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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(4)

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さて、そういう訳で、スイート・ヴァニラズの曲をまた青葉が書くことになったのだが、Eliseが一度「リーフさんに会っておきたい」というので、ちょうど春休みになるので青葉を富山から呼び出した。2014年3月29日(土)であった。
 
「凄いオーラ持ってるね」
と自宅で寝ていたEliseは青葉を見るなり言った。家事はLondaが泊まり込みでしてくれているらしい。ほんとにLondaが瑞季のお父さんみたいだ!
 
「Eliseさん、霊感が強いですね」
と青葉は応えて言う。
「でも私のオーラに気付く人は稀です。だいたい隠しているから」
 
「うん。隠しているけど、その隠している部分が巨大。巨大宇宙戦艦みたい」
「時々言われます」
 
「だけど普通の霊能者はそれに気付かないよね?」
と私は言った。
 
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「うん。でも素人の霊感人間には時々見破られるんだよ」
と言って青葉は笑っている。
 
「まあ優秀なクリエーターは多少なりとも霊感を持っているよ。イマジネーションの源泉から芸術表現を取り出すのにそもそも霊感を使っているはず」
とEliseは言う。
 
Eliseは青葉に赤ちゃんを見せて、良かったらこの子の将来を占ってと言った。
 
「たぶん音楽家になります」
と青葉は瑞季を一目見ていった。
 
「へー。楽器とかする?」
「そうですね。たぶんベースかドラムス」
「へー!」
「この子、物凄くリズム感が良いです。そして作曲家です。詩はたぶん別の人が書くと思います」
「ほほぉ」
 
フラワーガーデンズは歌詞を感性の豊かなランが書き、音感の発達したミズキとクラシックの素養があるフジが分担して曲を書くパターンが多い。
 
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私は青葉をアスカの所にも連れて行った。
 
「実は青葉に見てもらいたいものがあるんだよ」
 
アスカの家に、ちょうどアスカがドイツで知り合ったヴァイオリニスト、ロッテさんが来ていた。私も青葉もドイツ語が話せるので、4人の会話はドイツ語で進行した。
 
「これは彼女が所有するグァルネリ・デル・ジェス。1731年作のRobintree」
と言ってアスカがロッテの持つヴァイオリンを見せる。
 
「美しいオーラですね」
と青葉は言った。
 
「それでこれが私が今冬にリースしている『デル・ジェスもどき』のAngela」
「これも素敵です」
 
「このAngelaは過去に本物のデル・ジェスとして取引されたこともあるんだよ。でも鑑定の結果、本物ではないとされた。青葉どう思う?」
 
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「作者は別の人です」
と青葉は即答で断言した。
 
「ああ、やはり」
 
「でもこれ、材質が似てますね」
「うん。鑑定された時も、材質はB.G.A.グァルネリ(*1)が使っていたものと同じとは言われたらしい」
 
(*1)本名はBartolomeo Giuseppe Antonio Guarneri だが、彼が作ったヴァイオリンには十字架のマークが描かれており、そこから「イエスのグァルネリ」ということで、Guarneri del Gesu と呼ばれる。 
 
「恐らく同じ工房で作られたものではないでしょうか。年代的にこのAngelaはRobintreeより10年くらい若い気がします」
 
「そうそう。制作年代は1740年代だろうと推定されたんだよ」
「B.G.A.グァルネリって、何年まで活動したんですか?」
「デル・ジェスの作品は1717年から1745年まで。但し本人は1744年10月に亡くなっているから1745年のもの(Leduc)は途中まで出来ていたものを奥さんのカタリナ・ロータが最終的に完成させたものと推定されている。カタリナも結構な腕の職人で、自分の作品に Katerina Guarneria の銘を入れていた」
 
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「へー。この楽器Angelaは、恐らくは親族かお弟子さんが作ったのではないでしょうか。ひょっとすると、その奥さんなのかも知れません。でも凄くよく出来た作品です。持っているオーラが素敵なんですよ」
 
「だよね〜」
「私は楽器の品質としてはそんなに差が無いと思います。オーラだけで言えばですけど」
と青葉。
 
「このRobintreeはグァルネリの作品の中でも良くできた方だから弾くとかなり差が出るんだけど、グァルネリの作品の中にはAngelaより劣るものもあると私は思っている」
とアスカは言う。
 
