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■夏の日の想い出・3年生の新年(4)

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雨宮先生が選んだのは次の12曲であった。
 
プリンセス・プリンセスの『Diamonds』(1989)と『世界でいちばん熱い夏』(1987)、whiteberryの『夏祭り』(2000)、SHOW-YAの『限界LOVERS』(1989) 、ZONE の『secret base 〜君がくれたもの〜』(2001)、MARIA の『カナシミレンサ』(2009)、スイート・ヴァニラズの『熱い林檎』(2012)、Super Pink Syrup の『冷たい薔薇』(2011)、Perfumeの『レーザービーム』(2011)、SPEEDの『White Love』(1997)
Vanilla Ninja の『Cool Vibes』(2005)、そして Lillixの『Sweet Temptation (Hollow)』(2006)。
 
「ガールズバンドだけじゃなくて、女性歌唱ユニットも入ってるんですね」
「そこいら辺の線引きは元々曖昧だからね。だいたいバンドと言っておいて、ベースが居ないとかドラムスが居ないとか何よ? でもサポートで男が入ってるのまでは許してあげる。でも女性ボーカルで男性楽器演奏者ってバンドは意地でも入れない」
 
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「意地でもですか!」
「ライブや音源制作でのサポートや、女の子が演奏している振りして、裏で男がこっそり弾いてるのまでは黙認してやる。表に出てるのは却下」
 
「なんかこだわってますね」
「じゃ、ローズクォーツもダメなんですね」
「そゆーこと」
 
「で、ケイちゃんなら、どの曲をトップにして、どの曲をラストにする?」
「うーん。。。トップは『夏祭り』かな」
「どうして?」
 
「このアルバムのコンセプトとしてはプリプリをトップにしたい気がします。日本の音楽シーンでガールズバンドとして最も大きな足跡を残したアーティストですし。1996年に解散した後16年経ってもいまだにプリプリを越えるガールズバンドは出ていません」
 
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「うん。でも、それをトップにはしないんだ?」
「年代が古いんです。だからそれをトップにしてもパッと注目するのは30代以上の人です」
「私もそれに同意」
 
「夏祭りは元々はジッタリンジンの1990年のナンバーですが、whiteberryは2000年にこの曲を本家の4倍売りました。だから、これはwhiteberryの2000年の曲と言ってもいいと思うんですね。そしてこの曲、更に最近 Friends もカバーしていますし、それ以外でも毎年夏になると有線でよく掛かっています。つまり、とても多くの世代の人がこの曲に親しんでいます」
 
「みんなが良く知ってる曲だからトップに入れようということね」
「はい」
 
「ヤスちゃんならどれを選ぶ?」
「僕は『レーザービーム』を選びたいです」
「どうして?」
「新しい曲だからです。やはりホットな曲を中心に据えた方がいいと思うんですよね」
「うん。それは道理だね。でも『熱い林檎』の方がもっと新しいよ」
「購買層を考えた時、やはりこのCDの購買者は男性だと思うんです。すると女性に人気の高いスイート・ヴァニラズの曲より、男性に人気の高いPerfumeの曲を選びたい気がします」
「ふむふむ。よく考えてるね」
 
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「他に意見ある?」
「僕は『secret base 〜君がくれたもの〜』がいいです」とタカ。
「どうして?」
「先日、ZONEはこの歌の歌詞にあった通り、10年後の8月に再結成して、凄く話題になったので、周知度が高いと思うんです。そういう話題曲を使うのがいいんじゃないかと思います」
 
「うんうん。いい意見だね。他の人は?」
 
「『White Love』かな。ケイとマリが歌うことを考えた時、ふたりのハーモニーがこの曲できれいになると思うんです」とサト。
 
「うん。そういう考え方もあり。マキちゃんは?」
 
「えっと・・・分かりません」
 
「雨宮先生はどれを先頭になさりたいんですか?」
「『Cool Vibes』だね」
 
「えーー!?」
 
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「だって、誰も知りませんよ!」
「でもヴァニラ・ニンジャは、2000年代に入ってから最も商業的に成功したガールズバンドだよ」
「それはそうかも知れませんが・・・・」
「日本国内の知名度が・・・」
 
