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■夏の日の想い出・港のヨーコ(6)

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ドーム公演の翌日月曜日の朝、若葉がその日はひとりでうちを訪問してきた。
 
「冬、これ出来たよ」
と言って◎◎女子高校の制服を渡してくれる。
 
「ありがとー。助かる。これで偽装工作がしやすくなる」
 
若葉は自分の予備の制服を作るという名目で◎◎女子高校の制服を作り(お金は私が出した)、それを私に貸してくれるのである。これで「入れ替わり」が楽になる。
 
私が部屋でその制服を試着していたら、母がお茶を持って入って来た。
 
「若葉ちゃん、いつも色々冬のためにしてくれていてありがとうね」
と母は言ったっきり、ポカーンとして私達の方を見ている。
 
「一瞬、どちらが若葉ちゃんでどちらが冬か分からなかった」
「若葉もけっこう背丈あるから、今私がこういう髪型にしてると分からないよね」
と言って私は微笑む。
 
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「でもその制服は?」
「あ、若葉に頼んで作ってもらった」
「もしかして、あんた◎◎女子高に転校するの?」
 
「まさか。女子高なんだから、入れてくれる訳無い」
と私は言うが
「冬が入れてくださいと言いに行ったら、入れてくれる可能性は結構ある気がする」
 
と若葉は言った。
 
「実際うちの系列の◎◎女子短大には、性転換して女の子になった学生を受け入れたことあるんだよ。その人は20歳過ぎてもう戸籍上の性別も女に変更していたんだけどね」
「へー」
 
「当時学内でかなり議論して、本人がどう見ても女にしか見えなかったこともあって受け入れを決めたらしい。冬も性転換手術しちゃえば、冬の外見だもん。戸籍の性別がまだ変更されていなくても、受け入れてくれる可能性はあるよ。政子さんも一緒にふたりで転校してきたら?」
 
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「あんた、そうする? あの騒ぎで学校からもまだ登校を控えていてくれと言われてるんでしょ? いっそ違う学校に行った方が落ち着いて勉強できるかも」
 
私はどう返事していいか困って、取り敢えず笑っておいた。
 

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その日の晩、政子のお母さんから私の携帯に電話が掛かってきた。
 
「今、政子が寝ているのでその隙に」
などと言っている。
 
「どうしました?」
「私、あの子が心配で心配で。冬ちゃんや秋月さん、それからホウジュさんっておっしゃる方が時々電話してくださるんですが・・・」
「ああ。フルートの先輩なんですよ」
と私は宝珠七星さんについて、凄まじく簡単な説明をする。
 
「へー。それで電話掛けてきてくださった方と話している時はあの子も明るい表情で会話しているんですが、いったん電話が終わると、凄く暗い顔して、何だか声を掛けられないんです」
 
私は電話している時の政子の反応から、精神的にかなり回復してきているものと思い込んでいたのだが、どうも実態は違うようだ。
 
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「それでずっと詩を書いているんですが、その詩が物凄く暗くて」
「どんな感じの詩なんですか?」
「ちょっと見て頂いてもいいですか?」
「はい。それじゃうちの家電の方にFAXを」
 
「私これ最後まで読めなかったんです」
と言ってお母さんはFAXしてくる。
 
私は一応最後まで読んだが、お母さんに言われたので最初から覚悟して少し心の防御をしていたから何とか読めたほど暗い詩だった。無防備にこんな詩を読んでしまったら数日立ち直れない気がする。
 
「私、あの子、自殺したりしないだろうかと心配で。秋月さんが家中の刃物類を全部鍵の掛かる引出に移してくれていたので、私も包丁などを使う時はそこから出して使ったらすぐそこに戻すように気をつけているのですが」
 
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「ちょっとそちらにお伺いして良いですか? 今から」
「今から!? ええ。来てくださるんでしたら大歓迎です」
 

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それで私は黒尽くめの服装に着替え、念のためと思い、自分の学校の女子制服と◎◎女子高校の制服を黒いリュックに入れて背負い、裏の崖から家を脱出。タクシーで政子の家の裏手まで行き、お母さんにメールした上で、庭から進入して勝手口から中に入れてもらった。
 
政子の部屋に行く。キスした。1分近くキスしていたら政子が目を覚ます。
「あれ? これ夢かな?」
「そうだよ。夢だから、ふっと消えちゃうかもね」
 
「ふーん。。。。夢だったら好きなこともしていいんだろうか」
「夢だから気持ち良くしてあげるよ」
 
それで私は政子のベッドの中に入り、しっかり抱きしめた上で政子がとても気持ち良くなるようにしてあげた。
 
「やっぱりこれ夢だ。冬がこんなHなことする訳無いもん」
「夢の中の私だから、おっぱいあるし、おちんちん無いよ」
 
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「どれどれ・・・ほんとだ。おっぱい、これBカップくらいありそう。でもブレストフォームじゃなくて、生の感触だし、おまたも・・・おちんちん、付いてないね」
 
