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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(2)

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「それじゃ、この子については取り敢えず1年くらい、俺と上島と1曲ずつ提供していくというのでどうよ?」
と蔵田さんは言った。
 
「ケイちゃんも1口乗る?」
と上島先生は言うが
 
「そんな私みたいな若輩者が入っては。おふたりは格が違います」
と私は言う。
 
「謙遜するの似合わねー」と蔵田さん。
「格が違うって自分の方が上ってこと?」と上島先生。
 
私は慌てて首を振る。
 
「まあいいや。洋子を入れたら、俺たち2人とも吹き飛ばされるかも知れん。とりあえず、ふたりでガチンコ勝負行く?」
と蔵田さんが言い、
 
「じゃ取り敢えず1年」
と上島先生も言って、ふたりは固く握手をした。
 
そういう訳で、南藤由梨奈の楽曲は取り敢えず来年の3月までの1年間、上島先生と蔵田さんが1曲ずつ提供していくことが決まったのであった。実際の音源制作指揮については、上島先生も蔵田さんも、そして私も多忙で手が回らないので、上島先生も蔵田さんも知っていて「暇そうで」音楽性の豊かな人ということで、元Lucky Blossomのフロント・パーソンで現在は渡部賢一グランドオーケストラのサックス奏者でもある、鮎川ゆまが指名された。
 
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ゆまは上島先生の盟友・雨宮先生の弟子であると同時にドリームボーイズの元バックダンサーでもある。(七星さんの大学の時の管楽器クラスの元同級生でもある)
 
その場で蔵田さんがゆまに電話を掛けて、半ば強引に押しつけていた!
 

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話がまとまった所で会食も終わりかなということで、浦中さんが会計のためにちょっと席を立った。その時、唐突に上島先生が言った。
 
「ところでさ、今度ワンティスの新曲出すんだけど、蔵田、僕と一緒に歌ったりしない?」
 
「誰が作った曲?上島?」
と蔵田さん。
 
「それが、高岡の書いた詩にFKさんが曲を付けたものがもう1つ発見されたんだよ」
「へー」
「ちなみにFKって、Fuyuko Karamoto だから」
「なに〜〜〜〜!?」
と蔵田さんは叫び、
 
「だったら歌ってみようか」
と言って、蔵田さんは悪戯っ子の視線で私を見た。
 

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「そういえばケイちゃん、僕のことは『上島先生』と呼ぶのに、蔵田のことは『蔵田さん』と呼ぶんだね。僕以上に色々指導を受けてきてると思うのに、なんで?」
と上島先生が訊く。
 
「それは・・・」
と私が言いよどんだら
 
「おれが『先生』なんて呼ぶなと言ったから」
と蔵田さんが代わって答える。
 
「ほほぉ」
「俺、先生とか呼ばれる柄じゃないし」
 
「でも珠妃は『蔵田先生』ですね」
と私は笑顔で言う。
 
「あいつ、何度も『先生はやめろ』と言っているのに治らないんだよ」
と蔵田さんは不満そうに言った。
 
「じゃ僕もケイちゃんには『上島先生』は辞めてもらって『上島さん』にしてもらおうかな」
と上島先生は楽しそうに言う。
 
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「えーー? 恐れ多いです」
 

2014年2月23日。ELFILIESのエミコが結婚式を挙げた。
 
ELFILIESは2006年、彼女たちが高校2年だった時にデビューした女性4人組の歌唱ユニットである。2008年に私と政子がローズ+リリーとしてデビューした日、私たちは彼女たちの前座を務める形でデビューイベントを行った。そしてこの時、彼女たちが私たちをハグしてくれたので、私たちは随分落ち着けたのである。
 
私たちとXANFUSとの「友情の儀式」で会う度にハグしあうというのは、元を糺すと、その時のことに行き着く。
 
そのELFILIESも2009年の夏頃からは事実上活動休止状態になっていたのだが、2010年11月に△△社に移籍し、マリ&ケイから楽曲を提供するようになってから息を吹き返し、その後ずっと中堅アーティストとして活動してきた。しかし昨年頃から、メンバーの体力的な問題から少し活動ペースを落としていた。
 
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カナエの実家は長野県で温泉旅館を経営しているのだが、2013年春にお祖母さんが病気で倒れ、カナエのお母さんだけでは手が回らず、家を手伝ってくれないかというのを打診していたらしい。またコトハは元々絵が好きで、音楽も好きなのでずっと歌手をしてきたものの、絵の勉強もしたいというのをずっと思っていたらしい。そこに唐突に昨年秋、エミコが結婚したいと言い出したのである。
 
本来は彼女たちは契約で2015年の10月までは恋愛や結婚は禁止されていた。しかしエミコと話し合った津田社長は彼女の希望を認めてあげることにして結果的にELFILIESは解散することになった。
 
それで1月26日、ちょうど篠田その歌の結婚式があった日にELFILIESのラストライブが東京国際パティオ(キャパ5000人)で開かれた。私と政子はその歌の披露宴が終わった後、そちらに駆け付けて、ライブの最後彼女たちに花束を渡してハグし合った。
 
