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■夏の日の想い出・アイドルを探せ(8)

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「でも、みんな仕事じゃなくて沖縄に来たのは何度目?」
と和泉が話題を変える。
 
「私幼稚園の頃連れて来られたらしいけど覚えてない」
と美空。
 
「私は初めて」
と小風。
 
「私は中学1年の時に商店街の福引きで沖縄旅行が当たって」
と和泉。
 
「おお、凄い」
 
「私は仕事以外では来たことないや」
と私が言うと
「仕事では何度?」
と訊かれる。
 
「ビデオ撮影で1回と、バックダンサーで5回かな」
 
「それって、もしかして、ここ数年毎年来てるとか?」
「でも今年はやらないんだよ。それでああ、今年は沖縄に行けないのか、と思ってたら、これが入った」
 
「すごいな」
「ビデオ撮影って何撮ったの?」
 
「ふふふ。私、それ知ってるもんねー」
と小風が言う。
 
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「うーん」
「可愛いビキニの水着をつけて、男の人に抱きしめられて。私も実物は見てないんだけどね」
 
「まさかAV?」
 
「もう、わざわざ誤解されるような言い方しないでよ」
「何かのイメージビデオ?」
 
「そうそう。小学生の頃だから、胸とかもまだ無かったし」
 
「ちょっと待て。今は胸あるの?」
「あ、しまった」
 

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ビーチでのキャンペーンライブは和泉・美空・小風が(ビキニではないものの)水着を着て演奏した。(ついでに私も水着を着るはめになって「ほんとにバストある〜」と指摘された) 水着効果もあったかも知れないが、けっこう海水浴客が集まってきてくれて、盛り上がったライブになった。
 
(小風の「前面で歌え」の指示は例によって無視した)
 
三島さんが和泉・美空・小風の写真入りパンフレット(公式サイトURL・QRコード付き)を頑張って配ったこともあり、プロモーションビデオの表示回数がかなり上昇していた。
 
ビーチの後は、冷たいシャワーで身体の火照りを冷ましてから、那覇近郊のショッピングモールに移動する。A&Wのハンバーガーでお昼にした後、演奏場所の催し場に行く。マイクの音量チェックは和泉に任せて、こちらは例によってエレクトーンにデータをロードし、音を確認した上でヴァイオリンの調弦もする。午前中炎天下に持ち出したのでさすがに音が狂っている。調整し直す。
 
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そして畠山さんの司会で演奏が始まる。
 
『夏の砂浜』『幸せな鐘の調べ』『Snow Squall in Summer』『風の色』と演奏していく。そして最後から2番目の曲『積乱雲』を演奏していた時のことだった。
 
催し場の天井(吹き抜けなので3階の天井)に吊ってあった巨大な人形が突然落ちてきて、私の目の前、エレクトーンを直撃した。
 
さすがに後ろに飛び退いた(反射神経が良いと後で褒められた)が、重みがあるし、勢いも付いているのでそのままエレクトーンを倒してしまう。
 
演奏が中断した。
 

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私は思わず小風を見た。楽器が壊れたら私が前で歌うのではなんて言ってたけど、まさかね? でも小風も慌てて首を振っている。
 
お店の人が飛んでくる。
 
「お怪我はありませんか?」
「大丈夫です。でも楽器が・・・」
 
「今起こしますね」
と言って、男の人3人がかりで倒れているエレクトーンを起こした。
 
「鳴ります?」
 
私は鍵盤を押してみたが何も音が出ない。
 
「出ませんね。そもそもスイッチ入らない」
「電源が抜けたかな?」
 
と言って、お店の人が電源をチェックするも、異常箇所が見つからない。
 
「楽器の内部で断線したのかも」
「うーん」
 
その時、小風が
「あ、ヴァイオリンが!」
と声を立てた。
 
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私は間奏でエレクトーンを自動演奏にしてヴァイオリンでソロを入れるので、エレクトーンの上にヴァイオリンと弓を置いていたのだが・・・
 
「折れてる!」
 
お店の人の顔色が変わる。ヴァイオリンというのが、とても高い楽器であることは一般にも知られている。
 
そのヴァイオリンのネックが完璧に折れていた。糸巻きも2個破損しているがこれは大したことはない。
 
「このバイオリン高いです?」
とお店の人。
 
小風が
「それ1500万円だよね?」
と言うと
 
「えーーー!?」
とお店の人は絶句して、顔色が蒼白になっている。
 
「大丈夫だよ。今日は炎天下のビーチで弾くから、いつもの《Rosmarin》じゃなくて、《Flora》の方を持って来ていたから」
 
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「あ、これ高いヴァイオリンじゃないんだ?」
「うん。これは100万円だよ」
 
