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■夏の日の想い出・セーラー服の想い出(5)

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(C)Eriko Kawaguchi 2012-10-23
 
ボクがセーラー服で集合場所の駅に出て行くと、同級生たちから
「可愛い!」
「あ、でも最近何度かそれ着てるの見かけた」
などと言われる。
 
「実は最近、通学はこれで、合唱部の朝練が終わってから男子制服に着替えて放課後はまたセーラー服に着替えて合唱部の練習に行ってたんだよね」
とボクが説明すると
「そもそも合唱部は女だけだもんな」
「今まで男子制服で合唱部に行ってたこと自体が異常だよね」
などと言われた。
 
しかしボクのセーラー服姿を見た担任の有川先生が少し焦った顔をした。
「君、それでこの旅行に参加するの?」
「はい」
とボクが笑顔で言うと、
「わ、分かった。ちょっと話し合うから」
と言って、ほんとに数人の先生で話している風だった。
 
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ボクは周囲を見回して、あれ?と思った。
「ね、今日Sちゃん見かけなかった?」と日奈に訊く。
「ああ、Sちゃん熱出して、この旅行欠席だって」
「えー!?」
 
「ああ、修学旅行先でデートしたかったんでしょ?」とひとりの同級生女子。「ついでにHしようとか目論んでなかった?」と別の同級生女子。
「ボク、女の子には性欲感じないから」
「あれ? そうなんだっけ?」
 
「ボク、男の子とHなことした時はあれ少し大きくなったことあるけど、女の子に裸にされて触られても大きくなったこと1度も無いし」
 
「ちょっと待て。冬って、男の子とも女の子ともそんな経験があるんだ?」
「えっと・・・・、女の子はそれされたの、みんなただの友達だよ。お互いHなことする気もなくて、少しきついジョークって雰囲気だったし」
「ああ、女の子同士でふざけて、あのあたり触ったりするのと同じか」
「そうそう」
 
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「じゃ、Sちゃんに対しても実は恋愛感情無いの?」と日奈が少し厳しい顔で訊く。
「それはあるつもり。ボクSちゃんのこと好きだよ。性欲は無いけど本気で好き」
とボクはマジメに答えた。
「へー。冬ってバイ?」
「ストレートのつもりだったんだけどなあ・・・彼女は例外中の例外だと思う」
 
「待って。冬にとってストレートって、男の子にしか興味無いという意味?」
「そうだけど、なんで?」
「あ、まあいいや」
 
「でも、やはりSちゃんに自分が女の子だってことカムアウトするつもりで今日はこの服を着てきたの?」
「そういう訳でもないけど、結果的にカムアウトすることになるとは思ってた」
「まあ、修学旅行終わるまでにはSちゃんも風邪治ってるだろうし、それからカムアウトすればいいね」
「うん・・・・」
 
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ボクが持って来たデジカメで記念写真撮ってくれない?と言うと
「あ、撮ってあげる」とひとりの子が言い、「あ、じゃ私と並ぼう」と何人かの子が言って、ボクは彼女たちと駅名プレートを背景に記念写真を撮った。何人かデジカメを持って来ている子がいるので、お互い撮影係を交替しながら何枚も写真を撮る。
 
そんなことをしている内に、森島先生がこちらに来た。
「ね、唐本さんって、小学校の時、修学旅行は男子のグループだった?女子のグループだった?」
「一応グループは男子の方でした」
とボクは答えたが、そばにいた日奈が
「でもお風呂は女湯に入ってましたよ」
と言った。
 
「冬ちゃんって、女湯に入れるんだ?」と驚いたふう。
するとちょうど近くにいた貞子が
「冬子は、陸上部の合宿でも、私たちと一緒に女湯に入りましたよ」
と言った。
「へー!」
「そもそも男女別れての合宿で、女子グループでしたし」
「なるほどねぇ。了解了解」
と言って森島先生はボクたちのそばを離れて、また数人の先生で話している所に戻った。
 
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「ああ、これは冬は女子のグループに入れられそう」
と美枝が楽しそうに言う。案の定、しばらくして森島先生と有川先生が来て、
「唐本さん、この修学旅行では女子のグループに入ってくれる?」
と言われた。
「はい」
「新幹線の席は急遽組み替えて、隣は網浜さん(日奈)にするけどいいかな?」
「あ、OKです。仲良しだから」と日奈。
 
「お部屋も、ちょうど網浜さん・望月さん(亜美)・山吹さん(若葉)のお部屋が3人部屋だから、そこに追加してもらっていい?」
「あ、私も亜美も冬子とは仲良しですから」と日奈。
「若葉は去年の合宿でも冬子と同じ部屋でしたし、いつも一緒に水泳の練習とかロードワークとかしてる仲ですよ」
と貞子。
「へー。いやなんかよく話してるよなと思ったから。そういうのいつもしてるなら大丈夫ね。じゃ、よろしく」
と言ってから
 
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「水泳の練習って・・・・唐本さん、プールの更衣室はどちら使うの?」
と森島先生がふと気付いたように訊く。
「冬子が男子更衣室に入って行ったら、パニック起きますよ」
と貞子が言う。
「ああ!」
と森島先生は納得したように声を出した。
 
「でもあなた、ふだんの体育の授業の時は男子更衣室だったよね?」
「更衣室の隅っこで後ろ向いて急いで着替えるらしいですよ。他の男子も冬子の方は見ないように気をつけてくれてるみたい」
「うーん。。。そのあたりは修学旅行終わってから再度話し合おうか?」
「えっと・・・」
 
ということで、ボクは中学の修学旅行はホントに女子として参加することになってしまった! 森島先生は少し離れた所にいた亜美、それから若葉に声を掛けて話をしていたが、ふたりとも笑顔でこちらに手を振った。
 
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うちの中学の修学旅行は2泊3日で奈良京都である。初日は東京駅から新幹線で京都まで移動し、そこからバスで奈良往復になる。
 
ボクたちはまずは東京駅に向かった。
 
途中乗り換えの駅のホームで、おしゃべりしながら電車を待っていた時のこと。ボクは視界の端で27〜28歳くらいの母親とじゃれていた3〜4歳の女の子が、飛び跳ねている内に勢い余ってホームから転落したのを見た。
 
瞬間ボクはダッシュしてそちらに走り出した。電車が来るはずの右側をチラっと見る。電車が来てる!やばっ!!
 
