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■夏の日の想い出・アイドルを探せ(11)

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今回のライブでは1stから3rdまでのシングルに含まれる曲9曲と、アルバム収録曲12曲の合計21曲を演奏する。そしてアンコールで『空を飛びたい』、セカンドアンコールで『Crystal Tunes』という構成である。
 
幕間のゲストには、∴∴ミュージックに適当な歌手が居ないので★★レコードに相談したら、Parking Serviceを推薦された。私はそれを当日知って、ギャッと思った。それで当日、白浜さんに連れられてParking Serviceの6人がやってくる。彼女たちは私を見て「あ、洋子ちゃんだー」と言う。私は会釈した。
 
私は彼女たちのバックコーラスも結構していたのである。
 
白浜さんが
「洋子ちゃんは、ここで何やってるの?」
と訊くので
「今日はキーボード奏者です」
と答えるのだが、小風が
「蘭子はKARIONのメンバーですよ」
と言う。
 
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「あ、もうデビューしちゃったんだ?」
と白浜さん。
 
「してません。音源製作には参加しましたが」
と私。
「お父さんとの交渉が進んでないらしくて契約ができないんですよー。でも、本人も私たちも、KARIONのひとりと思ってます」
 
「じゃ、準メンバーという感じか」
「実質そんな感じかな」
 
「今うちの事務所で XANFUS(ザンファス) というプロジェクトを進めてるんだよ。3-4人くらいのユニットでね。10月くらいにメジャーデビューの予定なんだけど」
「へー」
 
「洋子ちゃんも誘えないかと思って、こないだから何度か自宅にも電話したんだけど、全然捕まえられなくて」
と白浜さんが言う。
 
「すみませーん。私まだ契約とかができない状態ですけど、契約できるようになったら、∴∴ミュージックさんと契約するつもりなので」
 
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和泉が私の頭をよしよしとする。
 
「そっかー。残念。今最終候補に挙がっている3人が凄く歌がうまいけど洋子ちゃんは格が違うから、確保できたらメインボーカル・リーダーに据えようと思っていたんだけど」
「ごめんなさーい」
 
そういう訳で当時XANFUSは3-4人の予定で進んでいたのだが、当時光帆は候補者だったものの音羽はまだ入っていなかった。しかしその後、2人脱落してから音羽を入れて2人でデビューに至るのである。
 

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ライブでは、前半は出たばかりのアルバム先行カットCDタイトル曲『サダメ』
に始まり『Snow Squall in Summer』、直前の通常シングルの曲『夏の砂浜』
『積乱雲』『Diamond Dust』と歌い、更に9月発売予定のアルバムの曲を5曲歌う。私は先週の名古屋でのキャンペーンと同様、ヘッドセットを付けてキーボードを弾きながら、自分のパートを歌っていた。今日は全て4声アレンジの譜面を使用している(5声の曲以外)。前半最後の曲は少女A作詞少女B作曲の『Gold Dreamer』であった。
 
ここでゲストコーナーとなり、Parking Service の6人が、おなじみの女性警官風のコスプレで登場。彼女たちの持ち歌を3曲歌った(普段は口パクなのだが、この日はちゃんと歌った)。
 
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その後、衣装替えをしたKARIONが再登場。サウザンズの樟南さんから提供された『Shipはすぐ来る』で後半スタート。更にアルバムの中の曲を4曲歌い、2ndシングルの曲『風の色』『丘の向こう』『トライアングル』、デビューシングルの曲『幸せな鐘の調べ』『小人たちの祭』と歌って最後は『鏡の国』である。
 
今日はコーラス隊は女子中学生4人が入っているのだが、『トライアングル』
など、いくつかある5声の曲では、その中のリーダー格のAちゃんが前面に出て行き、メインボーカルに加わった。
 
そういう「後ろで演奏している誰かが前面に出ていく」場面を充分見せておいた上で、最後の『鏡の国』では、私がキーボードを離れて前面に出ていく。ヘッドセットはキーボードの所に置いて、代わりに和泉たち同様スタンドを使用する。ここまで何度かAちゃんが使っていたマイクである。
 
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この時、私たちは用意していたこの曲用の衣装をかぶる。全員縦に2色並ぶ配色である。和泉は左に青・右に黄、私は左に黄・右に青、小風は左に赤・右に白、美空は左に白・右に赤。
 
