィーチャーした。MINOとDAIはお休みである。
 
八雲春朗さんは東堂先生の友人のお孫さんだそうで、会計士事務所に勤めながら公認会計士の資格取得を目指している人だそうである。詩作活動は高校時代に文芸部に友人から誘われて入ったのがきっかけで、けっこうな数の詩を書いては自分のホームページで公表している。少女趣味の甘い詩が多い。詩だけ見ると女性と思われることも多いとのこと。詩集を自費出版したこともあるらしいが、全く売れていません、などと言っていた。
 
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東堂先生の作品、立川示堂先生の作品などで詞を書いているので演歌系の人かとも思っていたのだが、本人はロック系の曲しか聴かないとか。
 
「細かい部分は、できたらそちらの意見を聞きながらまとめたいので」
 
と言われたので和泉とふたりで、八雲さんが住んでいる浜松まで行ってきたものの、ちょっと女装させてみたくなるような美形男子だった。
 
「あのぉ。もしかして八雲さん穿いておられるズボン、レディスですか?」
「うん。僕はW69 H96だから男物のカジュアルは入らないんだよ」
 
などと言っておられる。
 
「もしかしてスカートとかも穿きます?」
「穿いてみたい気分になったことはあるけど、それやるとハマりそうで怖いから。だけどローズクォーツの『性転換ノススメ』凄かったね。性転換しちゃってもいいかななんて聴いた時はふと思っちゃったよ」
「女装の経験は?」
「高校時代に何度かやらされた。自分の性別アイデンティティを見失いそうな気分だったね」
と言って彼は笑っていた。
 
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八雲さんはギブソンSGを持っていて、ちょっと演奏を聴いたがかなり上手い。実はギタリストになりたいと思っていた時期もあるが父親に反対されてあきらめたらしい。彼はまた愛車のベンツをかなり改造していて、それも見せてもらったが、この車にはあまり同乗したくないと思った。車の購入資金や改造資金は作詞印税でまかなっているらしい。
 

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そして実はこの八雲さんが詩を書いてくださったので「四・十二・二十四」というタイトルの24の根拠が崩れてしまった。
 
最初東堂先生からは曲だけを頂いたので、こちらで歌詞をつければいいかと思っていた。ところが後から「詩を書いてもらったよ」と言って送ってこられたので、彼を含めて25名になってしまったのである。
 
「ケイと歌月が同一人物と認めれば24人」
「ちょっと待って。その件はもう少し考える!」
 

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なお「EG」というのに合わせて、この曲に入れている私のヴァイオリンは、4つの弦の中で最も細い(高音の)E線と、最も太い(低音の)G線だけを使って演奏している。(ヴァイオリンの弦は演奏している人から見て右からE線・A線・D線・G線)
 
この曲のPVでは私が愛知の小学校に通っていた時代の友人で、現在アマチュアのバレエ団に入っている橋口帆華がアラビアっぽいエキゾチックな踊りを踊ってくれた。
 
「帆華さん、これだけ踊れるならプリマでしょ?」
と和泉が言う。
 
「とんでもない。私より上手いお姉様たちがたくさん居ますよ」
「でもバレエも演劇も、年齢を重ねれば上手くはなるだろうけど、体力も落ちるし、年齢自体の問題も出てくるでしょ? さすがにオデット姫を80歳のプリマが踊ったら叱られそう」
と小風が言うが
 
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「いや、80歳のプリマがオデットを踊ることはあると思う」
と和泉が言うと、小風はしばらく悩んでいた。
 
「80歳は分からないけど、うちのバレエ団のオーナーさん、65歳だけど黒鳥のグランフェッテ32回転ができるよ」
「それは凄い!」
「男性なんだけどね」
「何〜〜〜!?」
「65歳の男性が黒鳥のチュチュ着て躍るの?」
「うん。着てた。あくまでジョークみたいだけど。でもきれいだったよ。鍛えていてスタイルもいいし。ウェスト72らしいもん。女子中生のお孫さんの衣装を借りたんだけどね」
「うーん。女子中生の衣装が入るのは凄いかも」
「見てみたいような、見たくないような」
 