「なるほどですね」
「オーラとしては大差無しか」
 
「でも大差無くてもデル・ジェスかどうかで値段が10倍違う」
と私。
 
「仕方無いです。有名ブランドだから」
「うん、ブランド料もあるよね」
「でもそのブランド料というのは、それまで多数の良い作品を作ってきたから生まれたものですけどね。Angelaの作者はこの作品では力を発揮できたけど、あまり多くの秀作を世に残せなかったんでしょうね」
「そういうことなんだろうね」
 
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「私が川上青葉の名前で作曲したら多分買取式でも1000円くらいしかもらえない気がしますが、マリ&ケイ+リーフの名前だと、買取なら100万円は取れる。これも冬子さんがこれまで良質の作品をたくさん作ってきてブランドを確立しているからです」
 
「褒めても何も出ないよ」
と私は言っておいた。
 

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アスカの家に行った翌日。私は青葉を連れて上島先生・雨宮先生と落ち合い、一緒にさいたま市郊外にある高岡さんの実家に行った。高岡さんが実際には作詞していないのに作詞印税をもらっていたというのが発覚して大騒動になったので、お父さんは以前住んでいた家を売却して贖罪にとその売却額を震災の被災地に寄付した。それで御両親は現在は借家住まいである。
 
「息子の遺品探しですか?私もだいぶ探してみたのですが、あれ以上は見つからなくて」
とお父さんは言っている。
 
「それで知り合いの有能な霊能者さんを連れて来たんです」
と上島先生。
「日本国内で五指に入る霊能者、川上青葉さんです」
「初めまして。川上青葉と申します」
 
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この日は青葉は「仕事着」の巫女服を着ている。これを着ていると年齢がよく分からない。
 
「お若い方ですね」
とお父さんは言うが
「川上先生は、東日本大震災で行方の分からなかった遺体を300体も見つけたんですよ」
と上島先生が言うと
「それは凄い」
と言って感心している。
 
高岡さんの遺品を収めている倉庫に行く。以前の家では部屋ひとつ取って並べていたものだが、引っ越しの際にこの倉庫に収納したのだ。
 
「乱雑になっていて済みません」
とお父さんは恐縮そうにしている。
 
「あ、全然問題無いです」
と青葉は言い、静かに目を瞑って、まるで何か考えるかのようなポーズをしていた。そしてやがて、倉庫の奥の方に入り込んでいく。私たちが外で待っていると青葉はギターケースを持って来た。
 
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「このギターちょっと調べてみましょう」
「いや、高岡のギターは全部一度調べた。ヴァイオリンの共鳴胴の内側にたくさん詩が貼り付けてあったから、もしかしてギターにも同じことしてないかなと思って確認したんだよ」
と上島先生は言う。
 
しかし青葉はニコッと笑ってギターケースを開けた。そしてギターを取り出すと・・・・いきなり、指板とネックの間に爪を立て、バリっと音を立てて、板を数cm剥がしちゃった!
 
「ちょっと青葉!」
と私はさすがに青くなって叫ぶ。このギターは高岡さんの遺品のGibsonのヴィンテージもの。単にヴィンテージというだけで40-50万円する。それが高岡さんの使用楽器ということになれば売りに出すとオークションで200万円以上の値段が付くだろう。そもそもお金のこと抜きにしても高岡さんの遺品ということだけで大事に扱うべきものである。
 
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「あ・・・・」
と最初に声を出したのは上島先生である。
 
「こんな所に貼り付けてあったのか!」
と雨宮先生も言う。
 
ギターのネック部分は、1つの木から表裏とも整形されたタイプ(ワンピース・ネック)と、ネックと表側の指板を別の木材で作って貼り合わせたタイプがあるが、このギターはマホガニーのネックにローズウッドの指板を貼り付けたタイプである。その貼り付けられた2つの木材の間に折りたたんで細くした紙が数枚挟まっているのである。
 
「存在を確認できただけでいいですね。後は専門家にお任せしましょう」
 
「分かった。でも君凄いね。いとも簡単そうに剥がしたけど、これ普通剥がれない。しかも指板にもネックにも傷を付けてない」
 
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「力の入れ方に要領があるんですよ」
と青葉はにこやかに言う。
 