すると、小風・和泉・私・美空と並んだ時に、左からも右からも赤・白・青・黄と色がならび、きれいな左右対称になる。思わず歓声があがる。
 
そしてこの状態で最後の曲『鏡の国』を歌ったのである。
 
これで幕が下りた。
 

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アンコールの拍手で幕が上がる。お色直しはしていない。後半を歌った衣装のままである(『鏡の国』でかぶった服を脱いだだけ)。
 
小風・和泉・美空の3人が前に並ぶ。後ろには私だけが残りキーボードの所にいる。和泉がアンコールの御礼を言い、私のキーボード伴奏で『空を飛びたい』
を歌う。私はキーボードを弾きながらヘッドセットマイクでの参加である。
 
歌い終わると拍手がそのままアンコールの拍手になる。それで和泉が最後の挨拶をして
「ほんとに最後の曲『Crystal Tunes』」
と言うと拍手。グロッケン奏者さんが入って来て位置に付き、私は電子キーボードからグランドピアノに移る。
 
そしてグロッケンとピアノの伴奏でこの曲を歌う。
 
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リズム楽器は使わない。透き通ったピアノとグロッケンの音に、透き通った和泉の声が響き、それに私と小風と美空がハーモニーを付ける。
 
KARIONの初ホールライブは、この美しいチューンで幕を閉じた。
 

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休憩用に確保しているホテルに入ってシャワーを浴び、4人とも少し仮眠した。アルバムの制作作業が前日の18日にやっと終わった所で疲れが溜まっているのである。
 
1時間ほどで目を覚ます。私は和泉と同室、小風と美空が同室だが、小風たちもこちらの部屋に来てしばしおしゃべりする。
 
私はこの日初めて、小風と美空に、自分が近い内に別の子と組んでデュオでデビューを目指すことを話した(畠山さんと和泉には既に話しているがふたりにも自分から話したいから言わないでくれと言っておいた)。
 
「デモ音源の録音は済ませているんだけど、こちらのアルバム制作とかしていたから、ミクシング作業がまだなんだよね。近い内にまとめて、みんなにも聞かせる」
 
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小風が難しい顔をして聞いていたが、和泉が
 
「でも冬はそちらもやるけど、KARIONもやってもらうから」
と言うと、小風も少しだけ表情を和らげて
 
「こちらを辞めるという話でなければ問題無い」
と言ってくれた。
 
「私はミクシング前のものを聞いたけど、まあ面白いデュオだと思う」
と和泉。
 
「相手の子は上手な子?」
と美空。
 
「下手だね」
と和泉。
 
「なぜそんな子と?」
と美空が訊くが
「上手な子と歌うならKARIONでいいんじゃないかな、きっと」
と和泉が答えてしまう。
 
「ああ、何となく意図が分かった。その子、輝く子でしょ?」
と小風。
 
「うん。それもあるけど、私の共同作業者なんだよ、作曲の。彼女が主として詩を書き、私が主として曲を書くんだけど、せっかくだから作った2人で歌おうというのがコンセプト」
と私。
 
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「だから、私とは二重のライバルだね。歌手としても作曲ペアとしても」
と和泉。
 
「和泉、曲を作るんだっけ?」
と小風が不思議そうに訊く。
 
「実は『Crystal Tunes』とか『空を飛びたい』を書いた少女A,少女Bというのは、私と冬なんだよ」
 
「えーーーー!?」
と小風が驚愕する。
 
でも美空は「ふーん」という感じの顔だ。それで小風が訊く。
「美空は知ってたの?」
 
「知らなかったけど、もしかしたらそうかもと思ってた」
と美空。
 
「私は思いも寄らなかったよ」
と小風。
(畠山さんも9月に私と和泉が言うまで全然思いも寄らなかったらしい)
 
「だったら、ますます冬を手放す訳にはいかないな」
と小風。
 
「恐らく数年後には、少女A,少女Bの作品って KARIONの中核になるよ」
 
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と小風は言ったのだが、実際にはほんの2ヶ月後には中核に据えられることになる。
 
