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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(9)

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(C)Eriko Kawaguchi 2013-12-22  
この日の朝、私は政子と一緒にマンションを出た。そして地下鉄の駅まで行き、手を振って別れる。政子は千葉方面行きに乗り、私は逆向きの渋谷方面行きに乗った。渋谷で東急東横線に乗り、菊名で横浜線に乗り換えて、横浜エリーナの最寄り駅で降りた。
 
楽屋で待っている内に、和泉、小風、そしてかなり経ってから美空が来る。4人でステージに出てみた。
 

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「ずっと前さ」
と私は言った。
「いつかKARIONで横浜エリーナやる時は4人で並んで歌おうと言ったよね」
 
ところが和泉が
「そんなこと誰か言ったっけ?」
などという。
 
でも小風が
「高3の時、和泉がそう言った」
と言ってくれた。
 
「そっか」
「やっと4人で並べたね」
と小風が嬉しそうな顔で言う。
 
私たちはしばらく感慨にふけっていた。
 
「取り敢えず蘭子を殴るというのは?」
と小風。
「よし。私いちばーん」
と言って和泉が殴る。痛ーい。
 
「次、私」
と言って小風が殴る。
「ちょっと手加減してよー」
「5年分」
 
最後に美空が殴る。顎に決まって私は思わず転倒した。
 

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公演は13:00開演なので、12:00に入口を開ける。身分証明書などの照合をしながら入場させるから、1万人を入れるのには時間が掛かる。
 
だいたいお客さんが8割くらい入ったところで、私たちはホール後ろ側の小部屋の窓から、客席を見た。ここはこちらの照明を落としていれば客席からこちらは見えない(客電は点いている)。
 
「凄いね」
「1万人って凄いボリュームだね」
「どうかした町の人口より多い」
「すごっ」
「うちの高校の生徒数で言うと40個分かな」
「高校40校分ってこと? 凄いね」
「よし。次は2万人ライブをやろう」
「いいね!」
 
ステージ脇に行く。緞帳は降りている。ちょうど楽屋からトラベリングベルズのメンバーとコーラスに入るVoice of Heart、そしてサポートミュージシャンさんたちが出てくる。今回のツアーで私の代わりにピアノを弾いてくれるのは美野里、ヴァイオリンを弾いてくれるのは夢美である。私が安心して歌に集中できるようにと名乗り出てくれた。
 
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ちなみに美野里は「音大生でも弾けない」と言われた『雪うさぎたち』の間奏ピアノソロ(まるで3本の手で弾いているかのように聞こえる)を恐ろしいことに初見で弾いてしまった。またフルートのサポートには風花が入ってくれている。風花は音楽大学を出て4月から就職先が決まっていたのだが(ゲーム制作会社の音楽スタッフになる予定だった)、3月末で倒産した!と騒いでいたので「取り敢えず手伝って」と言って今回のツアーに引き込んだ。
 
グロッケンを弾くのは和泉たちの大学の時の友人で学内オーケストラでマリンバを打っていた敏(とし)さんである。今回のツアーは土日中心なので、仕事をしていても参加可能だが、何日か会社の都合で出て来られない日については、渡部グランドアーケストラのマリンバ奏者・千鶴さんにお願いすることにしていた(グランド・オーケストラのツアーは5月6日までなのでその後はこちらに参加可能)。彼女はKARIONのデビューキャンペーンの時にグロッケンを弾いてくれた人である。
 
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ちょっと整理。 
 
線香花火(e&a) 野乃干鶴子(Hr/Gl)・松川杏菜(Fl)  中高生オーケストラの人 
ミルクチョコレート 千代子・久留美  KARIONの最初の音源制作のコーラス 
Ozma Dream 珠里亜(G)・美来子(B) KARIONデビューキャンペーンのコーラス 
その他のKARIONデビューキャンペーンの伴奏者 
 千鶴(Gl), 菊乃(Fl), 長丸穂津美(KB), 松村市花(Vn) 
 

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やがて1ベル、2ベルが鳴り、伴奏の音が鳴り始め緞帳が上がる。
 
観客は総立ちになって、大きな拍手と歓声が上がる。『春風の告白』の歌が始まる。そして緞帳が上がった時、観客がステージに並んでいるのを見たのは、左から、こかぜ・いづみ・みそら、の3人がマイクを持って歌っている姿であった。
 