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そして2月23日の結婚式にも出席する。彼女の結婚相手はふつうの会社員さんである。華やかな芸能界で8年弱やってきたエミコがほんとうに普通の会社員の奥さんが務まるだろうかと私は若干不安を感じていたが、結婚式に行って新郎を見て杞憂だったかも知れないと思った。
 
何だか豪快な人である。あまり細かいことは気にしないタイプとみた。ちなみにふたりとも掃除が苦手などと言っていたから、部屋が片付いてなくても文句を言われることはないだろう。
 
新郎は高校・大学とアメフトをやっていたということで体格もガッチリしている。しかし事前にハルカから聞いたのでは殴られたりしたことは一度もないということなのでDVの心配も無さそうで「気は優しくて力持ち」のタイプか。
 
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披露宴にはその元チームメイトが大量に来ていて新郎と一緒にスクラムを組んだりしていたし、一升瓶の一気飲みをしてみせた。(初夜は大丈夫か?)
 
でも凄い偏食で、ふつうの料理が食べられないと言っていた。初めてデートした時、食事が高速のPAの自販機で買ったカップヌードルだったので呆れたなどというエピソードをカナエが暴露していたが、インスタントラーメンとかレトルトカレーに、マクドナルドやロッテリアのハンバーガー・ポテト、お弁当用ミートボール、せいぜい冷凍ピザ・冷凍海老ピラフみたいなものしか食べられず、エミコ自身も「手料理とか頑張らなくて済むみたいなので助かります」と言っていたし、新郎のお母さんまで「こんな偏食だらけの面倒な子を引き受けてもらって助かります。取り敢えず相手が女性だったからホッとした」などと言っていた。
 
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また彼は特殊な機械の技術者で、その関係の仕事で日本国内のみならず韓国や中国、また東南アジアなどにもしょっちゅう出張して留守がちらしい。それでふたりの交際はほとんどメールで進行し、リアルでデートしたのは数えるくらいしかないなどとも言っていた。
 
「まあ、要するに亭主元気で留守がいい、です」
などとエミコは言っていた。
 
「浮気は大丈夫?」
とコトハが訊いていたが
「年間2回までは許してやると言いました」とエミコ。
「その代わり、こちらが浮気したのと同じ回数自分も浮気するからと言われました」と新郎。
 
いいのか?それで? 披露宴の客は冗談だと思ったようだが、半ば本気じゃないかという気がした。最近のカップルはどうもよく分からない。
 
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同じ事務所の歌手で、槇原愛はまだ大学の合格発表前なので万一落ちた場合に他の所を受けるため出てきていなかったが、kazu-manaのあおいは来ていた。相棒のみどりは昨年秋に出産して休養中である。
 
「予定通り、夏くらいには復活できそうですか?」
と私は訊いてみる。
 
「ライブとかはまだ無理かも知れないけど、楽曲制作は行けると思います。赤ちゃんのお世話しながら、あの子、詩を書き留めてるから、私だいぶ曲を付けましたよ」
「それは楽しみだ」
 
「でもみどりの幸せそうな顔を見てたら、私も赤ちゃん産んじゃおうかなという気になってきた」
「あはは、そのあたりは津田さんと相談しないといけませんね」
 
などと笑顔で言っておいたが、内心は、そのまま今度はあおいの妊娠で休業を継続しておいてくれてもいいけどという気分である。
 
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スリファーズは3人とも振袖を着て出席していた。
 
「あまり安っぽい振袖では失礼になるし、かといって新婦よりいいの着てくるわけには行かないし、悩みましたよ」
などと彩夏が言っていた。
 
「君たち大学はどうするの?」
「私は行かなくてもいい、と言ったんですけどねー」と千秋。
「彩夏のお父さんが大学に行くのが歌手を続ける条件、と言うもので」
と春奈。
「それで私だけ大学に行って春奈と千秋は高校出たら専業になる、という線も考えたんですけどね」
と彩夏。
 
「結局、3人で一緒に大学行こうという話になりました」
と春奈。
 
「へー。どこ受けるの?」
「最初**とか**とか言ってたんですが、彩夏のお父さんが、そんな所は大学の内に入らないなんて言うんですよ」
「あはは」
「国立に行けと言われたんですけど、私、そんなの行く頭無いよーと言って」
 
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「結局、A大学を目指そうということになりました」
 
「ああ、いいんじゃない? 一応上位の大学だよ」
「ですよねー。かなり勉強頑張らないと」
「3人そろって合格できなかったらスリファーズ解散の危機です」
 
「それは津田さんも町添さんも青くなる」
「それでゴールデンウィークにライブツアーもせずに、私たち3人、合宿で受験勉強なんですよ」
「わあ、鍛えられそう」
 
「ということで、今年の夏から受験勉強のために休業に入りますけど、合格したら、また曲の提供、お願いします」
 
「うんうん、頑張って」
と私は励ましておいたが、夏から休業ということになると、kazu-manaが予定通り復活しても、スリファーズの負荷が減るなら、何とかなるなという気分である。
 