「君たちが無名のアーティストなら、曲の魅力だけで売らないといけないから、良く知られた曲を先頭に持ってくるとか、予測される購買層が興味を持ちそうな曲を先頭に持ってくるというのもあり。でも君たちって、★★レコードのVIPアーティストなんだよ。君たちの名前を知っている日本人は500万人を越えるよ。それなら、堂々と、誰も知らない曲を演奏すれば良い」
 
「いいかも知れません。知らない人が多いから、新鮮に感じるかも」
と私は言う。
 
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「そうそう。カバーアルバムの場合、未知の世界を見せた方がいいんだよ。物まねの芸人さんじゃないし、オリジナルのマネしてもしょうがない。ローズクォーツの魅力を見せなきゃ」
 
そういった感じで、アルバムのトップは『Cool Vibes』、ラストが『夏祭り』
と決まった。
 
そして、この日、2日目はまだ収録は始まらず、各オリジナル・バンドの演奏をCDなどの音源で聴き、曲の解釈などについて、雨宮先生の講義が1日続いたのであった。
 
そしてこの日もまた帰る途中でサトは警官に職務質問された!!
 
身長190cm体重90kgで筋肉質のサトの女装姿というのは、例えばプロ野球選手のゴジラこと松井秀喜が女装している姿などを想像してもらえると良い。
 
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3日目は、雨宮先生が書いてきたアレンジ譜が全員に配られた。MIDIでの演奏が流されるが、私は先生から「仮歌を歌って」と言われ、譜面を見つつ、MIDIの演奏に合わせて歌った。先生はそれを録音していた。
 
その後、各曲ごとにアレンジの意図、演奏上留意して欲しいこと、などの説明がある。私たちはその説明を聞きつつ、質問をし、よく分からない所、ここはむしろこうした方がいいのでは?と思ったりしたことで、意見を述べた。先生は意外に柔軟で、良い意見は採用して速攻でアレンジを変更してくれたので、この日は和気藹々とした雰囲気で進行した。
 
そして4日目に入って、やっと演奏が始まることになった。しかし、4日目は録音は一切せずに、ひたすら練習をさせられた。
 
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雨宮先生のアレンジは、そんなに高度なテクニックを要求したりはしないものの、情緒性を重視しているので、譜面通り正確に弾いても「いや、ここはこういう気持ちで弾いて」などといって直しを要求されることが多々あった。特に強弱の付け方に関してはかなり細かいことを言われた。
 
「下手さを誤魔化すシンコペーションやビブラートはNG。そんなのやる奴は伸びない。でも情緒を表現するためのシンコペーションやビブラートはOK」
と先生は言った。
 
しかし少し一緒に作業を進める内に、そのあたりの感覚がかなり分かるようになってきて、あまり注意されなくなっていった。
 
5日目も練習だけで、最初の週は結局一切録音作業は無かった。
 
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そしてローズクォーツの男性4人は、着替えを渡されて、土日もずっと女物の服で過ごすことになった。実際にはみんな恥ずかしがって、家に閉じこもっていたらしい。
 

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週明け。2週目から収録作業が始まった。先生は演奏と歌は別録りする方針ということだったので、私と政子は日中は学校に行っていて、夕方から収録に参加した。ただし初日はまだ楽器演奏の収録だけで、私たちの出番は無かった。
 
また「勉強させてください」と言っていたこともあり、先生は特に私とヤスに、どういう発想で各パートの譜面を起こしたのかとか、ドラムスパターンの組み方などについても、詳しく説明してくれた。サトも横で聞いていてしばしば頷いていた。
 
先生は当初、月曜から金曜まで作業をして土日は休みと言っておられたのだが、調子が乗ってきて、結局この週、1日に2曲ずつ演奏部分が仕上がっていったので、土曜も作業をすることにして、土曜日までに全12曲の楽器部分を録り終えた。
 
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そして、一方で火曜日以降夕方から、私と政子の歌唱部分の収録も進める。歌唱部分は楽器部分の1日遅れで収録していったので、楽器パートを土曜日に収録したものを歌唱は日曜日に録音することになった。日曜日は男性4人は休みということにしたが、ヤスとサトは(当然女装で)出てきて、雨宮先生の指示の仕方などを見学していた。
 
日曜日の午前中で録音作業が全て終わったので、日曜の午後はミックスダウン(マルチトラックで録音された音源をステレオにまとめること)の作業に入った。
 
専門の音響技術者を入れず、雨宮先生自身が機器を操作して作業を進めるが、私と美智子も機械の操作は分かるので、私たちふたりが助手になり、雨宮先生の指示で作業していく。サトとヤスは機械の仕組みとかはさっぱり分からないようであったが、何をしているかは雰囲気で感じ取っていたようであった。
 