ここに絶対、らんこも並んでいるだろうと多くの観客が思っていただけに歌の最中であるにも関わらず、大きなざわめきが起きた。
 
さて、KARIONのツアーでは毎回様々なテーマに沿ったセットを用意している。『恋愛貴族』を出した時は貴族の邸宅、『大宇宙』を出した時はロケットなどをフィーチャーしたセットだった。特に曲とは関係無く、鍾乳洞のセットにしたり、高層ビル街のセットを組んだこともあった。
 
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今回のツアーではとにかく鐘である。舞台のあちこちに様々なサイズの鐘があふれている。空中にロープが渡され、まるで万国旗のように小さな鐘が沢山連なっているし、ドラムスセットが置かれている台の所にはたくさんの鐘の絵が描かれている。コーラスを担当するVoice of Heartの4人の後ろにはそれぞれ50-60cmの鐘がつり下げられていて、まるで光背のようである。
 
そして美空が歌っている(客席から見て)右側には道成寺のような鐘と鐘撞き棒が設置されている。
 
観客はざわめきながらも手拍子を打ってくれている。やがて『春風の告白』の歌が終わる。手拍子が拍手に変わる。その拍手が少し落ち着くのを待って和泉は「こんにちは!」と言った。
 
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観客も「こんにちは!」と返すが、「らんこちゃん、いないの?」という声が掛かる。するとその声に応えるかのように和泉は、
 
「あれ?何か人数が足りない気がしない?」
と左右を見て言う。
 
「点呼取ってみよう」
と小風。
 
「よし。じゃ、小風から」と和泉が言うので
 
「1」と小風。
「2」と和泉。
「3」と美空。
 
そして「4」とどこからともなく声が。
 
「ちゃんと4人いるじゃん」
と和泉が言う。客席がざわめく。
 
「あれ? 声は4つ聞こえたけど、姿は3つしか見えない気がするよ」
と美空が言う。
 
「そうだっけ?」
「ね、その道成寺みたいな鐘が怪しくない?」
「よし、その鐘、撞いてみよう」
と小風は言うと、鐘撞き棒の所に行き、棒を大きく引くと「せーの」と言って鐘を撞いた。
 
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ゴーンという大きな音と共に鐘が崩れ落ちて、中から蘭子の姿が現れる。(この鐘は提灯のような作りになっていて上から吊っている。その糸を切ると崩れ落ちる)
 
それとともに拍手と歓声が沸き起こる。
 
「らんこ、そんな所で何してんの?」と小風。
「ここで歌ってたよ」と私。
 
「隠れてないで、ちゃんとお客さんに見える所で歌いなよ」
「うん、そうする」
「恥ずかしがり屋にも限度があるよ」
「何か純情な女の子の心を傷つけたからその罰で隠れて歌えと言われた気がするんだけど」
「もう刑期終了だね」
 
というやりとりに客席から笑い声が起きる。縮んだ鐘と鐘撞き棒がスタッフにより片付けられる。
 
そして改めて4人で並ぶ。左から、こかぜ・いづみ・らんこ・みそらの順である。そして4人で一緒にあらためて「こんにちは。KARIONです!」と言った。
 
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大きな拍手とともに「いずみーん」「みそっちー/みそりーん」、「かぜぼう/こかちゃーん」などというコールとともに「らんらーん」などというコールも聞こえてきて、私は胸が熱くなった。
 

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和泉はふつうにMCをする。
 
「今日の公演にAYAちゃんから崎陽軒のシュウマイを4箱差し入れてもらったのですが、美空が3箱食べて、残りの1箱を小風・蘭子と私で分けて食べました」
 
すると小風が
「東日本大震災の直後に大阪で東北支援ライブやった時は、青島リンナさんから551の豚まん4個差し入れしてもらったけど、私と和泉・蘭子は半分ずつ食べて、美空が2個半食べたね」
と補足して、美空の食欲をよく知っている観客から爆笑が起きる。
 
しかしこれで2011年頃も私が和泉たちと一緒に行動していたことを明かしたことになった。この支援ライブは2011年3月17日にしたものだが、私は翌日は佐賀県の伊万里でローズクォーツのライブをやっていて九州に移動する途中大阪に寄りKARIONのライブに参加している。
 
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しばらく話した後で「それでは最新シングルから『四つの鐘』を歌います」と言うと、大きな拍手が来る。
 
4人がそれぞれハンドベルを持つ。そしてそのベルを鳴らしながら声を出す。美空が「ドー」と歌い、小風が「ミー」と歌い、私が「ソー」と歌い、和泉が「ドー」と歌う。そして伴奏が始まり、4人で歌い出す。4人のハーモニーが美しく響く。1サビの所では逆に和泉→私→小風→美空の順で
 