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私の負荷は綱渡りが続く。
 

2月頭に丸花さんから貝瀬日南が秋穂夢久の作品を歌いたいと直訴してきたのだがという話が来た時(丸花さんの自宅を訪問してお願いしますと言ってきたらしい)、私は自分の作曲負荷をあらためて計算してみた。
 
一昨年、2012年に私に掛かっていた作曲負荷は、作曲から編曲までするもの、作曲のみのもの、編曲のみするものの負荷を4:1:2で計算して300曲相当ほどあった。これは明らかにオーバーフローしていた。
 
ところがそれから結構負荷の軽減が起きていた。ひとつはローズクォーツの編曲を全部下川工房に投げてしまったことである。また、渡部賢一グランドオーケストラのオーケストレーションについても、下川工房の優秀なアレンジャーであるイリヤ(峰川伊梨耶)さんに投げることにした。
 
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この編曲作業の削減で70-80曲相当程度の負荷が減る。それでもまだ過負荷の気がしていた時にELFILIES解散の連絡が入ったのであった。更にパラコンズが活動休止という連絡まで入ってきたので、びっくりしてパラコンズの、のんのに電話してみた。
 
「どうしたの〜? どちらか結婚でもするの?」
「あ、私たち全然恋人居ないよ」
「へー。でもどうして休止なの?」
「疲れちゃったなあ、ということで」
「まあ、パラコンズも7年くらいやってきたしね。じゃリフレッシュ休暇みたいなもの?」
 
「それに近いかなあ。『そのうち』復活するつもりだけど」
「うん。まあ、そのあたりはマイペースでやっていってもいいんじゃない?」
「社長も、私たちの気まぐれはだいたい理解してくれているというか、諦められてるんで、写真週刊誌にスクープされるようなことだけはするな、と言われた」
 
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「あはは。服装もあまり変なの着ないようにね」
「あ、それも言われた!」
 
ということで、パラコンズの分(これはELFILIESの分より重い)が減ってしまったので、結局2014年夏の時点での私の負荷予定は、作曲編曲までするのがKARIONとローズ+リリーで30曲、作曲だけするのがローズクォーツ、kazu-mana, SPS, 槇原愛、花村唯香、Star Kidsで計40曲とスポット20曲程度、ということで負荷比4:1で計算して180曲相当程度となる。これは若干の余裕さえある量である。
 
そういう計算の上で、私は貝瀬の件を受諾することにしたのである。まあ政子がやる気になっていたようだしね! だったら、また全日空のボールペンを新しく1本買っておかなくちゃ!!
 
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ところで私は4月に若葉の妊娠報告に驚いたのだが、私の周囲で昨年から順調に妊娠生活を送っていたのがスイート・ヴァニラズのEliseであった。
 
3月17日(月)。そのEliseが女の赤ちゃんを出産した。予定日は20日だったのだが、少しだけ早い誕生となった。
 
「今日は満月だからね。満月って赤ちゃん産まれやすいというから、きっと、みんな出て行くから私も出なくちゃって思って出てきたんだよ、この子。少々慌てん坊だな」
 
などと、超安産で産んだEliseはお見舞いに駆け付けた私たち(政子・和泉・小風・美空・光帆・音羽)に言った。
 
「名前は決めたんですか?」
「音楽好きになるように、ミューズ、って字は《魅鵜壽》と名付けようかとも思ったんだけど」
と言ってEliseは《命名 魅鵜壽》という紙を見せてくれる。
 
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「へー」
「ヤンキーっぽい」
「ってか本人が自分の名前を書けなかったりして」
 
「徳子(Londa)が絶対やめろって反対したんで、結局、瑞季(みずき)という名前にした」
 
と言ってEliseは書き上げた出生届の書類を見せてくれた。後でEliseの母が提出しに行ってくるらしい。
 
「まあ、母ちゃんにもやめろと言われたしね」
 
「ああ、普通の名前だ」
「その方がいいと思う」
「ミュージックでミズキって、割といいんじゃないですか?」
 
「でも魅鵜壽よりはマシだけど、やはり画数が多いから男の子と間違えられたりして」
「うん。この子が男の子になりたいと思った時も便利だよね」
「いいんですか? そういうの」
「性別なんて自分で選べばいいんだよ」
「ほほぉ」
 
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「だけどLondaさんとそういう話をするんですね。彼氏とは話さなかったんですか?」
「もう縁が切れてるから、口は挟ません。金だけ出してもらえばよい」
「すごい」
「まあ、赤ん坊の顔は見せてやったけどね」
「ほほぉ」
 
「でもLondaさん、ずっと付いてたんでしょ。まるでLondaさんがお父さんみたい」
などと政子が言うと
 
「ああ、それでもいいけどな。でも認知届け出しても却下されそうだ」
とLondaは言っていた。
 
なお、このEliseの第1子の瑞季は後にローズ+リリーのバックバンドも務めたFlower Gardensのベーシストになる子である。(Flower Gardensはギターのランが最年長で2004年生、ミズキが最年少で2014年(2013年度)生である)
 
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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(2)

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