「ちょっと辛いなと思ったら、私に電話するといいよ」
「やはり夢だな。冬が自分のこと『私』と言うわけないし」
 
「私はマーサの心の中にいる冬だよ。私はいつもここにいるから、寂しい気がしたら自分の心の中にいる私を思い出して」
「うん。ありがとう」
 
「心のマッサージをしてあげる。マーサが少しでも気持ちを楽にできるように」
「心のマッサージって、心臓マッサージ?」
 
「違うよ。でもちょっと近いかも」
と言って、私は政子の乳首を指で刺激してあげる。
 
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「やっぱり夢だ。冬がこんなことしてくれるなんて」
「お客さん、凝ってるところはありませんか?」
「背中とか内股もいいかなあ」
 
それで1時間くらい掛けて、身体のあちこちを触り、政子を気持ちよくさせてあげた。政子は涙を流していたので「たくさん泣くといいよ」と言ったら本当にたくさん泣いていた。
 
「泣いたら少し気持ち楽になった気がする」
「良かったね。もっと気持ちよくしてあげるから、眠くなったら寝ていいからね」
「うん」
 
それで再度政子の敏感な部分を刺激してあげたら、しばらく恍惚な表情をしていてやがて、ピークを過ぎたかなという所で眠ってしまった。
 
私は唇にキスした後、服を着て政子の家を出た。
 
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裏手の大通りまで行く。時計を見るとまだ4時。まだ真っ暗だ。街灯の明かりでメールする。それからビル陰で自分の高校の女子制服に着替えてしまった。メールの返信は夜が明けてからだろうと思ったのに5分もしないうちに返信がある。それでタクシーを呼び、私は行き先を告げた。
 
まだ5時で玄関でベルを鳴らすのがためらわれたのでメールをしたら開けて中に入れてくれた。
 
「非常識な時間に申し訳ありません」
「いや、全然大丈夫。この仕事は24時間勤務だから」
「ほんとに大変みたいですね。加藤課長とかいつ寝ておられるんだろう?と思いますが、町添部長は多分それ以上ですよね」
 
「まあ課長の3倍働かなきゃ取締役はできない」
「それは凄いです」
 
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「そうそう。ここまで来るのタクシー代かかったでしょう?」
と言って町添さんは1万円札を渡そうとしたが、私は
「経費で落としますから大丈夫です」
と言って、謝絶した。
 
「ああ、税金が大変だよね」
「昨年はKARIONだけで500万円ほど収入が発生しています。ローズ+リリーのは1000万円以上頂いていたのですが、須藤さんが使っていたExcelの計算式が間違っていたというので、場合によっては少し返金してもらえないかと言われていて、とにかく確定申告しないといけないから、金額だけでも確定してくれと申し入れています」
 
「あはは、本当にアバウトな人だね」
「億単位になるアーティストをマネージングした経験が無かったみたいです」
「まあ、売上数十万円なら適当な計算でもいいだろうけどね」
「そんな感じです」
 
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(この件は結局払ってしまった分はそのまま確定させると△△社から言われた。本来の倍もらってしまっていたようである。私と政子が1000万円ずつもらった前提でツアー中止に伴う「迷惑料」を既に△△社・○○プロに200万円ずつ支払っているので、今更大元の収入が間違っていたとなると、政子の父が激怒するのは確実。それで計算間違いによる損害1000万円は結局△△社がかぶることにしたようである)
 
「でも、君もしかして《ヨーコージ》の方の収入の方が多かったりして?」
「まあ、昨年の場合、KARIONとローズ+リリーを合わせた額より多いですね。今年はどうなるか分かりませんが」
 
「税金の計算は税理士さんか何かに頼んでいるの?」
「とある事務所の経理の方に計算してもらっています。やり方は教えてもらったので自分でも計算できますけど、小学生や中学生が計算したいうのでは税務署が信用してくれないので」
「ああ、なるほどね」
 
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「そうだ。KARION の新しい音源聴いたけど、絶好調じゃん。超絶技巧してるし」
「そうですね。ちょっとストレス解消に使わせてもらいました」
 