「私が最近もらった役は『眠りの森の美女』のダイヤモンドとか」
「充分主役級じゃん!」
 
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「80歳のオデットは居ても、80歳のダイヤモンドは居ないかも」
「どうだろう。この世界は特殊だから」
 
「そういえば冬もダイヤモンドを踊ったことあるって言ってたね」
と和泉が言う。
 
「くだらないことを覚えてるね」
と私は笑って言う。
 
「ああ。あれはうまかった! 東京に転校した後はバレエはやめちゃったの?」
と帆華。
 
「私、やめるも何もそもそもバレエ習ってないんだけど」
「それでトロイメライ躍るし、ダイヤモンド躍るし」
 
「冬、くるみ割り人形の金平糖とチョコレートを躍ったというのも愛知の小学校の時?」
と和泉が訊く。
 
「なんで、そういうの覚えてるのさ?」と私。 
「冬の金平糖やチョコレートは見たことないな」と帆華。 
「はいはい。小学5年生の時ですよ」と私。 
 
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「じゃ、やはりバレエ続けてたんだ? それに金平糖なんてプリマの役じゃん」
と帆華。
「だから、そもそも習ってないって。金平糖は練習で躍っただけだよ」
と私。
 
その時、小風がまた悩むようにして言った。
「ね、ね、そのダイヤモンドとかチョコレートって、男の子の役?女の子の役?」
 
「冬が男の子の役を躍る訳ないじゃん」
と和泉。
「バレエで女の子役を躍ったのか。まさかチュチュとか着てないよね?」
と小風。
 
「冬ってチュチュ着ると、女の子がチュチュ着てるようにしか見えなかったのよね」
と帆華。
 
「あそこも?」
「うん。女の子のあそこのように見えた」
 
「ということは冬って、やはり小学2年生以前に性転換してたんだ!?」
 
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『夕釣り』(紅ゆたか/紅さやか)は先にPVを制作した。
 
太陽が沈んでいき、夕闇が迫る堤防の上で、小風・和泉・私・美空の4人が釣り糸を垂れている。美空は次々と魚を釣り上げるが、和泉は逃してばかり、私は長靴とかプラモデルとかハーモニカとか、魚ではないものばかり釣る。そして小風の釣り糸は1度も動かない。
 
曲の後半では美空が釣り上げた魚を自分でさばいて(この撮影のために美空はお魚のさばき方のレッスンを受けた)、お刺身にしてパクパクと食べている。しかし残りの3人は何も釣れないまま、美空が美味しそうにお魚を食べているのを見ているというストーリーである。
 
(ただし万一のことがあってはいけないので、美空が実際に食べているお刺身はプロの料理人さんにさばいてもらったもの)
 
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演奏では、私のヴァイオリン、風花のフルート、夢美のバロックオルガン、そして和泉のグロッケンという楽器で演奏している。トラベリングベルズは5人ともお休みである。リズム楽器が無いのでテンポキープはヴァイオリンを弾いている私の役目であるが、特に和泉はリズム楽器無しでタイミングを合わせる演奏の経験が少ないので、最初のうちは結構入るタイミングを間違ったりして、それでのリテイクが多かった。
 
「これ結構難しいよ」
「でも凄くきれいになるでしょ?」
「うん。美しい」
 

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『黄金の琵琶』(岡崎天音/大宮万葉)は実は『黄金の竪琴』のつもりだったのだが、岡崎天音=政子が大宮万葉=青葉に曲を発注する時、竪琴を琵琶と書き間違ったものの、青葉が作曲して仮音源を作って送ってくれたのを聴いたら、それに入っている琵琶の演奏が物凄く素晴らしかったので、私はこの琵琶を活かしたいと思った。
 
琵琶が得意な名古屋の風帆伯母に聴かせてみると
 
「これは人間国宝級の演奏だよ。円熟味が凄い。恐らく60歳を超えた演奏者だと思うけど、それでいて力強さは衰えていないし、かなり名のある人の演奏だと思う」
と言った。
 