「しかし高岡さん、なんでこんな凄い場所に・・・・」
と私は戸惑うように言う。
 
「ワンティスの詩を書くのは夕香さん。だから自分の詩はどんなに良いのができても封印。そう決めたんでしょうね。でも詩人の魂がうずくから詩は書いてしまう。捨てるには忍びないから、どこかに隠した。上島さん。高岡さんが使っていたギターは全部調べた方がいいです」
と青葉。
 
「うん。全部徹底的にチェックする。超音波とかでも検査させよう」
 
「ああ、それがいいです。ピックガードとかもチェックしましょう。それから例のヴァイオリンのネックも再度調べた方がいいかも」
 
「!!!」
 
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上島先生と雨宮先生の2人で、倉庫の中を調べ、詩が隠されている可能性のある楽器全てを出して、それを検査をお願いする研究所の技師に託していったん引き上げる。
 
それで私と青葉、上島先生と雨宮先生でさいたま市内の料亭に行った。
 
「リーフちゃん、青葉ちゃん?って、そういう格好してると年齢がよく分からないけどまだ18-19くらいかしら?」
と雨宮先生が言う。
 
「済みません。まだ16です。来月17歳になりますが」
と青葉。
 
「うそ。じゃ、まだ高校生なんだ?」
と驚いた様子。
 
「君の作品、『遠すぎる一歩』にしてもスイート・ヴァニラズに提供された曲にしても、見てたけど凄くよく出来ている。感覚が若いなというのは感じたけど、作りがしっかりしているから、僕も20歳くらいの作曲家さんかなと思った」
と上島先生も言う。
 
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「作りは多分あれだよね? 曲全体の波動が美しくまとまる状態まで調整を掛けている?」
と私は青葉に尋ねる。
 
「はい、そんな感じです」
と青葉は笑顔で答える。
 
「波動?」
 
「この子はそういうのが凄いんですよ。そもそもKARIONのCDを聴いてて、声のひとつとピアノ演奏の波動が、私の波動と同じだというので、すぐに私が参加していることに気付いたというんですよね」
 
「それは凄い」
「じゃ、エアバンドなんかは一発でバレるな」
「ハイライト・セブンスターズなんかもネタバレしてそうだ」
と雨宮先生が試すように訊く。
 
青葉は笑顔で答える。
「あれは1枚目の『キャビン』、2枚目の『マルボロ』まではギター・ベース・ドラムス・キーボードの全てをヒロシさんがひとりで演奏しています。3枚目の『ラーク』からはギター・ベースがカズさん・テルさん本人になって、4枚目の最新作『メビウス』でドラムスもケンタさん本人になりました」
 
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「凄い。完璧だ」
と雨宮先生。
 
「それってギターの代わりにキーボードで弾いてたの?」
と上島先生。
 
「いえ。実際のギターを弾いてますよね? あれはレスポールの音です」
と青葉。
 
「うん。良く分かるね。そのあたり知ってるのは、私以外には★★レコードの担当者くらいだよ」
 
「でもヒロシって、そんなに器用なんだ?」
 
「4月7日からテレビで流し始める予定の『愛のデュエット』のPVで彼は色々な楽器弾いてくれたんですけど、共演者のフェイにしてもヒロシにしても、全部マジで弾いてくれたんですよ。びっくりしました。ふたりとも万能プレイヤーみたいですね」
と私は言って、まだ非公開のPVをこのメンツには特に見せた。
 
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『愛のデュエット』は上島先生の作品である。PVでは、見知らぬ青年と少女が、遊園地で偶然遭遇し、一緒に楽器を演奏し始めるという物語になっている。
 
PVの中でふたりは、ピアノの連弾に始まり、リコーダー、フルート、クラリネット、トロンボーン、ヴァイオリン、チェロ、ギター、と合奏。最後は1つのドラムスセットを2人で一緒に叩いている。その青年役がハイライト・セブンスターズのヒロシ、少女役がRainbow Flute Bandsのフェイなのである。フェイは女装も男装も全く違和感の無い不思議な子である。性別不明なので中高生女子に人気の高いヒロシと共演させてもクレームが来る可能性が低いということで起用されたものであった。
 
「凄いな、これ」
と言って、上島先生も雨宮先生もみとれていた。リクエストに応じて3回見せた。
 
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「でもフェイの性別が分かりません」
と私。
 
 
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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(4)

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