母親が「きゃー!」という悲鳴を上げるのと、ボクがホームから飛び降りるのとがほとんど同時だった。
 
ボクは線路に落ちて泣きそうな顔をしている女の子を抱き抱えると飛び降りた反動を利用してそのまま跳ねるように向こう側の線路まで走って行き、その子をホームの壁に押しつけるようにした。直後、後ろに凄い風圧と轟音を感じる。ボクはその音が止まってから大きく息をついた。
 
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向こう側のホームにいた男の人が、女の子を上に引き上げてくれて、ボクも手伝ってもらって上に登った。「子供は無事ですよ〜!」と大きな声で伝えてくれた人がいた。ボクはその女の子に「さ、お姉ちゃんと一緒にお母ちゃんとこに行こうね」と言って再度抱きかかえると、階段を昇り降りして自分のいたホームに戻った。電車はこの事故のため、停車したままになっている。
 
母親が駆け寄ってきて、抱きしめて大泣きしている。子供も泣き出した。
 
その様子を微笑んで見ていたら、トントンと肩を叩かれる。
「大手柄じゃん!」と貞子。
「たまたま視界に入ったから。反射的な行動だよ」
 
「大丈夫か?唐本」「大丈夫?唐本さん」と有川先生と森島先生。
「あ、私は全然大丈夫です」
 
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「でも、唐本があんなに反射神経良いとは思わなかった。みんな見てたけど身体が動かなかった」
「間一髪だったね。あれワンテンポ置いてから駆けつけても間に合わなかった」
と先生達が言う。
 
「冬子がセーラー服着てたからですよ」と貞子が言う。
「へ?」
「前にも何度か見てますが、冬子って、女の子の服を着ている時は頭も良くなるし、運動能力も上がるんです。女子の服を着てると100mのタイムが1秒速くなるし、ピアノとかも凄くうまくなります」と貞子。
「えー!?」
「100mのタイムで1秒って大きいじゃん」
 
「小学生の時に鍾乳洞の中で迷子になった時、女の子の服を着た途端、帰り道が分かって脱出出来たらしいですよ」と日奈。
「え〜〜!!?」
「それは凄い」
「プリキュアかセーラームーンか・・・」
「女の子の下着をつけてるだけでも少し能力が上がるから、テストの時はいつもパンティにブラ付けてるらしいですし」と倫代。
「へー!」
 
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「じゃあの子が助かったのは、唐本が女の格好してたお陰?」
と有川先生は言うし、
「だったら、修学旅行明けからも、あなた女子制服で授業受けなさいよ」
と森島先生は言った。
 
「えーっと・・・・」
と戸惑うような声を出してボクは頭を掻いた。
 
結局電車は駅に10分間停車してから運行を再開。ボクたちは東京駅に向かった。
 

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東京駅を朝8時すぎの《ひかり》に乗った。隣の席の日奈とあれこれガールズトークをする。ジャニーズ大好きの日奈とは、ジュニアの子の品評で話が盛り上がった。
 
「でも、冬ってジャニーズ嫌いなのかと思ってたのに」と日奈。
「別に嫌いじゃ無いよ。歌を聴かないだけ」とボク。
「なるほど!」
「顔やスタイルを鑑賞しているだけなら耳も痛くならないし」
「むしろジャニーズの存在意義はそちらかも知れん」
「確かに!」
「じゃ、この曲知ってる?」
と言って日奈は何かの曲を歌い出した。
 
「『LOVE SONG』。山Pが作った曲だよね。日奈、本人よりうまい」
「そう?でもよく知ってるね!アルバムの中の曲なのに」
「何度もは聴かないけど、1度は聴いてるから。このアルバム(NEWS『touch』)は美枝んちで聴いた」
「ああ。そうか。1度聴いた曲は歌えるって言ってたね」
「歌えるよ」
と言って、ボクは山下智久作詞作曲の『LOVE SONG』を歌ってみせる。
 
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「凄い!フルコーラス歌えるって。私、2番の歌詞が怪しいや」
「ああ。私も怪しかったから、不確かな所は適当に歌った」
「えー!? でも適当に歌えるところが凄いよ!」
「歌詞を作詞しながら歌うのは昔から割と得意」
「へー!」
「もっともそれ女の子の服を着てる時しかできないんだけどね」
「なるほど!やはりそうか!!」
 

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「だけど、冬とは、冬が男の子の服を着ててもよくこんな感じでおしゃべりしてるけど、やはり女の子の服を着ていてくれた方が、私も話しやすいよ」
「中身は同じなのに」
「それが中身も変わってる気がするんだけどね−」
「そうかな」
「女の子の服を着ている時は中身もちゃんと女の子にトランスフォームしてる気がする」
「そうなったら凄いけどね」
 
日奈はいきなりボクの胸に触った。
「この感触、本物のバストのような気がするんだけど」
「パッドだよお」
「ほんとかなぁ」
「ほんとだよお」
「まあいいや。今夜は確認出来るし」
「へ?」
 

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■夏の日の想い出・セーラー服の想い出(5)

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