「ああ、よかった」
と小風は言うが、お店の人は
 
「それでも100万円ですか?」
と、少しはホッとした雰囲気ではあるが、まだ顔色が良くない。
 
「ネックの修理は20万円くらいで出来るよ」
と私が言うと
 
「あ、そのくらいで修理できるんですか!」
と言って、ほんとに助かったーという感じの顔をした。
 
最初から20万円と言われていたら、それでもショックだったろうが、最初に1500万円などと聞いてから最終的に20万円といわれたので、そのくらいならいいかという雰囲気になった気もした。
 
この事故が起きてからしばらくした所で、テレビ局の名前の入ったカメラを持った人が来て、現場を撮影しはじめた。
 
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「済みません、撮らないでくれますか?」
とお店の人は言うが
 
「そんな隠さなくてもいいじゃないですか」
とテレビ局の人は言う。
 
店長さんが少しテレビ局の人と話して、お客さんの顔を映さないように、楽器や、スタッフだけなら撮していいということにした。
 
でネックの折れたヴァイオリンもしっかり撮影された。
 

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会場は騒然としていたが、和泉が
 
「お客さんを驚かせてしまったから、そのお詫びに2曲くらい歌って締めたいと思いますが、どうでしょう?」
とお店の人に訊く。
 
「はい、そうできるのでしたら、お願いします。でも楽器が壊れましたけど、何とかなります?」
「アカペラで歌います」
 
と和泉は言って、私に手招きする。
 
「歌うよね?」
「まあ、楽器が壊れたら仕方無い」
 
ということで、私は美空と和泉の間に入る。和泉が最初の音を出して、それに美空・小風・私が調和する音を出して、歌唱スタート。
 
最初は『Diamond Dust』を歌う。予定していた最後の曲である。こういう和声を重視した曲は、アカペラで歌うと、物凄く美しい。4人とも音感が良いのでアカペラで歌っても音程は全くずれない。
 
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歌い終わると今日1番ではないかという感じの拍手が来た。するとまだ残っていたテレビ局の人が
 
「あなたたちの歌っている所は撮ってもいい?」
と訊いてくる。畠山さんは、ちょっと三島さんと顔を見合わせたが
 
「いいですよ」
とOKを出した。
 
私たちも顔を見合わせたが、まいっか、という線だ。4人ともテレビに出たことがない訳でもないのでテレビ局とは、基本的に仲良くしておきたい。
 
それで気を取り直して最後の曲『Crystal Tunes』をやはりアカペラで歌う。これもまたアカペラでの歌唱がとても美しくなる曲である。静かにそして熱く歌い上げて、この日の演奏を終えた。
 
ほんとに凄い拍手が来て、KARIONのファンが今たくさんできたことを私たちは確信した。
 
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実際にはテレビの映像は4人で歌っている所が2秒ほどだけ、そして歌声は5秒ほどだけローカル局で流れたらしいが、これが結果的にはかなり沖縄でのKARIONのCDセールスを押し上げたようであった。
 
なお、4人の顔は、あまりに素早くカメラがパンしていたので、全然識別できないレベルだったようである。
 
なお、怪我人とかは無かったので、お店から事務所への補償はヴァイオリンの修理代のみということで、畠山さんと店長さんで話し合って決めたようであった。あとで修理代の伝票をお店に送って、払ってもらうことにした。
 

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「ところで、あれ小風のしわざじゃないよね?」
 
と私はお店を出てから訊いた。
 
「まさかあ。私にあんな高い所にある人形の紐とか切れる訳無い」
「だよねー」
「それに1500万円のヴァイオリン壊したら、私、一生掛けても借金返せないよ」
と小風はけっこうマジな顔で言う。
 
「ミリオンヒットが7回くらい出れば払えるよ」
「うーん・・・・その前にゴールドディスクを達成したいな」
 
「でも冬はそのヴァイオリンを今の持ち主さんから買い取るつもりなんでしょ?冬のお家ってお金持ちだっけ?」
「お金持ちなら、ずっと借家住まいってことは無い」
 
「どうやって1500万円作るの?」
「音楽で稼ぐ」
「おっ」
 

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そのまま私たちは那覇空港に行き、福岡まで飛ぶ。そして夕方、天神のデパートの前の広場と、地下街のイベントスペースで、移動時間5分でKARION の歌を披露した。私もエレクトーン伴奏で伴奏した。
 
今回のキャンペーンは、できるだけオープンスペースで演奏して、多くの人にアピールしようというものであった。
 
その日は福岡の天神で泊まる。1月のキャンペーンでは、博多駅近くの安ホテルだったが、今回は普通のビジネスホテルにグレードアップしている。前回は和泉・美空・小風を3人1部屋に押し込み、私は三島さんと同室だったが、今回は和泉と私、美空と小風を同室にして、三島さんと畠山さんは各々シングルである。畠山さんとしても、私の性別は全く気にする必要が無いという判断だし、また私を和泉と同室にすることで、私のデビュー意欲を刺激したいということだったと思う。
 