そこで青葉に尋ねてみたものの、実際に弾いたのは、琵琶自体は娘時代から弾いているものの、名取りさんでもないふつうのおばあちゃんだと言っていた。
 
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「名前を取るのって物凄くお金がかかるから、敢えて名前を取らなかったんじゃないの? 聴いた瞬間、凄い!って思ったよ」
と私が言うと、青葉は
 
「本人も信じられないと言ってたから、たぶん偶然物凄くうまく弾けたんですよ」
などと言っていた。
 
青葉のことばに何か引っかかりは感じたものの、あまり深くは追及しないことにする。しかし人間国宝級の人に弾いてもらったとあっては普通の演奏者のように数万円の謝礼という訳にはいかないというので、私は青葉に《取り敢えずのお礼》として30万円渡すことにした。
 

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青葉から楽曲をもらったのが5月19日で、私はすぐに風帆伯母にmp3を送って聴いてもらい、和泉・TAKAO・SHINとも話し合い、上記の方針を固めた。それで6月29日に青葉が千葉の私設神社に招き猫を設置する件で出てきた時に、その件を話して30万円を渡した。
 
青葉には翌日、東京に出てきたついでに私が買った新しいマンションも見てもらった。青葉はこのマンションを下見した時にリノン(@ゴールデンシックス)が電話を通して相談していた占い師さんの見立てが的確であったことを追認してくれたのだが、その時、その占い師さんが現場には来ていなくて、あくまでも電話でのやりとりであったということに驚いていた。
 
「あり得ない!!」
とか
「どんなに凄い占い師でも、生年月日も方位も聞かずに吉方位・凶方位が分かる訳ないです」
 
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などと青葉は言っていたのだが、私はそれからそう日を置かずに、その占い師さんがそこまで読めた理由に気付くことになる。
 

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7月10日、私はリノンと千里が元々友人であったこと、そして千里が醍醐春海であったことに気付いてしまった。それで彼女と帝国ホテルのレストランで食事した時に訊いてみた。
 
「こないだリノンと電話でやりとりしてうちのマンションの吉凶をチェックしてくれた占い師さんって、千里だよね?」
 
「うん、そうだよ」
と千里はあっさりその件を認める。
 
「なんか、中学生の頃は占えたけど、もう占いはできなくなったなんて言ってなかった?」
 
「うーん。やはり衰えていると思う。中学生の頃は失せ物をピタリと当てることができたけど、今の私にはそこまでの的中はできない」
 
「それって、オリンピックのゴールドメダリストが100mを10秒6でしか走れなくなった、と言うようなものって気がする」
 
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と私が言うと千里は笑っていた。
 
「私と政子の本命宮だっけ?は元々知ってたんだよね?」
「本命卦(ほんめいか)だね。それは当然知ってた」
「マンションの図面か何かリノンからもらってた?」
「それはもらってない。それ部外者に見せたら守秘義務違反でしょ。私はあの場で意識をそちらに飛ばして確認した」
 
「それって幽体離脱みたいなもの?」
「私、小さい頃からそういう感覚を持ってて、ふつうにやってるから特別なものとは思ってないんだけど、いわゆる幽体離脱とは少し違うんじゃないかとは思う。似たようなものなのかも知れないけど。例えば、冬、数日前から銀色のボールペンを探しているでしょ」
 
「よく分かったね! あれ凄く大事なボールペンなんだよ」
「それベッドルームに置いてある『雪を割る鈴』という譜面に挟まっている」
 
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「あ、あの譜面を修正するのに使った気がする。ありがとう」
と言ってから私は少し心配になった。
 
「今、千里うちのベッドルームを見た?」
「見たけど」
「枕元に私が置いてきた楽器が何か分かる?」
「これは何かなあ・・・クラリネットに似てるけど雰囲気違う。ウィンドシンセ?」
「すごーい!」
 
「まあ鞭は出かける時は片付けておいた方がいいよ」
 
私はむせてしまった。やはりそんなのも見えるのか!!
 
「でもこういうのって、いつでも見えるの?」
「相手が鍵を開けてくれたらね。今、冬、あれ見られるとやばい、みたいに思ったでしょ。その瞬間、鍵が開いたんだよ」
 
「なるほど、隠そうとするとバレるんだ!」
「そうそう」
 
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