「谷間にー」「幸せのー」「鐘がー」「響くー」
と声を出す。美空が「響く」を歌うまで、和泉も私も小風もプレス無しで声を伸ばしていて、美空の声が加わることで四和音が完成する。肺活量を要求する部分だが、これを無理なくできるのがKARIONである。
 
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最後は敏さんのグロッケンの音が美しく響く中、私たちも四和音でスケール的に歌っていく。ドミソド→レファラレ→ミソシミ→ファラドファ→ファソシレ→ドミソド と美しく終止した。
 
大きな拍手とともに、4人のそれぞれの名前のコール。私たちはその歓声と拍手にしばし応えた。
 

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その次は『ビートルズのように』を演奏するが、ここでは伴奏陣はお休みして、KARIONの4人で楽器を持った。
 
和泉がリードギター(Squire Stratocaster)、小風がリズムギター(Fujigen EOS-ASH/STR)、美空がベース(Fender JB62/FRD)、そして私はDAIに席を譲ってもらってドラムスを打つ。
 
ビートルズはベースのポールとリズムギターのジョンがメインボーカルなのでこの曲では小風がリードボーカルを務め、美空がサブボーカルとなり、私と和泉はふたりの声にハーモニーを付ける形で歌った。小風は普段はメゾソプラノ又はアルトのパートを歌っているが、合唱団などなら充分ソプラノを歌える程度まで高音が出る。CDでは普通にKARIONのいつものパート割で歌っているので、この「こかぜバージョン」は小風のファンにはちょっと嬉しいアレンジだったようである。
 
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その後、楽器を置いてふつうにまた4人、マイクの所に並び、最新シングルの中の曲『時空を越える恋』『NEWS』を歌った。
 

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その後、更に昨年秋に出したシングルの中から『雪のフーガ』を演奏するが、この曲の前奏と間奏にあるフルート三重奏は、サポートに入ってくれているフルート奏者の風花と私と、もうひとりは私の従姪で中学3年生の今田七美花に吹いてもらった。今日はシックな白いドレスを着ているし舞台度胸があるので、全然中学生には見えない(民謡の大会でもしばしば19歳くらいかと思われてしまうようである)。
 
彼女は槇原愛・篠崎マイの妹で、お母さんの友見より尺八が上手いが、フルートもひじょうに上手い。この当時は若山海音雀を名乗っていたが、ずっと後に「二代目・若山鶴乃」を襲名する子である。正直、槇原愛と篠崎マイが民謡の道に進まなかったのは、この妹がいたからではないかと私は思っている。*田*央を妹に持つ*田舞の気分だ。
 
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七美花は4月頭から風花とも一緒にトラベリングベルズの練習に参加してもらっていたのだが、姉の篠崎マイのデビューの話は全然知らなかったといってびっくりしていた。
 
続いて『月に思う』を演奏する。この曲にはサックス三重奏が入っているのだが、これはSHINと私と七美花で吹いた。七美花はクラリネットやトロンボーンにトランペットも吹きこなす。管楽器は大好きと本人も言っている。中学では吹奏楽部に入っているが、中1の時に大会に出てトランペットソロを吹いたらプロじゃないかと疑われて審議されたなどというエピソードがある。
 
その後は五周年アルバムの曲を演奏する。
 
『天女の舞』『月虹』『恋のスカイダイビング』『僕の愛の全て』『君が欲しい』
と歌うが、『僕の愛の全て』に入るストリングセクションについては、和泉たちが出たM大学の弦楽部の有志(一部OB)で臨時編成した《カンパーナ・ダルキ》が演奏してくれた。ツアー全部に付き合ってくれるが、参加できるメンバーは日替わりで、人数は4〜6人になる見込みということだった。《カンパーナ・ダルキ》は「弦の鐘」というネーミングだが、直訳なら《弓の鐘》である。イタリア語では弦楽四重奏を《カルテット・ダルキ:弓の四重奏》という言い方をする。
 
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前半の最後は『アメノウズメ』を元気よく歌った。この演奏では夢美がヴァイオリンを休んで美野里とふたりでキーボードを弾いた。ふたりとも上下2段左右で4台のキーボードを並べて演奏していた。またこの『アメノウズメ』では演出でレーザー光線がビュンビュン飛び回っていた。
 

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■夏の日の想い出・1羽の鳥が増える(9)

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