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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(11)

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公演の後で、抽選で480人にだけサインを書いた(当選確率25分の1)。人前で4人でサインを書くのは2008年のデビューの年以来6年ぶりである。
 
新しいサインは「新4分割サイン」である。
 
基本的には『鏡の国』を歌った時のように分担する。最初に書く人が K と Aの途中まで書き、次の人が Aの続きとRを書く。3人目が I と O の途中まで書き、最後の人が O の途中からの続きと N を書く。つまり誰から書き始めたかにより4種類のサインができることになる。書く順序は小風・美空・和泉・私なので、例えば美空から書き始めたら、美空・和泉・私・小風の順に書くことになる。
 
なお書体が以前の「3分割サイン」とは異なるので、同じ文字の並びでも完成形の雰囲気はかなり違っている。
 
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4人の前にそれぞれ列が出来て自分の所に並んでくれた人に名前を書いた紙を出してもらって、その名前で宛名を書く。日付だけは先にスタッフ(花恋)の手で書き込まれている。私は正直、自分の前に列ができるかなと少し不安だったのだが、ちゃんと4列とも同じくらいの長さになったのでホッとした。(和泉だけ少し長くて残り3人はだいたい同じ長さ)
 
新しいサインは3人しかいない時、2人しかいない時とかはどうするんですか?という質問があったので、3人ならKA/RI/ONと分担、2人なら KAR/ION と分担しますと回答した。つまりこれまでと同じである。
 
結果的に4人で書くサインが4種類、3人で書くサインがC(4,3)で4種類、2人で書くサインがC(4,2)で6種類、1人で書くサインが4通りで、合計18種類ということになり、頑張って集めるぞ!とコンプリートに燃える人たちもいたようである。
 
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しかし和泉は
「でも実は過去に、私と小風と蘭子の3人でサインを書いたこともある。あれは2011年7月だった」
という発言をし、ネット上でそのサインの探索が行われたものの、出て来なかった。
 

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この日、幕張のイベントホールで行われるローズ+リリーの公演は18:00開場、19:00開演である。一方、東京赤坂の火鳥ホールで行われるローズクォーツの公演は17:30開場・18:30開演である。
 
私は横浜エリーナを出た後、新幹線と特急《わかしお》を乗り継いで幕張に移動した。
 

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18:30。ローズクォーツの公演が行われる東京都区内・火鳥ホールの幕が開き、レーザービームが飛び交う。ステージにはまだ照明が灯っていない。新曲『Back Flight』の前奏に続いて、暗闇の中にケイの姿が浮かび上がり、私が
 
「疲れたきった顔を、ふと上げて前を見た時」
「そこにあったのは、屈託の無いあなたの顔」
 
と歌い出した時、客席に大きなどよめきが起きた。
 
物凄い拍手が起き、続けて手拍子が打たれるが、客席の中には「信じられない」
という顔をしている人たちがたくさん居る。
 
私は完全に1番を歌ったのち、タカの華麗なギターソロが入る。そしてそこにOzma Dreamのジュリアとミキが左右の袖から出てきて、2番は3人で一緒に歌う形になった。ステージの照明は落ちたまま。ただタカ・サト・ヤス・マキの所だけ、ほんのりと弱いスポットライトで照らされている。そして、歌っている私とジュリア・ミキの3人は、同様に弱いスポットライトで各々の身体全体が照らされている。
 
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歌が終わる。物凄い歓声と拍手。私はジュリアとミキを交互に見る。ふたりが頷き、《ジュリアとミキで》声を揃えて「こんばんは!ローズクォーツOMです」
と名乗りを上げた。
 
ローズクォーツOMというのは、OzMa dreamをフィーチャーしたローズクォーツという意味である。覆面の魔女をフィーチャーしたらローズクォーツFM、鈴鹿美里ならローズクォーツSMであった。ちなみに翌年はミルクチョコレートが代理ボーカルをしてくれたのだが、その年はローズクォーツCMと呼ばれた。あくまで M を付けろというのが「ローズクォーツ影のプロデューサー」Mariの指示で、私とマリをフィーチャーしたらローズクォーツKMである。
 

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「ところでケイちゃん、ローズ+リリーの公演には行かなくて良かったの?向こうもそろそろ開演時刻じゃないの?」
とジュリアが尋ねる。
 