「でも、少女A,少女B という名前は酷すぎる。もう少しまともな名前にしようよ」
と美空が言う。
 
「よし、それでは私が名前付けてあげるよ」
と小風。
 
小風はこういう名前を付けるのとか言葉遊びの類いが大好きである。
 
「作詞が和泉?」
「うん。私が少女Aで、冬が少女B」
 
「じゃ、和泉は森之和泉(もりのいずみ)だな」
「ひっどーい」
 
と和泉は抗議したが、結局それで定着してしまう。
 
「少女A,少女Bって、曲先?詞先?」
「だいたい詞先だよ」
 
「じゃ、やはりこれでいいな。森の中の泉から水が湧き出す。そして沢になる。だから、冬は水沢という名前がいい」
 
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「ほほぉ」
「決めた。水沢歌月(みずさわかげつ)だ」
 
「どこから《歌月》というのが?」
 
「森の中の泉から水がわき出て沢となり、そうして歌が get される」
 
「get から月(げつ)?」
「そうそう」
と小風は楽しそうだ。
 
「由来の経緯を聞いてなかったら、単になんか格好良い名前に聞こえる」
 
「ということで、少女Aさんは森之和泉、少女Bさんは水沢歌月ということで」
と小風が言い、美空がパチパチパチと拍手をした。
 
私と和泉は顔を見合わせて溜息を付いた。
 

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「そうだ。姓名判断してみよう」
と言って、小風は携帯で姓名判断サイトにアクセスする。
 
「森之和泉は天格15○地格17○人格11◎外格21◎総格32◎。大吉だね」
「ほほお」
「水沢歌月は天格11◎地格18○人格21◎外格8◎総格29◎。大吉」
「へー」
 
「森之和泉水沢歌月と並べると61画。これも良い画数だね」
「ふむふむ」
 
「でも、並べる時に森之和泉・水沢歌月と、間に点を打ってしまうと62画になって良くない」
「点じゃないもので繋げば?」
「+(プラス)がいいな」
「ああ」
「森之和泉+水沢歌月なら63画で吉」
 
「よし、それで行こう」
と美空が言って、結局小風と美空のふたりで、そのあたりを決めてしまった。
 
「でも冬はどっちみち性別問題を決着させないと」
「うん。そちらのユニットのデビューの時点で私の性別は明らかにするつもりだから。ただ、私がKARIONの準メンバーと思われていると迷惑が掛からないかと心配で」
 
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「私は大丈夫だと思うけどなぁ。最初から言ってるけど」
と小風。
 
「同じく」
と美空。
 
「何ならデビュー前に性転換手術済ませておけばいい」
「いや、私は手術済んでいるのではという気がしてたんだけど」
「ごめん。まだ済んでない」
「冬、先に手術してしまえばお父さんにも言わざるを得なくなるのでは」
「手術先行賛成」
 

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ホテルには20時すぎまで滞在して、地下鉄で新大阪駅まで行き、最終の新幹線で東京に帰還、中央線で各自の比較的近くの駅まで行き、その後は各々タクシーで帰還した。
 
翌日は東京公演である。基本的には昨日と同じ形の進行だが、若干曲順の入替えがあった。公演直前、ステージに向かおうとしていた私たちを畠山さんが呼び止める。
 
「昨日発表したかったんだけど、レコード会社とかとの折衝に時間が掛かってね。今朝やっとOKの返事をもらえたんだよ」
 
「何ですか?」
 
「《KARIONに歌わせたい歌詞コンテスト》というのを開く」
「へー」
 
「コンペみたいなものですか?」
「似たようなものだけど、歌詞だけだし、誰でも応募できるようにするから」
「どのくらい採用するんですか?」
 
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「うちとレコード会社のスタッフとで共同で審査して、上位10個か20個くらいを公開して、ネット投票してもらう」
「ネット投票は票操作が・・・」
「それも愛嬌ということで」
「割り切ってればいいかもね」
 
「1位になった詩を次のシングルに採用し、公開までしたものはアルバムで採用する。1位は賞金10万円、公開した入選作は賞金1万円」
「へー」
「入選一歩手前の人にも図書カードを贈ろうと」
 
「良心的ですね」
「この業界、ほんとに非道いコンペもありますからね」
「うん。あれで若くて素晴らしい才能持っている人たちが浪費されている」
 
「まあ、コンペに限らず、非道い会社が多いのがこの業界」
「確かにそうだ」
 
「ということで、その発表原稿書いたから、これ前半最後の曲を歌う前のMCで発表してくれない?」
と畠山さんが和泉にメモを渡すので
「分かりました」
と和泉は答えて受け取り、それでみんなでステージの方へ行った。
 
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