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部屋に浴室が付いているので、大浴場には行かないようにという指示であった。
 
部屋は別れているものの、夕食の後は、私と和泉の部屋に小風と美空が来て、お風呂もバスタオルやお風呂セットをこちらに持ち寄り、4人で交替で入った。
 
「なんか修学旅行のノリだ」
「和泉の所は修学旅行は?」
「中国らしい。香港・広州と桂林とか言ってた。でも来年の8月みたいだから、仕事でとても行けない気がする」
 
「私の所は韓国だと言ってたなあ。ソウルと慶州。来年の6月みたい」
と小風。
 
「みんな海外って凄いなあ。うちは多分奈良・京都だ。2年生の3月」
と美空。
 
「私の所も国内。九州で、今年の12月」
と私。
 
「12月も3月も、仕事とぶつかる可能性あるね」
「冬休み・春休み・ゴールデンウィーク・夏休み。他人が休む時が私たちは仕事の時」
 
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「私、小学5年生頃から土日はレッスンか仕事だったなあ」
と小風が言う。
「冬もそんな感じでしょ?」
「うん。だいたい小学5年生頃から土日はふさがってた。当時は民謡ばっかりだったけど、6年生の時からドリームボーイズ始めちゃって、その後ポーラスターもやってたし、あの頃からロック・ポップス系が増えたかな」
 
「ポーラスター!? AYAのバックバンドみたい」
 
AYAのバックバンドにポーラスターという名前が付いたことは、つい先日発表されていた。
 
「いやつながってるんだよ。当時は篠田その歌のバックバンドだったんだけどね。メンバーの入れ替わりが激しくて完全に人が入れ替わってしまったんで、そちらは改名したこともあって、AYAのバックバンドにポーラスターの元メンバーが2人いるというので、またポーラスターの名前を名乗ることにした」
 
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「へー!」
 
「バンドって結構何度も世代交代しながら名前が続いていったりするね」
「スクエアなんて最初からずっと居たのは安藤さんだけ」
「ドリフターズなんて何度か完全に入れ替わっている」
「KARIONもメンバーチェンジしながら50年くらい続いたりして」
「50年続いたら凄いな」
 
「でもメンバーがずっと変わらない所もあるよね。THE ALFEEはずっと3人のまま不変。30年くらい?」
 
「そんなものかな。ただ今の名前になる前のバンドの時は4人いて。1人辞めて3人になった後、THE ALFEEの名前で再デビューしたんだけどね」
「それは知らなかった」
 
「1人抜けとか1人交替のパターンは多いね。サザンは大森さんが抜けただけ。SMAPは森さんが抜けただけ。ドリフも、いかりやさんがリーダーになった後は荒井さんが抜けて志村さんが代わりに入っただけで40年くらい続いた」
 
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「1人抜けたら、それがおまじないになってずっと続くんだったりして」
「その言い方はまるで人身御供だ」
「なんか怖い話してるな」
 
「KARIONも、冬が一時脱退してラムが入ったけどすぐまた脱退して冬が復帰して。おまじないは完了してるから、このままメンバーチェンジせずに40年続くかもね」
 
「40年後って、56歳? なんか想像が付かん」
「56歳でミニスカってことは無いよね?」
「私、60歳でもミニスカ穿きたいなあ」
「美空だけ穿きなよ」
 
「でも結婚しても続けたいよね」
「あれ? 和泉たちの契約書で結婚のことは書かれているの?」
「25歳までは恋愛・婚約・結婚・出産禁止と書かれている」
「じゃ、その後はいいのか」
 
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「出産の時は一時的にお休みするにしても、赤ちゃんの手が離れたらまた続けたいな」
「ああ、そういうのイイネ」
 
「そういえば契約書で性転換は禁止されてないな」
「ふつうそういう事態は想定しない」
「小風、男になりたいの?」
「小風って結構おやじっぽいよね」
 
「それは中学の友だちからも言われてたな。でも男ってのも何か面倒くさそう」
「手術も大変みたいね。男を女にするには付いてるのを取ればいいが、無いものを作るのは大変みたい」
 
「冬が取っちゃうのをもらえば?」
「いや、冬は既に付いてないとみた」
「ああ、そんな気もする」
 
「それに男になるとお嫁に行けないしね」
 
「冬はもちろんお嫁に行くつもりだよね?」
「当然。小さい頃から、お嫁に行ってもいいよと親から言われてた」
「やはりそういう子供だったのか」
 
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■夏の日の想い出・アイドルを探せ(8)

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