「ちゃんと出るよ」
と私は答える。
 
「だけど赤坂から幕張まで、どうやっても1時間は掛かるよ」
「大丈夫。私、もう幕張に居るから」
「え? だってここに居るのに?」
 
「ここには居ないよ。これってホログラフィーだもん」
 
と私が言うと「えー!?」という声や、激しいざわめき。
 
「ジュリア、ミキ、ちょっと私の傍に寄って」
と私が言うので、ふたりが寄ってくる。
 
「ほら、並んでみると分かる。私の身体、彼女たちより薄いでしょ?」
 
客席はざわめいている。
 
「ホログラフィーの技術も年々良くなっているんだけどね。今の技術ではこのくらいが限界。来年はもっと色が濃くなっているかもね」
 
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「じゃ、ケイちゃん、ここに居ないのなら、これって録音?」
「身体は録画だけど声はリアル。私は幕張でこの会場のモニター見ながらしゃべっているんだよ」
 
リアルタイムでのホログラフィができないかと★★レコードの技術部に相談してみたのだが、現在の技術では、世界最高速のスーパーコンピュータでも処理が間に合わないと言われたので映像だけは録画にしたのである。
 
「なるほどー。歌は?」
「私の歌に合わせてサトがドラムスを打ってくれたんだよ」
「難しいことしてるね」
 
ちなみに私は歌っている最中はモニターの音を消して、自分用の伴奏音源をヘッドホンで聴きながら歌っていた。どうしても微妙なタイムラグが発生するので、赤坂側の音を聴いてしまうと自分の歌うタイミングが遅れてしまうからだ。つまり
 
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私の伴奏音源→私の歌→回線→サトのドラムス(やや前乗り)→みんなの演奏、という形でタイミングが取られたのである。
 
サトが少し前乗りで打たないと、私の歌と他の伴奏者の音が合わなくなるが、そのあたりはサトの感覚で調整してくれた。Ozma Dreamは直接私の声をイヤホンで聴きながら歌ってくれた。
 
「分身の術をマスターできたらいいんだけどね。練習してみたけど無理だったよ」
「それ来年までに頑張って練習しよう」
とミキが言う。
 
「じゃ、私は消えるから、ジュリア、ミキ、後はよろしくー」
「うん。任せて」
とふたりが言ったので、私の姿は少しずつフェイドアウトして行き消えた。
 
ステージの照明が灯る。さっきの薄明かりでは分からなかったものの、クォーツのメンバーが学生服を着ているのが分かる。そしてタカはセーラー服を着ている!それが分かると、会場には明るい声が響いた。
 
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「タカコちゃーん!」
なんてコールまで聞こえてきて、タカが照れていた。
 
「私たちもセーラー服着よう」
などと言って、Ozma Dreamも、そばに置かれていたセーラー服を着ちゃう。そしてローズクォーツとジュリア・ミキは『セーラー服とさくらんぼ』を演奏しはじめた。
 

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私は微笑んでモニターのスイッチを切る。
 
「よし、行こう」
とそばでお腹をおさえて笑い転げていたマリに言う。
 
「キスして」
と言うので唇にキスする。
 
1ベルが鳴った。
 
「じゃ、行こうか」
 
ステージの脇まで行く。スターキッズがもう各々のポジションでスタンバイしている。私たちは彼らに挨拶してステージ中央の2本のマイクの前に立つ。
 
2ベルが鳴った。客電が落ちた(はず)。そして緞帳が上がるのと同時に酒向さんのドラムスが軽いリズムを打ち始め、私たちは『幻の少女』を歌い始めた。
 

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昨年のツアーまではローズ+リリーの公演ではあまりセットらしいセットを組んでいなかったのだが、ローズ+リリーも新たなスタートということで、今回は薔薇と百合で舞台を埋め尽くした。本物の花を使うと、2時間のステージの間にしおれてしまうので、全て造花であるが、なかなか壮観である。
 
ステージ左側(客席から見て右側)にユリの花、ステージ右側(客席から見て左側)にバラの花を敷き詰めている。巨大な薔薇の花・百合の花の書き割りも幾つか立ててある。そして、私たちもステージ右側にケイ、左側にマリと並ぶ。
 
衣装はスターキッズやサポートミュージシャンは薔薇と百合をモチーフにしたポロシャツにズボンまたはロングスカート。そしてマリは大きな百合の花のポロシャツに白いユリのようなマーメイドスカート、ケイは大きな薔薇の花が描かれたポロシャツに赤いバラのようなティアードスカートを穿いている。
 
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そして舞台後方には液晶モニターを横4・縦4の16台並べて積み、マルチビジョンにして、映像を表示する。
 
ここで流れるのは『幻の少女』のPVだが、テレビやyoutubeで流したものとは配役が違う。テレビ版では大林亮平が演じる青年と南藤由梨奈が演じる少女と出会うのだが、ここではケイ演じる女子大生がマリ演じる女子高生と出会い、一緒にヴァイオリンを弾くという映像になっている。使用しているヴァイオリンも、ケイが持つのは《Marilyn》、マリが持つのは《スーちゃん》というふたりの実際の愛用楽器である。この映像に対して少しざわめきが起きていた感じもあった。