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「ケイちゃん、プロのエンジニア並みね」と雨宮先生。
「あ、一応3級舞台機構調整技能士とか3級音響技術者とか持ってます」
「へー。凄いね」
「いや、このあたりは誰でも取れるので」
「いや。耳が良くなきゃ取れない」
「楽器の音の種類を聞き分けたり、音の大きさとか聞き分けるのは音楽家としての素養でもありますし」
「うん。それはある」
 
ミックスダウンの作業は水曜日まで掛かった。私と政子は学校がちょうど春休みに入ったこともあり、毎日スタジオに詰めて雨宮先生の作業を見守り、また私は作業の助手を務めた。サトとヤスも重たいものの移動などを手伝いつつ、やはり先生の作業を見ていた。
 
そして音源制作の最終段階、マスタリング(できあがった曲ごとの音源のボリュームレベルを揃え、曲間を入れてCDとして聴ける状態にすること)は木曜日に行われ、マスター音源が出来上がった。
 
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この木曜日には再び全員が招集されて、ジャケ写とPVの撮影が行われた。プレイズ・シリーズでPVを撮るのは初めてである。
 
本当に全員女装したまま、楽器を持ち演奏しているところを撮る。雨宮先生は「全員のクロースアップを撮影しようよ」と言ったのだが、★★レコードの氷川さんが「却下です」と言ったので、ジャケ写は全体のショットに、私と政子だけアップを撮って、それを真ん中下部に配置することになった。
 
PVではけっこう近くから撮った映像も入ったが、この日は特に入念にメイクをしたので、そう見苦しくはならなかった。特に元々優しい雰囲気のあるタカはかなりの美人になっていたので、PVでも撮される時間が長くなった。
 
「タカちゃん、ローズクォーツが解散したらヴィジュアル系バンドでもできるよ」
などと言われて本人まんざらでもない雰囲気だった。
 
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撮影が終わると、みんな女装を解き、メイクも落とす。男の服に戻ってみんなホッとしている雰囲気だった。
 
「俺、このまま人生変わっちゃったらどうしようかと思った」
と、男装に戻ったタカが言う。
「ブラジャーとかやみつきにならない?」
「ちょっと怖いです。ふらふらと買ってしまいそうで」
 
「女として歩む人生も素敵よ。取り敢えずタカちゃん、去勢してみない?」
「いえ、それは結構です」
 
「私この音源制作期間中に4回も警官に職質されましたよ。いや。たいへんな3週間でした」とサト。
「まだ慣れてないからよ。慣れたら、職質なんてされなくなるわよ」
「いえ、慣れる所まで女装したくないです」
 
「この3週間、女房がまともに私の顔を見てくれなかったんです。娘はなんか面白そうにしてましたが」とヤス。
「まあ奥さんとしては、旦那が女になっちゃったら戸惑うかもね。でもレズって手もあるわよ。ケイちゃん・マリちゃんみたいに」
「いや、百合とかは二次元の世界の話だけで」
 
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「あら、ヤスちゃん、百合物読むの?」
「女房が好きで同人誌とか買ってるもので、BLもGLも読まされてます」
「あら、それなら、レズを目指そうよ」
「いや、私はまだ男を捨てたくないので」
 
「マキちゃんは何かトラブルなかった?」
「えっと・・・・男子トイレに入ったら『おばちゃん、こっち違う』と言われて、少しケイの気持ちが分かった気がしました」
 
「ケイは『こっち違う』はたくさん言われたよね?」と先生。
「ええ。子供の頃からたくさん言われて来ました」と私。
「そういう時、どうしてた?」
「素直に女子トイレに入ってました」
 
「マキちゃんはどうしたの?」
「とても女子トイレとか入る勇気無いので、家まで我慢しました」
「膀胱炎になるわよ。我慢してたら」
「でもガードルでお腹押さえられてるから、我慢するのが辛かったです」
「やはり女子トイレに慣れようよ」
 
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「先生、それあまり言うとマキ本気にするからやめてください」と美智子が言う。
 
「でも楽しい音源制作でしたね」と政子。
「うん。私も楽しませてもらったわ」と雨宮先生は言った。
 
 
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