「ああ、確かに良いストレス解消かもね」
「でも通常の精神状態ででも演奏できなきゃまずい、というので年末年始随分あれ自宅で練習してました」
「なるほど」
 
「ただ。私のようにストレス解消の手段を持っていないマリのことが心配で」
と私は本題に入る。
 
「ああ。でも秋月の話では、電話で話したりする感じではだいぶ元気になってきていると」
 
「そうなんです。私もそう思っていたのですが、私や秋月さんなどと電話している時は割と元気なのに、ひとりになると、物凄く暗い顔していると、お母さんから相談があったので、実は今夜、夜中に政子の家まで行ってきたんです」
 
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「なるほど。そういうことか。だったら、秋月をある程度の頻度で訪問させるようにしようか」
「可能でしたら、お願いします。あの子、友だちが居ないので。電話しているのも、私と秋月さんと、後は11月のツアーで伴奏してくださった女性サックス奏者の方と3人だけのようなんです。クラスメイトの子に頼んで電話とか掛けてもらったんですが、会話が続かないらしくて」
 
「ちょっと心配だね」
「お母さんは自殺でもしたりしないだろうかと不安がっていて。家中の刃物とかを鍵の掛かる引出に入れているみたいです。自殺とかするような子ではないとは思うんですけどね。でもあの落ち込み用は尋常ではないので」
 
「どうしたものかねぇ」
「学校に出て行けるようになったら、少し気分も変わるのでしょうけど、今の段階では、学校には出て行くのも恥ずかしいとか言っているんですよ」
「ああ」
 
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「それでちょっと1度、外出させてみようかと思っているんですが」
「どこか良い気分転換になりそうな場所ある?」
「1ヶ所、使えるかも知れないという場所があります。それでその件で少し協力頂けたらと思っているのですが」
 
「うん。こちらで出来ることなら協力するよ。家の周囲の記者はどう?」
「まだ各々数人頑張ってます。あの人たち給料出てるんですかね?ひたすら何か起きないか見てる感じですが」
 
「スクープが取れたら高く買ってもらえるというので待機しているフリーの記者たちだろうね。そもそも仕事が無いから、家に居てもここに居ても同じという感じで取り敢えず来ているだけだと思うよ」
 
「何かテンション低いみたいだから、裏からならそっと出せると思います。私もそれで今夜出てきましたし」
 
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「なるほどねー。あと1週間くらいもしたら完全に居なくなるかも知れないしね」
「ええ」
 

KARIONは12月下旬に5枚目のシングル『優視線/広すぎる教室』の音源製作をしたのだが、2月にはアルバムの制作を予定していて、1月、私は自宅でその作曲も手がけていた。『みんなの歌』というタイトルで、秋に開催した《KARIONに歌わせたい歌詞コンテスト》の2位から20位までになった物に加えて、1位の櫛紀香さんに新たに書いてもらった詩、合わせて20個(CDの最大収録時間80分=4分×20曲の計算で各曲を3:55以内をメドに制作)に曲を付けて公開しようという企画である。
 
その20曲を最初、10曲ずつ、TAKAOさん(相沢さん)と水沢歌月とで分担して曲を付けようと言っていたのだが、TAKAOさんは早々に音を上げて、結局福留彰さんが2曲、『鏡の国』や『トライアングル』を書いた花畑恵三さんが2曲、『積乱雲』を書いた醍醐春海さんが1曲、『小人たちの祭』の作曲者・東郷誠一先生が1曲(実際には恐らくお弟子さんの作品)書いてくれて、TAKAOさんの曲は4曲に留まっている。森之和泉+水沢歌月のペア(このアルバムだけは作曲:森之和泉+水沢歌月というクレジット。実際和泉と相談の上でかなり譜面の調整をしているし、伴奏譜は手分けして作成した)が当初の約束通り10曲書いて出したら
「1ヶ月弱で10曲も書けるって信じられん」
などと言っていた。
 
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「作曲って、けっこう時間掛かるもんなんですか?」
と和泉がTAKAOさんに訊く。
 
「だいたいコンペとかに盛んに応募するようなセミプロ作家の場合で1曲1週間くらい掛けている。ただそれは発想が得られてからだから、それ以前の時間を入れると1曲半月と考えていい。僕はアバウトだから書き始めてから3日くらいで作品に仕上げるけど、その前の発想を得るのに、やはり今回平均3〜4日ほど掛かったよ」
 
「へー! そうだったのか。水沢歌月は詩を渡すと、目の前でさらさらと10分か20分くらいで曲を書いちゃうんですよね。忙しい時でも翌日か翌々日くらいには曲を付けて返してくれますよ」
 
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■夏の日の想い出・港のヨーコ(6)

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