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■ケイとマリの使用ヴァイオリン 
マリ イーちゃん(初代:小春に譲渡) アルちゃん(2代目:青葉に譲渡)、 スーちゃん(3代目:現役愛用楽器) ユキちゃん(電気ヴァイオリン) 
 
ケイ Fairy(高岡に譲渡)、Highlander(高岡からもらう)、Pigma(珠妃のライブで破壊)、Flora(夢美に譲渡)、Rosmarin(アスカの小学生頃の愛器)、Marilyn(夢美からもらう:Rosmarinに似た楽器)、Snowgirl(政子に譲渡:ユキちゃん)、SnowRabbit(Snowgirlの後継に買った電気ヴァイオリン)、GreenWitch(プラスチック製)、Angela(グァルネリもどき)、Annet(グァルネリ系新作楽器)。
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歌い終わってから、ふたりで一緒に挨拶する。
「こんばんは! ローズ+リリーです」
 
歓声と拍手が来る。
 
「ローズ+リリーが幕張で公演するのは初めてなのですが、私もマリもこのステージ自体は過去に経験済みだよね」
と私は語る。
 
「そうだっけ?」
とマリ。
 
「高校2年の6月のロックフェスタで、マリはここに立ってるでしょ?湘南トリコロールのバックで踊った」
「ああ、思い出した。でも何で知ってるの?」
「私はマリのことは何でも知ってるよ。ちなみにその日がローズ+リリーの初ライブの日でもあったね」
 
「うんうん。小さな野外ステージで歌ったね」
「観客さんは5人だったけどね」
 
へー、という感じの観客の反応。
 
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「でもケイはいつこのステージに立ったの?」
「色々な人の伴奏とかダンサーとかで立ってるよ。もう10回くらいここに来てる」
「ふーん。でも私もケイのことは何でも知ってるよ」
「そう?」
 
「うん。ケイは生まれた時から女の子だったこともね。だってケイの出生証明書って、性別は女の方に○が付いてたんだよ」
 
観客がざわめく。
 
「あれは単なる間違い。では次の曲『愛のデュエット』」
 
またふたりの歌に合わせてPVが流れる。この曲のテレビ用スポットではハイライト・セブンスターズのヒロシと Rainbow Flute Bands のフェイが一緒に様々な楽器を演奏しているのだが、ここで流れるのは、マリとケイが一緒に遊園地の中で色々な楽器を演奏している映像である。ただしヒロシとフェイはマジに演奏しているが、私たちのは演奏しているふりだけである。
 
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また実は撮影している遊園地も別の所だ。テレビ版はよみうりランドで撮影しているが、マリケイ版は西武ゆうえんちで撮影している。どちらも2月の休園日に撮影したものだが、後に「ライオンズ対ジャイアンツだ」と言われた。
 

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そして3曲目が結構後で問題になったビデオである。テレビ版は、撮影に適した地を探した結果、長崎県佐世保市の烏帽子岳が良いのではということになったが、時間的な都合もあり、長崎ローカルの男女若手俳優さんに出演してもらい撮影を行った。自転車を置き、その傍で戯れる恋人の図である。
 
マリケイ版は、どこか東京近辺で撮影できそうな所がないかな、と言っていた時、レコード会社のスタッフで千葉市から通勤してきている人がこんなことを言った。
 
「私が自宅から駅まで行く時に毎日通っている道なんですが、以前幽霊でも出そうなボロ屋が建っていた所がきれいに整地されて木も伐って、市街地を見下ろせるように見晴らしが良くなった所がありましてね。それで喫茶店でも作るのかなと思ったら、小さな祠が建って、鳥居も建ったんですよ。へー神社を作ったんだ!と思って、折角だからお参りして額を見たら何とか姫神って書いてあったんですよ。女神様なら、あそこ使えませんかね?」
 
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それで氷川さんが現地まで行ってみたところ、明るくてほんとに雰囲気が良い場所で、氷川さんもすっかり気に入ってしまう。問合せ先として千葉市内の神社が書いてあったので、連絡してみると、そこは富山県に住んでいる人が個人的に設置した神社で、管理だけそこでしているのだという。しかし神社から所有者に連絡してみたら、撮影はOKということだったので、そこで撮影することにした。
 
たまたま色々な用事で青葉を東京に呼び寄せていたので「青葉、ちょっと巫女服を着て手伝って」と言って政子と一緒に連れていく。私と政子は振袖を着た。
 

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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(11)

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